●島施設へ
SINNは各々。
死地(?)へと赴く覚悟をもって、黄金島の任務についたはずだが――どうしてこうなったのか。
「アスモデウスめ、何を考えている?」
生真面目に、首を傾げた東雲 凪(
sb4946)や。
「魔王軍の再来‥‥ですが。今回は何だか、様相が違うみたいです?」
マイペースながらに状況を理解した種子島 カグヤ(
sh3932)もまた。仲間たち皆と同じように。
今日の行動についてを決め、すぐさま取り掛かろうとするも。
「んじゃさ、アスモランドは開園したから!」
恐らくは魔王本人と思われる、アスモデウス(sz0014)一体のあとから。
「スタンプ集め、頑張ってな!」
「忘れんなよ? 人質の命運は、おまえらちゃんにかかってるぜ!」
分身体らしき、アスモの群れが念を押した通り。
人質救出という最終目標は、そのままに。アスモランドを巡るSINNの一日は幕を開け。
「あー、また面倒事に巻き込みやがって‥‥こいつら、きっちり滅ぼすか。封印しなおしたほうがいいんじゃねぇ?」
ぶつくさと文句を言うも、ギィ・ラグランジュ(
sf9609)が気分を変えつつ。
「もっとも。俺としちゃ、マリアに会える言い訳ができたし、悪い気はしないんだけどよ」
しかしながら、マリア・アンジェリーニ(sz0003)への想いは変わらず。
聖戦機関長となった彼女に、ニッと屈託のない笑顔を贈ったのち。
「ギィさん‥‥変わらないわね」
少しばかり緊張が和らいだのか、マリアもほほえみ。柔らかな笑顔を贈り返す、そんな傍ら。
「アスモちゃん、お帰りなのよー!」
レイメイ・ウィンスレット(
so0759)は、アスモデウスに対して。
あくまでも、遠くに帰ってしまった友だち。その狂喜王が開いた遊園地に、旦那たち家族を伴って遊びへ来たという認識なのか‥‥親しげに話し掛け。
「おう、俺ちゃんディアボルスだけど。そんなの関係ないよな! てなわけで、ただいまちゃ??ん!」
そういう状態の彼女へ。アスモデウスも元気よく、フレンドリーに応えたところ。
「いやはや。レイメイの度胸もさることながら‥‥悪魔たちも、また凄いもん作ったよなぁ」
それらの様子、やり取りを。
レイメイの旦那さんこと、アシル・スノーウェイ(
so8117)は後ろから。ふたつの感動でもって見守り。
「お久しぶりちゃーん。でも‥‥あれだろ? アスモちゃんってさ、構ってほしいだけだろ? 正直に言っちゃえよ」
程なくし。アーサー・ラヴレス(
sa4830)も挨拶を兼ね、こたびの核心に触れてみたものの。
「のんのんのん。俺ちゃんってば、アイドルだぜ!」
「口に出さなくても、構ってもらえるのが特権じゃん!」
アスモデウスの集団は可愛らしく、ピッと立てた人差し指を左右に揺らしながらの訂正を求め。
「まー、そういうことにしとくよ。アーさん物分かり良いから」
とりあえず、アーサーが頷き。
お互いに納得し合うのを、呆然と眺めてか。
(これが事件‥‥? ま、まぁ間違いなく‥‥悪魔絡みの事件では、あるけど‥‥なんだろう、この、気が抜けていく感じ‥‥)
ちょっとだけ、三輪山 珠里(
sb3536)は帰りたくなったのを感じたが。
(だけど‥‥人質、いるしなぁ‥‥)
もちろん、その感情には従わず。
幹部魔将モロクが見ているのと同じ、絶叫マシーンのほうに目を向けるなか。
「悪魔らしくない悪魔だとは聞いていたけど。アスモさんって、ほんとにそうなんだね」
遠目の立ち位置から、ミリーナ・フェリーニ(
sa0081)も。
どれが本物だか、分からなくなった魔王アスモデウスのピンク集団を見据え。
「それに変な任務だけど、ある意味‥‥良い機会かも。ここんところ育児が大変で、ナタリー君ともイチャイチャできなかったからね♪」
お留守番中の我が子、姉と双子たち三人の顔を思い浮かべるとともに。
ともに本作戦へ参加した夫、ナタリー・スコールズ(sz0045)のもとに駆け寄ると。
「うん。僕たちの子どもが、やんちゃしてないか気になるけど。せっかくだし‥‥今日は夫婦水入らずで楽しもう!」
そんな妻の思いに応えるべく、彼は片手をスッと差し出し――。
「‥‥ふんふん」
やがて、アスモデウスは。ミリーナらのようなSINNの夫婦たちや。
「いいんスかね、こんな調子のまま楽しんでも‥‥」
何かしら、落ち着かない様子の志島 陽平(
sa0038)に。
「うむむ‥‥きっとここで過ごすことも、大事なことなのですよ!」
ヒメコ・フェリーチェ(
sq1409)といった恋人たちが。
仲間らに先んじて、ソワソワし出したのを眺め。
「いいじゃん、初々しくて! そーゆうのも期待してっから、よろしくー! クレミアもしっかりもてなせよー!」
これは面白くなると確信したのか、一時的解散からの島巡りを改めて促したのち。
賑やかしい分身体らを伴い、アスモタワーへの移動を始めたようで。
「アスモデウスは気楽に言ってくれたけど。実際のところ、地上に来るのだって決して楽じゃなかっただろうね‥‥それでも俺たちと遊ぶために戻ってきた」
その魔王集団を、何人かと見送った神代 翼(
sb3007)はしみじみと。彼ら【狂月の軍勢】に対する思いを述べつつ。
「だったら、こっちも全力で受けて立つ。いくよ、まねく――」
SINNの仲間として。久しぶりの再会を喜び合った戸愛路 まねく(sz0055)へ声を掛けるも。
「はーい、翼さん。今いきま――きゃん!?」
ナチュラルドジっコぶりは健在らしく。何もない場所にて、彼女は盛大かつ大胆に転び。
「まねく!?」
そこへ翼たちが駆け寄り、手を差し伸べるという一連の光景を横目に。
「はぁ‥‥ほんと、あんた達って変わらないのね」
場に残されたクレミアことモロクは、そう呟くと。どことなく嬉しげに歩き始め。
そうしたガイド役に続いたり、続かなかったりと‥‥SINNの皆もようやく。本格的なアスモランド巡り、もとい攻略作戦を開始した。
●円形闘技場:控え室
とまぁ、島巡りの道中。その初め辺りに。
「おっ、レイヴェンス――」
どうにかこうにか、ゴスタ・ユオン(
sp9246)は親しい仲間の姿を目にすることができたものの。
目の前の彼、レイヴェンス・エーベルト(
sq2046)は。
「ふふっ、久しぶりのデートねっ!」
恋人の千種 蜜(
sp9590)と、遊園地デートに興じるらしく。
