歴史年表
以下に記すのは、精霊暦1000年頃〜現代までの、コモンヘイムにおける簡易的な歴史年表。
尚、表記年は全て精霊暦である。
ローレック守護精霊学校の設立
1000年 | 女神よりオーディア島開拓が解禁される |
1009年 | ローレック守護精霊学校(Loireag Rumina school)の設立 |
1013年 | デュルガー王討伐 |
同年 | 女神の長ヘイル死去、魂の浄化が終焉する |
――コモン死すれば、その魂(Soul)は天に昇り、生前の業を洗われ無垢と成る。
しかる後、新たな体に生まれ変わる。
精霊と動物の精(Spirit)は業にまみゆる事無し。よって、浄化を経ずとも生まれ変わる。
されど、魂より剥がされし業は闇の世界へと落とされる。
悪を為す者は己を省みよ。己が己だと思っているものが、実は業なのかも知れぬのだから。
〜古文書『死と魂に関する教え』より抜粋〜
・ローレック守護精霊学校とは
悪意の権化『デュルガー王』との戦いに備えて作られた。
ルミナの才能を持つ希少な人間のみが入学でき、最終的に悪と相対、これを討ち滅ぼした。
現在もルミナを鍛える学園として存続している、歴史ある学園である。
アルターオブスタプナー
1016年 | ローレックでアルターオブスタプナーが完成 |
1017年 | 最初のコモンクルスが誕生 |
1032年 | コモンクルスがルミナ才能を受け継ぐ事が判明する |
1036年 | 既知の地方ほぼすべてにアルターオブスタプナーが普及する |
・アルターオブスタプナーとは
女神の長ヘイルが死去した事により、魂の浄化と輪廻は壊れてしまった。
コモンの子が生まれなくなり、世界は滅亡してしまうと思われた。
そんな時、ローレック学園は古代文明の遺物と錬金術を応用して、魂の浄化を擬似的に行う方法を編み出した。
それが誕生の秘蹟であり、秘蹟に用いられる祭壇がアルターオブスタプナーである。
・コモンクルスとは
母の胎に宿るのではなく、アルターオブスタプナーによって生み出される新しい生命、それが我々コモンクルスである。女性に新たな魂が宿らない現代において、我々コモンは須らくコモンクルスである。
人の子を示す「コモン」と、ローレック学園や教会を象徴する「CROSS」が語源だと言われている。
誕生の秘蹟を行ってわずか一か月で誕生するコモンクルスだが、その後成長し、生き、死ぬ点においては自然の生物となんら変わらない。
親となる2人のコモンの協力が誕生の秘蹟に必要だが、同種族の男女である必要はない。
ただし、親が異種族同士の場合、コモンクルスは必ずどちらかの種族になり、種族が混じることはない。
唯一の例外は人間とライトエルフの間に生まれるハーフエルフだが、ハーフエルフは一代しか存在しない。
・教会と誕生の秘蹟
ローレック学園は、アルターオブスタプナーが王侯貴族に政治的に利用されてしまう事を恐れた。
そこで、政治的に中立な女神を奉ずる教会に協力を仰ぎ、アルターオブスタプナーの普及を教会に委ねた。
精霊暦11世紀、危機はオーディアで始まり、同時に、オーディアにて解決の道が見い出されたのである。
・魔法の衰退期
ルミナ才能を持つコモン同士が子を成すと、ルミナ才能を持ったコモンクルスが産まれる。
その事実が判明するも、元々魔法才能を持っていたコモン達は徐々にその才能を衰えさせ、また、新たに産まれたコモンクルスが成長するまでに多くの時間を要した。故に一時的に魔法の才能や技術は衰退。守護精霊はその姿を表すことが無くなり、コモンやコモンクルス達の内側に宿るのみとなる。
結果、魔法はデュルガー王討伐時の最盛期から、大きく退化することとなる。この期間は、魔法の衰退期と呼ばれている。
∇誕生の秘蹟
教会の鐘が鳴っている。
女は鎌を振るう手を休め、短く祈り、それからハンカチで額の汗を拭った。
陽が沈みつつある。山と積まれた麦の束が朱に染まった畑に長い影を伸ばしていた。
「ローラ!」
若い農夫が駆けてきて女を抱きしめた。
「やったぞ!」
「どうしたのよ?」
子供のようにはしゃぐ男にローラは微笑みかける。
「『誕生の秘蹟』だ! 俺達の番だぞ!」
