【RSP】2人はシン★コン

担当 北野旅人
出発2017/02/01
タイプ ショート A(Lv250以下) 冒険
結果 成功
MVP 遠野絃瑞(ka00651)
準MVP 升田 千絵代(ka00869)





オープニング

◆新婚の試練
 豊後国、別府温泉。その街で寄り添うは、遠野絃瑞・升田千絵代夫妻(新婚)だ。結婚後も依頼に忙殺されていた2人だったが、ここにきて「なんとしても新婚旅行をしよう!」と決意。こうして2人きりで、しっぽりと温泉宿へしけこんだわけである。
 やがて、上級の温泉宿で宿泊手続きを終えると、夫妻はさっそく大浴場へと向かった、のであるが――

「いけません、なりません!」
 絃瑞は、いつになく取り乱して千絵代を制していた。

登場キャラ

リプレイ

◆闖入者撃退大作戦
 穏やかな温泉場に、突如現れた3つの脅威(?)。
(せっかくの新婚旅行に、とんだ邪魔者が現れたものね)
 升田 千絵代は、迫る脅威(仮)を見やりながら、一瞬だけ黒い殺気をみなぎらせた、が。
(‥‥でも、夫を男として格好よく見せるのは私の役目かな)
 と、いうことで。
「あら、いや~ん。絃瑞さん、こわああい」
 棒読み気味に遠野 絃瑞にすがりついたのであった。もちろん、いざとなれば自分の腕で3人(?)ともギッタンギッタンにする腹積もりで、である。
 で、肝心のダンナさん、絃瑞はこの状況に、どうしたかというと――おもむろに「パン、パン」と手を叩き、
「仲居さん、仲居さあ~ん?」
 と声を張り上げたので、これには千絵代も、かぶいた札付きワルもずっこけてしまった。
「な、なんでぇいきなり‥‥調子狂うじゃねーか」
 ワルがそう言うも、絃瑞は涼しい顔で「いえいえ」と首を振り。
「せっかくの温泉宿でございますから。皆さんにお集まりいただいた以上、ここは一献‥‥」
 と、そこへベテラン風の仲居さんらがなだれこんできた。実に準備がいい。
「はいはい、お部屋じゃなくてお風呂で宴会ですか? みなさんのご迷惑にならないようお願いしますよお」
 初老の仲居さんが盆に載せて置いたのは、絃瑞があらかじめ預けておいた赤ワインや、ばれんたいん祭用の日本酒。本当は夕食時にでも運んでもらうつもりだったが、こうなってはやむを得まい。
「拳を交わすだけが戦いではないのです‥‥さあどんどん持ってきてください!」
 絃瑞は、仲居や千絵代に「任せてください」とうなずきかける。
「さ、さすが旦那様。場を乱さないよう、和睦作戦に出るなんて‥‥!」
 やっぱりわたしが惚れただけあるわね、と千絵代はうなずくが――そもそも、そんな都合よくいくだろうか?
「オウオウ、珍しい酒の1つや2つで、俺様をほだせるとでも思ったのかあ?」
 ワルは「その手に乗るか」という顔だ。しかし、絃瑞は突然、鋭い眼光を浴びせると。
「わたくしの酒が呑めないとでも? まさか酔い潰されるのが怖いとか?」
「ば‥‥ばっきゃろうめ! 九州男子に酒でケンカ売るたあいい度胸だ!」
 ――都合よくいきました。
 しかし。猿にはさすがに通じない。ウキャッと湯船に飛び込むや、千絵代の女鬼ビキニをはぎとらんと跳びかかった! これは千絵代、すんでのところでかわしてみせたが‥‥あわてたのはむしろ、絃瑞のほうで。
「ちょま、千絵さんを脱がすというなら猿だとて容赦はしませんよ!」
 絃瑞が殺意を帯びるが、ここでワルから目を背けるわけにもいかない。そこで千絵代は一計を案じる。
「あっいっけなーい、このままじゃあのおサルさんに脱衣所の衣服をとられちゃうわ、かくしてこなきゃー」
 たいへんぼうよみ気味にそういうと、おしりふりふり、猿を誘うようにして脱衣所で駆け出す。猿はその挑発に乗って、ウキャッと千絵代を追う!

