それぞれの明日へ

担当 午睡丸
出発2019/02/18
タイプ イベント C(Lv無制限) 日常
結果 大成功
MVP 潤賀清十郎(ka00609)
準MVP 森住 ブナ(ka00364)
由良 悠頼(ka00943)





オープニング

◆導師改め
 時は寛永二十年、一月。

「ただいまー! なのじゃー!」
 江戸、日本橋の来世人ギルドに元気な声がこだました。
 声の主はかつての自称『導師』、十人(とっと)。

登場キャラ

リプレイ

◆怪しい冒険隊
 平成三十一年、春。

「よーし! 念願のキプロスに来たぞー!!」
 眼前に広がる美しい自然に向けてミア・カイザーが叫んだ。
 東地中海、キプロス島。
 古くから地中海貿易の中継地として栄えるこの島に、いま、ミアをはじめとする数名の姿があった。
「……本当に綺麗なところですね、ミア叔母さん」
 傍らではアステ・カイザーが目を細める。
 彼女たちが居るのは島の中部に連なるトロードス山脈近くにのとある池である。観光地としても名高いこの島では風光明媚な光景に事欠かない。
「パパとママ、それにお祖母ちゃんにも会えて……私、本当に……。叔母さん、それにみなさん、連れてきてくださってありがとうございます」
「おいおいアステ、礼なんてナシだぜー。僕も姉さん夫婦やパパとママに久方ぶりに会えたしね☆」
「そうね、私も久しぶりで嬉しかったし。こんな機会でもなければゆっくり会えないもの」
 クリスタル・カイザーも頭を下げる姪に微笑みかけた。
 一行ははまずイタリアに住むミアとクリスタルの姉夫婦……つまりアステの両親を訪れた。
 そこで暫くのあいだ家族との再会を楽しんだ後、次はこの島に住むカイザー姉妹の両親の元へとやって来たのである。
 キプロスは現在においても複数の国家が統治する複雑な状況にあるが、幸いにして島内の容易であった。

 さて、ではなぜ一行がこの池に来ているのかというと……。
「ふふふふ……ついに来たのですよ、キプロス!」
 それは満面の笑みで釣り道具を準備している藤枝 杏花の姿から一目瞭然である。
「杏花さん、嬉しそうですわね」
 ミネルバ・マガミがその活き活きとした姿に尊敬の視線を向ける。
 彼女もまたミアが率いるこの一行、通称『怪しい冒険隊』に同行していたのだった。
「それにしても……どうしてこの島で釣りがしたかったのですか?」
「いまから9年くらい前ですが……この島で『絶滅危惧種の水ヘビを守るために魚釣りが奨励された』というニュースを見て、ずっと来てみたかったのです」
 杏花によれば違法に放流されたとオオクチバスが増え過ぎて水ヘビの餌となるカエルなどを食い荒らしてしまう為、当局が釣り人に協力を仰ぐようになったのだという。
「とはいえ、まさかアステさんたちに縁のある国とは思いませんでしたが」
「え? 9年くらい前というと、えーと……10歳くらいのときにですか!?」
「さすがアンカちゃんですね」
 ミネルバとアステが杏花の年齢を指を折って数える。こんなとき来世人の当時年齢は分かり難いことこのうえない。
 杏花はえっへんと胸を張った。
「釣り師の魂百までなのです。それはそうと、アステさんはご両親と一緒にいなくてよかったのですか?」
 アステはこの後も一行と共に世界を巡るという。数年ぶりになる両親との再開のあと、まして彼女の性格からすれば意外ともいえる選択だった。
「はい。もちろん平和は良いことですが……退屈な日常よりは、みんなで世界を巡る冒険に出たくなったのです」
 長い寛永での暮らしがそうさせるのか、あるいはカイザーの血のなせる業か……アステもまた冒険を求めているらしい。
「なるほどなのです。では、ミネルバさんも?」
 杏花に問われミネルバが頷く。
「ええ。主に食生活の面から寛永での暮らしはギブアップしましたけど……来世人として過ごした冒険の日々を忘れられなかったのですわ。そんなとき、ちょうどミアさんからキプロス行きのお話を伺ったので……」
「旅の仲間は多いほうが楽しいからねー。それになんと! マガミ家が旅費を提供してくれたおかげでこの冒険旅行が実現できたってワケだ☆」
「あら、それじゃスポンサーさまじゃない。みんなで感謝を捧げましょ」
 クリスタルに促されてミネルバを讃える一行。
「そんな……私からはなにも。それにこのキプロスはお義母さまの生まれ故郷。私の最初の旅に相応しいところですわ」
 全員からの感謝の念に恐縮するミネルバだったが、やがて島にそびえる山脈を指さしてこう宣言した。
「この島から魔法少女を改め……冒険家ミネルバに生まれ変わるのですわ!」

