「しっかりお届け物をしてきたのじゃ!」
「ご苦労さまです……と言いたいところですが、少々時間がかかり過ぎではありませんか?」
「ギクッ! そ、それは……」
秤琴美企(はかりことみき)からの指摘に狼狽える十人。
「また道草していましたね? 約束通り、勉強の時間を二倍に……」
「そ、そういえば表の掃き掃除がまだなのじゃ! あー、いそがしいのじゃー!」
小動物並みの危機察知能力で小言から逃走する十人。
安倍晴明の魂と共に彼の記憶と神通力の殆どを失ったことで、十人はもはや外見相応の子供となっている。
いまや、自他ともに認める『居候』であった。
◆新たな目標
関ヶ原での決戦以降、この寛永から鬼の脅威は完全に払拭され、邪悪な化身による被害もその数を大きく減らしていった。
来世人たちは法力を有したまま加齢が始まり、ギルドは互助会としての性格を強めて存続する事となったのである。
「お? ちゃんと働いてるわね! 感心感心」
「……ん? なんじゃ、三六(みろく)か」
掃除に勤しむ十人に声をかけてきたのは『ろくろ首』の三六。とある来世人が営む書物屋のアルバイト妖怪である。
「これ、真玖羅(まくら)が持ってけって。なんか色んなとこに書物集めに行ってるのよ」
「これは……お菓子じゃな!?」
お土産に小躍りする十人。
ギルド員には幕府から一生分の俸給が約束された。商売に励む者もあれば趣味に興じる者もありと、それぞれが新たな目標に向かっているのである。
「……もう、一年ね」
「(もぐもぐ)うむ。時の経つのは早いのじゃ!」
お茶を手に菓子を頬張る十人。ふたりで縁台に腰掛けて休憩である。
「はずむ……ちゃんとやってんのかしら……」
三六が寂しそうに呟いた。
異なる時代の時間経過を同列に語るのも奇妙なことだが……それでも、現代と呼ばれる時代でも一年の月日が経過したはずである。
「大丈夫なのじゃ! きっと皆新たな『なにか』を始めておるじゃろう! ……そういえば、何人かから知らせが届いておったぞ」
「ホント? じゃ、教えてよ!」
「うむ! よく聞くのじゃぞ!」
あれから一年。
寛永で、そして現代で。
来世人ギルド員たちはどのような人生を歩み始めたのだろうか。
選択肢
a.一年後ぐらいに | b.半年後ぐらいに |
c.三ヶ月後ぐらいに | z.その他・未選択 |
マスターより
午睡丸です。
本作では最終決戦から一年後までを期間として、希望する時点のキャラの活躍を描くことになります。
新しい生活の様子や、いままさに目標に向かって奮闘する瞬間など、その後のキャラがどのような人生を歩もうとしているのかをプレイングしてください。
OPでは一年後の寛永の様子が描かれていますが、もちろん両時代のキャラが参加可能です。寛永と現代、どちらであるかの明記をどうぞ。
また、選択肢は大雑把な時間経過を表しています。もっとも近いと思うものを選んでください。
・場所について
本作ではキャラのいる場所を限定していません。
ですが、マスタリングによっては状況などが変更されることをあらかじめご了承ください。
・NPCについて
以下のNPCについてはプレイングによる希望と出現場所との一致があれば登場する可能性があります。
寛永:十人(江戸、来世人ギルド)、鉄鼠(神代以外)、みなも(海岸)
現代:はずむ(関東周辺)、麗瑠(関西周辺)、昇天(東京)
それでは、みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
※後日談シナリオ
本シナリオは最終決戦後の現代、ないしは寛永、あるいはその両方を描くものです。