「なんか、照れるっていうか‥‥蜜。えっとだな、手‥‥繋いでいいか?」
「もちろんっ、いっぱい楽しみましょっ!」
照れ隠しにと頭をかき、同意を求めたレイヴェンスに。蜜は満面の笑顔をもって応え。
「むっ、アーク――」
恋人二人の邪魔はマズかろうと、視線を逸らしたゴスタは続けて。
別の友人姿を目にし、ひと声を掛けようとするも。
「兄のような冒険家を目指し、スウソと一緒に世界中を旅してきたが‥‥こりゃ、風変りな冒険になりそうだなー」
アスモランドを舞台にした様相に。
面喰い中の彼、アーク・カイザー(
sq0753)もまた。
「わーい、アークさんと久しぶりのデート! はしゃいじゃって良いのかな、とは思うけれど‥‥何ごとも全力だよね!」
元気いっぱいの恋人、上随 スウソ(
sq1318)との。遊園地デートへ向かうところの模様で。
「まあ、最後まで油断はできないが。スウソとデートらしいデートも出来てなかったし、今日はトコトン楽しませて貰おう」
「うんうん! すねられちゃっても困るし、全力で遊んじゃおう!」
互いに頷き合い、歩き出したアークとスウソの恋人二人を。
(うぐぐ、ビートたちも来てたようだし。そっち行ってみっか)
またもゴスタは温かく見送り。
上級アルゲントを成就すると同時に、達人級の優良知覚でもって探し出したビート・バイン(
sf5101)のもとへダッシュ。
「俺は後輩パラディンの未来。その加勢として、バトリングに参加だ! ゴスタも応援してくれよな!!」
頃合いを見て、声を掛けたところ。
チーム『バトってポン』のメンバーとして、ビートは円形闘技場へ赴くと述べ。
「おいっすー! もういっちょ、おいっすー!!」
独自の掛け声を用い。気合を入れる後輩――碇矢 未来(
sp5129)やらの。チームメンバーと合流。
「んー。なら応援しつつ、俺も参加かな」
何やかやあったが、彼らに同行したゴスタも。円形闘技場へ出場することに決めた。
そののち。
目的の円形闘技場、そこにいくつかある控え室のひとつでは。
「まったく‥‥あのような悪魔共に人質として扱われるとは、聖戦機関も腑抜(ふぬ)けになりましたか?」
SINN偵察隊の失態を思ってか、アドリアン・メルクーシン(
sb5618)が苛立ちの感情をあらわに。
「戦車内で寝るのも飽きましたし。私もいい歳ですから、現役引退を考えていたのですが‥‥これでは隠居生活を楽しむこともできませんね」
愛用の拳銃二丁を取り出したまま、愚痴り。
「まぁ性格上。幸せな老後を過ごせるとは、微塵も思っていませんけれども」
愛銃の手入れと並行する形で、あとの言葉を続けるも。
「人質となった方々。その所在も気になりますが‥‥今はまず、相手の要求に従いつつ様子を見る形になるでしょうか」
ここは落ち着くべきと、オルフェオ・エゼキエーレ(
si1323)が情報整理を行なった通り。
人質優先の現状は、当然ながら揺らぐことなく。
(そうだな‥‥それに正直、あの悪魔共からは。悪意らしきものが感じられない)
部屋の隅にて。黒い蝿やドラゴンゾンビやらを模した‥‥家族同然のパペットたちをいじる、ジュラルディン・ブルフォード(
sn9010)も頷き。
彼の言葉に対し、同意を示すが。
(だとしても。私は悪魔と仲良しこよし出来るほど、お人好しでは無い‥‥例外はあるが)
過去からくる悪魔嫌いは今もなお、彼女の心深くに根付いているようで。
「ただし、相手は狂喜王。魔王の一柱であることを忘れずに」
そうした思いに続くかのごとく、オルフェオが注意を呼び掛けると。
「無論、人質救出が最重要目的。ことが成った暁には‥‥この身を盾にし、誰も欠けることなく連れ帰ります」
苦笑のあと、アドリアンは己の抱く思いを真っ直ぐに伝え。
二人とともに闘技場内部の通路を抜け――挑戦者側の入場口へ。
‥‥。
そんななか、バトってポンチームの控え室でも。
「ウフフフ、久しぶりすぎて腕が鳴るわ?。出し惜しみせず、存分に戦うわよ?!!」
物静かな雰囲気から一転。
すぐにでも暴れ出しそうな、荒井 流歌(
sp5604)の隣側で。
「流歌ねえ、楽しそうだねー! あたしもだよー!」
多種多様の重装備を担いだ未来が同じく、戦闘準備は万全との笑みを浮かべ。
「毎度、ご苦労様です。義弟のウルちゃんや流歌さんら親友二人も参加するというので、私もノコノコと参りました」
さらには。茂呂亜亭 萌(
so4078)も‥‥自チームの応援に訪問中のゴスタらへ。
一通りの挨拶を済ませたものの。
「んで。なんで私まで闘技場の控え室にいるのか、聞いてもよろしいですかねぇ?」
闘技場参加に不服があるのか、チームメンバー相手に不満をもらし。
「なぜ今にも、血の雨やら酸の雨やらが降りそうな闘技場を舞台に。器鬼勢とのリアルバトルをしなきゃならんのやら‥‥私ら、機甲猟兵か何かですかい」
萌はとりあえず、言いたいことを口するが。
「えー、不在の皆さん。その名代として、ここにいるんじゃないかと」
手を挙げ、理由に答えた村正 刀(
sf6896)の言葉。
それにはもう、納得するしかなく。
「では‥‥育児のため、参加できないシスター・アシェンの名代として。シスター・刀、推して参ります」
続けざまに刀も、口上を述べ。戦いへの気合を入れると。
「「!!」」
チームメンバーとともに彼女らもまた、挑戦者側の入場口へ赴き。
「ミリーナ? 僕たち‥‥観覧車とか、そういうのにいくんじゃなかったの!?」
「えへへ。戦士としては、時々くらい危険な目に遭わないと健康に悪いしね! というわけで、夫婦一緒に戦闘ハッスルするよ!」
到着の直後に、ナタリーとミリーナ夫妻が何やら騒いでいたが。仲よきかなで良いとして。
「主よ。私達を守り、お導き下さい‥‥」
彼らが戦いへ身を投じるのであればと、顔を出していたラティエラ・テンタシオン(
sb6570)は集まった皆へ。
ラビエルの天使の環、その愛と癒しの力を伴った効果上昇の仙級サナティ――つまりは。適切なタイミングにて発揮される回復魔法を付与し。
「ラティエラ、時間だ――いこう」
「ああ、ショウ。今いくよ」
現在婚約中の恋人、ショウ・マルチェッロ(sz0058)からの合図がもと。
闘技場攻略を仲間に託した彼女も、人質捜索と救出のため。アスモランドのいずこかへと歩き出した。
●カジノ:イカサマの予感?