「さあ、勝負ですよ!!」
「ミネルバさん、アンカちゃん、私も魚釣りには自信があるので……負けませんよ?」
「望むところなのです。では……開始なのです」
 いよいよ三人による釣り勝負が始まった。
「みんながんばれー☆」
「ふふ……それにしても、この時代に帰ってきてもう結構経つわね……」
「だねー。早いもんだ」
 ミアとクリスタルは三人の様子を持ち込んだアウトドアチェアに腰掛けて眺める。
「いろいろあったけど……まさかミアたちと一緒に冒険家になるとは思わなかったわ」
「思ったより楽しいだろ? それとも前の仕事に復職したい、とか?」
 妹からの質問にクリスタルは首を振った。
「フリーの工作員に戻るのは難しいでしょうね。顔も売れ過ぎちゃったし……」
 当然だが、東京での災厄とその顛末は世界中の耳目を大きく集めることとなった。
 結果、個人差はあるがギルド員たちの素性は大きく知られ、クリスタルのように社会の裏に生きていた者には少なからず影響がでている。
「この顔も気に入っているから捨てる気も無いし、身の振り方としては良いかもね。ま、いろいろ問題のあるこのメンバーの良心として頑張るとしましょうか」
「なんだよそれー。でも、クリスが楽しいなら良かったよ☆ ……おっ、呼ばれてるなー?」
「私は荷物を見てるから、行ってあげなさい」
 三人の呼ぶ声に気付いてミアが手を振って応える。
「んじゃ頼むよ。よし、隊長の実力を見せてやるかー☆」
(ま、ミストから卒業したミアの事も気になるし……しばらくは付いていて上げましょうか)
 クリスタルは妹の傍らにいつもいた弟を探している自分に気付いた。
 別々の道を歩き始めた双子の妹弟(きょうだい)を静かに見守るのも悪くない。彼女はそんなことを考えながらチェアに身体を預ける。

「フィッシュ! これは大物なのです」
「さすがアンカさん……でもまだまだ負けられませんわ!」
「ミア叔母さーん! こっちですよー!」
 白熱する釣り勝負の声に、ミアは満足そうな笑顔でこう呟いたのだった。
「うん……平和だ☆」

◆身体駆け巡るビート!
「新グループ、事務所からオッケーでましたよー!」
「「「おおー!」」」
 都内某所のレッスン場、駆け込んできた土方 萌の第一声に沸き立つのは、お馴染みアイドルグループ『FreshGUMI!!』のメンバーである。
「それで萌ちゃん、名前はどうなるの!?」
「ふふふ……芽衣子さん、あわてないあわてない」
 沖田 芽衣子が急かすと、萌はもったいぶるように巻布のようなものを取り出した。まるで裁判所前で判決結果を知らせるアレのようだ。
「いきますよー……ハッ!」
 バッ! と広げられた布には、

 命名 『爆!SINGER』

 という文字が踊っていたのだった。

「僕たちその名前で再デビューできるんだね! よかった……」
 田中 カナタが安堵の表情を見せる。
 寛永で活動を続けていたとはいえ、『FreshGUMI!!』は現代では謎の失踪を遂げたアイドルという扱いだった。
 そのままでは芸能活動を再開するにあたって験(げん)が悪いということで、心機一転、新たなグループ名での再デビューとなったのである。
「せっかくセリザワさんが残していってくれた企画書ですからね。まあ、ちょっとばかり芸能界で討ち死にしそうな名前ですけど……」
「そ、そうね……でも例えるならバイクが合体してロボットになるような勢いがあるわよ!」
「セリザワさん、向こうでどうしてるかなー……よく社長に『この無頼がー!』って怒られたよね……」
 寛永に残った前マネージャーを思い出す三人だが、心機一転するのは彼女たちだけではない。
「皆の言葉の意味はよく分からんが……ともかく、これが私たちの芸名というわけだな」
 布を手に感慨深そうなのは藤枝 真沙花。彼女こそ『爆!SINGER』に加入した第四のメンバーであった。
 現代に残り正式に藤枝家の一員となった真沙花は『寛永から来たサムライ娘』という触れ込みでタレント活動を開始。カルチャーギャップに驚く純朴な姿がウケ、三人と共に芸能活動を続けるうちにグループに合流する運びとなったのである。
 このように、たった数ヶ月で活動内容が大きく変わるあたりに現代の芸能界の忙しなさが見て取れるが、それはさておき……。
 四人はこうして再デビューに向けてレッスン漬けの日々を送っているのだった。

「しかし、新メンバーを加えてまさかの再デビューとはね。燃える展開よねー」
「うむ。私もまさか自分が『あいどる』になろうとは思いもしなかった。世の中まさかと思うことが……ハッ! い、いまのはダジャレではないぞ!」
「……? うん」
 なぜか過剰な反応を見せる真沙花に戸惑う芽衣子。
「まぁダジャレはともかく、私もあの時代で経験を積んで、いまや歌に関しては誰にも負けない自信があるからねー。真沙花ちゃんに歌のレッスンをしつつ、これまで以上に頑張るとしましょうか!」
 その自身に溢れる言葉に違わず、寛永での数年のあいだに芽衣子の歌唱力は万人を超越するレベルにまで達していた。いまやメンバー随一といってもいいだろう。
「かたじけない、ご指導をよろしくお願いします。なにしろ、歌うというのがここまで難しいとは思わなかったからな……」
 手をつき、丁寧に頭を下げる真沙花。
 彼女はようやく現代的な歌唱法を身に着け始めたところだ。もちろんアイドルの魅力の全てが歌唱力で決まるわけではないが、グループ内であまり落差があるのも良し悪しである。
「大丈夫だよ! 『あの巨大秀吉を倒した来世人アイドル』という実績に加えて、真沙花さんが参加したことで勇ましさも加味されてるし、きっとアクション系バラエティーとかからもお声がかかります!」
「「「おおーー!!」」」
 カナタの発言で俄然やる気になる『爆!SINGER』の面々。
「そういうことなら力になれそうだな! しかし、あいどるが恋愛禁止というのは辛すぎるな……」
「「「おお……」」」
 真沙花の発言で一気に意気消沈する面々であった。

