'; document.write(js_file); var sflg = smartphoneCheck(); if(sflg == 1){ if (window.innerHeight > window.innerWidth) { document.write('\n'); } else{ document.write('\n'); } document.write('\n'); } else{ var rand = Math.floor( Math.random() * 100000 ) ; var css_file = 'https://rexi2.net/pd/css/style_pc.css?' + rand; document.write('\n'); document.write('\n'); } function map_show(){ // キャンパスの要素を取得する var canvas = document.getElementById( 'map-canvas' ) ; // 中心の位置座標を指定する var loc = '40.75703233635132,-73.9945317844863,6'; var ary = loc.split(","); var latlng = new google.maps.LatLng(ary[0],ary[1]); // var z; var z = ary[2]; if (z == '' || z == undefined){z = 15;} z = parseInt(z); // 地図のオプションを設定する var mapOptions = { zoom: z , // ズーム値 center: latlng , // 中心座標 [latlng] }; // [canvas]に、[mapOptions]の内容の、地図のインスタンス([map])を作成する var map = new google.maps.Map( canvas, mapOptions ) ; // ドラッグできるマーカーを表示 var marker = new google.maps.Marker({ position: latlng, title: "", draggable: true // ドラッグ可能にする }); marker.setMap(map) ; // マーカーのドロップ(ドラッグ終了)時のイベント google.maps.event.addListener( marker, 'dragend', function(ev){ // イベントの引数evの、プロパティ.latLngが緯度経度。 var lat1 = ev.latLng.lat(); var lat2 = ev.latLng.lng(); document.getElementById('gmap').value = lat1 + ',' + lat2; }); } -->
【MP】Mad Parade
オープニング◆大学生のアレシア・レヴェリッジはポスターの前で足を止める。 大学に入学するに伴い、去年の秋にネバダ州から一人ニューヨークに移り住んだアレシアにとって、この地で迎える初めてのイースター。 バイト先でも大学でも友人達に、かわいい衣装を着てくる、と大見得を張ったのだが、彼女はまだ衣装もイースターボンネットも何一つ用意できていなかった。 ネバダ州ではニューヨークほど盛大なパレードではなかったから、果たして何を着ていけば良いのだろうか。お金はないけれど、友人達の手前、そんなダサい格好なんてしたくない。 ただでさえ、アレシアは常々ネバダ州なんて砂漠だらけの土地から来た、という漠然としたコンプレックスを抱いていた。友人達が気にしなくても、アレシア自身が気になる。 登場キャラ