ともあれ。開幕したアスモランドの各場所から。
ピンク色の花火が打ち上がったり、ファンシーぽい風船がSINNの頭上を飛び交うなか。
「悪魔主催の賭場ねぇ、どんなサマ使うのか。ある意味楽しみだな」
カミーユ・ランベール(
sf0920)ら数名のSINNは、すでに。
ピンクハゲの幹部魔将、マモンが管轄するカジノ施設へ足を踏み入れており。
「相変わらず、強欲な悪魔だよなぁ」
「ええ、しぼりとられないようにしないと‥‥」
島全体と同じ、金ぴかの内装に。
ギィと‥‥その彼に誘われ、同行を決めたマリアが警戒を強くする反面。
「くっくっく、ルークス教の助祭として。交渉人仕事を続けるのも悪くないですが、やはり時々は祭りがないと☆」
腹黒な表情を浮かべたままの、須経 蘭華(
sb0118)を始め。
「んっ! ちょっと待ってよ、やるのはカジノ攻略だったわよね!」
表情こそ、仏頂面のままだが。マユリ・バルギース(
sp0231)は『マエダ』『ナカノ』『ゴトウ』と名付けたパペットたち三体の前にて。
「なんで‥‥あたしは、こんな服装してるのよぉ!」
仙級パペットコントロールの自律稼働により、彼らがどこぞから持ってきたというバニーガールの衣装姿を披露しつつも。
衣装に着替え終えている以上、まんざらでもないのか‥‥。
「ん、このっこのーっ! あんた達も兎耳つけろっ!」
文句を言いながら、マエダらをドツキ。楽しげに過ごしている模様で。
「エヘヘ。準備しておいたバニーちゃんが、役立ったみたいだねぇ?僕ちゃんうれしぃ?」
「「エヘヘへ」」
置いてたら、SINNの誰かが着てくれるであろうとの淡い願望。
それを運よく叶えたハゲの群れが、カジノホールの一画へ集まるとともに。バニーガール姿を眼福、眼福とガン見しているのを目にしてか。
「‥‥なぁ、アメリア。せっかくだし、今日は悪魔式のギャンブルを勉強させてもらおうぜ」
足を止めたカミーユは同行中の妻、アメリア・ロックハート(
sh1732)へ声を掛け。
「ああ、やっぱりそうなりますよね‥‥わかりました。百聞は一見に如かずとも言いますし、勉強させて頂きましょうか‥‥」
そんな、気分がノッてきた様子の夫へ。
しばしの考えを経て、彼女が応えたところ。
「そうだ、ついでにどっちが多く勝てるか勝負しよう。負けた方は勝った方の言う事を一つきくってことでいいよな?」
遊び心に火が点いたらしく、カミーユは口元に軽い笑みを浮かべたのち。さらなる提案をサラっと述べ。
「えっ‥‥勝負ですか? えぇ、いいですけど‥‥」
対し。アメリアは何だか、いやーな予感がしたものの。
夫の楽しそうな様子に、あと押しされ。結局は二度目の提案にも応えることにした。
夫婦勝負の果てに、どちらがナニを要求するのかはさておき。
「そろそろ、始めちゃいましょうかね?エヘエヘ」
マユリのバニー姿を充分に堪能したのか。所定の位置へ戻ったマモンと分身体らが、カジノディーラーとしての仕事を始め。
(ちょっといいコネ持ってるんだけど、こういう事に使ったら法王様とかに怒られるかもなぁ)
チップへの交換時。
自身の専用コード入りCROSSをチラ見し、使うべきか否かで悩む‥‥ギィのあとから。
「援助金を得るのも、何に使うのかも、ギィさんの自由だけど。ほどほどにね?」
察したのか、マリアが専用CROSSの使用権についてを優しく述べ。
「本当、しっかりしてきたよなぁ‥‥よし! マリアがスッちまった時はしょうがねぇ。神の教えに基づき、助けるぜ?」
そうした彼女の成長を喜びつつ、ギィがコネの使い道を決めるとともに。
「俺はお前のATM‥‥じゃなくて、騎士だから、な!」
「え、ええ‥‥もしもの時は。その、お願いするわね」
ご利用は計画的に、との良い笑顔を。マリアへ向けるなか。
「ん、あたしはとりあえず。機械系のギャンブルマシンに取り付いて、ルーチンのアヤとか確率変動の仕組みを暴くわ」
小型軽量化モデルの特殊トランクPCを、スロットの前に置いたマユリが。
電算・ネットサーフの知識&技術をもって、ある意味でのカジノ攻略へ取り掛かり。
「マエダ、ナカノは周囲の警戒よろしくね。ゴトウは‥‥皆との緊急連絡を取る時に必要だから、一緒にいてもらうわよ」
お供のパペット三体――イントルーダーのマエダ、ダンボール王のナカノ。
それと、遠隔通信のゴトウにも指示を与えたものの。
「んっんー、やっぱり暴くのは難しいかも。インターネット上で管理しているわけないし‥‥直接いじろうにも、こじ開けたら壊れそうだし」
マモンのスロットが、独立したシステムで動いていたためか。彼女は早くも、ウーンと頭を抱えたようで。
「私のほうは交渉力を生かして、レートなどを下げてもらい。カジノでのスタンプを取りやすくなるようにしますよ、必要経費にも限度ありますし」
その姿やら行為を、隠す意味合いも含め。
蘭華もまた、このタイミングにて。何かしらの動きを見せ。
(あのマモンさんが相手だと、おそらく本格的な戦闘や裏などは無いでしょう。油断は大敵ですが‥‥)
これまでの経験をもとに、マモンたちのほうへ足を向けると。
(この勝負、相手のイカサマに気付いた時‥‥こちらで対処できるか。それとこっちのイカサマを、ばれないようにできるのかがポイントだろうな)
彼女の考え方とは逆に。
自分らを含め、イカサマが行なわれるのを前提に。カミーユも動き。
(そう考えると‥‥こちらから動きにくいスロットとルーレットはパス。ポーカーもしくはブラックジャックがねらい目か‥‥ここは後者だな)
洗練された思考をもって、ブラックジャックを選択したところ。
「私もブラックジャックにしましょう。何事もフェアプレーでなければいけませんよね、イカサマは許しません――」
その様子を目にし、アメリアも堂々とした態度で。夫の彼と同じものを選び。
「「‥‥」」
マモンの隙を見て、カミーユが上級ゲミニーを成就。
卓へつく前に。双子の兄弟よろしく、同一の分身体を作り出した。
●どこへ向かおうか
てなわけで、カジノ施設のほうも――。
何かしらの盛り上がり、その兆候をみせる頃。
「「‥‥!」」
闘技場以外の遊園地施設、そのいくつかへ目を向けたSINNたちのほうでは。
「ふはははははははっ。怪盗紳士モローアッチ、華麗に参上!! 師匠の勅命により、彼の地から馳せ参じましたぞ!」
ウルちゃんこと、ウルセーヌ・モローアッチ(
sp5281)がバカ騒ぎ‥‥もとい。
久々の解放感に浮かれ、心躍らせている姿を横目に。
「ミーも師匠からの勅命を受けて来まシタ。というわけデ‥‥アータンさん、一緒に園内を巡りまショウ」
彼の友人、ジェーン・ミフネ(
sk6098)も心弾ませたまま。同じく観光作戦を実行中のアータン・モータン(sz0065)へ同行を呼び掛け。
「うむ、構わないぞ! アタシ‥‥いや、私も誰かを誘おうと思っていたのだ!」
「では‥‥まず、ウルトラスイートルームに部屋をとり。バカンスを満喫すると同時に、人質の居場所を探すのデス」
快くOKをもらったジェーンがまた、うれしそうに。
ひとまずの行き先を告げたあと。
「この年齢になって‥‥遊園地で? はしゃがないといけないとか? まじで?」
いまだに困惑し続ける27歳、セルゲイ・クルーツィス(
sc4350)のもとへ。
「いくわよ、せーちゃん。挑戦するからにはスタンプを制覇するわよ!」
幼馴染みの琴宮 涙湖(
sb1982)が駆け寄り。
「まずは悪魔屋敷ね。せっかくだし、ピンクコースを選びましょ!」
反論を許さず、問答無用で行き先を告げ。
「おい、ちょいマテや涙湖‥‥なんでピンクコースなんかを選ぶ。なんで!?」
「決まってるじゃない、面白そうだから!」
さらに困惑しちゃったせーちゃんことセルゲイを。すごくいい笑顔の涙湖が、やはり問答無用で引っ張っていったのを筆頭に。
「はー、こんな平和的な悪魔戦とか初めてだよー‥‥」
一応の引退は考えているも、パラディンの一人として参加した酒匂 博信(
sh4156)。
「いや、人質もいるんだし。気を抜かず、すぐに済まそうかー」
その彼が、お気楽な感じながら。近くの仲間たちへ真面目な意見を述べるも。
「へぇ。ピンクコースなぁ‥‥楽しめそうじゃねーか、酒匂? な?」
悪魔屋敷へ向かう仲間たちとか、博信の姿を交互にチラ見した夜霧 楔(
sh4403)は彼に対し。傷入りの表情こそ稀薄だが。
内なる感情は豊かに、悪魔屋敷への同行を促し。
「おっしゃ、返事はどーでもいい。行くぜ!!」
容赦&遠慮がないのは、人となりを気に入っているゆえか――楔も問答無用と。
「そーいうのはちょっと‥‥楔君!? あの、僕の話聞いてくれる!??」
イヤがる博信を、悪魔屋敷(ピンクコース)へ連行していき。
(で、デート‥‥いや、悪魔屋敷の攻略をするの‥‥)
(デート‥‥いや、観覧車の攻略するの!)
