企画イベント「傀儡戦争」に関することを記述するカテゴリー
傀儡戦争 結果発表
◆アルピニオ 反乱は枯れ野を焼く火の勢いでアルピニオ中に広がっている。
戦いのプロであるアルピニオ騎士や帝国軍兵士が農民に押されているのは、ひとえに、新教の「神の兵士」が原因で、その正体がオートマタだからだ。
ギュンター(
tk5611)とアロイス(
tk6315)が内情を探ったところ、反乱軍と新教について次のようなことがわかった。
・反乱軍は困窮した農民が大部分で、彼らは普通のコモン、食うに困って反乱を起こしたに過ぎない。ただ、彼らの中で信仰熱心で真面目な者が志願し、新教が「新生の秘蹟」と称する儀式を経てオートマタになる。
・新教はオートマタ化を『信心深い者に恩寵として、病にかかることも飢えに苦しむこともない体を与えた』と喧伝している。
これらは、ユール(
tz0069)が集めた噂や情報とも一致する。
新生の秘蹟については、どこかで行っているらしいが、内部に入り込んだギュンター達でも掴めなかった。その詳細は新教聖職者しか知らないようだ。転移魔法などで遠距離移動している節がある。
新教は階層構造をもっている。上から順に、教主、使徒、枢機卿、司祭、助祭、信徒、信者の順だ。反乱軍指導者が枢機卿。神の兵士が信徒で、普通のシンパは信者である。
とにかく、カオスが関わっているのならば、コモン同士の戦争にも介入できる。
数人の神の兵士に率いられた反乱軍が帝国軍を蹴散らしている現場に急行し、参戦する。
「無辜の民を唆し、傀儡とするオートマタを許す道理はありません」
「ハッハァ! ここは俺に任せなァ!」
先陣を切ってバムクエル(
tg3938)が敵と切り結び、ツヴァイ(
tg1256)が巨大ハンマーを振るうが、動きが鈍い。霊魂共鳴だ。
「くそ、なかなか当たらねー」
フラーグリア(
td5673)がワイバーンに騎乗して急降下攻撃をしかけるが、虚しく空を切る。敵オートマタはなかなか手強い。
「ダークハンターが‥‥力を貸してくれない!?」
不整地も足場の悪さもなんのその、戦場を自在に駆けるマグノリア(
ti8081)は、接敵という段になって当てが外れた。闇の住人を狩る使命剣はゴーレムに反応せず、モードDを発動させなかったのだ。
接近すると霊魂共鳴でやられる。ならば遠距離からと、ルゥ(
te3841)は空中から陽光銃を撃ち、マーヤ(
ta0070)はメギドを放つ。ちなみに、マーヤは反乱軍オートマタを見つけるため暴走キーワードを叫んでみたが、これと言って効果はなかった。
「さては、対策されているのか?」
苦戦するドラグナー達。
しかし、
「俺に霊魂共鳴など‥‥効かん!」
「アオアオアオオォー!」
ヴォーパル(
tj9428)とアビゲイル(
tk0485)が突撃を敢行。
「反乱軍は壊滅してもらいましょうか?」
「私達オートマタが跋扈していて良い世界では無いんですよ、この世界は!」
目には目を、オートマタにはオートマタを、とばかりに、アナベル(
tk6659)、イルメラ(
tk6085)、アリセア(
tk5624)が加勢すると、ドラグナー達は盛り返す。
その後、エミリア(
tk5497)がドラグウッドを浴びせるなどして、なんとか敵オートマタを撃退した。
「エリシス(
td1054)殿のアドバイス通りだったな。やはり、反乱軍のオートマタは、天来の英雄にお任せするに限る」
帝国軍指揮官が礼を言う。この日、局地的ではあるが、帝国軍は勝利し、新教支配下にあった村落を一つ二つ、奪回した。
戦闘が終わって安全になったところで、領主と思しき貴族がやって来る。ヴァイス(
tk5406)はその貴族に近づいて意見を述べた。
「新教は永遠を謳っているがそうでは無い、成せぬ叶わぬ事が出てくる。引き返せず、滅びまで道が長くなるだけ。彼らの言葉は実証無き妄言だ。この事を広く国中に伝えて欲しい」
