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企画イベント「一縷の望み」
「相談したいことがあるの‥‥」
それは決戦が迫った3月11日の夜のこと。
マリア・アンジェリーニ(
sz0003)が、SINN達に相談を持ちかけてきた。
その相談の内容はこうだ。
彼女が今決断を迫られている浄罪救世の大秘跡『ルクス・カルワリオ』。
それは蘇った聖槍ロンギヌスでアリア・アンジェリーニ(
sz0004)を貫くことで成就されるという。
だがマリアは未だ迷い続けていた。
世界を救うために、妹としてずっと接してきた彼女を死に至らしめるようなことがあっていいのか、と。
そうして悩んでいるところに、エンリコ・アルベルティ(
sz0002)は言った。
本当に、アリアを犠牲にすることがこの儀式の正しい姿なのか、と。
そこでマリアは相談することにしたのだ。
自分は、どうするべきなのか、と。
■企画イベント「一縷の望み」とは
企画イベント「一縷の望み」は、大秘跡『ルクス・カルワリオ』について意見を出す無料参加イベントです。
PCは行動宣言フォームより選択肢を1つ選び、100文字以内で自分の意見をマリアに伝えることができます。
この行動宣言は期間中何度でも行なうことができますが、最後に行なったもののみが反映されます。
また、ここで出た結果によって、最終全イベにおけるマリアの行動が変化します。
■選択肢
ア:マリアが槍を使う
この選択肢が最も多かった場合、マリアは決心し、アリアを槍で貫きます。
『ルクス・カルワリオ』は成就し、『黒い霧』が晴れる結果に繋がるでしょう。
但し、アリアは死亡します。
イ:マリアが槍を使わない
この選択肢が最も多かった場合、マリアは決心し、アリアに槍を使うことはないでしょう。
アリアは生き残りますが、『ルクス・カルワリオ』は成就せず、『黒い霧』を祓うことはできなくなります。
ウ:代わりに他のSINNに役割を託す
この選択肢が最も多かった場合、マリアはPCの誰かに槍を託すこととなります。
誰に渡すかは最終全イベのプレイング次第となり、最も状況に適したプレイングを書いたPCが受け取ることとなります。
これが選ばれた場合、何が起きるかは全く不明です。
エ:マリアが槍を使った後、奇跡を願う
この選択肢が最も多かった場合、マリアは決心し、愛情のカルマ魔法を覚えます。
そしてアリアを貫いたのち、「パッション」による奇跡の成就を試みます。
これが選ばれた場合、奇跡が成就しなければ「ア」と同じ結果になりますが、成功した場合は何が起きるか不明です。
■イベントスケジュール
行動宣言期間:02月26日22:00?02月27日23:59
結果公開:02月28日夕方?夜頃
■行動宣言はこちら
企画イベント「一縷の望み」に関する内容を記述するカテゴリー。
●使うか、使わないか
そもそも使う必要が、あるのか。
マリア・アンジェリーニ(
sz0003)から意見を求められたSINN達の中には、こうした声が少数ながらにも存在した。
「誰かに死ねなど言える筈もない」
アウグスト・ソウザ(
sa2367)は、マリアにそう言って聞かせた。
奇跡を願うのであれば、それこそ槍を使わずに願うべき、と。
「殺したくないならー‥‥別にー、止めたらいいじゃんー」
「僕も楽しいことへ逃げるのも手だと思うかなー」
意味が分からない面倒なことに対し、嫌そうな顔をした五老海 ディアナ(
sq3106)の横で、デミル・ウルゴスティア(
sd9633)は納得出来るなら逃げちゃえばと笑顔で言い放つ。
彼なりに自分で選べという促し方なのだろうが、マリアはその言葉を聞いて楽になったような顔はしなかった。
「逃げる、という意味ではありませんが‥‥」
プリム・ローズ(
sn6401)は、こう前置きした上で自身の見解を示す。
愛と赦しを与える神が、世界平和の贄を要求するとは思えない、と。