少しばかり、テンションは違うが。栄相 サイワ(
sa0543)と栄相 セイワ(
sa0577)の姉妹も、まずはどこへ向かうか決めたようで。
「しかし、魔王の目的も不明で。何かしらの罠があるかも知れないとなると、油断するわけにはいかんな」
一方。その彼女らを見守りつつ、眉間にしわを寄せる凪へ。
「アスモデウスの目的? そりゃ俺達ダシにして、自分が楽しむ事に決まってんだろ?」
彼の弟――東雲 燎(
se4102)は。己が狂喜王を見て、感じた通りを述べ。
「兄貴も難しく考え過ぎねぇで、こっちも奴らをダシに楽しんでやるぐらいの事考えたらどうだ? ‥‥もちろんやった事の落とし前は、つけてもらうけどな」
「‥‥むぅ」
身内だからと続けた弟の苦言に。凪は難しいぞ‥‥との表情を浮かべるも。
「凪兄、手を繋いで行こう!」
迎えに来た愛妻、セイワの前では。その難しい表情をゆるめ。
観覧車のほうへ歩いていく、そんななか。
「お、お久し振りです、サジットさん‥‥ご一緒、してくれませんか?」
サイワも恋心を抱く相手、サジット・アーナンド(sz0040)へ。お誘いの言葉を掛け。
「いいですよ。お出かけする約束もしましたし、息抜きに楽しみましょう」
以前交わした約束も生きていたのか、すんなり。
彼からの同意が得られると。
「本物の悪魔がでるのか、まぁ‥‥襲われない限りは大ウケしそうだな」
保護者としての燎を加えた三人も、談話を楽しむとともに悪魔屋敷のほうへ歩き始めた。
それに伴い。
「じゃ、ジェットコースターいくから。付いてきなさいよ」
モロクも。楽しそうな彼女らに触発されたらしく、絶叫マシーンへの移動を呼び掛け。
「あれね、とりあえず。全力で満喫することを考えておけばいいのよね」
集まったSINN仲間を前に。クローディア・エヴァーツ(
sa0076)が大きく頷き。
「いくのよ、アビス! 目指せー絶叫マシン!」
婚約中の恋人さん、アビス・フォルイン(
sa0959)の衣服。その襟元をギュムッと掴んでの先行を始め――。
「スタンプのためにも、ディアのためにも、頑張るとするよ」
実のところ、絶叫系が大の苦手だが。
好きな子を悲しませたくないという漢気のもと、アビスが連れられながらの気合を入れ。
「しかし、悪魔が従業員の遊園地、なんて、滅多にお目にかかれないものだね」
改めて思う、こたびの現状に。ただただ苦笑いする、そうしたさなか。
(ボクも結婚して‥‥だいぶ落ち着いたけど、やはり美しいモノには目がないんだ)
単独参加の人妻、十文字 翔子(
sf7297)はというと。少し遠目から。
皆と歩き出したモロクの後ろ姿を見つめるとともに。
(それに遊園地! アスモたん、モロクたんと来たら‥‥良い機会だし。コスプレしてもらって写真を撮りまくる! これに尽きるんじゃないかな!!)
湧き出る欲望を全開に。市販のデジタルカメラを取り出し、ハアハアと息を荒げており。
(うっ、すっごくヤな予感がする‥‥)
やがては、熱い視線に気付いたのか。いく度となく足を止め、後ろを振り返るモロクのもとへ。
(あ、大丈夫! ボクもプロのカメラマンだから! 芸術性の高い作品にするから! 撮った写真データは上司のアスモさんに渡すから!)
翔子も駆け寄ると、コスプレの撮影計画は隠したまま。
ともに、最初の目的施設へ向かい。
「‥‥久々に、皆の顔、見られたのは‥‥嬉しい、けど‥‥うーん」
また、SINNを伴ったモロク列の最後尾には。
アスモデウス勢との関わり合いに、まだ抵抗があるものの。続くことに決めた珠里の姿があり。
「タマちゃんは、獣医さん目指して大学かー! 頑張ってるんだねー!」
「うん‥‥壱子さん。今日は、学業の合間に‥‥」
絶叫マシーンへの道中、声を掛けてきた柴神 壱子(
sa5546)に対してはもちろん。心を許したようで、タマちゃんこと珠里は自らの近況報告を伝え。
「よーし、とんでもないことになってるけど、これも人質救出のため! 全力で遊ぶ‥‥もとい、スタンプ集めないとねっ!」
と――そんな、親しい友人との日常談話を経て。さらに気合が入った様子の壱子も。
もらっておいたアスモランドの案内パンフレットに、ぐりぐりと印を付けたのち。
「アルくん、いくよー! デート大作戦にGOGO!」
「応、まずはアトラクションを楽しんで。小腹をすかせないと、だな!」
アルくんこと、恋人のアレックス・ラウ(sz0033)を引き連れ。楽しさ全開でもって駆け出した。
●早くもスタンプGET
こうして。
「戸惑いはしましたが。つまり‥‥楽しめばいいんですね!」
対魔王武器なども用意したが。若干、天然方向に吹っ切ったスィニエーク・マリートヴァ(
sj4641)もまた。
「そう、満喫するのも任務のうち‥‥」
旦那様の鷹羽 叶望(
sd3665)。彼とのデートへ向かうと。
「あ、これ作って来たんで‥‥お土産。みなさんでどうぞ」
「こんなにたくさん‥‥ありがとうございます。アスモデウス様も喜びます」
悪魔屋敷の裏口にて。擬態中の人魔であろう遊園地スタッフを見付けた叶望は。
彼らに、手作り菓子の入った紙袋を手渡したあとすぐ。
「せっかくだ、中を覗いていこう」
悪魔屋敷の正面口へ回りつつ、スィニエークとの遊園地デートを再開。ともに通常コースへチャレンジし。
「いろいろ思うところはありますが。今回ばかりは好都合! 突然告られたときは驚きましたが、政宗さんとのゴールインが近いのですから!」
同様に、先ほど思考を切り替えたカグヤも。
「いいですね。俺たちのもリア充大爆発なデートにしましょう」
結婚近しの恋人、陸奥 政宗(
sa0958)と連れ立っての遊園地デートを始め。
(私も‥‥もうあとがありませんし、がんばりますよ! 仕事と私生活両立して見せます! 魔を断つ剣として!)
