祝勝会IN寛永

担当 K次郎
出発2019/02/16
タイプ イベント C(Lv無制限) 日常
結果 大成功
MVP ボースン・カイザー(ka01874)
準MVP 鈴城 透哉(ka00401)
森住 ブナ(ka00364)





オープニング

◆祝え、勝利を
 鬼神秀吉との決戦が終わり、現代から寛永への帰還が行われて三か月が経とうとしていた。
「やっと準備が整ったようですね」
 泰平の世を謳歌する江戸で、宮本伊織はひと仕事を終えて息をつく。
「ついに宴を開けることとなりました」
 宴? 一体なんの宴だ?

登場キャラ

リプレイ

「あらあら~、来てくれたのねお林ちゃん」
 カーモネギー・セリザワは宴会に合流してくれた武田家旧臣たちの姫(アイドル)であるお林を見つけ、嬉しそうに声を掛ける。
「はい、せりざわぴぃ。あいどるとしての手ほどきをしてもらえるとのこと、何卒、頼む」
「そう、硬くならなくてもいいわぁ。先ずは‥‥美味しいお酒を飲みましょ~」
 結局、そうなるのね。
 そう、何せ今日は祝勝会。
 そして、寛永でなかなか集まれないギルドのメンバーたちが顔をそろえてくれたのだ。そりゃあ、今ハッスルしないで、いつハッスルするの!?

 琴平 久遠森住 ブナは見つめ合たかと思えば、即座に抱き合った。
「久遠ちゃーん、帰ってきてくれて、ありがとぉぉう!!」
「ブナちゃんだ、、ブナちゃん、ブナブナぶなぁ」
 寛永に残ったブナにとっては、再び逢えるかわからなかった顔に再会できること、これほどうれしいことは無い。
 そして、久遠は‥‥。
(僕、ひとりぼっちじゃなかった‥‥ブナちゃんがいる。みんながいる‥‥)
 現代に戻ったとき、おばあちゃんと再会することは叶わなかった。遅すぎたのだ。最期の挨拶すら、出来ずに‥‥。あの時代にもはや未練はない。自分はひとりだ‥‥そう思っていたけど。
 この目の前にある底抜けのバイタリティを誇る笑顔がそんなものぶっ壊してくれたのだ。
 だったら、食べるしかないよね。楽しくても、悲しくても、どっちにしてもお腹は空くのだ!
「じゃんじゃん、食べよう」
「うん、じゃんじゃん、持ってきて!」
 大変だ。宴会の食べ物が‥‥消える!?
「おーし、虎の子のジャガイモで作ったんだぜ。食べてみてくれ」
 心配ない、料理はどんどん追加される。鈴城 透哉が運んできたのは現代から持ち帰ったジャガイモを使ったポテトチップス。いつかは、ジャガイモを沢山栽培し量産を狙っている。
「「いっただきまーす!」」
「ちょ、まだはえーって!」
 飛びつく乙女二人。が、ステイステイ。
「さて、料理もひと通りそろったことですし。乾杯といきましょうか」
 藤枝 梅花が調理したのは、現代で仕入れた材料をふんだんに使った洋食がいろいろと。
「ピザだー!」
「ハンバーグっ! ハンバーグっ!」
 食欲をそそるにおいがした。
「じゃあ、乾杯は透哉さんにお願いしましょうか」
「え、俺?」
 梅花に振られ、戸惑う透哉だが、周りの者も頷くと、仕方ないと立ち上がる。
「あー、うん。よし、それじゃ‥‥勝利と、そして再会を祝して‥‥乾杯!!」
「「「「「「「「「かんぱーーーい!!!」」」」」」」」」
 さぁ、レッツパーリィ。

