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シャークゾンビ!
オープニング◆アンナは、変装術の授業を受ける為に集まった学生達を見て、ひょいと肩を竦めた。 「みんな、悪いお知らせと良いお知らせがあるわ」 そう前置きをしてから事態を説明するアンナ。 「来週招く予定だった特殊メイクの専門家で、私の友達のミゲルが映画の撮影で急に来れなくなったの。どうやら撮影予定日が天候の関係でズレちゃったらしくてね~」 ミゲル・スミス。アメリカではお馴染みの鮫映画で、特殊メイクを手掛けている専門家だ。そのミゲルが来れなくなったというアンナの話に、楽しみにしていた学生ががっくりと肩を落とした。そんな学生に、アンナはにっこりと笑顔を向け、続ける。 登場キャラ
他の場面の撮影をしている間、ミゲルとその周りの人々は大忙しだった。 「小さい方のヘラ取ってもらえる?」 鮫が半分腐ったようなメイクを施すのに、ミゲルはシリコンを塗り込んでシワを作り、ファンデーションで人肌の部分に色を乗せていく。その上から、もう一回り小さなヘラで更にシワを作り込んでいくらしい。 「ヘラ‥‥これですね」 中藤冴香は並んだ多くの道具の中からヘラを一本選び、手渡す。 「うん、ありがとう」 ヘラでシワを調節していくミゲルの手際を、冴香は熱心に見つめている。見学しても良いですか、と申し出た冴香に、見てるだけだとなんだから道具出しでも手伝ってもらおうかな、と言ったのはミゲル。直接手伝うのは恐らく難しいから、と言われたのだが、冴香としては間近でプロの特殊メイクを見れるというだけで嬉しい話だった。 「ふぅん‥‥なるほど‥‥」 同じく特殊メイクの見学と機材の手伝いを申し出たオリバー・カートライトは、完成したシャークゾンビ役のエキストラ達の皮膚をまじまじと観察する。 「これね、すごいよねぇ。ミゲルさんってやっぱりメイクはピカ一なんだよね」 感心したように頷くシャークゾンビだが、半分溶けた頬肉から牙がちらりと見えるその顔は、お世辞にも気分の良いものでは無かった。 「あ、ああ‥‥そうみたいだな‥‥」 何もない状態から半分腐った状態のように皮膚を作り出す技術、そして鮫らしい牙、そこここから漂うおぞましさ。この技術は、すごいものだ。 「‥‥自分には出来なさそうだ」 出来ないとしても、それでも、今後の参考にはなるだろう。空き時間に、特殊メイクの皮膚に使っているシリコンを触らせてもらえるだろうか。そんな事を考えながら、オリバーはバリエーションの違う特殊メイクを順番に見せて貰うため、他のエキストラの元へと足を向けた。 撮影機材が着々と準備されていく中、見るもおぞましいシャークゾンビと化した桜葉千歳が、左右に揺れつつひたひたと歩いていた。 「鮫にゾンビとか、私にとって最高の映画じゃないですか‥‥」 にたりと笑う千歳だが、シャークゾンビの顔は口角が僅かに上がったせいで怖さが倍増している。 「あの家とか‥‥あぁ、あそこには同年代のエキストラさんはいらっしゃるのでしょうか」 生前の記憶があるというのであれば、自分が狙うのは間違いなく同年代の人間のはず。なんせ、自分で言うのもなんだけど、これだけ妹の事を溺愛しているのだから。 「うわ、なかなか壮観だね」 外をぞろぞろと歩くシャークゾンビ達を眺めつつ、ゲルト・ダールが呟く。自身もその恐ろしい光景を産み出している一人であるとはいえ、これだけの数のシャークゾンビが闊歩していると、なかなかに背筋が寒くなる。映像のエンターテイメントは、こうやって作られていくのか、とゲルトは感心して、一人頷く。 「あ、結構細かい所も作り込んでるね」 ゲルトは他のエキストラのメイクを観察し、感心して呟く。それから、他のシャークゾンビ達と同じようにふらふらと歩いてみる。頭が重たく視界が悪いせいで、普段と同じようには歩けない。これもまた、ゾンビらしさを醸し出して良い演出になっているのだろう。 そんな風に徘徊するシャークゾンビ達と、家並みを確認し、スーツ姿の陳華龍は前髪に手をやり、考える。 通行人としてシャークゾンビに襲われる予定ではあるが、果たしてどの辺りがいいだろうか。エキストラに対しての指示としては、自然な感じでシャークゾンビ達に襲われて下さい、というアバウトなものだった。自然な感じ、か。 「演技の経験などはないのだが‥‥」 呟きつつ、華龍はカメラや機材を準備しているスタッフ達の方へと目を向ける。その間をふらふら挨拶に回っているらしいアンナが、ちらりと視界に映る。 「アンナ先生の無茶振りとあらば」 やるしかあるまい。華龍は覚悟を決め、ネクタイをきゅっと絞め直した。 ◆ 「こっちに照明向けてー!」 「はい!」 折角の機会だから、と機材運搬の手伝いも買って出た冴香。ついでだから、とそのまま照明の微調整などの手伝いもする事になったのだ。 「これが皮膚に使うシリコンだね。色は調整して、練り込んであるんだけど」 シリコンを少し触らせて欲しい、と頼んだオリバーに、メイクを終え手の空いたミゲルは快く応じた。 「へぇ‥‥ありがとう」 手渡されたシリコンをぐにぐに触りつつ、オリバーは礼を述べる。 「これにシワとかを刻んでいくんだ。こういう、ヘラとかを使って」 ミゲルはポケットから出したヘラをオリバーに手渡した。 「良かったら、ちょっと弄ってみなよ。