ところが、貴族は横柄かつ傲慢だった。
「そんなことはわかっている。愚民どもにまともな信心があるはずない。所詮、悪魔に魂を売り渡してバケモノと成り果てるような背教者だ」
さあ、帰った帰ったと手で追い払う仕草をする。
「‥‥悲鳴?」
ヴァイスは耳を疑った。奪回した村から悲痛な叫びが聞こえてくる。
「愚民どもに罰を下しておるのだ。反逆した者がどうなるか、思い知らせてやらねばならん」
「!?」
*
「こんな‥‥ひどい‥‥ひどいのだよー!」
アンリルーラ(
tj5260)は泣きじゃくった。
彼女は敵味方の区別なく傷ついた兵士や民を治療していたのだが、戦いに勝利した帝国軍は、反乱軍捕虜や反乱に加担したと疑わしき農民を片っ端から処刑したのだ。
村の中央にある大きな木には無数の「奇妙な果実」がぶら下がり、地獄の様相を呈した。
治療の段階で精霊力を使い切っていたアンリルーラに、被害者を救う力はもはや残されていなかった‥‥。
新教の勢いは驚異的だ。それゆえに、帝国側は恐怖に駆られ、残酷かつ無慈悲に新教を弾圧してゆく。
農民の集団処刑は衝撃を与えたものの、逆に、反乱軍の士気を高める結果となり、新教側はプログレスタント同盟(通称ウニオン)を結成した。それに対抗して旧教側もノルニック連盟(通称リーガ)を結成する。
戦争は泥沼状態になってゆく。
なお、ヘルマン(
tj8139)の働きかけで、ハイランド騎士団はリーガ側につくことを決定したが、敬虔な女神教聖職者やハイランド騎士の中には、この戦争に胸を痛めている者も多い。
◆ウーディア この地でもオートマタは暗躍している。
「内政干渉は出来ないが!」
カオス絡みならOKだ! イデアール(
td9857)は空中からソニックブームを飛ばす。これなら霊魂共鳴は食らわない。
「俺の故郷をめちゃくちゃにされてたまるか!」
リック(
tz0078)奮闘、竜と化したゼフィルス(
tk5811)は敵を噛み砕き、大破した機体から逃げ去ろうとするコアをチェロ(
ta2036)がピュリファイで葬り去る。リベラ(
tk7277)は自爆攻撃を仕掛けてくるオートマタをプリズマティクフィールドで隔離して対処する。そんなふうに戦う彼ら彼女らを、モーリッツ(
ta9247)のハウリングマインが支える。
エリシオン(
tf2825)が国王派に対オートマタ戦のノウハウをアドバイスしたことも一助となって、国王派は持ちこたえた。
シャムロック(
ta5458)が関心を寄せていた母后だが、「大きな謀反の原因なのだから処刑すべき」との意見が強くなり、王は悩みながらも死刑した。子が実の母を殺すという暗い時代を象徴する出来事だ。
内偵していたマナ(
tk5914)の情報によれば、旗印を失った母后派は、ウニオンに合流して戦争を続行する方針のようだ。
戦乱の火は燃え続けることになる。
アーシェ(
tj5365)の「戦闘で生じた死体を新教が利用するのではないか?」との懸念は晴れた。ナヴィ(
tj5711)が調べた限り、新教は「生きている」信者の中からオートマタになる者を選ぶらしい。損壊した死体より生きているコモンをベースにした方が都合が良いのだろうか?
なお、この戦乱の最中、
「なぜ人は服を着るのか。服は身分を表すが、裸になればみな平等である! 脱衣せよ! 脱衣せよ!! 穏やかな温もりに身を任せてはいけない!」
フンドラ教なる新宗教を立ち上げた者(
tb0129)がいたが、全く意味不明である。
◆オーディア まずは知ることから。
「ビラ配りしたり布教してるって事は街に新教の手先がいるって事だよね?」
シズネ(
tk1515)は新教の信者を尾行して拠点を掴む。但し、内部に潜入し始めたところで、目敏い者に見咎められた。
(私に気づくなんて‥‥普通じゃない!)