同意するように頷く紺野 きつね(
sp9415)は、世界の為の犠牲を拒否していた。
耳を傾けていたマリアに対し、使うべきと口を開いたSINNの方が多い。
マリア自身が使うのか、代わりの者が使うのか‥‥その意見は大きく分かれたが。
●神の子ではなく、人の子が
何も思いつかず、意見を求めている。
迷うならば、誰かに託せばいい。
マリアが行う必要を感じない。
こうした意見を持つSINNの数は、多かった。
「自分の意志も手放すがな」
同時に世界の命運も手放す。
煌 宵蓮(
sa0253)の意見も、ある種デミルと同じもの。
自分で考えろというものだ。
「辛くて逃げるのも意思だよね。誰も責めない。‥‥後任を決める必要はあるだろうけど」
「俺も別に逃げることは悪くねえと思うぜ。代わりに託すのも手だ」
「別にあんたがする必要ないんじゃねえの? パラディンでもねえし」
エスター・ゴア(
sq0475)の意見にラルフ・フェアウェイ(
sg4313)と来海 朽葉(
sp4469)が続く。
「別に神の言うことを聞き続ける必要もないだろう。気に喰わない。そもそも、それは思考の放棄だ。隠された何かがあり、違う選択肢の可能性があるなら、自分はアンタ以外が使うものであってほしい」
「ハハッ、神様がそんな真似をしろだなんて一度でも仰いましたか?」
ジュラルディン・ブルフォード(
sn9010)に続いたのは、烏ツ木 保介(
sd0147)だ。
あなた達みたいな女の子を犠牲にして世界を救うなんてダサいこと出来る筈がないでしょう、と言う彼を、マリアはじっと見る。
真意を測ると言うより、言われた言葉をきちんと考える為に。
「神様が言ったか言わないかは別になりますけど‥‥」
思案していたメイリア・フォーサイス(
sa1823)は、口を開く。
「神様は、他の道があると気づいてほしいのではないでしょうかー?」
そうでなければ、『装置』と言われたアリア・アンジェリーニ(
sz0004)の姿を『姉』マリアと酷似させないのではないか。
刺せる筈がないことをしたことに意味があるのでは、というメイリアの意見に同調する声は多い。
代わりに自分が、と手を挙げるパラディンも複数出てきた。
罪を背負うのは、叙任の時より覚悟が出来ている。
そもそも罪を断つ行為をパラディン以外にさせるのか。
それこそ、エクソシストのマリアがすべきことではない。
こうした意見が、立候補のパラディンの中にはあった。
「私‥‥アリアにも、死んでほしくないよ‥‥」
三輪山 珠里(
sb3536)が、呟いた。
それと同じ位、マリアにも妹殺しをさせたくない。
ジュラルディン、保介に続くように、珠里も神に言われたことだけをするのは違うと思う、と見解を示す。
「奇跡とは、ただ待つものではありません。自分達の努力で起こすもの。私達はお互い支え合うことが出来ます。運命のレールから外れようとも、皆がいれば何とかなります」
須経 蘭華(
sb0118)が微笑し、多くのSINNが犠牲を強いた平和を促すことに異を唱え、それを覆す為にもマリア以外のSINNが槍を振るうべきだとマリアへ意見する。
畳み掛けるようなものになり、流石に困惑の表情を浮かべたマリアの背中を、アントーニオ・インザーギ(
sa5938)が叩いた。
「マリアが1人で背負い込む必要はないってことさ。俺に任せておけ」
多くがそれこそ人間としての選択と言う中、アントーニオは1人、違うことを言った。
「仮にマリアがやることになっても、俺のアルケミーで悲しい結末にはさせないさ」
人の業、人の意志に賭けたい‥‥そう思っていたダニエル・マッケラン(
so1035)は、気づいた。
人としての選択を───だから、マリアではなく他のSINNが行うべきとマリアに促しているが、それはマリアが『神の子』であるという前提があって成立するもの。
マリアに『神の子』であることを、自分達が求めていないか?