僕は向こうのエキストラさん達のメイクをちょっと確認してくるから」 そう言ってくれたミゲルに、オリバーは大きく頷いた。 監督の合図に、エキストラ達はそれぞれに動き出す。 とある民家の中では、平和な家庭を演じるエキストラ達が食事をしていた。そこには一台のカメラと、カメラマン。照明も用意されているが、エキストラの振る舞いはそこに何もないかのような見事なものだった。 「お母さん、バター取って~」 学生らしき女の子が、パンをトースターから出して、母親役に手を伸ばす。 「それくらい自分で取りなさいよ。はい、バター」 冷蔵庫からバターを取り出して、母親役は呆れたように肩をすくめ、手渡す。 「ありがと!」 女の子がそう言って、にっこりと笑ったその瞬間。 「いもうと‥‥わたしの‥‥いも、うと‥‥」 小さく聞こえる呻き声、それと共に、バリーン! と窓が割れる。 「きゃあっ!!」 「みつ、けたぁ‥‥!!!」 部屋の中に飛び込んだ千歳は、その恐ろしく爛れた右腕を彼女へと伸ばしたのだった。 「あ‥‥ぁ‥‥」 公園で山を作って遊んでいる子ども達ににじり寄るゲルト。その声は、いつもより低い。 「‥‥なに、あれ?」 男の子が指差し、向かいに座っていた女の子が、持っていたシャベルを取り落とす。 「こど、も‥‥あぁぁぁぁぁっ!!!!!」 がばっ、と両手を広げつつ襲いかかるゲルトに、二人の子どもは道路の方へと逃げていく。その外の大通りを歩いていたのは、華龍扮するサラリーマンと、その他大勢の通行人役のエキストラ。 「が、あぁぁぁぁぁ!!!」 ゲルトが子どもを追いかけ公園から出ていくと、それと相前後してそこここの隙間やら生け垣、家の窓からシャークゾンビ達が現れる。撮影と知らない人が見たら、衝撃的すぎる光景だ。 「なんなんだ、こいつらは!!」 華龍は顔をしかめながら、逃げてきた子ども達に手を伸ばす。彼は子ども二人の手を握り、引き寄せてその背中を押した。 「逃げろ!!」 ためらいがちな二人に笑顔で頷いてから、華龍は振り返る。すると、波のように押し寄せるシャークゾンビの姿が視界に入り、反射的にスーツの内側へと手を入れる。取り出したのは、大口径の拳銃。一般市民が持つには些か大きすぎる拳銃ではあるが、確かに一般的に流通しているものではある。一応、監督に事前に確認し、撃たなければ可との回答を得たその拳銃を、華龍は構える。ちなみに、万が一の誤射の可能性を考慮して、中の弾は抜いて、スタッフに預けておいた。 「これは人殺しではない‥‥やつらはもう、人では‥‥っ!!」 演技は出来ないから、と、この事態を現実として想定した華龍は、素早く照準を合わせていく。そして、引き金を人差し指が引こうとした、その時。 「ぐがぁぁぁぁ!!!!」 若い女性のシャークゾンビが華龍の拳銃に手をかける。 「?!」 あっという間に拳銃を取り上げられ、焦ったのも束の間。 「あ、ぐっ‥‥くそっ‥‥!!」 わらわらと雪崩のように押し寄せるシャークゾンビ達に飲み込まれていく華龍。 「アンナ‥‥すまない、私は‥‥」 呟いた声は、雑踏に紛れてマイクにも拾われず、ただ華龍の胸に残るのみとなったのだった。 「はーいみんな、お疲れ様~!」 せっかくだからとミゲルから色々と話を聞いている冴香とオリバー、他のエキストラ役の面々はそれぞれメイクを落とし衣装から私服に着替え、休憩を取っていた。そんな学生達がいる休憩所にやってきたアンナは、人数分のペットボトル飲料を持っていた。 「はい、監督からみんなにって。好きなの持っていってね」 受け取った千歳とゲルトは、希望を聞きつつ一人一本ずつ配っていく。 「今日予定されていた他の撮影も終わったわ。だから、私たちの出番はもうおしまいね。みんなのおかげで良い画が撮れたって言ってくれたわ。ありがとね」 そう言うアンナに、ゲルトはたずねる。 「僕の演技、確認出来そうなら見せてもらいたいんだけど」 「そうねぇ‥‥頼めば見せてくれると思うわ。あっちの方にスタッフさん達が集まってるから」 テントの方を指差すアンナに、ゲルトは頷く。 「わかった。ちょっと聞いてくる!」 走っていくゲルトを見つつ、千歳はうーん、と唸り。 「私は公開を待ちましょうか‥‥。部分的にでも観てしまうと、後の楽しみが‥‥」 その様子を見るに、公開が本当に楽しみなのだろう。 「あの、もう少しお話聞かせていただいても良いですか? 勿論、お時間があればですけど」 ミゲルにそう頼む冴香。そんな冴香に、ミゲルはにっこりと笑う。 「この後のスケジュールは無いからね。元はと言えば僕の都合でこっちに来てもらったのだから」 頷くミゲルは、オリバーの方へと視線を向ける。 「さっきシリコンを使ってみてどうだった? 少し一緒にやってみるかい?」 その申し出に、オリバーは数回目を瞬いて、こくこくと何度も頷く。 「教えて貰えると嬉しい」 そんな彼らを眺めつつ、アンナは華龍の横に歩いていく。 「ところで、最後のところ‥‥何か言ってなかった? カメラの角度的にも音量的にも、何て言ってるか全然わからなかったのよ。なんだか気になっちゃって」 そう問うアンナに、華龍は数秒考えてから。 「いや‥‥演技は出来ないものでな‥‥。色々と、考えたんだ」 華龍の答えに首を傾げるアンナに、華龍は僅かに目を細めたのだった。
参加者
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