「アレシア! その衣装、すっごい可愛い〜!」 「昨日SNSで見たけど、やっぱり良いよ、それ」 友人五人ほどに囲まれて、アレシア・レヴェリッジは得意気にスカートの裾を摘まむ。 「でしょ?! 帽子もすごい可愛いの!」 「時計とトランプがついてるね。ってことは、不思議の国のアリスがモチーフでしょ?」 そう言う友人の一人に頷くアレシア。 「そうなの! だから、今日のあたしは不思議の国のアリスなの」 なんて言えば、周りの友人達はないない、似合わない、なんて若者特有の口調で言いながら、アレシアを囲んで歩き出す。パレードとは言うものの、特に決まりは無い。適当にふらふらと歩いて、カメラで写真を撮ったり、美味しいものを食べたり。 要は、楽しければ良い。そういうお祭りだ。 マクシム・ヴェッカーがSNSの情報から割り出したのは、アレシアが友達と待ち合わせをするであろうエリア。そのエリアを中心に、学生達は張り込みをしていた。 「あれか?」 リュヌ・アカツキの視線の先に居るのは、若い女の子の一団。移動しながら一人一人の顔を確認していくと、予めアレシアの顔を登録していたコンタクトが反応する。 リュヌは、バイオリンを片手に彼女達へと近付いていく。怪盗姿をベースにアレンジを加えた格好と、片手のバイオリン。今のリュヌはパフォーマーの一人にしか見えない。 「すいません。少々お尋ねしたい事が」 「どうしました?」 アレシアに声をかければ、首を傾げながら応じてくれる。 「あの‥‥俺、初めてこのパレードで演奏をするんですけど、まだ時間があって。オススメのお店とか、道順とかあります?」 予めSNSの情報を分析して、ほとんど彼女の予定は把握していた。だから声をかけたのは、念のため。彼女が気になる店があるのなら、立ち寄る可能性は高い。マッドハッターがどこまでアレシアの情報を把握しているかは知らないが、情報は無いよりあった方が良い。盗む対象が厄介で物騒なのだ。慎重になりすぎるくらいが丁度良い。 「あ、それならこっちにまっすぐ歩いていった先のファストフード店とか。私たちも行く予定のお店なんですけど、この辺りだと一番美味しくて、雰囲気も良いんです。あとは‥‥どこかな」 アレシアと、彼女の友達とに一通り話を聞き、リュヌは笑顔で礼を述べる。 「ありがとう。参考になったよ。後でパフォーマンスやるから、よろしく」 踵を返しながら、リュヌは仲間達に連絡を入れるため、Aiフォンを取り出した。 「はっぴーいーすたー!」 アレシア達に向け、比良賀ソラはにっこりと笑顔で手を振る。彼女達は、パレードで浮かれた東洋人と思ったのか、くすくす笑いながら手を振り返す。 「その格好は?」 アレシアの友人に問われたソラは、自身の纏う衣装をつまんで、くるりと一回転。イースターボンネットに卵をつけて、その他は黄色を基調にポップな色合い。 「イースターだから、卵かなって」 アニメに出てきた魔法少女的なものをイメージしているのだが、彼女達にはわからないらしい。ソラは、まぁいいか、と肩をすくめ、アレシアに問いかける。 「ところでその衣裳、アリスかな?」 アレシアは、満足げに頷く。 「うん。可愛いでしょ?」 「後ろも見たいな。くるっと回ってみせて!」 ソラは徹夜で作った彼女の爆弾付きイースターボンネットのレプリカを思い出す。あれは今、すり替え班に託している。 アレシアがSNSに上げた帽子の画像を元に作成したのだけれど、つけ忘れている飾りとか、見えなかった部分とかは無かったかな。 そんな事を考えるソラに、アレシアは笑顔で頷く。 「良いわよ!」 アレシアは嬉しそうに、くるくるくると三周も回ってみせた。 「ありがとっ!!」 ソラは、前も横も後ろも、見たところ完璧に複製出来た事を確信する。それから彼女達に手を振って、背を向けた。 「あんなにいいデザインの帽子を作れるのに、残念なやつー」 ソラは呟き、徹夜の疲れを解すように背伸びをした。 「やり口が面白くないんだよね。エンターテイメント性が無い」 ゲルト・ダールは呟く。リュヌから連絡を受けたゲルトは、アレシアと友人達、ソラが見える位置まで移動してきた。 ソラが手を振り、アレシア達の元から離れていく。それと入れ違いになるように、ゲルトはゆっくりと歩き出す。店の軒先や、街灯に括られたイースターの飾り付け。カラフルな卵や、リボン、風船。それらに目を奪われている観光客を装いながら、注意深く近付いていく。 アレシアが輪の外側に出たタイミングを狙って一歩踏み出せば、軽く肩が当たる。 「ごめん」 「大丈夫です。