人である筈の自分達が、そうして彼女は自分達と違うと言い、人間としての選択させろと言うなら、槍を使えと言う神と大差ない。
‥‥アントーニオは、マリアを『神の子』として見ていないのだろう。
俺に任せておけと言っても、マリアからその選択肢を奪わなかったから。
マリアが自分達と同じ『人の子』であるなら、『自分自身』の『選択』として『使う』というものを『選べる』よう、それを自分達が奪ってしまわないよう、彼は配慮している。
アントーニオの言葉を聞いて、マリアは少しその表情を和らげた。
●奇跡を願うか、使命に沿うか
アントーニオがマリア自身の使用へ言及した為、マリアが槍を使うべきと言うSINNが口を開く。
少数ではあるが、奇跡を願うことなく使命に沿うべきという意見もある。
「最も現実的な方法です」
ユビキタス・トリニティス(
sa1273)は、奇跡という確率が低いものに賭けるつもりかと説く。
今までどれだけの命が犠牲になったのかを考えれば、一番確率が高い選択肢を行うべき、と。
「感情だけでは世の中は動かない‥‥」
迷う必要はないという声もマリアに寄せられる中、ラチェット・トーン(
sp6693)は自身の使命を果たす責任を説き、そう言った。
「感情だけで、とは違うけど、逃げずに受け入れてほしいな」
「あたしも自分でやってほしい気持ちが強いさねぇ」
皆本 愛子(
sb0512)の言葉に頷いたファミリア・サミオン(
sb0511)は、今までの儀式が成功してきたのは、逃げなかったからだと口にする。
「ひとつ、聞いてもいいだろうか」
思案していた御剣 キョウ(
sp0401)が、周囲を見た。
「奇跡を願うのに、何かデメリットがあるのだろうか?」
キョウも彼女達の為だけに世界は捨てられないと思う。
だが、使命に沿うマリアが奇跡を願う‥‥それに対するデメリットを彼はあまり感じていなかった。
確率が低いのは事実だが、奇跡が起こらなかったから、世界が滅ぶとはならないだろう。
マリアが使命を果たした後に願われる奇跡なら、起きなくても使命の責任は果たしているのだから。
「僕もそれを受け入れ、果たした後に願うことを望んでいいと思います」
「奇跡を願うのも悪くないんじゃないかしらねん」
オズウェル・クローチェ(
sq1494)とニーチェ・シュートラー(
sp6098)も、辛い選択の先にマリアが願うことを望むのは、悪いことではないと口にする。
「主ルークスもこんな儀式は望んでおられない筈である。皆が得たカルマ魔法の力をマリアに集めて何とかできないであろうか‥‥?」
ライラ・ルシュディー(
sb2519)も、今までの戦いの中にもカルマ魔法があったからこそ人の身で発揮されないであろう大いなる力があったと口にする。
それらは、自発的に起こされたものではなかった。
奇跡を、起こす。
自発的に起こせるかどうかは、賭けだ。
奇跡を願うSINN達も、それは理解している。
マリアに辛い選択をさせた上での賭けだが、奇跡を願うSINN達はこう思っている者達が多かった。
今まで、自分達はそれを成し遂げてきた。
ならば、マリアが奇跡を起こす奇跡を自分達が起こせばいい。
彼女自身が起こせるように自分達も祈る───ひとつひとつの祈りは小さくとも、集えば大きな祈りとなる。
その祈りが、マリアに奇跡を起こす奇跡となるのではないか。
信じる力こそ自分達の強さならば、それを忘れてはならない。
けれど、それならば人の可能性としてマリア以外が使うべきという声もある。
それを一喝したのは、エステファニア・アランサバル(
so2457)だった。
「いい加減におし!」
その鋭さは、周囲に沈黙を呼ぶだけの力があった。
「さっきから聞いてれば世界を救う為に我慢しろとか‥‥。あたしは、言い伝えだろうが教義だろうが誰かが犠牲になるのはもうまっぴらさ!」
エステファニアは、もう1人‥‥奇跡を自分で起こしたい女をずっと傍で見てきた。
だから、マリアにこう言う。
「奇跡でもご都合でも‥‥アリアを空に渡さなければいい。違うかい?」
「せやね。貫いた後、取り戻したらあかん、なんて誰も言うてないやろ? そんな決まりはどこにもあらへんよ。こっちの意地、通したろ?」
郡上 浅葱(
sd2624)が、使うという選択肢を認めながらもアリアを渡すなと言うエステファニアに続いた。
「意地‥‥」
「他に何があんだよ。欲張りでいいじゃねぇか、俺達人間なんだしよ」
呟くマリアに狼牙 隼人(
sa8584)が笑った。
「待ってても、泣いても喚いても、降ってくるモンじゃないですからね。もぎ取りに行きましょう」
「マリアたちががんばってるの、神様しってるから。手を差し伸べてくれるかもしれないね」
マリク・マグノリア(
sp3854)が、ハルキュオネ・バジレア(
sh3934)が、それを願ってくれる。
「先の2000年‥‥」
ジェネレイド・キング(
se9786)が、静かに呟いた。
場の視線が、彼へ集中する。
「2000年前と同じことをすれば、2000年後も同じことが起こるかもしれん。2000年後にお前と同じ涙を流す者の可能性は否定出来ない」