「……と、ともかく! 再デビューまで期間も少ないし、いまはレッスンに集中しましょう!」
「そ、そうですよ! 欲しがりません売れるまでは!」
 萌とカナタがカラ元気を全開にすると右手を差し出した。
「そうそう、アイドルは皆を笑顔にしてこそだからね。じゃあ、これが終わったら新メンバー参加と新グループ名決定を祝って宴会よ! 今日は飲むわよー!」
「うむ! あいどるに、私はなる!」
 芽衣子と真沙花も右手を添えて気持ちを一つに。
「さあ、みんな行くよ!!」
「「「うぉおおーーー!!!」」」

 来世人アイドルグループ『爆!SINGER』。
 彼女たちの『叫び』と『想い』がいずれ日本中を席巻する日がやってくる……かどうか、まだ誰も知らない。

◆スカウト大作戦
 関東のとある県、さらにとある中学校付近にて。
 校外へランニングに向かう陸上部の中に、不来坂はずむの姿があった。

「はずむ、久しぶりだな!」
「うわっ! ビックリした! ……って、アイナ先輩に、ミスト先輩!?」
 突然声をかけてきたのはアイナ・ルーラミスト・カイザーである。
「ど、どうしたんですかこんなトコに……あ、大丈夫っスよ。ほら、来世人の……ええ、だから通報はナシで」
 先輩らしき部員に説明するはずむ。中にはニュースなどで二人を見知っている者もおり、どうにか通報の危機は免れたのだった。
「いや、ミストと二人で長距離ランニングの最中だったのだがな、これが」
「たまたまこの辺りを通りかかって、そういえばはずむの学校が近いと思い出したんだ。それで、どうしてるかなってな」
「たまたまって……いつもどんだけ走り込んでるっスか……」
 どうやら二人はあり余る体力に物をいわせて関東じゅうを走り込んでいるらしかった。
 呆れるはずむだが、寛永で江戸近郊を走り回っていた彼女に人のことは言えないのであった。

 二人はそのまま陸上部員たちのランニングに並走する。
「いまはお二人とも大江戸プロレスに所属ですかー! ミスト先輩、仕事が決まってよかったっスね!」
「ありがとう。結婚を控えてまずは収入安定が第一だし、鍛えた力と技を振るうのにも適しているからな。自分でも悪くない選択だと思う」
 現代に戻り、ミストはすっかりかつての口調に戻っているようだった。姉のミアがいち早くスポンサーを見つけて冒険家稼業を再開したことに比べると、意外とリアリストである。
「まあ私がスカウトしたわけだがな、これが。いまは本格的な旗揚げに向けて社長が奮闘中で、我々はデビュー戦に備えてトレーニングの真っ最中というわけだ」
「ふむふむ……みなさん頑張ってるんですね!」
 ランニングしつつの説明に感心するはずむ。
「はずむこそ、学校はどうなんだ?」
「あたしですか? もちろん、楽しいっスよ!」
 ミストの問いに即答する。ほとんど通えなかった事もあり二度目の中学一年生を選択した彼女だが、周囲が実年齢で年下ばかりという状況は気にしていないらしい。
「寛永での暮らしを考えたらなーんてことないっスよ! 時々お姉さんぶれますしね! ……え? 『全然年上感がない』って? ちょ、酷いっスよー!」
 部員たちの声に笑って反論するはずむ。
 どうやら、恐るべき順応力は健在のようだ。

「元気そうで安心したが……今日は様子を見るだけが目的ではないのだな、これが」
「じゃあなにを……へっ?」
 アイナがはずむの肩をガシッと掴んだ。
「『いまの内にスカウトしておくのも良いかもしれん』とアイナが言い出してな」
「いやいや……あたしまだ中学生っスよ!?」
「もちろん、はずむが高校を卒業してからの話なのだな、これが。だが、なんなら中学卒業と同時に入門しても構わないぞ?」
「そ、そこまで言ってくれるのは嬉しいっスね……けど」
「けど……? あっ!」
 はずむは一瞬身体を沈めてアイナの手から逃れると、そのまま加速していく。
「そんな先のこと、まだ決められないっスよー!」
「逃げられたな。だから急ぎすぎだと……」
「面白い……レスラーの持続力を思い知らせてやるのだな、これが!」
「おっ、おい!」
 ミストを置いてけぼりにしてはずむを追いかけていくアイナ。すでに目的が変わっているようである。
「やれやれ……ま、いいトレーニングにはなってるみたいだな」
 ぷひー、と息を吐き出すと、ミストは二人を追って駆け出したのだった。

◆家族との夏
 平成三十一年、夏。

「うーん……よし! 今日も良い天気だな」
 由良 悠頼は伸びをして雲ひとつない青空を見上げた。
「こらこら……そんなにはしゃぐなって」
 もつれる程の勢いで動き回るリードの先にいるのは豆柴の『れい』に柴犬の『ユオ』。悠頼が寛永からこの現代に連れ帰った家族である。
「でも、こんなに良い天気だもんなぁ……はしゃぎたくなる気持ちも解るよな!」
 そう声を弾ませるのは双子の弟の紫苑。そしてその足元で大騒ぎする豆柴の『かさね』と、もう一匹の『ユオ』だ。
「ははっ、そういう紫苑もな」
 そんな弟たちの様子に悠頼の頬が思わず緩む。
「……え、俺もはしゃいでる? そう?」
 紫苑がしゃがみこんで柴犬たちに尋ねると、答える代わりに次々と胸元に飛び込んできたのだった。