伊織さん、またお会い出来て、嬉しく思います。ああ、ビールはいかがです?」
 ステンレス樽からビールを注いで回る空木 椋は伊織にもビールを勧めてみる。
「びぃるは、実は少し口にしてみたことはあるのです、なかなか刺激のある酒ですよね。いただきます」
「はい、どうぞ」
 椋が注いだビールを伊織はぐいっと飲み干した。
「ぷはぁーっ。癖になりますね。それに、透哉殿の用意したこのぽてちとやらもどうしてなかな」
 来世の味に染まる伊織。
「して、秀吉との戦(いくさ)はいかがなものだったのでしょう?」
「そうですね、先ず‥‥東京、この江戸の来世での呼び名なんですけど、そこが大変なことになっていまして‥‥」
 椋は激しく厳しい戦いの顛末を話し始める。
「んー、そういった話なら、俺様にも噛ませてもらうのね」
 そこへ、自分も、と寄ってきたのはボースン・カイザーだ。
「伊織さんには挨拶しておけと言われていたのね。現代に残った皆から『お世話になりました』と託けを頼まれてるのよ‥‥カイザー家は俺様だけが戻ることになったから」
「そうでしたか。他のかいざぁの皆さんにもお会いしたかったのですが、ぼぉすんさんだけでも戻られたのは嬉しいことです」
「おや、カイザー家はボースンさんだけじゃないですよね?」
 と、椋がニコリと笑い、付け加える。
「と、いうと?」
「あー、なんというか、俺様、こっちへ帰るのに動物と化身‥‥それに大事な人を連れて帰ってきたのね」
 そういってボースンが視線を向けたのはあっちで料理を配膳しているファウラ・クルシューエだった。
「もしや、夫婦(めおと)に?」
「いやー、照れるのね。あ、いやいや、そんなことより、俺様や皆の武勇伝、を話すのよ」
 照れ隠しに戦いの話を始めるボースンだった。

「これもその内、食い納めになるのかねぇ」
 現代から持ち込まれたチーズを齧りながら遠前 九郎が呟く。
「チーズくらいは作れる可能性はあるだろ。ジャガイモ栽培もそうだけど、チーズ作りってのも悪くないな」
「やる気だなぁ。蝦夷で農業と酪農でもしてそうだな、おい」
 しっかり先のことを考えている透哉に感心する九郎。
「俺は‥‥何すっかねぇ」
 九郎は寛永に戻っては来たものの、特に目的とかあるわけでもないわけで。
「ああいうのはどうだ?」
 と透哉が指示したのは会場の余興として行われている新たな旗揚げとなった大江戸ぷろれすの興行。
「いや、流石にちょっと違うかなぁ」
 と、再びチーズに手を伸ばす‥‥が、無い!
「チーズうまーっ!」
「もっきゅもっきゅもっきゅ」
 吸引力の変わらない来世人。ブナと久遠の口に吸いこまれている。
「俺のチーズぅ!」
 なんだかんだ変わらぬ光景。
 いや、変わったものなあるか。
「そういえば、私たちってまた年を取るようになったんだっけ?」
 ブナの疑問。今のところ実感は無い。
「年を取る‥‥成長、かぁ」
 ならば栄養は必要だ。久遠は食べる手を動かすスピードが速まる。
「じゃあ、今日を皆の新しいバースデーにしようぜ!! そんでうちらは皆家族なのだ!」
「家族‥!」
 家族というブナの言葉に久遠の手が止まる。
「ブナちゃーん!」
 そして、ブナに抱き着く。やっぱり自分は、一人じゃない!
「はっはっはー! 困ったことがあれば何でもブナちゃんに相談するのだぞ?」