「民衆の間に広まっている新教って、どんなものなんだろうNE」
新教について人々がどう思っているのか、アシル(
tb5534)、エルマ(
ta6051)、ライトニング(
ta1827)、アリスフィア(
ti8412)が聞き込みをしたところ、新教は特に貧民の支持を集めているようだ。
重税で民衆の生活は苦しい。海洋貿易、軍備拡大など華々しいオーディアだが、成長のシワ寄せは弱い者に圧しかかっている。
そんな弱者の声に新教は耳を傾け、慈善活動をし、熱心な信者には「新生の秘蹟」を授け、飢えることも病むこともない体にしてくれる。そんなわけで、経済的に困窮した者や医者に見離された病人は、最後の希望としてすがっている。
新教ではオートマタは「祝福された者」だと知り、ロサ(
tk6634)は複雑な気持ちになる。ラグラージェ(
tz0080)は、ブロンケンシュタイン博士の居場所を探ったが、末端の拠点では掴めなかった。
「オーディアは今後どうするか‥‥難しいのう」
皆からの情報をまとめていたサクヤ(
tf5262)は思わず、溜め息。
下手に弾圧すればアルピニオ反乱軍のように団結を強めて抵抗が激しくなる。かと言って、放置していれば勢力を増すばかり。
セツナ(
ta7726)、サラ(
tk7194)、ベラニーチェ(
tk6730)などは、エリザベス女王に新教討伐を進言したが、女王は慎重で、首を縦に振らなかった。
そんな中、エドガー(
ta4959)が「議場での戦い」を勧めた。すなわち、貴族院における根回し。女王が対オートマタ戦争に舵を切る前に、新教容認派を切り崩し、味方を増やしておく。これはエリザベスの意を得たようで、採用された。
ドラグナーからの報告やアドバイスを受け、エリザベス女王は対策を打った。
貧民増加による社会不安を抑制するための法律「救貧法」。貧民を公的に扶助することで、新教のアピールポイントを奪うことができる。弾圧せず、戦わずに、新教の勢力を抑えるのだ。
さっそく救貧法は議会にかけられ、公布される。
もう一つのアピールポイント「新生の秘蹟」(オートマタ化)だが、これは女神教に働きかけて反対論説をしてもらう。イズルード(
tf8752)のような聖職者が打ってつけだろう。
こうしてオーディア連合王国は国内の鎮静化を図りつつ、女王の命により、スケイルラント騎士とスカイファング族は密かに動員され、ウニオンとの戦いに備えた。
◆カスティラ ゼスアレオ王国の沿岸都市で発生した疫病は、歴史的事件としてユーロの民に語り継がれ今も恐れられている「あの病」に酷似していた。
「これは‥‥黒化病だね…‥」
医学書を携えたシエル(
tb6111)が声のトーンを落とす。
患者は皮膚が黒くなり狂乱状態になる。発熱・嘔吐・出血・衰弱して最期は死ぬ。人から人へ感染する。どんな薬草も薬品も効き目はない。最凶最悪の流行病。こんなタイミングで発生するとは―ー
「大丈夫だ、この世に絶対などない、治せぬ病も癒せぬ呪いもないのだ」
クレティアン(
tj5834)の言葉はまるで自分に言い聞かせるかのよう。しかし、英霊の知恵をもってしても治療法はわからないときている。患者を隔離して蔓延を防ぐしか手段はない。
検疫封鎖内で情報を収集するジュリエット(
tk6336)だが、奇病の原因はわからない。ゼスアレオは海洋貿易立国であり人も動物も物品もあちこちから入って来る。原因が何であれ実証のしようがない。
そして、シャラ(
tk7217)が警戒していたとおり、巨人が来た。
「やっぱり巨人は巨大オートマタだったにゃ! このリズ様がやっつけてやるにゃ!」
リーゼロッテ(
tg1669)は効果上昇ガイアを撃ちまくり!
ガイア! ガイア! ガイア! ガイア! ガイア! ガイア! ガイア! ガイア!
普通のモンスターであれば間違いなく木っ端微塵、跡形もなく吹き飛ぶ威力のはず‥‥だが。
「うそ〜〜! どうなってんのにゃ〜〜!?」
巨人はほとんど無傷。
「素体が何かは知らない。けど倒すことでこれ以上の犠牲を減らせるって信じてるさ!」
続けて、ヴィクラム(
tk6712)が竜となって攻撃! 月のブレスは全く効かなかったものの、渾身の突撃で敵を傷つけることができた! しかし、反撃の怪光線を食らって大怪我をする! 竜の生命力で一撃死は逃れたが、もう一度食らうと危ない! ヴィクラムは闇のブレスを展開して撤退した。
「攻め入らせはしないわ!」
ナイトポーン(
ti8440)が巨大オートマタに肉薄してコアを狙おうとするが、近寄ったところで体調に異変をきたし、よじ登ることも、スマッシュを決めることもままならない。
「‥‥効いていないですね」
杖から何度メギドを放とうが、巨大オートマタはまるで傷ついた様に見えない。もはや、最後の手段か。
意を決してリャマ(
td7895)はエドラダワーの詠唱を開始したが、
(他にも敵がいた‥‥!?)