というカグヤの‥‥心の叫びがもと。
彼女らも皆に負けじと、観覧車の方面へ歩き出したところ。
「ふふ、皆でお出掛けは久しぶりですね」
観覧車近くの散歩道では。生後半年くらいの子を抱いたアーティーン・スノーウェイ(
sn2115)が。
「そうねー、学生業がいそがしかったのよー。もっとも卒業の前に学生結婚しちゃったけど☆」
「まぁ、なんだ。アーティーンは子供もつれてるし、無理のない程度に楽しんでいこう」
レイメイ・アシルの妻夫(めお)を伴いつつ、ニコニコ笑顔で歩き。
「こうやって、のんびり園内を歩いているだけでもたのしいですね。シシリーさん」
さらに、アーティーンが。
我が子アシェリーを変な悪魔に狙われないか‥‥心配そうな夫、シシリー・ドレイク(sz0067)へ声を掛けると。
「ああ、悪魔絡みのじゃなきゃもっと楽しめたんだが‥‥今のところ問題はないようだな」
周囲警戒を終えた彼は、大切なアーティーンら家族のもとへ駆け寄ったのち。
「きっと大丈夫よー、アスモちゃんに結婚したのよーってお知らせしたら。自分のことみたいに喜んでくれたし」
ゆっくり歩きながらも、レイメイたちとの何気ない談話を楽しみ。
人質のことは、それとして。アスモランドの散策を続けた。
そして、アスモランド商業施設のひとつ。
豪華絢爛といった様相の、ホテルへ赴いたSINNたちのほうでも。
(ふっ、スウソと一緒の部屋は取らせてもらった。でも‥‥スペシャルスイートはムリ!!)
一日二日で終わる、らんちき騒ぎじゃないと見てか。アークたちが早くも、一般客用の部屋を借りたようで。
そのまま恋人二人が観覧車のほうへ向かったあと。
「そりゃ。キプロスのホテル王‥‥その孫娘としては、ホテルのサービスとか気になるよね♪」
入れ替わりに、ホテルのロビーへ現れたナタク・ルシフェラーゼ(
sa2677)は。なんと‥‥ウルトラスイートルームのべらぼうな宿泊料をポンと出し。
「あとは。料金とサービスのバランスとか、避難経路の有無とか‥‥ここが悪魔達の施設であることも考慮しつつ、冷静に評価させてもらうよ」
イイとこのお嬢様であると明かした彼女が、ニッコリと笑みを浮かべながら。ホテル内のチェック作業へ取り掛かるなか。
「これで、スタンプ1個GETですネ」
続きまして。二人目のお嬢様、ジェーンもウルトラスイートルームの宿泊料金をポンと出し。
「むむむ、ナタクもだが。ジェーンも大丈夫なのか!?」
「ノープロブレム。人質奪還の必要経費としてルークス市国に請求しますし‥‥断られても、ミーの実家は財閥なので、国家予算単位でなければなんとかなるのデスヨ」
それが超高額のため、同行中のアータンが心配するも。
すぐに。ジェーンは応え、余ったお金と何とやらは使いようとも述べた。
‥‥。
それから程なくし。スイート料金とサービスのバランスが悪いとの苦情に加え、アスモスタンプ1個目GETの第一報がアスモタワーへ届き。
「値下げしたら、試練にならねーから。サービスの向上をだなー」
「へー、やるじゃん!」
「これウマイなー」
一報を聞いたアスモデウスたちが。
ほんの少し前に届けられた叶望の菓子、それをモグモグしながら。複数の感想やら、何やらを述べ合う頃。
「ミゲル。せっかくだし、カフェレストランでもどうだい?」
帰還者としても名が知れたスケベおじさんこと、ミゲル・アギナルド(sz0049)。
その彼を見付けた、ファミリア・サミオン(
sb0511)が食事へ誘い。
「いいのかい? おじさんとしては嬉しいけど」
「もちろんさね。よく言うだろ、美味しい酒とご飯は好きな人と、ね?」
久々に、ミゲルとのやり取りを楽しみつつ。連れ立ってカフェレストランへ訪れると、そこには――。
「ぐっ、まさか悪魔に歓待されて楽しまねばならんとは、魔を絶つ刃たるパラディンの私がなんたることだ‥‥」
テーブル席についたバイオレット・エアレイダー(
sa7966)が何やら、悔しげに呟き。
(しかし今は人質解放のため、リーベと一緒に。このバカげたイベントをこなさなくては‥‥まぁ人質らも、実はその辺で楽しんでいる気がしないでもないが)
葛藤を繰り返すうちに、どうにか納得できた彼女が相席にて。
「人質を救出するためだし‥‥いっぱい食べるぞー」
後輩パラディンのリーベ・レッヒェルン(sz0087)も臨戦態勢が整ったのか、メニュー表を繰り返しめくっており。
「闘技場で戦うにも武装が足らず、他の施設で楽しむのも性に合わん。とすれば、このフードファイトを制覇するしかない!!」
先輩の意地として、バイオレットも勢いよく。
食の戦いと称し、手にしたメニュー表をめくる‥‥そうした前の席でも。
「おねーちゃん。あれだ‥‥お酌、お願いするわ」
いろいろと、お疲れなのであろうアントーニオ・インザーギ(
sa5938)が。ウェイトレスのお姉さん(擬態中のスクブス)へ声を掛け。
「おひとつどうぞ♪」
「まぁ、おねーちゃんも悪魔なんだろうけど。それはそれで乙ってなもんさ」
別料金を発生させながらも、バカンスを楽しんでいる模様で。
「おねーちゃん、いいなー」
そんな向かい側の席についた直後。すぐに反応したミゲルを前に。
「そういや‥‥蕎麦ってのが美味しいと、知り合いから聞いたからね。あたしはそれに挑戦してみるよ」
懐かしいものを感じたファミリアは、ほほえむと同時に日本蕎麦を注文し。
「「!!」」
時を同じくして。バイオレットらのテーブル席からも、寿司&パフェの各注文を求める声が交差した。
●円形闘技場:チーム戦
第一チーム:アドリアン、オルフェオ、ジュラルディン――三名。
第二チーム(バトってポン):ビート、刀、萌、未来、流歌――五名。
第三チーム:ミリーナ、ナタリー、アーサー、ゴスタ――四名。
以上の出場者が、闘技場備え付けの電光掲示板に表示され。
「「――グォォォン!」」
SINN入場口の反対側から、バイクラム(バイク型)に、ヴィークラム(自動車型)といった器鬼群が飛び出してくるを戦闘開始の合図と認識してか。
「力を合わせよう」
第一チームの一人として。白魔の拳銃をかざしたジュラルディンが、指揮能力の行使がもと。
巨木軍令の錬金装束、それの効果を発揮し。
「私には、まだ。奇跡の力がある‥‥」
愛銃二丁を手に。無駄撃ち無し、かつ――ワンショット・ワンキルの心構えで挑むアドリアンや。