 そんな賑やかな空間から少し離れて。静かに食事と会話を楽しむ椋や伊織。そこにファウラも加わっている。
「秀吉の分身が‥‥そんな時に‥‥で‥‥されてしまい‥‥」
「‥‥で、その時のぼっすんサンときたら‥‥なのデス‥‥というコトが‥‥」
「なるほど、やはり秀吉との戦いは激しいものだったのですね」
 椋やファウラから現代での戦いの顛末を静かに聞く伊織。彼らの語りから、それがいかに大変なものであったのかが伺える。
 するとそこへ、遅れてやってきたグレン・ギーガーが姿を現す。
「おや、随分と遅れてしまったようだ。なかなか盛り上がっているな」
 手土産の芋焼酎を手に、グレンは椋らが話している静かな場所へ腰を下ろした。
「グレン殿、何か御用時でもおありでしたか?」
 伊織の問いに、グレンは苦笑して応える。
「いや、ちょっと、丁度彼女に会えるチャンスがあったんでね」
「彼女? 恋人サン、デスか?」
「あー、いや、そうではないが‥‥」
 ファウラの言葉には小さく首を振るが‥‥この寛永まで戻ってどうしても逢いたかった相手でもあった。
「シラコルさんに挨拶をしてきたのさ。報告も兼ねて、な」
「ああ、あのアイヌの姉妹の‥‥」
 グレンにもいろいろと思うところがあるのだろう。
「それはよろしいデスね。どんなお話をされマシたか?」
 他者のそういった話を聞くのも悪くない。喰いつくように質問してくるファウラ。
「あー、いや、まぁ色々と」
 どう答えたものか、といって感じのグレンに、椋が助け舟を出す。
「そういえば、ボースンさんのところに行かなくていいのでしょうか?」
「ぼっすんサンならあっちに‥‥」
 とファウラが視線を移せば‥‥。

「なはははは! そこで俺様が言ってやったのね‥‥」
「あらあら、凄いですねぇ」
「ふむふむ、それで、どうなったんだ?」
 何かご機嫌で鬼神秀吉との戦いでの武勇伝(脚色アリ)を語るボースンと、彼にお酌をしながら話を聞く梅花とお林。梅花は明らかになんか裏がありそうだし、お林はセリザワに「営業もアイドルの仕事」とけしかけられているのだ。
「そう、秀吉をちぎっては投げ、ちぎっては投げ!」
「すごーい!」
「きゃー!」
 他にもギルド員の女の子たちが集まっているのだ。
 当然、ボースンも調子に乗る。
「ん~♪ ふふふふーん♪」
 お酒も入り鼻の下も伸びてご機嫌なボースン‥‥だったが。
「おやおや、あちらにもお話を聞きたそうな女性がいますよ」
「ほうほう、そんなに俺様の話が‥‥んほー!」
 梅花に促されて、そちらに顔を向けると、目に入ったのは自分の方を見て‥‥無言でめっちゃ笑顔のファウラだった。
「いやいやいやいや、これは違うのね、ファウラちゃん!」
 慌ててフォローに向かう。
「ん、どうしマシた? ぼっすんサンが楽しそうに話しているのを見てただけデスよ?」
 その笑顔が怖いボースンであった。

 そんなこんなで騒がしくも楽しく進む宴会。
 酔っ払いも増えてきて、はっちゃけて来ることもあるわけで。
「わっしょい! わっしょい!」
 何か神輿を担ぐような‥‥。
「お、おい、ちょ、まっ!」
 酔っ払いたちに担がれた九郎が投げ捨てられたのは‥‥。
 ドーーーン!
 太鼓の音と共に試合開始の合図。そこは大江戸ぷろれすのリングの上だ。
「おーっと、リングに乱入者だ! 謎の来世人Xが現れたぞ!」
 囃し立てる者もあり。
「いや、全然、謎じゃねぇだろ! ってか、なんで俺がここに‥‥」
「ふぁい!」
 レフリーも戦いを促す。
 対戦相手は屈強な元力士‥‥。
「あだ、あだだだだだだ!」
 ぶっとい腕でヘッドロックに捉えられた九郎の頭は万力のようなパワーでぐいぐいと締め上げられる。
「あだっ、ギブ! ギブ!」
 レフリー、なんか、リング脇に押し寄せてる酔っ払いに気を取られて見ていない。
「ちょ、ギブゥー!!」
 そう、酔っ払いたちは宴会の雰囲気にテンション上がりまくり‥‥。
「せりざわぴぃ、飲み過ぎでは‥‥!?」
「らいじょーぶよ、らいじょーぶ! 酔ってもお林ちゃんを立派なアイドルにしてあげるからー☆」
 ダメな大人代表? 酒には強い方だが、セリザワ、許容量を超える。
 静かに話している方に絡んでいってしまい‥‥。
「んも~伊織君、飲んでるぅ~?」
「ひゃっ!」
 お茶目さを見せ伊織に抱き着いてみせるセリザワだが、返ってきたのは意外な反応‥‥そして。
「あら~?」
 意外な感触。
 伊織の胸に手を当てたセリザワは何か気になったのか掌を動かしてみる。その感触は‥‥柔いよ柔いよ。
「‥‥? ‥‥? ‥‥!!」
 その時、セリザワに電流走る。
「こんなところにも逸材はっけーん! 伊織ちゃん、アイドルやりましょ~☆」
 もう、大変である。