背後からの一撃で、彼の意識は暗い闇に落ちていった。
結論から言えば、黒化病で混乱状態にあるゼスアレオ王国に巨大オートマタを止める力はなく、ドラグナー達も蹴散らされ、とうとう巨大オートマタは王宮まで到達した。
巨大オートマタに随伴していた仮面の怪集団は、ゼスアレオ国王に「新教の容認」を要求した。また、その見返りに「黒化病患者を引き取って治療する」と。
どんな無茶な要求をされるのかと戦々恐々だった王は、それなら良いだろうと、新教を容認した。
◆グレコニア「怪しい人とか、カオスアイテムはない‥‥?」
「病気を蔓延させてる奴はどこなんだ?」
原因を探るコダマ(
tk0947)とラウノ(
tk6396)。しかし、もはや奇病は患者から患者へ感染し爆発的に広まっている状態だ。
ユビキタス(
tf5247)は医療団の編成を現地の為政者に提言するが、「既にそうしている」とのこと。ただ、医者は少なく、魔法が使える者はさらに希少で、絶望的だ。ティティ(
td5352)は貴重な医者の一人として治療にあたっているが初級のサンジュエルでは効果がなく、狂乱しないように患者の体を拘束し、栄養のある物を食べさせて体力消耗を抑えて自然治癒に賭けるしかない。罹患者は一人や二人ではなく大勢いるわけで、正直、街の外に追い出すなど強制隔離するしかない。
グレコニアの諸都市は殻を閉じた貝のように引きこもり、野には黒い肌の者が徘徊する。城壁をもたぬ村落の住人は疫病と罹患者から逃れるために難民となって北へ向かった。
◆サンドラ「ええぃ!頭を冷やすがよいわ!」
シネラリア(
tj2817)の猛吹雪で凍り付いた人狼を、ダーヴィト(
te5488)がソードボンバーで蹴散らし、ゾーク(
ti5670)の雷を帯びた剣が切り裂く。
「闇に堕ちたならもう救う必要はないだろう? いや、むしろ死こそ救いだ!」
ウォーグは元コモンなのだが、そんなの関係ないとジン(
tj6129)が片っ端から斬り捨てる。
「同胞になっちまった奴らを相手しようかね」
そんなことを言いながら、雌の人狼レイシス(
tk3037)は爪や蹴りを叩き込んだ。
ドラグナー達はウォーグを討ちまくった。そして、同地に派遣されたシーリー部隊が発見したカオススポットに儀式を施して塞いだ。
ひとまず安心?
◆スラヴォ ライラ(
tj5364)のライトに照らされて、闇の中に浮かび上がるアンデッドの多いこと多いこと。
「スラヴォ‥‥死者が多いとは聞いていたが、これほどまでとは」
クマリ(
tz0085)はさっそく味方に魔法を付与して回る。
「そういう土地なのさ。まぁ、慣れたもんだけどねぇ。さて、寝かしつけるとしようかね」
子供でも寝かしつけるような気楽さで、ベドジシュカ(
tk5208)が剣を構える。
「闇を祓うのも騎士の役目さ、それが仕事だったしね!」
「出来る事を一つ一つ、ですね」
アマテラスとレジストマジックで防備を固めたソディア(
tj3138)が剣撃を周囲に爆発させれば、巻き込まれた亡者どもの骨やら腐肉やらが飛び散る。また、赤い輝きを帯びたカナタ(
tb6087)の手甲が敵を浄化する。
「主様に拾われる前はここでこうやってたのが懐かしいわ」
郷愁に浸りながら、キャサリン(
tk5804)は腕と一体化した魔槍を振るう。
リヤ(
tk6685)の連れているユニコーンはアンデッド相手にやる気を見せ、パシフローラ(
ta6651)もエンダールとして強みを発揮して攻撃と治療、市民の避難まで手を尽くす。
このように、ドラグナーはネクロポリスから湧き出たアンデッドの群れを討った。
ロージア(
tj1921)の進言もあり、ミハイル帝は新教に頼らずにアンデッドに対処することを決意した。
その一方で、スラヴォ西方の忌地に回ったドラグナーは少なかった。ポーレット(
tj5975)の偵察によれば、見ただけで人を恐慌状態に陥らせる強力な魔物も出没しているとのこと。
領土を魔物に荒らされ窮地に立たされたドミトリー帝は、オートマタ兵が味方になるという条件と引き換えに、新教を容認した。
◆天竜宮 アルターホライズンなる謎の組織の使者。その突然の来訪に、スカイドラグーン中が緊張に包まれる。
いつになく真剣な表情でショコラ(
tb7879)が見守る中、グロテスクな小型カオスシップから一人の男が降り立った。背丈は人間と同じ位か。
にやけた中年男性のようなデザインの仮面で顔を覆っているが、仕草には洗練されたものを感じる。相手組織の規模が如何ほどかはわからないが、礼節を弁えた使者を立てるくらいの人的資源はあるのだろう、とオニキス(
tb6518)は分析する。
この男もオートマタなのだろうか?