「本当に!?」
ローラは目を潤ませた。
その夜、若い夫婦は身を清めて晴れ着を纏い、教会へ行った。
神主が厳粛な面持ちで二人を奥に導く。
夫婦はそこで聖なる杯を飲み交わし、祭壇で眠りについた。
翌日、二人は家に戻り、今までと同じ生活が始まる。
「これで本当に子供が授かるのかしら?」
「牛や馬じゃあるまいし、腹から生まれるわけにもいくまい。信じて待つんだ。コモンの子は教会で授かると昔から決まってるのだから」
一か月後――
神主が元気に泣き声をあげる赤子を抱いて現れた。
「汝らに授かった尊い魂です。愛をもって育てなさい」
「ありがとうございます」
夫婦は感動で震える手で赤子を受け取り、慈愛の眼差しを注いだ。
「こんにちは赤ちゃん、私がママよ」
「パパだぞ」
ゴルハンの盛衰とユーロ百年戦争
1100年 | オーディア島の開拓が進む、ローレック市国の成立 |
1110年 | リムランド東方が開拓され、スラヴォ地方となる |
1142年 | 標の星の一つ、ラファエルが消失 |
北極星と同様に、空から動かぬことで知られていた東の星ラファエルが、1142年に消失した。
占星術師らの間では、吉兆なのか凶兆なのかで大いに揺れ、日夜議論が交わされたという。
しかし懸念をよそに、消失後暫くは平和な時代であり、復興と開拓が進み、人口が増加していった。
1206年 | ゴルハンで偉大なる王テムジン即位 |
1259年 | ゴルハン、世界を席巻し半世紀で大帝国となる |
1281年 | ゴルハンのグリーヴァ遠征失敗、グリーヴァは鎖国体制をとる |
1299年 | パルージャがゴルハンから独立 |
1328年 | スラヴォがゴルハンから独立 |
1337年 | ユーロ百年戦争勃発(〜1436) |
1347年 | ユーロで黒化病が流行、人口激減 |
――民族は民族に、国は国に敵対するだろう。
人々は互いに裏切り、憎しみあうだろう。
惑わす者が大勢現れ、人々を誤らせるだろう。
悪徳と不法が蔓延り、愛と希望は失われる。
〜予言書『来るべき戦いについて』より抜粋〜
・戦乱の嵐
精霊暦13世紀、コモンヘイムに戦乱の嵐が吹き荒れた。
東の地ゴルハンでテムジン王が即位、無敵の騎馬軍団を率いて周辺諸国の征服に乗り出したのである。
パルージャ、ファンシェン、スラヴォが次々とゴルハンの朝貢国となった。
グリーヴァ遠征が失敗に終わり、ゴルハン軍の敗北が知れ渡ると、独立の動きが出てくる。
それでもスラヴォが独立を勝ち取るまでは70年近くを要したのである。
続く精霊暦14世紀はさらなる暗黒の時代だった。
ユーロ圏のほとんどの国々を巻き込む、長く凄惨な大戦争が起こったのである。
・黒化病
ユーロ全域で怪病が流行。罹患した者は理性を失って凶暴化し、肌が黒くなって、最後には衰弱死する。
この病は黒化病と名付けられ、非常に恐れられた。実際、黒化病でユーロの人口は3割も減少している。
地上の魔法使いたちにより黒化病の原因が解明され、この時、カオスの存在が初めて確認された。
∇黒化病対策
精霊暦1347年。ユーロは「百年戦争」の真っただ中にあった。
人々が憎み合い、殺し合い、恐怖と悲しみが満ちる中、「それ」が起きたのはある意味必然だったのかも知れない。
――気がつけば、恐ろしい病魔はユーロ圏の隅々にまで蔓延していた。
多くの人が病魔に侵され、治る見込みもないまま、次々死んでゆく。
エンダールの魔法もほんの一握りの人を救うだけにしかならず、焼け石に水。
そもそもルミナの才をもつ者は希少なのだ。病魔の元を断たねば、状況は変わらない。
ローレック市国、女神教会、ヘルヴェティア大学府を始め、あらゆる組織と個人が黒化病の調査に乗り出した。
その間も、肌を黒く染めた人々は狂乱し、殺戮と混迷の度合いは深まっていった。
絶望の中で、魔法や錬金術を駆使して判明した事実は三つ。
・黒化病はデュルガーや瘴気が引き起こしたものではない。
・黒化病は人から人へ感染する。
・今回の事件の陰にはコモンクルスの精神を歪め、狂わせ、暴走させる「何か」が潜んでいる。
魔法使いらはこの「何か」に、デュルガーに代わるコモンの新たな脅威として「カオス」の名を与えた。
