そこで楽しそうにしている子供達の殆どはあの事件の詳細をメディアによる情報でしか知らない。何しろ彼らにとっては5歳から8歳の頃に起きた戦だ。苦労した覚えはあれど、あの戦で尽力した人々のことまではわかるはずもない。
だからゆみりは日本史を教える。あの時代の記録が教科書に存在しなくとも平和と危機管理の大切さ、そして勇敢に戦った人々の想いを伝えるために。彼女は今日も過去の記録を読み解いては学び、歴史を子供達に教え続ける。
「……できれば寛永に戻った仲間にも見せてやりたかったね。この街を復興するため皆で精一杯頑張った、今日もしっかり生きてるよってさ」
昼休みの終わりまで残り10分。職員室に戻る途中でゆみりは再び街を眺める。そこには見渡す限りの華やかな街が広がっていた。
◆時は寛永
鬼神豊臣秀吉が去ってから10年、寛永には穏やかな時が流れていた。
鬼が消え、邪悪な化身もその多くが姿を消した。とはいえ妖怪など一般的な化身は存在したままで、時折人間に悪戯を仕掛ける者もいる。もちろん盗賊など人間の犯罪者も存在するわけで。
そんな中で活躍するのが来世人ギルド。彼らは来世に行った者と異なり、加齢こそするが法力を保っている。もっとも現在は化身退治や人助けよりも「互助会」としての色合いが強い組織となっているが。しかし幕府からの待遇も変わりなく、一生涯の俸禄も約束されているので、ギルドに登録されている者はそれぞれの人生を歩んでいる。
商売を始める者、平穏な家庭を築く者、人助けに精を出す者。中には遊んで暮らす者もいるとの噂があるのはご愛敬か。
そんな中、ある来世人は賑わう街道を旅する中で友人にこう呟いた。
「こうして人間だけでも平穏無事に旅を楽しめるのはあの戦を乗り越えたからだよな。来世に帰った奴等にももう一度、この風景を見せてやりたかったよ」と。
選択肢
a.来世のあなた | b.寛永のあなた |
c.想いよ、届け | z.その他・未選択 |
マスターより
こんにちは、三毛野です。
今回は私にとって戦来最後のシナリオとなります。
今まで皆様の愛あふれるプレイングのおかげで楽しく物語を書かせていただきました。
本当に、本当にありがとうございました。
さて、今回のシナリオですが「来世(現代)」と「寛永」の両時代の10年後を描く物語となります。
ですので選択肢により描くパートが異なりますのでご了承ください。
「a.来世のあなた」は来世での人生を選んだ方のみ。
来世人にとってはなじみ深い生活ですが、進学や就職や結婚や子育てなど多くの岐路があったことでしょう。
あなたの切り拓いた未来を教えてください。
「b.寛永のあなた」は寛永での人生を選んだ方のみ。
来世への未練を捨て寛永での前向きな人生を選んだ方も
きっと幸福に逞しく生きているのではないでしょうか。その様子をお聞かせください。
「c.想いよ、届け」は別の時代で生きることを選んだご友人やご家族へ想いを馳せる選択肢となります。
大切な人に言いたかった事を日常の中で振り返りましょう。(どちらの時代にいるかも要・明記)
※後日談シナリオ
本シナリオは最終決戦後の現代、ないしは寛永、あるいはその両方を描くものです。