(今さらですが。今回のような悪魔再来もありえるのに、SINN削減してしまって本当に大丈夫なんでしょうか)
ふと、少し遠い目をしたオルフェオら。チームメンバーへ。
集団行動のさいに働く、有益な力を与えたのち。
「いけ、お前たち‥‥」
ジュラルディンが続けざまに、拳銃を構えたまま――。
「‥‥」
中級のスカイパペット、スイフトパペット、グラディウスパペットに加え。フリーズパペットの強化魔法を付与した昆虫パペット『ゴルベーザ』。
「‥‥」
中級のスカイパペット、グラディウスパペットの強化魔法を付与したドラゴンパペット『リュディア』。
「‥‥」
中級のスイフトパペット、グラディウスパペットの強化魔法。その付与に加え。
腐土奈落のサーベルを与えた魔剣士パペット『ジョージ』。計三体の家族パペットを自身の前に配置し。
「以前の、燃え盛る炎のような怒りはなくとも‥‥これは、悪を滅し、自らを浄化する炎。我が魂よ震えよ、蒼き炎となって燃え上がれ」
あとから。器鬼群からの反撃に構うことなく、突撃を始めたアドリアン‥‥その常在戦場な彼に続き。
「今考えるべきは、在庫一掃でしたね」
効果上昇のインテーゲル・グラディウスといった上級魔法、ふたつの成就でもって。
足場・機動力の確保、そして‥‥威力の底上げを終えたオルフェオが次に。効果時間上昇の中級ヴォーロ、その成就によって加速。
「「ォォン!」」
対峙する器鬼らとの距離を、一気に詰めるなか。
(‥‥そうか、ありがとう)
円形闘技場の外、植林された樹木の近くでは。
ラティエラが効果時間上昇の仙級サンウリエル、それの成就により得たフォリウムの力を用い。人質に関する会話など、居場所への手がかりを探しつつ。
「ショウ、シャムも待たせたね」
少し離れた位置で、警戒中のショウと。
上級ピスケスをもって共感状態を実行中の相棒、聖獣シムルの『シャム』ら‥‥家族がもとへ戻り。
「ラティエラのほうも、収穫はなしか」
「ああ、次へいこう」
恋人らと楽しく遊んでいるように見せながらも、彼女たちは探索の幅を広げ。
皆が望むところの人質確保へ向け、ともに尽力を続けた。
数分後。
「「ぷしゅー‥‥」」
第一チームの奮戦により破壊されたバイクラム、ヴィークラム数体の体躯が消え去り。
「細かい話は別として、脱出ルートを確認しておきましょうか」
一時的休憩のため、アドリアンらが下がったあとすぐ。
「要は在庫一掃すりゃいいんでしょ!?」
彼らとの入れ替わりに、第二チーム――。
不本意ながら、何度か目の覚悟を決めた萌。そういう彼女を始めとしたバトってポンの各メンバーが入場し。
「国民的人気お笑い番組のレギュラーになったばっかで、死んでたまるかっての!!」
心からの叫びを伴い、中級のサンラファエルを成就した萌が‥‥さらに。
上級のゲミニー成就を経て、己の分身を作り出すと。
「超絶美形パラディン、ビート・バイン参上!! さあ、俺が来たからには、もう安心! 萌も安心――」
チームメンバーへの気配りもとい、観戦しているであろうアスモのため。ビートはドヤ顔からの決めポーズを取り。
「俺達はいつだって、お早うからお休みまでクライマックスだぜ!!」
決め台詞を発するとともに。HeroTimeのバックルから、ヒーローに相応しき音楽を響かせたところで。
「うぉー! やっぱ、SINNはおもしれー子ちゃんばっかだな!」
予想通り。闘技場方面の監視モニターを用い、観戦を楽しんでいたアスモデウスらや。
「おー! ビートかっこいー!!」
見ている場所は違えど、ゴスタは似たような大歓声を上げ。
(アスモや友人への配慮も忘れない、気配り紳士の俺、マジ最高!!)
という感じで、自分に酔いしれているビートとか。
「俺も天使を宿し、ゲミニーで分身作ったら。片方はそのまま上空で、もう片方は地上でホバリング移動を――」
仙級のサンミカエルから、上級ゲミニーを成就しての戦闘準備を整えた刀たち。
バトってポンの第二チームがもとに。
「「グォングォン!」」
人数が多いことを考慮されてか。バイクラムやヴィークラムに加えて。
「「バラバラバラ!」」
スピーラム(プロペララジコン型)といった器鬼群が投入され。それらが一斉に動き始めたのを合図とし。
「「おらおら――!!」」
上級グラディウスを成就したビートと、未来のパラディン二人が。
P90のSMGと、閃のアサルトライフル射撃をもって。ひとまず器鬼群のけん制に努め。
「機動力が高そうなのばかりだし。地面を凍結させたら、タイヤ型のは一瞬だけでもスリップしてくれるのかしらね?」
仲間との位置関係を確認しながら、流歌もバイクラムなどを相手にするのを前提に。
範囲魔法での応戦を計画し、その機会を待つなか。
「んじゃ。私1号と私2号は宙に浮いたまま、フルメンを撃ちまくりますかねぇ」
二人の萌が起動させたホスティアの腕輪により。複数の器鬼が引き寄せられ、そこに彼女らの仙級フルメンが炸裂すると。
「俺らはタイヤ型の一部を誘導したのち、イグニスと日本刀とで応戦します」
二人の刀もまた。器鬼数体を引き寄せつつ、仙級イグニスをぶちこみ。
八百万断の日本刀、その斬鉄効果を伴った一撃でもって。接近してきたバイクラム一体の体躯を斬り裂いたようで。
「やっぱり一瞬じゃ‥‥スリップ狙いは難しいわね」
「‥‥グォーン!」
また、流歌の仙級ニクスを受け。一瞬だけ凍った地面もろともヴィークラム一体が凍結し、その動きを鈍らせるも、完全なスリップ状態にはならず。
「喰らえ! 今日の超必殺技‥‥十周年記念スペシャル!!」
そこへ。ビートが急接近すると同時に、不滅の三日月宗近を地面に突き立て――上級エルプティの爆発的な力を解放。
解放位置はヴィークラムの真下で、ドカーンと炸裂した一撃は器鬼の体躯を突き破り。
「流歌ねえ、ガードは任せて!」
残るスピーラム群からの反撃は。飛べない流歌に代わって、未来が徹底的にガッチリと受け止め。
「流歌さん、あとは頼みます」
あとに続く形で。萌二人がサンラファエル、その力のひとつであるアエルを用いて。
行動阻害の乱気流を起こし。
「ウフフ、とどめは私ね」
スピーラム群の動きが鈍ったところへ。笑顔の流歌がニクスを放ち続け。
「「しゅー‥‥」」
彼女らに撃墜されたラジコン器鬼らは各体、その役目を終えた。
まだまだ続きまして、第三チームの戦いへ。