 現代に戻った兄弟は両親の希望もあって再び高校二年生としての生活を送っていた。
 いまは夏休みを利用して祖父の住む田舎へと帰省中。これは日課である朝の散歩の光景である。
「そういや紫苑。結局、試験はどうだったんだ?」
「試験……?」
 悠頼からの問いかけに、紫苑の感情が消えた。
「シケン……ナニソレ、オイシ……イ?」
「おいおい、頑張らないとまたまた高校二年になっちゃうぞ」
 心配するような、そして呆れるような表情の悠頼。紫苑はそれを見ると無表情から一転してへらりと笑った。
「ってのは冗談! 特に問題なかったぜー」
「お? それは感心感心」
 悠頼が紫苑の頭を撫でて褒めると、柴犬たちも次々に頭を差し出して撫でを要求してくる。
「楽しく遊ぶ為にも適度に勉強はしとかねぇとままならねぇしな。数年の差もあるし……どう? 俺、ちょっとは大人になったろ?」
「なったなった。……うん、そうだな。俺たちにとってはあの時から再開だけど、周りにとっては違うしな……」
 ドヤ顔の紫苑だが悠頼は少し神妙になる。良くも悪くも、来世人に向けられる視線というものを感じていたからだ。
「だから、紫苑が一緒なのは頼もしいよ」
「だろ?」
 へらりと笑う紫苑だが、そこで何か思いついたような表情になる。
「……でも、そっか。俺、悠頼と一緒だからいろいろ苦じゃねぇのかも……あ、もちろんみんなもな!」
 紫苑はそう笑うと柴犬たちの頭を順番に撫でていったのだった。

「そだ、今夜は花火しようぜ?」
 散歩も終わろうかという頃、紫苑がそんな提案をする。
「やっぱりな。荷物に妙に大きいのがあると思ったよ」
「お見通しか。だって田舎(こっち)じゃ売ってないかも、とか思ってさ……いいだろ?」
「もちろん。花火か……海の山王祭を思い出すな。あの時はじいちゃん家から見た花火を懐かしがってたのにな」
「ああ。いまはなんだか……あの頃が無性に懐かしいよ」

 二人は夜空に咲いた大輪の花を思い浮かべる。

「ははっ、それじゃ夜までにいろいろ終わらせておかないとな。いくぞ、ユオ、れい」
「んっ! その為にも帰ったら先ず飯だな! 帰るぞ、かさね! ユオ!」
 寛永と、現代と。
 そのどちらにも自分たちの生きた証があり、だからこそ今が在る。
 心地良い朝の風のなかでそう実感しながら、悠頼と紫苑は駆けていくのだった。

◆海とムタンガ
 夏の暑い日、とある海水浴場に人だかりが出来ていた。

「もー、オネーさんたちもそんなにヒマじゃないんだからネ!」
 その中心でビールを片手に寝そべっているのは久保 零。言葉とは裏腹に満更でもない様子である。
「もう……零さんがはっちゃけ過ぎるからこんな事になるんですよ……って、え? 私も変わらないですか? そんなぁ……」
 零をたしなめる伊東 命だが、周囲からの指摘に思わず目を白黒させた。
 それもそのはず、二人が揃って身につけているのは身体をほとんど隠してないV字型水着、いわゆるムタンガである。
 どうやら長い寛永生活の末に、二人には『水着=ムタンガ』という新概念が根付いてしまったようだ。

 最終決戦後の復興の日々をガレキ撤去や炊き出しといった活動で支えてきた二人。
 ちょうど季節も夏ということで、たまの息抜きにビーチバカンスにやってきたはずがいつの間にか囲まれていたというわけである。
「あ、もしかしてあのテレビ番組を観ちゃったのかナ? それでオネーさんの魅力に『やられちゃった』んだネ!」
 零のいうテレビ番組とは、かつて来世人ギルド員のアピールの為に制作されたものであった。
 どちらかといえば零は番組内で『やらかしかけちゃった』方なのだが、それはさておき。
 ただでさえ顔の知れてしまった来世人、しかも美女二人がこんな姿で寝転んでいるとなれば人だかりもやむ無しというものだろう。
「いやー、モテる女はつらいネ!」
「……でも零さん、なんだかナンパというより『来世人ギルドの裏話』みたいなのを聞かせて欲しいみたいですよ?」
 命が話した限り、皆の興味はギルドや寛永の話にあるらしい。
 ムタンガ関係なかった。
「えー、それってちょっとヒドイんじゃない? ……ま、これも有名税ってことかナ! しょうがない、ちょっとだけだヨ!」
 零はケラケラと笑うと周囲に語り始めた。