あたしこそ、しっかり前見てなくて」 謝罪するゲルトに目を向けるアレシア。そのタイミングで、ゲルトは暗示を込めた言葉を紡ぐ。 「そういえば‥‥ぼくは予定通りに、ゆっくり歩くのがいいのかなって思うんだけど。あなたもきっと、そう思うよね」 「あたし、も」 頷くアレシアに、ゲルトは笑いかける。 「それじゃあ、良い一日を。また会うかもしれないね。ハッピーイースター!」 そう言って、ゲルトはひらりと手を振り、その場を去っていく。アレシアは不思議そうに首を傾げ、その後ろ姿を眺めていた。 「さて、アレシアさんの場所は把握しましたね。あとは犯人の居場所ですか‥‥」 マクシムはミニバンの中でPCのディスプレイを確認し、呟く。しかし、犯人の居場所については別動隊が動いている。であれば、犯人の目だけを気にしながら、爆弾の処理に集中すべきだろう。マクシムは協力を仰いだ市警察からの情報と、ドローンからの映像に目をやる。 (仕掛けるポイントは当初の予定通り、ファストフード店の前の大通り。道幅のわりに街灯などの障害物が多く、見通しが悪いポイント‥‥マッドハッターから確認しにくいはず) マクシムは仲間達に予定通りにやってくれるようにと連絡を入れてから、ファストフード店の裏手に向け移動を始めた。 ◆ 「そろそろ来る頃ね?」 アレシア似の女性に変装したアンナは、隣に立つ陳華龍に視線を向ける。 「アンナ先生‥‥協力、感謝する」 そう言ってコック帽を被り直した華龍に、アンナは、肩をすくめる。 「いいのよ。何せ、これだけ沢山の人の命がかかっているのだから」 犯人の視線をアレシアから外すために、アレシアに変装して欲しい。そう頼まれたアンナは、似た人に変装するなら良いという条件で了承した。まるでそのまま本人のようになってしまうと、逆に怪しまれる可能性がある。しかし、似た色合いの似た顔の人であれば、もし犯人が気付いたとしても偶然の一致で済む。 「ああ」 失敗することは許されない。華龍が小さく息を吐いた時、予定通りに道の右側からアレシア達が歩いてきた。それに気が付いた華龍は、華龍と同じくコック帽を被ったエキストラ達に合図を送る。すると、エキストラ達は大通りの真ん中を囲むよう、徐々に移動を始めた。 それとほぼ同時に、通りの真ん中へと移動を始めたヴェロニカ・ラプシア。彼女は華やかなドレス風の衣裳に身を包み、頭にはシルクハットを被っていた。シルクハットの下にはもう1つ、ソラが徹夜で作ったマッドハッターの帽子のレプリカ。因みにヴェロニカがツテを使って作らせたハリボテの帽子は今、人混みに紛れているアンナの頭の上にある。 アイザック・ブライトンは大通りを見下ろせるビルの屋上から様子を確認し、シェルバルーンを吊るした気球を見上げる。気球は大通りの真ん中から若干西にズレた場所に浮かんでいた。 「東に五メートル程位置を修正し、待機をお願いします」 アイザックの指示に、気球の操縦士は短く了承の意を伝える。その直後、気球は通りの真ん中へ向け、ゆっくり動き出す。それに合わせ、アイザックもドローンを移動させていく。 その頃大通りでは、リュヌがファストフード店の手前でバイオリンを構え、立っている。その向かい側、真逆の位置にある壁際を歩くアレシアがリュヌの視界に入った。 「さっきの!」 アレシアとその友人達がリュヌに気が付いた。 「では、一曲」 彼女達が近づいてきているのを確認してから、リュヌは弦に弓をあてる。犯人まで届くかどうかは賭けに近いが、他の通行人達やアレシアの友人達の注意を引き付けるには十分効果の見込める距離。 リュヌの周りに集まってくる人々。それにつられるように近付いてくるアレシア達。そんな彼女達の前後左右を、コック帽のエキストラ達と華龍が囲んでいく。その様子を確認したリュヌは、弓を引く。催眠効果のあるバイオリンの音色が、大通りに満ちる。 「綺麗な‥‥曲‥‥」 ぽつりと呟くアレシアも、他の人々も、ぼんやりとリュヌの方を見つめている。 その時、アレシアの近くに移動したゲルトが、指輪を落とした。転がる指輪は、狙い通りにアレシアの足に当たって止まる。 「ごめん、足元の指輪‥‥取ってくれないかな?」 