「ふふっ、帰ってきたな‥‥」
 喧騒を遠目に、一人静かに酒を飲みながらグレンは呟く。
 帰ってきた。そう実感する。それはもちろん、この時代に帰ってきた、という実感。
 そして‥‥この寛永でもらしく生きていく来世人たちの不便でも楽しくバイタリティにあふれる生活。鬼神を倒し、平和な時間が戻ってきた喜びが満ちている。
「秀吉の‥鬼神の脅威は去った、が」
 だけど、油断は無い。
「大陸から来た九尾ノ狐、蝦夷のウフイカムイ、人に仇為す強大な化身は他にもいるだろう」
 危険な鬼はいない、しかし、危険な化身が全くいなくなったわけではないだろう。そう考えると、来世人の力にもまだ意味はある。
「来世人ギルドは今後も未知の脅威からこの国を守る防人であり続けなくてはな」
 それは誓いだ。
 今日の乱痴気騒ぎもきっと明日への活力になるだろう。

 そして、宴もたけなわ。
 やはり少しの寂しさはある。こんな場に以前はあった顔が、今は無い。そして、このメンバーもいつまでも顔を合わせているわけでもないのだろう。
 もう、逢えないであろう人々がいる。
 だけど、だけど。
 ブナは確信していた。
「これから、忙しくも楽しい毎日になるね!!」
「うん!」
 久遠はブナの笑顔を見て迷いなく頷いた。
 寛永での暮らしは、きっと素晴らしいものになるであろうことを。
「よーし、全員集合。今日の思い出をカメラに残してるから、最後は集合で締めようぜ!」
 ビデオカメラを手に、透哉は皆を集めた。
 これからも、彼らの営みは続いていくのだ。でも、同じ時間を過ごしている以上、きっとまた、どこかで道は交わる。寛永の日ノ本に幸あらんことを!



 7
ツイートLINEで送る

参加者

c.皆さん今後とも、宜しくお願いしますね
空木椋(ka00358)
Lv341 ♂ 20歳 傀僧 来世 大衆
a.久遠ちゃん、おかえりー!皆でメシだー
森住ブナ(ka00364)
Lv251 ♀ 15歳 神陰 来世 異彩
a.宴会だー! 持ち帰った虎の子のじゃが芋少し使ってポテチ作ってみるぜ!
鈴城透哉(ka00401)
Lv220 ♂ 15歳 武僧 来世 傾奇
a.其れでは今後たべるのが難しい洋物料理を作っていきましょう☆
藤枝梅花(ka00566)
Lv280 ♀ 22歳 神陰 来世 麗人
a.ここならきっと、寂しくないよね。
琴平久遠(ka01025)
Lv182 ♀ 15歳 武陰 来世 異彩
c.ふっ、帰ってこれた、と思うのは、やはりここが私の生きる時間なんだな。
グレン・ギーガー(ka01653)
Lv270 ♂ 35歳 忍流 来世 異彩
b.まあ、なんだ。やっぱりこういう方が俺の性に合ってるのかもな。
遠前九郎(ka01660)
Lv321 ♂ 19歳 武流 来世 傾奇
b.こちらでのカイザー家の後々のコトを考えると…ワタシも責任重大、デス。
ファウラ・クルシューエ(ka01807)
Lv244 ♀ 24歳 陰僧 来世 麗人
a.あ、もしかして俺様達って、この世界のカイザー家の先祖になるのかしら?
ボースン・カイザー(ka01874)
Lv304 ♂ 28歳 僧誓 来世 大衆
a.ただいま~。
カーモネギー・セリザワ(ka01912)
Lv248 ♀ 30歳 武傀 来世 傾奇
 再びお逢いできてうれしく思います。
宮本伊織(kz00008)
♂ 26歳 大和