「……で、オネーさんは押し寄せる秀吉の分身の群れに斬り込んだってワケ!」
 トークショー会場となったビーチで身振り手振りを交えて熱演する零。何が、とはいわないが『たゆんたゆん』である。
「え? ビールを頂けるんですか? ありがとうございます……」
 感謝の現れなのか命のもとに次々とビールが差し入れられる。
「申し訳なくなってきましたね……。こうなれば私もここだけの話を……」
「でネ! この命ちゃんもこう見えてスゴイんだよネ!」
「……へっ?」
 唐突にトークショーの話題が命になった。嫌な予感がする。
「普段は虫も殺さないような顔をしているけどネ、いざ戦いになると人が変わったように……」
「え、ちょっと、零さん? 私が狂人に思われるような話は……」
 周囲の視線がいっせいに命に向いた。
「ムタンガ姿で狐面を被ったが最後、敵を根絶やしにするまで執拗に……」
「あー! あー! 違いまーす! 私はそんなバーサーカーじゃありませーん!」
 大慌てで否定する命だが、こんな時は慌てた方が負けなのである。
「……ま、こうやってお気楽に過ごせる毎日を勝ち取れたのも皆のお蔭だしネ! 乾杯!」
 零はそう笑うと、ビールの缶をを太陽に掲げたのだった。

◆笑顔のために
「「昇天師匠、ご無沙汰しております」」
「おぉ、お前さんたちか。よく来たよく来た……さ、遠慮しねえで入(へ)ェんな」
 楽屋を訪れた茂呂亜亭 萌瑠希有亭 波新の二人を、破顔した活楽亭昇天(かつらくていしょうてん)が迎え入れた。
 この日、被害をまぬがれた東京のとあるホールにて演芸の催し物が行われていた。昇天の活楽亭一門が音頭を取っての復興応援落語会である。

 題して『平成来世人噺』。

「いやぁ、東京でのお仕事は久しぶりで……そういえば師匠とお会いするのもお久しぶりですねぇ」
「そうだな。あれから、なんだか目が回るような忙しさだよ……」
 弟子の淹れた茶を萌瑠に勧めつつ、昇天はこの半年を振り返るように遠い目をした。
「……お疲れさまでした」
 波新が言葉少なく気遣う。昇天の仕草からは身内縁者にどれほどの被害があったのかを推し量れないが、そもそも数の大小の問題でもない。
「ありがとよ。……ま、せっかくの落語会だ、湿っぽい話はよそうぜ。それより忙しいとこ無理言ってすまなかったな。稽古の時間も十分じゃなかったろうに」
「いえいえ、お話をいただく前から準備はしていましたので」
「浅草寺でぶち上げた手前、出ないわけはいきませんしねぇ」
「お、いつぞや言ってた『寛永創作落語』ってやつかい? こりゃ楽しみだな」
 準備万端と言わんばかりの二人に昇天は笑う。どうやら要らぬ心配だったようだ。
「こちらに帰って、またじっくりと稽古をするうちに思ったのですが……落語の種子を寛永の世に残したと思っていましたが、じつは私の方が寛永の人々から多くを学んでいたんですねぇ……」
 萌瑠は茶を啜りつつしみじみと言った。
「落語そのものを識らない人々の前で披露する苦労、楽しんで頂けたときの喜び……その全てが芸の肥やしとなっていたんですねぇ。師匠である母にも驚かれましたよ。『鬼と遊んでいただけじゃなさそうだね』……と」
「そうだな。苦労はあったが得られるものは大きかった……いや、そんな言葉じゃ言い表せねえな。もう一度、入門の頃からやり直させてもらえた……そんな気がするよ」
 三人は寛永での日々を思い起こすのだった。

「そういえば師匠、私の名前についてはお聞き及びに……?」
「ん? おお聞いた聞いた。なんだか面白ェことになってるみてえだな」
 波新に問われて昇天がニッと笑みを浮かべる。
 彼女の師匠である希有亭寿々喜(きゅーてぃーすずき)と名人の誉れも高い芭俱亭鷹啄(ばぐってたかはし)の一門間で、弟子の移籍の話が纏まっていたというのだ。
「どうにも私たちが現代に居ない間に、落語界にもトレード制度が導入されたようで」
「おいおい。まぁ屋号が変わるぐれぇは珍しくねぇがな。なんにしても目出度ェ話だから良かったじゃねえか」
「はい。いやー、まさかこんな裏技みたいなことがあるとは……噺家人生、なにがあるかわかりませんね」
 波新はさも不思議そうにそう結ぶとお茶を一口飲んだ。

 数時間後。落語会が順調に進むなか、まずは波新の出番となった。
「では師匠、萌瑠さん。お先に勉強させていただきます」
「ああ。見させてもらうよ」
「がんばってくださいねぇ」
 波新は一礼して高座に上がると、満座の注目を集めるなか両手をつき深々と頭を下げる。
「私(わたくし)、このたび希有亭一門から芭俱亭一門へと移ることにあいなりまして、芸名を希有亭波新(きゅーてぃーはにー)から改め、芭俱亭波新(ばぐってはにー)となりました。皆さま方にはあらためまして、ご贔屓のほどをよろしくお願い致します」

 噺の声がホールに響きはじめる。
 やがて、そこに人々の笑い声が重なっていった。

◆夢の行き先
 平成三十二年、初頭。

「……専攻、ですか?」
 某国立大学のキャンパスにて、北里 瑠璃は学生たちに囲まれて質問攻めにされていた。
 瑠璃が休学状態だった大学に復学してしばらく。最終決戦からはすでに一年が経つが、いまだに周囲は好奇の目を向けてくる。
 とはいえ、そろそろ先の道を決める時期なのも確かだった。
「そうですわね……。実は、金属工学科に進もうかと思っておりますわ……いえ、技術者志望ではありませんの。こちらですわ」
 瑠璃は槌を打つ仕草をしてみせた。