「そんな歴史を繰り返してほしいとは私も思いません」
玖月 水織(
sh0007)が、ジェネレイドの言葉に続いた。
『彼』のような存在を、二度と生まない為にも───
「そうではない奇跡を、お前自身が起こせ」
祈って良いと思うと言うジェネレイド。
静かにそれを聴くマリアを見、彼女がそれを選ぶなら、彼女が奇跡を起こす奇跡を起こしてみせると水織は誓う。
「一晩‥‥考えてみる」
「それでいいと思うよ」
柴神 壱子(
sa5546)は、マリアが即断しないことを否定しなかった。
今まで彼女に寄せられた言葉が軽くないからこそ、簡単に決めてほしいと思わなかったから。
ただ、これだけは言っておこうと思った。
「私も、槍を使ってほしくないと思ってた‥‥。でも、アリアちゃんも救いたい。その可能性があるなら、賭けたい。後悔、したくないから、ね」
マリアの手の温もりを確かめるように、その手を取る。
「あなたには、可能性がある」
それは、かつて選定の剣の試練の際、彼女が選定の剣へ言った言葉だ。
マリアがそれを聞いていた訳ではないが、マリアが選定の剣のかけらを手にすることが出来たなら、マリアは『マリア』としての可能性があるのではないか。
『神の子』ではない、たったひとりの『マリア』だからこそ『奇跡』が起こせるかもしれない。
壱子は、それに賭けたい。
『皆』がいる世界を守りたい───その『皆』に、『アリア』もいるから。
「私も力になるから。マリアちゃんが今まで歩いてきた道で得た強さは、何も無駄になってない。‥‥その可能性に賭ける」
小さく頷き、マリアは部屋を出て行った。
SINN達は、彼女が後悔しない選択をすることを願う。
●少女の決意の先に未来が見えるよう
「私、決めたわ‥‥」
マリアは悩みに悩んだ末に、己がなすべきことと決意したことをSINN達の前で口にした。
「私は槍を使う‥‥でも、アリアは渡さない」
それは、奇跡を願う意思表示。
悩みに悩んだ末に決意したからか、その瞳に揺らぎはない。
「私、ずっと考えてた。槍を使用するかしないか、私にその資格があるかないか」
マリアは、そう言った。
前線で常に戦っていない、出れば出たで護衛対象として皆に守られる位弱い。
取ってつけたような『神の子』で、今まで戦ってきたSINNからすれば、自分達自身がその力で勝ち得てきたものを、最後の最後で、私しか救済出来ないのでやりますと言えるのか。
それは、彼らに対して失礼ではないのか、と。
戦う力がないことは、誰よりも知っている。
そんな自分が、いきなり世界を救えますと言うこと自体がおかしい。
しかも、救うには、ずっと皆を癒してきた、その裏で苦しんでいた妹アリアの犠牲が伴うなら、尚のこと。
人によっては、茶番と笑うだろう。
「だから、私は『神の子』として選択は出来なかった。だって、私は『人の子』だもの。皆と同じだわ」
故に、自分自身の意思として、それを選んだと言う。
「神様に言われたからするんじゃない。誰が反対したとしても‥‥私は、『アリア』と向き合いたい。『アリアのお姉ちゃん』だもの、泣いている『妹』をそのままにしておけない。神様には渡さない」
その為に、奇跡を起こしてみせる。
マリアは、今まで皆が奇跡を起こしたように、そして奇跡で得たもの、取り戻したものがあるように、自分が奇跡を起こし、『アリア』を取り戻すと言う。
「私は、この奇跡だけで世界が救えると思ってない。世界を救う奇跡のひとつに過ぎない、と思っている。‥‥私が1人じゃないなら、そういうことだよね?」
皆の奇跡が集うからこそ、世界が救われる。
2000年前と同じにならないのではないか。
マリアは意見を寄せてくれた皆の顔を見ながら、言った。
「主は、人を誤ることを含む自由を与え賜うたなら‥‥あなたの答えを否定することはないでしょう」
ソフィア・イェリツァ(
sb4811)が、静かに呟く。
「俺は神がどう言おうと、マリアの選択を否定しないよ。世界がどうとかよりも‥‥俺達は皆で、2人の女の子を幸せにする‥‥それでいいと思ってるし」
『原罪』も『奇跡』も押しつけるのではなく、自分達ひとりひとりが願う以上に起こすなら、預言も運命も超えられる。
神代 翼(
sb3007)の言葉に、ソフィアの言葉が続いた。
「人が、主から用意された答えを超え、より良き答えを掴む───その成長を願ってのことならば、『子』は成長し、『大人』とならねばなりません」
その自分達との語らいを望んでいるのでしょう、とソフィア。
最も多くのSINNが槍を使っても奇跡を願えばいい、とマリアに意見したのもマリア自身の決断を促しただろう。
マリアは、『アリア』を取り戻す為に『マリア』として選んだ。
世界を救う奇跡のひとつにしか過ぎないならば、残る奇跡は自分達が起こす。
マリアが奇跡を起こす奇跡も。
全ての戦いが終わる奇跡も。
その先にある未来が輝く奇跡も。
自分達ひとりひとりが起こす、その先で得られるだろう。
未来は、まだ何も決まってない。
『あなた』には、『全ての可能性』がある。
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