程なくして「カオス」の存在は、別な事件を追っていたダーナ達の活躍により証明された。
別な事件というのは、善政で民から慕われていた貴族が、殺戮と圧政を好む暴君となり果てた出来事である。
主君の変貌に心を痛めた家臣の依頼で調査したところ、貴族は珍しい剣を手に入れて以来、だんだん様子がおかしくなった事が判った。貴族から剣を奪ったところ、その剣はなんと、近くにいる者の人格を歪めて悪人へと変える呪われた品だったのだ。
どのようにアイテムがカオスを宿し、カオスが黒化病を引き起こすのかは謎であるが、少なくともカオスは存在した。
この時、ある研究者が「カオス発生理論」を提唱した。
曰く、
「カオスとはコモンクルスの負の感情が蓄積して発生すると思われる。よって、人を傷つけ命を奪う武器に宿りやすいのではないか?」
また、ある聖職者が「剣供養」を提唱した。
「カオスを引き起こさぬよう、コモンを殺めた罪深い血塗られた武器は清めて封印すべきです」
これら理論は多くの賛同者を得て、さっそくユーロ各地で剣供養が行われた。
これと並行して、権力者らはカオスが引き起こした黒化病への対策を断行した。すなわち、
・黒化病に感染した者、感染したと疑わしき者を街の外に追放する「隔離」。
・街に入ろうとする者で黒化病感染が疑わしい場合はこれを禁じる「検疫」。
カオスの謎を完全解明するには到らなかったものの、対策は的を得ていたようで、剣供養と隔離・検疫政策が徹底されてから、黒化病は沈静化した。
技術の進歩と現在
1450年 | グレコニアで文化、学問が興隆 |
1460年 | 活版印刷、火縄銃が発明される |
1465年 | パルージャが台頭、東西貿易を独占 |
1499年 | カスティラがウーディアから独立 |
1512年 | カスティラがアフリック西部に到達、象牙や黄金で莫大な富を得る |
翌年〜 | あなたが、スカイドラグーンへ招かれる |
∇世は大航海時代
一度は滅びの淵に立たされ、その後も戦乱や疫病に見舞われた世界だが、それでも人々は逞しく生きている。
女神の長の消滅と共に失われると思われたルミナの力は、切磋琢磨した者達の子らに受け継がれていった。
一時は衰退した魔法や錬金術も、ローレック市国で再研究・再発見が進み、ゴーレムシップやフロートシップとして結実することになる。
他にも、飛行用の箒や遠距離連絡手段など、さまざまな魔法のアイテムがローレックにおいて作られるようになった。
さらに、何十世代とルミナの力に慣れ親しんだ血脈は、精霊と極めて近しい者達を産み出した。
精霊と一心同体になれる――精霊合身が出来る――新世代のコモンクルスである。
また、ルミナ以外の領域でも、大きな前進が見られる。
火薬と銃の発明は軍事の常識を一変させ、紙と印刷の普及は知識の集約を著しく早めた。
測量器具と帆船の改良は遠洋航海を可能とし、建築や芸術の興隆で文化の花が咲き誇っている。
戦争や陰謀は絶えることはないが、力と希望に満ち溢れた時代。
今――人々の目は広く世界に向けられている。
◆フロートシップ「ドラゴンフライ級」
全長71m 全幅45m 速度100km/h(巡航時)
乗員40名 定員200名
精霊の力を制御して空中を航行する空飛ぶ船。
大地との反発を制御する地の精霊の錬金装置を下部に、推進のための強風を噴射する風の精霊の錬金装置を後方に設置する。
乗員の精霊力を少しずつ集め増幅しているため必要乗員が少ないとパワーが出ない。製造が難しく使い手を選ぶため、普及数は通常の大型帆船(キャラック等)の1/100程度。主な所有者は、有力な王国、一部の豪商や教会などである。
◆ゴーレムシップ「エインセル(Ainsel)級」
全長51m 全幅15m 速度50km/h(巡航時)
喫水6m(満載時(グレーの部分が喫水線))
乗員40名 定員250名
水中にある水流翼(カイトシールドのような板)に取り付けられた水流を制御する錬金装置により、水を高速で後方に押し出し推進する。後部甲板に設置された舵輪と、水流翼を制御するための水晶球によって制御される。普及数は大型帆船の1/10程度。