 すなわち、刀鍛冶である。

「最新の機械技術も好きですけれど……ええ、いつの日か寛永の頃に匹敵する美しい日本刀を現代に蘇らせようと思いますの」
 瑠璃の言葉に同級生たちが感心した。来世人の発言とあって説得力が違うのだろう。
 実際のところ瑠璃は鍛冶の技術と知識に関して神業レベルに達していた。少なくとも寛永当時の環境での加工、制作、修理技術においては右に出るものはいまい。
「勉学には少しブランクがありますが、寛永で学んだ鍛冶技術に現代の最新技術を加えれば、きっと可能だと思うのですわ」
 寛永と現代の鍛冶技術の融合こそ、瑠璃の目指す道なのだろう。
「セレブへの道は遠くなるかもですが……うふふふ、職人の道も悪くないかもしれませんわね。……あら、そろそろ次の講義の時間ですわね。ではみなさま、ごきげんようですわ~」
 優雅に一礼する瑠璃。
 セレブを目指す彼女の人生は、まだまだ始まったばかりである。


「……このへんとか、いいよね」
「そうですなぁ」
 その日、相葉 楡常滑 蜜の姿は東京、日本橋にあった。
 あの災厄から一年。復興は着々と進んではいるが、やはりまだそこかしこに爪痕が残されている。
「このへんに記念館を建てて……こっちに武具とか道具を展示する資料館、かな?」
 更地となった一角に脳内で図面を引く楡。意匠設計士のなせる業である。

 共に戦った皆が集まれる場所を作る――それが楡の次の目標なのだ。

「ふふふ、楡はほんま行動力があらはるなぁ……」
「おみっちゃんのアイディアもガンガン取り入れるからね。なんでも言ってよ」
「あらうれし」
 楡の考えるのは単なる記念館ではなかった。災厄を教訓として有事の際のギルド員たちの集合場所、そして大和人や災厄による失業者たちの雇用確保の意味もある。
 たとえ法力を失っても出来ることはあると、楡はそう考えていた。

「おみっちゃん、出資してくれる人はどうなってるかな?」
「えーと……こんな感じやなぁ」
 蜜がスマートフォンの画面を示した。二人はクラウドファンディングでこの計画の出資者を募っているのである。
「さすがにまだまだ、かな。俺もスポンサー探しを頑張らないとね」
「SNSつこうて世界中に拡散しとるんやけどね。さすが日本橋やわぁ」
 もとより東京でも指折りの街である。東京全体の復興の進みもあって日本橋の地価はさほど変わらず高いままだ。
 だが、目標もまた高いほうがいいだろう。
「というわけだから、おみっちゃんには俺では思いつかないような事をやってもらいたいな」
 楡の期待に満ちた眼差しに、蜜は思わず視線をそらした。
(あてのことを買ってくれとるようやけど、あてはそんな大層な人間ちゃうんやけどなぁ……)
 蜜が謙遜とも卑下ともつかない感情を口にするかどうか迷っていると、
「俺さ……この道を共に歩くのはおみっちゃんしかいないと思ってるんだ」
 楡が真剣な表情でそう言ったのだった。
「ふ、ふふ……ほんに敵わへんなぁ。まぁええよ、付き合うたるわ……したい事、させてもらいます。あてを巻き込んだこと後悔するくらいに、な」
「そうこなくっちゃ」
 吹っ切れたような蜜の笑みに楡もまた笑った。
「でさ、将来的には趣味で酒蔵も併設したいかなーとか思ってるんだけど」
「おやおや、こっちは産まれた時から酒蔵におったんやえ。ほんなら、現代の酒と寛永の酒のええとこ取りでもしますえ……」

 二人の相談はなおも続く。
 いつか夢の場所を手に入れる、その時に向かって。

◆この時代とともに
 寛永二十年、初頭。

「……寒いと思うたら、降ってきたんやね」
 雪の舞うその日、潤賀 清十郎は江戸は吉原遊廓からの帰路にあった。

 とはいえ客として出向いていたのではない。医者として遊女たちの身体を診るのが目的である。
(今日診たあの娘……まだ親元を離れる歳ですらないやろうに……)
 ひとくちに遊女といってもその境遇はさまざまである。だが、自ら望んでなった者を見つけるのは難しいだろう。
 この寛永で己にできる事をと決めて、はや一年。
 清十郎は遊女たちの身体と心の負担を少しでも軽くするため、多少の縁ができた江戸吉原と博多柳町へ交互に出向くようになっていた。
 現代に例えるならカウンセラーのような役目を自発的に買って出ているのである。

 もちろん、この試みは最初から歓迎されたわけではなかった。
 渋い顔をする楼主(ろうしゅ)を納得させる為、化粧に読み書き、俳句や和歌などを教えることもある。『商品価値を高める』と思わせるためだ。
(いまはここでしか生きられへんでも……教えたことが、いつか、外の世界へ出るときの助けになればええんやけどな……)
 遊郭と外界の境で振り返り、清十郎はそう願った。
 この日々が、いつかは彼女たちの心の在り方を、彼女たち自身の望む未来へと引き上げる助けになれば、と。