リュード(
tk7218)は使者の一挙動一挙動を注意深く見守る。もし、サンドラのオアシスを襲った奴らと同類ならば、絶対に警戒を怠ってはならない。
遠巻きにしつつ、使者を大神殿まで送るドラグナー。なお、シャインアイ(
tj3923)も姿を隠して追っている。
メル(
tz0001)と何人かのシーリー、ドラグナーが集まる中、使者は到着した。
「ようこそ、と言ってよいものかどうか。まあ、話を聞いてやるのじゃ」
と、メル。
「どういう目的でここに来たのかを話して欲しいですね」
「何を望んで来られたのです?」
シャオ(
tk7065)とフィリーネ(
tj9100)が質問する。また、ハルト(
ti5477)は、
「君は何者かね?」
と。
すると、使者は恭しくメルに一礼して話し始めた。
「我らは、アルターホライズン。私は使者のネモも申します」
会見で交わされた言葉を全て覚えておこうと、レズリー(
tk0952)は聞くことに集中し、ファム(
td1602)はカンバスに絵筆を走らせている。
「アルターホライズンとは何か? 終わりを迎えた後の世界で人々が生きられるよう、人々を導く組織です」
「導く‥‥? まさか、新教とか言わないですよね?」
シャオが表情を険しくする。事と次第によっては無事では帰さない、とでも言いたげだ。
ところが、
「ご明察。プログレスタント教会は、我らアルターホライズンと根は同じです」
使者はあっさりと認めた。それどころか、こうも断言する。
「我らの目的は、率直かつ具体的に申せば、コモンクルスの皆様にオートマタになって頂くことです」
「へぇ‥‥面白いね」
と、ルパート(
tb5966)。
「頼めば僕もオートマタの体にしてくれるのかな? でも、オートマタになっても君達の命令に従わないといけないならお断りだけど」
「物事には順序というものがございます。現在、『再生の秘蹟』は熱心に求める同志の方が優先でして、我らの志に賛同できない方へ徒に施すことは致しません」
遠回しに、命令に従わない者には施さないというわけだ。
「なるほどね。ところで、カルラは元気にしているかい?」
「カルラ‥‥ああ、使徒バード様ですね。はい、ご健在です。ええと話が逸れましたが、我らの教主様からの御言葉をお伝えします」
使者は、アルターホライズンの教主から託されたメッセージをメルに告げた。
・コモンヘイムは壊れかかっています。貴女もそれを知っているはず。なのに、なぜ私の邪魔をするのです? 私はコモンクルスを救おうとしているのに。
・貴女は矛盾している。オートマタを使ってオートマタを討たせている。オートマタが味方たり得ることを知っているのに。これは重大な矛盾であり欺瞞です。
・私の要求を述べましょう。邪魔をするな。我々を容認しなさい。
これを聞いたメルは次のように答えた。
「容認できぬな。コモンを人体改造するなど。とんでもない冒涜じゃ。生命は貴きもの。おぬしの玩具ではない。玩んだり弄りまわしてよいものではないのじゃ! 今に手痛いしっぺ返しを食らうぞよ。オートマタを配下に加えた件じゃが、わらわは、コモンを害さぬ者を討つつもりはない。それに、わらわに協力する者を、わらわは拒まぬ。コモンであるかそうでないかは大して問題ではない。そして、コモンヘイムの危機は前から知っておる。じゃから、わらわはその解決法をずーっと探ってきた。シーリーヘイムと交信するか直接乗り込み、女神に嘆願するつもりじゃ」
アルターホライズンとの話し合いは、物別れに終わった。
ちなみに、ハルトが、使者が自らの意志で話し考えているのかを探るような問いを投げかけたが、意味深にはぐらかされた。
また、会見後もリン(
tf7157)さんが使者ネモを遊び(意味深)に誘ったが、断られたことを一応、記しておく。
◆パルージャ ドラグナーはパルージャ軍と轡を並べて戦う。