「最近、腕がなまり気味なんでなあ。久しぶりに全開で行くぜ、ヒャッハーー!」
と、述べつつ。
浄牙のロードバイクに跨ったアーサー、そんな彼や。
「今日は、手持ちの火器をしこたま持ってきたよ! いい勝負しようね!」
重量過多のフル装備で登場したミリーナ、そうした彼女らの要望へ応えるかのように。
「「グォォン!!!」」
今回の器鬼群は。バイクラムの投入数が多め。
「「ォォォン!!」」 ヴィークラムの投入数も、やや多めで設定されているが。それはそうとして。
「ちょいと寂しいけど、アーさんたちがいるなら何とか!」
ヒャッハ――な、アーサーと同じく。
NRのロードバイクに跨ったゴスタもまた。気持ちを切り替えながらも、己の心を高ぶらせ。
「ぉぉぉぉッ!」
アルゲント併用の上級アニムイグネから、さらなる獣化を体現させるとともに。
カラパスの成就により、皮膚硬化の力も得た彼は。高品質ハンマーを携え――前方のバイクラム群へ突撃していき。
「ヒャ――!!」
続けざまに。効果上昇の上級グラディウス、その成就を終えたアーサーも。強化ショートランスを構えたままの突撃行動を開始すると。
「ナタリー君には、皆への癒しをお願いするね」
彼ら二人の前進を見届けたのち。ミリーナは少しの間、後ろを振り返り。
妻がいいなら、もういいやと諦めた感じのナタリーへ声を掛け。
「大丈夫。大切な夫へは指一本的に触れさせないし、僕たちの子どものためにも無事帰るよ!」
「僕も、大切なミリーナと子どものため――」
愛らしくほほえむと同時に。夫の返事を最後まで待たぬまま、M202LCの携行ロケット弾をぶっ放し。
「ゴメン、お話は帰ってから聞くよ!」
携行ロケットの全弾四発を、ヴィークラム群へ撃ち込んだあとも。
彼女は気分を高ぶらせたまま。カンプの拳銃へ持ち替え、バイク乗りたちへの火力支援を継続――。
「「しゅーん‥‥」」
それにより、ヴィークラム数体が動きを止め。
「アーさん、動きとめた!」
直後に、ゴスタからの。鋼糸の練成腕輪を用い、バイクラム一体を絡め取ったという合図に反応してか。
「ッハ――!!!」
叫びで応えたアーサーが、ライディングアタックによる一撃でもって。
そのバイク器鬼一体を撃破した。
●カジノ:ハゲとの駆け引き
カジノの続き。
ブラックジャックへ挑む、SINN夫婦のほうでは。
(分身はイカサマ警戒、俺自身は勝負に集中する作戦でいくぞ)
ゲミニーの分身を伴い、マモン一体との戦いへ突入したカミーユを横目に。
「さあ。どちらに祝福が舞い降りるのか‥‥勝負といきましょうか」
アメリアも隣側の卓へつきつつ、別のマモン――。
その分身体、もしくは本物との金銭勝負を挑み。
「エヘヘ?負けませんよぉ?」
どちらにしても、にやけ続けるハゲへ。
「ふふ‥‥お金をしぼり取られる結果にならないよう、気をつけなきゃいけませんね。でも私、賭け事には少し自信あるんですよ?」
夫カミーユと同じ、達人級の遊戯技術。それに伴った経験を持つアメリアは‥‥ひとまず。
様子を窺うべきとの考えがもと、不適な笑みを向け。
(どうしよう。スケベそう、お金に汚そう‥‥程度くらいにしか?)
達人級の対人鑑識を用いた観察行動へ移るも。
しょーもないオッサン風のくせに、これでも感情の機微につけこみまくってきた大悪魔。年季が違いすぎるためか。その真意は読み取れず。
(イカサマをしているかどうか、表情から判別できると思ったんですが‥‥)
仕方なく彼女も、気持ちを切り替えるとともに。約束のブラックジャック勝負へ取り組むなか。
「さて、本題はこっからだ」
ギィはというと、マリアを連れたまま。一台のスロットマシンへ挑戦しているようで。
「マモンさん。貴方ならわかるでしょうが、収穫の時期を間違えてはいけません」
一方。レート変更など、いくつかの交渉がため。
蘭華もマモンの一体を相手に、懐柔への言葉を続けており。
「今は作物に水と肥料を与える時。たっぷりと養分を取らせて、味の良くなったところ‥‥で収穫するのが銭儲けの醍醐味(だいごみ)じゃないですか」
「ふむ。やっぱり、あなたがたの考え方は面白い、とっ?ても興味深いものがありますねぇ?」
比喩を交えての雑談が終わりへ近付くと、頷いたハゲはいつもの笑みを。
さらに、いやらしくした感じでもって浮かべ。
「なのでどちらが得に繋がるか、今日は勉強してくださいな。無論此方もジャンジャンバリバリさせて貰いますので☆」
もう、ひと押しで落ちると考えた蘭華が。アスモスタンプGETへの条件緩和を訴えながらも。
「あ、これ黄金色のお菓子ですけど、お茶請けにどうぞ☆」
お土産入りの菓子箱を手渡したところ。
「わぉ。意味深ですねぇ?、中身はあとで改めるとして。僕ちゃんの利益にも繋がりそうだし‥‥ちょ?????っとくらいなら、いいですよぉ?ん」
怪しげな菓子箱を懐へしまったマモンは、ジャンジャンバリバリお金を使ってくれるのならと条件緩和の案をのみ。
(まぁ、普通のお菓子ですが。何とかなるでしょう)
独自の経営学やら菓子やらで、目的を遂げた蘭華が‥‥ひと息つき。
ホールの一画へ目を向ける、そんな視線の先では。
「んー、あたしもディアボルス連中と楽しく、金儲け談義がしたいもんだけど‥‥」
やはり、機械の知識なしでは分解もままならないのか。マユリが早々にスロットマシンの外部操作を諦めた様子で――。
「こんな格好じゃ、話し合いにはならなそうよね。あの悪魔‥‥エロそうだし」
何やら愚痴ったりしつつも。バニーガール姿を維持したまま、人参らしき緑黄色野菜をポリポリしており。
「お客さまぁん、何を‥‥」
「ん、あたし農産物のネット通販してるのよ。減農薬野菜や無農薬野菜も扱ってるんだけど‥‥試しに食べる?」
さすがに、その様子が気になったのか。
マモンの一体が問い掛けると。彼女は懐の辺りから、自分が食べていた野菜と同じものを取り出し。
「んっ? 皆も試してみる? まだあるから、何もつけなくても美味しいわよ」
それを、皆にも勧めた結果――。
応じた数名が、カジノホールで野菜をポリポリするという健康的な珍事へ発展した。
●悪魔屋敷:ウホッの嵐
ひょんなことから。カジノ攻略中のSINN数名へ。
マユリ持参の緑黄色野菜が振る舞われ。健康的なポリポリ音が、そのホール内に響く頃。
「「――」」
悪魔屋敷の通常コース。それを選択したスィニエークも、旦那とともに薄暗い廊下を進みつつ。