 ――さて、千絵代と猿がいなくなり。いまやシーンは、湯船ではなく、露天風呂の一角にある岩場だ。その岩に腰かけ向かい合うは、絃瑞とワルと、そして無言で割り込んだカッパーマスク。
 もうちょっと詳しく説明しよう。露天風呂に浸かる男女が見守るなか、三者はそれぞれ違う岩を椅子とし、三角形に対峙しており、1人は我らがダンナさま絃瑞であり(ただし腰に手拭い1枚)、1人は派手な手拭いを腰に巻いた美形のワルで、もう1人(?)は、例の『K』マスクをつけマントをひらひらさせる‥‥まあ、体型は河童に見えるヤツだ。
 そして、周囲には仲居。三者の手には、杯が握られていた。
「さあ、全員酔い潰してやります‥‥全員?」
 絃瑞は首をかしげたが、マスクマンは大きくうなずいたので、とりあえず三者は仲居さんにワインをなみなみ注いでもらい、ごくり。
「うへっ、変な味だなあ。舶来品か? まあいい、嫌いじゃないぜ、じゃんじゃん注ぎな!」
 ワルは気勢をあげて酒をやっつけ始める。マスクマンも負けじとゴクゴクやっている。むろん、絃瑞も負けるわけにはいかない。
「へへ、着いてこれるかいそんなヤワな体で?」
 ワルは挑発するが、絃瑞は動じない。
「酒には詳しいほうでしてね。こう見えて体力もあるのですよ」
 そう言った絃瑞だったが、ちょっとフラッとした――じつは動じちゃってる? そう、酒に強いとは一言もいっていない!

 いっぽうその頃、脱衣所では千絵代が猿をやりこめていた。
 脱衣所に置いていた呪いの般若面をかぶるや、恐るべき魔眼で猿を睨みつけ、すっかり怯えさせると、そのコワイ顔でずいっと猿に迫り。
「ニコォ‥‥(コレ盗んだらどうなるかわかってるわよね?)」
「コクコク(Yes、Yes、Yes)」
「ニコォ‥‥(もうイタズラしないでいい子でいられるわよね?)」
「コクコク(Yes、Yes、Yes)」
「ニゴォ‥‥(間違っても絃瑞さんの前で粗相はしないでね? ね?)」
「ガクブルコクコク(OhYes! Yes! Yes!)」
 などといった心温まる精神的交流がおこなわれると、千絵代は猿を脇に抱えて風呂場へと戻り、旦那の背中へと近づいていった。酒バトル中の絃瑞のもとへ、だ。
「ただいま。おサルさんとはとっても仲良しになってきたわ。ね? ね?」
 千絵代にギュッとワキを絞められ、おサルはウキャキャ(モチのロンです!)と叫んだ。
「そ、それはようござんした‥‥」
 振り返った絃瑞は――真っ赤な顔に、焦点の合わぬ目。完全に出来てやがる!
「ちょ、あなたへろへろじゃない! ろれつも回ってないし‥‥」
「千絵しゃあああん、こっちもなかよひになっちゃってもう‥‥」
 ろくに立ち上がることもできぬ絃瑞。よろけた彼を、なんとワルは、笑顔で肩を貸してやり、支えると。
「ああ、このあんちゃん、なかなかいけるクチじゃねえか。ま、九州男子にゃかなわんけどな!」
 ワルはワルで、いい酒をしこたま飲めたせいか、あんがい上機嫌で、最初につっかかったことも忘れて、ケラケラ笑いながら去っていってしまった。
「もう、あなたったらムチャして‥‥そんなに飲んで大丈夫なの? 主に夜の生活において」
「だ、だいじょうぶれす! ヒック、たぶんなんとか‥‥」
 頼れるところを見せようと、絃瑞、へろんへろんながらもなんとか自分の足で立ってみせる。が、その前に立ち塞がるは‥‥ほんのり上気したカッパーマスク!
「勝負前の杯は終わりだ‥‥さあ、いざ相撲で勝負だ!」
「おほー、いいでひょう‥‥はっけよーい‥‥アッー!」
 当然、泥酔した絃瑞が踏ん張れるはずもなく。マスクマンのほんのひとひねりで、絃瑞は湯船へダップンと投げ込まれてしまい、そのままズブズブと、なぜか親指を立てたまま沈んでいってしまったとさ。
「絃瑞さん!? あーもう、応援する暇もありゃしないんだから‥‥」
 千絵代は『龍の子太郎のでんでん太鼓』を放り投げ、夫の救助へ。その間にカッパーマスクは「またつまらぬものを投げてしまった‥‥」などと言いながら、ウイーヒックと、どこかへ去っていってしまった。
「ちょっとしっかりして! 人口呼吸いる? マウストゥーマウス? うっ酒くさ」
 千絵代はとりあえず、旦那を浴場に横たえる。
「なしゃけないかぎりでしゅ‥‥」
 絃瑞はそう言うが、千絵代は千絵代で、そんな夫をけっこう気に入っており。
「いいえ、カッコよかったわ。でも焼餅焼いちゃうわね、あなたばっかり狙われて、モテモテで」
「それをいふなら、またくしはあのおしゃるしゃんに‥‥じぇら‥‥しゅーZzz」