「さて、心配させてもあかんし、雪が酷うなるまえに帰らんとね」
 彼の帰りを待つのは現代に残った友人から託された化身たち。
 彼女に代わり、人との優しい関わり方を教えるのが清十郎のもう一つの役目だった。
「……帰ろう、家へ」
 家族の待つ家へと足を速める。
 江戸の町を白い雪が覆い隠そうとしていた。


「ふふふ……ついに完成したわよ~」
 江戸のとある酒蔵にカーモネギー・セリザワの怪しい声が響き渡った。
 彼女が手にしている杯は黄金の液体……すなわちビールで満たされている。
 現代からの帰還のおり、カーモネギーはビール造りに関する機材や原料を持てるだけ持ってきていたのである。

 目的はズバリ、江戸で地ビール造りを行うことであった。

「思えば、ここまで長かったわね~」
 ビールの味や香りに重要な役割をもつホップだが、寛永当時の日本では自生地が北海道にしかない。
 もちろん現代から持ち込んだビール自作キットなどを使えば野生のホップを用意する必要はないが、それでは将来的に江戸地ビール誕生を目論む彼女が納得しない。
 結局、極力この時代の原料を用いつつ試行錯誤を重ねてきたというわけである。
「では早速……んくっんくっんくっ……はぁ~~~~最高ね~~~~」
 自作ビールの美味さにうち震えるカーモネギーであった。

「美味しかったわ~~。……でも、これをギルドの新事業にするにはまだまだ難問だらけね~~」
 現代から持ち込んだ原料などすぐに尽きる。機材的に量産も難しいだろう。
「大麦やホップのルートを確立しないと……アイヌの人たちと協力とか出来ないかしら~~。それに設備も見直して……」
 考えることは山ほどあった。
「あっ! 寛永の女の子でアイドルグループを立ち上げてセットで売り出すのもいいわね~~。よ~し、燃えてきたわよ~~」
 杯に残ったビールを飲み干し、行動を開始するカーモネギー。
 その破天荒な行動力は、まだまだ寛永の世を騒がせるようである。


 薩摩国、鬼界ヶ島。
 この島が善なる鬼の安息地となってすでに一年以上の月日が経っていた。
 そしていま、大和人もほとんど訪れることのないこの島に二人の来世人の姿があった。

「「「ブーナせーんせー!」」」
「なんじゃー?」
 子鬼たちの呼ぶ声にお堂らしき建物から現れたのは森住 ブナ
 寛永の世に平和が訪れると彼女はこの島に渡り、善鬼たちに医療技術を教える生活を送るようになったのだった。
「さっき椋さんが帰ってきて、ちょっと畑まで来てくれって」
「お、そーいや薬の補充を頼んどいたんだった……了解だじょ! いくぞみんなー!」
「「「はーい!」」」
 子鬼たちと手を連れ立って島の一角に向かうブナ。
 一見すると子供同士が並んで歩いているようであった。

「はい、ではこれを」
「さんきゅー椋ちゃん!」
 空木 椋から頼んでいた薬類を受け取ると、ブナは興味深そうに彼の手荷物を視た。
「それで、今回は何かよさそうなのあった?」
「はい、気候的に合いそうなものをいくつか持ち帰ってきましたよ」
 周囲は薬草畑だ。二人はこの島の気候や植生に合いそうな薬草を見つけては持ち帰り、栽培を試みているのである。
 また、椋はその農業知識を活かしてこの島での作物栽培を手伝ってもいた。
 地形的な制約もあって栽培面積は限定されているが、その中でもどうにか安定した作物を育て、ゆくゆくはその成果を日本全体に広めたいと考えているのだ。
 全ては、誰しもが飢えること無く生きていける世の中を目指しての行動である。
「そういえばブナさん、みんなの勉強の進みはどうですか?」
「順調だじょ!」
 ブナは仰け反るように胸を張った。
「……といいたいけど、やっぱ我ながら途方もないと思うんだよねー。でもま、目指せ、子供の生存率アップ! ……ってことで」
 彼女が教えているのは医療だけではない。知識を書として残し、効率よく後世に伝えるために現代の文字から教えているのである。
 また、ブナは志を同じくする相手なら島外の大和人にもその知識を与えていた。
 『医は仁術なり』という。こうすることで、いずれ善鬼と人間の間に何らかの絆が生まれることを望んでいるのであった。

「ブナせんせー、この畑はこれでいいの?」
「空木さま、少しご教授いただきたいのですが……」
 やがて手の空いた善鬼たちが畑の手伝いにやってきた。
 かつて山中で狩猟中心の生活を送っていた善鬼だが、離島とあってここでは漁労(ぎょろう)が食料調達の中心となっている。
 島での暮らしは楽とはいえないが、持ち前の強靭な肉体と統率力もあり、善鬼たちはどうにか暮らしをたてている。
「いやあ……平和じゃな!」
「はい。この玉はこの光景にどんな感想を持つのでしょうかね」
 椋が秀吉の遺した玉を取り出し、視えるように掲げる。
(それに……みなさんはうまくやっているでしょうか?)
 椋は眼前の善鬼たちの姿にかつての仲間たちを重ねて、遠く海の彼方に目を向けた。

 その日の夜。
 一日の仕事を全て終えたブナは机の上に置いた現代製のぬいぐるみに目を留め、そっと押した。
 内蔵されたレコーダーが懐かしい友の声を再生する。
「……ありがとう。私は一人じゃない……大丈夫だよ!!」
 ブナは口元に笑みを浮かべて、いまはもう遠く離れた友へと感謝の言葉を送ったのだった。