目標は、反乱軍オートマタ部隊。どこに配置されているかは、ラプトゥーン(
tc6518)の事前偵察によりわかっている。これなら、コモンの兵を巻き込んで殺してしまう恐れはない。
霊魂共鳴の不利は、レイラ(
ti4498)とラペーシュ(
tf6311)のハウリングマインで打ち消す。
「これで条件は同じ、なればそう負けはしません」
「対カオスはドラグナー隊に任せよ!」
犬竜の姿をした剣鬼、キョウ(
ta0035)が獅子奮迅の働きを見せる。
「新人類だなんてイキってんじゃないわよ、この木偶が!」
ルクスリア(
tj1016)のドラグウッドが敵オートマタを爆散させ、
「こんな反乱の先に自由はあらへんよ!」
アルフェリア(
tk6928)がヒートサーベルで敵を袈裟に斬る。
「オートマタは魔的を持つか、試すには良い機会!」
エターナ(
tc7434)の実験は、オートマタが魔的な体をもつことを証明した。竜となって暴れたハラ(
tk7252)も、魔的攻撃手段をもたないと敵にダメージを与えられないことを悟った。
「パルージャ帝国軍はぁ! 世界最強ォォ!」
元帝国軍人の意地を見よと、フリード(
tk6828)は剣と盾を腕と融合させて戦う。刀と腕を融合させたアイン(
tk6291)もまた、オートマタ。
戦闘人形同士が激突し、激しい戦闘を展開する。
とそこに、
「アハハ! イケイケー!」
チャリオットと融合したドローレ(
tk6826)が突っ込み、敵を蹂躙してゆく。
パルージャの人狼部隊は練度が高く、個々の技量も優れている上、見事な連携で敵を屠る。まさに獲物を狩る狼の群れだ。
「紛いモノにゃ負けられんな」
負けじと、グレイ(
tk2122)は奮い立ち、オートマタを倒してゆく。
魔法兵団、人狼部隊、さらにドラグナーの猛攻撃を受けて反乱軍は完全に瓦解。アルマ(
tf9220)が内情を詳しく探る間もないほど、速やかに鎮圧された。
なお、ジルヴァ(
tj8140)は、いつかあった獣耳娘の姿を探したが、いなかった。
◆リムランド(あら、あら、まぁ‥‥うふふ。リムランドでは特に何も起こっていないところを見ると、新教とは別に崩す算段があるか、または囲われているのでは‥‥と勘繰りますね)
(何もないに越した事ありませんが、逆に心配です)
カレス(
tk5628)やシルヴィ(
tk2028)をはじめ、ドラグナー達の勘は当たった。悪い方向で。
「人サイズの反応が複数‥‥アンデッドとは思えない。ゴーレム‥‥やはり、オートマタか」
範囲を拡大したディテクトアンデッドで、リベルト(
ta6844)はスヴェリン王国の王宮内を探ったところ、まさしくビンゴ。
「まさか、堂々とオートマタを使っているなんて‥‥」
しかも、グスタフ王はオートマタに命を狙われたことがあるのに! あまりの豪胆さに、キュリロス(
tz0039)は驚くやら呆れるやら。
「スヴェリンは何をしようとしてるのかな」
ナナミ(
tk6847)、マーリオン(
tg0478)、マティアス(
tk5396)が、街で情報収集したり潜入したりしたところ、わかってきた。
グスタフ王はとんだ食わせ者だった。表向きは中立を保ちつつ、秘密裏に新教を容認している。
ウニオンとリーガの戦いを様子見つつ、漁夫の利を狙うつもりだ!
ウニオンが優勢になれば、新教を公然と容認し、弱体化したリーガ陣営国家を侵略して併呑する。
リーガが優勢になれば、両者の和解に動き、ウニオンに恩を売りつつ、リーガに対しても「平和の立役者」として一定の発言力を得る。
どちらに転んでも、自国の戦力を温存しつつ、美味しいところを得られる。
一番怖いのは、闇の者でも、カオスでもなく、策略に長けたコモンかもしれない。
ともあれ、ユーロ情勢は一気に血生臭く、時代は暗くなってゆく――