◆運命のアリ地獄
 そして、陽もとっくに沈み、夕食も片付けられ、すっかり夜が深まったころになって。
「‥‥うっ?」
 やっと目を覚ました絃瑞は、ゆっくりと周囲を見回す。どうやら自室の布団に運ばれ、すっかり眠りこけていたようだ。ふう、と布団からゆっくり身を起こす。
「あら、目覚めた? もう大丈夫?」
 隣室の千絵代がそれに気づき、やってきた。
「え、ええ、ご迷惑をおかしまして‥‥のわっ!?」
 絃瑞、突然に布団から跳ね起きる!
「ど、どうしたのよ急に」
「どどどうしましょう千絵さん、お布団が一つしかありません!」
「あ、あら、ほんとね(わたしが1つしか用意させなかったからだけど)」
「こ、これはやっぱり‥‥千絵さんにお風邪を召されては困ります、湯冷めなどされては‥‥わたくしは畳の上でも」
 どうぞどうぞ、と布団を勧める絃瑞だが、千絵代はくすりと笑って。
「なに言ってるのよ、お風呂から上がって何時間も経ってるし、どう考えてもあなたのほうが介抱が必要でしょ」
「いえいえ、もう大丈夫です、この通り元気まんまんですから!」
「あらやだ、元気マンマン?」
 ポッ、と頬を押さえる千絵代に、絃瑞は「そっちじゃなくてえ!」と手のひらブンブン。
「いいじゃない、ハネムーンなんだし‥‥やっと依頼以外で二人っきりになったのなら、わたしの事だけ考えなさいよ」
「いえいえ、もちろん考えていますとも‥‥出来るうちにしておいた方がいいのかなとか‥‥子供だって欲しいですし‥‥じゃなくてえーと」
「もう逃げ場はないぞっ!」
 千絵代、ガバッと夫を押し倒す!
「千絵さん、ちょっとその、心の準備が」
「体の準備ができてりゃいいの! 夫をたてるのは妻の役目、夫をたたせるのも妻の役目‥‥」
「のわーっ!?」
 こうして、別府の夜は更けていき――

◆せいいっぱいのラブシーン
『合体』
『合体』
『合体』

◆あかるい家族
 翌朝。すずめがチュンチュンいってます。
「う~ん‥‥なんて気持ちのいい朝!」
 千絵代はお肌ツヤッツヤのテカッテカで目覚めたが、その隣の絃瑞はこころなしかしなびているようにも見える。
「ちょ、ちょっと脱水症状かもしれませんが‥‥たしかに最高の朝でございますね」
 絃瑞はよろよろと立ち上がると、朝日を見上げながら、千絵代の肩に手を回す。
「結婚も終えて、新婚旅行も終えて‥‥まあイロイロ終えたけれど、本当はここからよね。わたしたち、うまくやっていけるかしら?」
 千絵代のなにげない問いに、絃瑞は、ここだけはちゃんと背筋を伸ばし、笑顔で、返す。
「歳をとらないわたくしたちは、ずっと新婚で居られると思いますよ」
「なるほど、そうね‥‥ポッ」
「あったか~い家庭にします‥‥」
 朝日に照らされる2つのシルエットが、再びぴったりと重なる。陽光に溶かされるかのように、永遠に新婚の2人は、そのまま‥‥『合体』



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参加者

z.お酒を交わして仲良くなりましょう…全員酔い潰してやりますからね!(えっ
遠野絃瑞(ka00651)
Lv223 ♂ 28歳 武忍 来世 質素
b.貴方なんか夫がこてんぱんにしちゃうんだから!(訳:やっちゃえ絃瑞)
升田千絵代(ka00869)
Lv475 ♀ 25歳 武陰 来世 傾奇