◆明日へ
「……ということなのじゃ!」
「そっか。うん……みんな頑張ってんのね」
 十人の話を聞き終え、三六は感慨深そうに頷いた。人間との付き合いが長くなると妖怪でも何か思うところがあるのかもしれない。
「……っていうか、もうこんな時間?」
「あ、本当じゃな!」
 ふたりはつい時間を忘れて話し込んでしまっていたらしい。すっかり陽も落ち、江戸の町には宵闇が迫ろうとしていた。
「なんだか、あたしも頑張って人間を驚かせないといけない気がしてきたわね……」
「またか? ほどほどにしておくのじゃぞ?」
「あんた、ろくろ首をなんだと思ってんのよ……じゃ、またね!」
「うん、またなのじゃ!」
 夜の町に消えていく三六を見送っていると、入れ違いに美企が声をかけてくる。
「十人さん、夕食にしましょうか」
「はーいなのじゃ! ……うむ! 明日もいい天気になりそうなのじゃ!」

 来世人ギルドへと駆け出す十人。
 その遥か頭上には、ひときわ明るく一番星が瞬いていたのだった。



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参加者

c.FreshGUMI!!改め、爆!SINGERとして再デビューです。
土方萌(ka00069)
Lv206 ♀ 18歳 武神 来世 異彩
c.【現代】新生アイドルグループでも頑張るわよー!
沖田芽衣子(ka00120)
Lv269 ♀ 22歳 武忍 来世 大衆
a.よろしくお願いします。
北里瑠璃(ka00342)
Lv436 ♀ 20歳 武僧 来世 婆娑羅
a.【寛永】薬草畑と農業技術の向上に頑張ってます~
空木椋(ka00358)
Lv341 ♂ 20歳 傀僧 来世 大衆
a.【寛永】鬼ヶ島で医療の発展に貢献しておるよ~!
森住ブナ(ka00364)
Lv251 ♀ 15歳 神陰 来世 異彩
c.【現代】怪しい冒険隊inキプロスなのです。
藤枝杏花(ka00565)
Lv228 ♀ 15歳 傀僧 来世 異彩
a.【寛永】よろしくお願いします。
潤賀清十郎(ka00609)
Lv296 ♂ 27歳 神忍 来世 異彩
c.[現代] プロレスラーになったのでトレーニング中だ。
ミスト・カイザー(ka00645)
Lv271 ♂ 24歳 武忍 来世 質素
c.【現代】 念願のキプロスに来たぞー!!
ミア・カイザー(ka00679)
Lv242 ♀ 24歳 陰忍 来世 異彩
c.【現代】 団体発足に向けて準備中だ。 はずむ、スカウトに来たぞw
アイナ・ルーラ(ka00830)
Lv214 ♀ 24歳 武僧 来世 婆娑羅
c.【現代】こうして今はこの空の下、
由良悠頼(ka00943)
Lv227 ♂ 17歳 陰忍 来世 大衆
c.【現代】本来の場所で俺たちは、生きてる。
由良紫苑(ka00953)
Lv228 ♂ 17歳 武忍 来世 質素
z.【現代】おみっちゃんと一緒に、皆が集まれる場所を作りたいなと思ってるよ
相葉楡(ka01176)
Lv311 ♂ 27歳 武傀 来世 麗人
b.【現代】 昇天師匠にお会いするのも久しぶりですねぇ。
茂呂亜亭萌瑠(ka01356)
Lv211 ♀ 23歳 神傀 来世 麗人
b.【現代】まったく…零さんがはっちゃけすぎるから…え?私も?
伊東命(ka01412)
Lv224 ♀ 27歳 忍傀 来世 大衆
c.【現代】真沙花さんも入れて、再デビューだって☆
田中カナタ(ka01429)
Lv214 ♀ 18歳 武陰 来世 異彩
c.【現代】ミア叔母さん達とキプロス島に来てます。
アステ・カイザー(ka01612)
Lv222 ♀ 16歳 神陰 来世 麗人
c.【現代】身の振り方としては冒険家も良いかもね。
クリスタル・カイザー(ka01634)
Lv332 ♀ 29歳 忍流 来世 大衆
b.希有亭波新改め、芭俱亭波新となりました。皆様、宜しくご贔屓のほどを。
希有亭波新(ka01670)
Lv252 ♀ 23歳 忍流 来世 麗人
c.【現代】魔法少女改め、冒険家ミネルバですわ。
ミネルバ・マガミ(ka01851)
Lv237 ♀ 17歳 武流 来世 傾奇
c.【現代】 うーむ。歌うというのも案外難しいな…。
藤枝真沙花(ka01870)
Lv230 ♀ 17歳 武火 大和 異彩
a.【寛永】江戸の地ビール造りをしてるわよ~。
カーモネギー・セリザワ(ka01912)
Lv248 ♀ 30歳 武傀 来世 傾奇
b.【現代】もー、オネーさん達もヒマじゃないんだからネ!(ビール片手)
久保零(ka01944)
Lv210 ♀ 25歳 神鬼 来世 婆娑羅
z.ふふ、ほんに叶わへんなぁ
常滑蜜(ka01947)
Lv255 ♀ 22歳 武鬼 来世 婆娑羅
 皆がどのように暮らしておるのか……楽しみなのじゃ!
導師十人(kz00059)
♀ ?歳 大和