「‥‥え? あ、はい」 うわの空になっているアレシアは、暗示を込めたゲルトの言葉に頷き、しゃがみこむ。 「今だ」 至近距離でその様子を確認した華龍の合図で、アイザックはドローンを操作する。気球とドローンで吊り下げていたシェルバルーンから、大量の紙吹雪が投下された。パステルカラーのピンク、黄色、水色。白と、金色、銀色。全て、帽子に使われている色だ。アレシアの斜め後方に立つヴェロニカは、その瞬間、ファントムワイヤをアレシアの帽子目掛けて射出する。 ヴェロニカはアレシアの帽子を引っ掻け、自分のいる方へ、なるべく自然を装い引き寄せる。 「あっ‥‥やだ、行っちゃう!」 アレシアは慌てて帽子へと手を伸ばす。しかし、帽子はアレシアの指先を掠めて遠ざかっていく。 「待って!」 帽子を追いかけるアレシア。人混みの真ん中にいる華龍が、ヴェロニカの姿を隠すように僅かに身を引く。 「すいません! ちょっとどいて!」 華龍に叫ぶアレシア。華龍はまるで気が付かなかった、という風に目を丸くする。 その隙にヴェロニカがしゃがみこみ、自身の被るシルクハットをアレシアの帽子に被せ、自身の頭にあるレプリカに素早くすり代える。そして、本物の帽子は、ヴェロニカの頭の上へ。 「ああ、すまない」 謝罪し、身体を横にどかす華龍。アレシアは手短に礼を良い、大慌てで華龍の横を通り抜ける。それから、慌てたように左右に目を向け帽子を探し始めた。そんな彼女へ、ヴェロニカは柔らかく微笑みながら、レプリカの帽子を差し出した。 「これ、貴女のね?」 「帽子‥‥!! ありがとう!!」 嬉しそうに礼を言うアレシアに帽子を手渡し、ヴェロニカは踵を返す。さっと人混みに紛れ、ファーストフード店の横の路地へ向かうヴェロニカ。それを見たアンナは、逆に人の少ない方へと歩みを進める。それから小さく息を吐き、肩をすくめる。 「見てるかどうかはわからないけれど‥‥念のため、ね」 目立つところを狙って歩くアンナ。アレシアはというと、友人達と合流し、リュヌの演奏に耳を傾けていた。 「こっち」 手招きする氷見彩玻に、ヴェロニカはシルクハットごと帽子を手渡す。 「じゃあ、よろしくね」 彩玻はこくりと頷いて、路地を抜け裏につけているミニバンの扉を開ける。 「待ってましたよ」 ドローンで状況を確認しつつ待機していたマクシムは、ECMを起動してから帽子を受けとる。見た目を確認し、時計の部分に手を伸ばす。慎重に帽子本体から時計を外せば、その裏側から続くコードと、帽子の外側と内側の生地の間に貼り付けられている爆薬を見つける。 「この時計との連結を解除すれば爆発は防げるはずです。さっさと終わらせましょう」 集中して作業に取りかかったマクシムに、彩玻は取り敢えずミニバンから出て、念のため外の警戒に当たる事にした。 「良かったわ。じゃあ、任務完了‥‥ね」 Aiフォンの通話終了ボタンをフリックしたアンナ。通話の相手はベイリーで、犯人は無事確保できたという。爆弾は処理され、そして犯人も逮捕。マッドハッターによる事件は、こうして幕を閉じた アイザックはマッドハッターに一言‥‥悪趣味な帽子だった、と伝えたいらしいが、それは後程、本人が伝えれば良いだろう。 変装したままのアンナは壁にもたれ掛かり、息を吐く。細い路地の隙間、中途半端な所にひさしと室外機があるせいで、隣のビルの窓からでも見えない場所。アンナはメイクをハンカチで拭いながら、振り返る。 「お疲れ様。それで‥‥どうしたの?」 数メートル離れた場所に立つ、華龍にアンナは問いかける。追いかけてきていたのには気付いていたが、優先順位というものがある。一通り終わるまで待っていてもらったのだが、その間も華龍は静かにそこでただ、立っていた。 「貴女に、渡したいものがある。受け取ってもらえるだろうか」 そう言って華龍がポケットから取り出したのは、卵型のトップ付きネックレス。出店か大通り沿いの店で買ってきたのだろう。アンナは、首を傾げて右手を伸ばす。 「私に?」 頷く華龍は、アンナが出した右の掌に、ネックレスをのせて僅かに目を細めた。 「貴女が卵から孵ったその日に因み、贈り物を」 「‥‥‥‥覚えていて、くれたのね」 ふわりと笑ったアンナは、右手のネックレスをぎゅっと握りしめたのだった。
参加者
|