「すごいです。あれ、どうやって化けてるんでしょう!」
時おり脅かしに現れる、本物の悪魔を目にし。
怖がるどころか素直に感心するという、天然ぶりを炸裂させているらしく。
「ん、ああ‥‥それは、あれだ」
ともに進む、叶望もまた。ディアボルスの姿は見慣れているものの、急に登場したさいには心の底からビビりまくっており。
「その‥‥彼らはプロの悪魔だろうし、何かしらの秘訣があるんだろう」
だが嫁の手前、そういう姿を見せたくないのか。彼は‥‥めいっぱいの平静を装うと同時に、スィニエークからの問いへ応え。
「不思議ですね! ふふふ、楽しくなってきましたし。どんどん進んじゃいましょう!」
幸か不幸か、旦那の内心に気付かぬまま。
嫁は楽しそうに、叶望を連れ歩き。どうにか無事にゴールすると。
「こ、怖いので、手を繋いで貰っても良いですか‥‥?」
続いて。サイワ一行も通常コースを出発し、同時に彼女がサジットへ。
恐る恐るといった素振りで、お願いしたところ。
「僕たちの手で良ければ。いつでもお貸ししますよ」
片手を差し出すとともに彼は。パペットコントロールにより操作中の猫型パペット、『マダナイ』も貸し出すと述べ。
「‥‥きゃっ‥‥!」
恋心を抱く人と手を繋いだり、その人のパペットを抱かせてもらったり。
悪魔たちから脅かされ、サジット本人に抱きついたりと――忙しなく動く、そんなサイワの様子を後ろから見守ってか。
(うーん、たとえ悪魔じゃなかろうが。サイワがセクハラされたら本気で攻撃してしまいそうだ)
燎もハラハラしながら、恋人または兄妹のようにも見える二人のあとへ続くも。
「怖い‥‥怖いから、燎兄、先に行って見て来て‥‥!」
数メートル歩いては振り返り。どうにかしてと訴える義妹に対し。
「なら、パペットを先行させ。偵察しながらいくか」
頼もしく、義兄として応えた燎兄は。
中級のパペットコントロールでもって動かす、骸骨人形型パペットを廊下の奥へ向かわせ。
「「‥‥!?」」
反対に、悪魔数体を驚かせる結果になったが。彼らも無事ゴールに辿り着き。
「怖かった‥‥でも、二人とマダナイちゃんがいてくれたから」
ようやくの笑顔を見せたサイワを前に、同行者二人も楽しかったとの笑みを返した。
で、問題のピンクコース。そこの入り口には。
「ふっ、尊敬する鎌次郎先生に倣い。エロエロなアクシデントをこなせずして、何が怪盗紳士か‥‥」
通常コースには目もくれず。
堂々たる態度にて、己の順番を待つウルセーヌの姿があり。
「それに、鎌次郎先生シリーズの装備に身を固めた私には。またとない修行の好機、存分に楽しませて頂きましょう!!」
ついには彼が、意気揚々と。蜘蛛鎌スーツなど、エロエロなハプニング――。
そうした遭遇確率が上がるという各装備を纏ったまま。ピンク色の廊下へ進んでいく、その数メートル先では。
(面白そうとは言ったけど、危険な目にあうのは‥‥嫌だし。何か出てきたら、せーちゃんを盾にする、それが幼馴染の正しい使い方★)
という涙湖の、黒い考えがもと。
「はぁい、お姉さんたちとイイことしない?」
道中、スッと現れ。誘ってくる‥‥蝙蝠の翼を持ったセクシーな人魔スクブスやら。
それを華奢にしたかのような、少女姿の人魔リリクブスに加え。
「こっちへいらっしゃいな、サービスするわよん」
山羊の角を持ったガチムチかつ、オネエ系の人魔。アザゼルへの対抗策としてか。
「だから、涙湖! 何で変なディアボルスが出るたびに、俺を前に押し出す!? おい!!! 盾がわりにすんな!」
セルゲイは幼馴染の盾として、ぐいぐいと前面へ押され続けており。
「お兄ちゃん、あたしたちと遊ぼー?」
「あ、でも、お色気人魔たちの悪戯とか悪くねーな‥‥」
しかし、またもや誘ってきたリリクブスらのイヤーンな密着に彼は。ちょっとだけ――その口元を緩めるも。
「もう、せーちゃんてば! デレデレしてる場合じゃないでしょ! 気合入れるわよ!!」
声を荒げた涙湖から、二発ほど。
両の頬をひっぱたかれ。
「ハハッ。俺のほうが‥‥お好みかい?」
よろけた先にいた、首から下が青い、筋肉質のいい男‥‥そういう姿の人魔スクアルブスに受け止められると。
「‥‥ぎゃあああ!?」
悲鳴を上げると同時に、セルゲイは。
その人魔からの、言葉にできぬが。ウホッ的な悪戯に遭い――気落ちしながらも、何とか無事に脱出。
「わー! もう、そういう役回りも引退したいんだけどなー!」
さらには近くでも。ピンクコースを選んだ‥‥いや、連れてこられた博信が。スクアルブス数体からの、ウホウホッな悪戯に遭っている様子で。
「いきなり殴ってくるなんて‥‥乱暴だな、フフッ」
「でも、キライじゃないぜ?」
必死の彼が思わず、StrikeBeatのナックルを用いた抵抗を見せるも。ウホウホッな悪戯行為は止まることなく――。
「久々なんだ、いろいろとサービスしてくれよな‥‥?」
また、ウホッ行為の後ろ側にて。この状況を招いた楔が、持参のMyビデオカメラを手に。
認知に関わる中級プロデジョムなどにより。助けなくても大丈夫のを知っていたのか、博信の勇姿を録画したのち。
「あと、ちょっとぐれーいいじゃねーか‥‥減るもんでもねーんだ‥‥」
復帰するも、さらなるウホッを警戒する彼の腕へ。
からかうのも、大好きと言わんばかりに。どこか熱っぽく、彼女は自身の胸やら、お腹やらを押し付け。
「いや、ちょっと待って?! 止めて‥‥お願い! なんで僕、何年経ってもこうなるんだよー!」
叫んだものの、味方を殴るわけにもいかず。抵抗するのを諦めた博信が、静かになるのを確認してか。
「まあまあ良かったぜ‥‥お礼に、帰ったら、じっくりサービスすっからよォ‥‥」
満足した楔はニヤリとし、仙級サナティでもって。同行者の精神ケアを行ない。
「「‥‥」」
幼馴染の二人組に続き、無事(精神的な面で)にゴール。
「あ、ちょっと、それは‥‥アッー!?」
あとから。ウルセーヌもまた、ゴールを目前に。
待ちかねたエロエロハプニングに遭遇するも、それはスクアルブス絡みのウホッ過多で。
(失念していたのです。腐女子なお嬢様がたから、私は『怪盗紳士(意味深)』と呼ばれていたことを‥‥)
いく度となくウホッな悪戯行為にさらされ。消えゆく意識のなか‥‥彼は、反省するとともに。
ウホッはもちろん、鎌次郎装備の恐ろしさを知り。
(エロエロ