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占い師にご用心
オープニング◆「はぁ‥‥」 バーの二人掛けの席に腰掛け、溜め息を吐く一人の若い女性。手元にあるのは、ジントニック。 「また振られちゃった‥‥」 付き合ってきた彼氏に振られ、落ち込んでふらりとバーに来た彼女は、折角頼んだカクテルにも手がつかず、グラスの外側は結露している。 「はぁ‥‥‥‥」 登場キャラ
扉を開き、店内へと入ってきたのは、アルカ・アルジェント。アルカはすん、と鼻を鳴らしながら、目元を僅かに拭っている。その手元では指輪がきらりと煌めく。 「おすすめを」 「畏まりました」 頷くマスターに目を向けたあと、アルカは窓際の席へと歩いていく。 「なんでこうなってしまったのかしら‥‥」 腰掛けながら呆然と呟くアルカに、サングラスをかけ、黒い帽子を被った女性が近付いた。 「失礼? 貴女、何か辛いことがあったのね? もしかして‥‥恋の悩み、じゃないかしら?」 向かいの席に腰掛けながら、女性は問う。 「なんで、解ったの?」 問い返すアルカに、女性は口角を上げた。 「私、占い師をやっているのよ。少し、お話を聞いてもいいかしら?」 事前にアンナに聞いた話と、小林三代が昨日一昨日と通って確かめた手口と同じ。アルカは再度涙を拭い、続ける。 「私、フラれてしまったの。カレには妻子が居たのよ。だから、悪いのは私‥‥」 コトン、と、目の前にカクテルが置かれる。中身は、マンハッタンだと言う。マスターが遠ざかる足音を聞きながら、アルカは足元に視線を落とす。 「貴女は悪くないわ。悪くなんて無いのよ。女は恋をするもの。恋は、悪では無いでしょう?」 優しくかけられる言葉に、アルカは静かに視線を上げる。 「悪いのは貴女では無いわ。見えるの‥‥貴女のその、指輪。それが貴女を不幸にするのよ。悪魔‥‥かしら、宿っているわ」 「指輪を捨てれば良いの?」 視線を上げて尋ねれば、女は首を横に降る。 「それでは貴女にまた不幸が舞い降りる。その指輪は、貴女が善意で誰かにそれを譲渡したとき、貴女を幸せにするわ。誰かを助けるの。困っている人が‥‥貴女を、待っているわ」 ゆっくりと頷く女は、扉の方へと目を向ける。それを見て、アルカは頷く。 「そっちで待っているの?」 アルカはそう呟き、マンハッタンを一気に飲み干して、立ち上がる。 「ありがとう、私‥‥幸せになるわ」 「彼が詐欺師だね」 道の向かい側の物陰に身を潜め、紅嵐斗は呟く。瞳のコンタクトは彼が詐欺師であると示している。その視線の先で、壁に凭れ掛かる詐欺師は、耳元に手を当て、小さく頷いた。それから、イヤホンを外し、ポケットに突っ込む。 「そろそろ、かな」 嵐斗が呟いた瞬間、道の向こうから現れたアルカと、がくりと項垂れた詐欺師。アルカはそれを見てはっとする。それから、一言二言、言葉を交わす。手を差し出した詐欺師に、アルカは少し考えるように俯いて、それから首を横に降る。 (移動する準備をしないと) アルカが何と言ったのかはわからないが、詐欺師は目を見開き、そして首を横に降っている。きっとこの調子だと、予定通り事が運ぶ筈だ。嵐斗はそう判断し、痕跡が残っていないか確認した後、物音を立てないように移動を始める。 嵐斗が身を潜めていた物陰からこっそりと一本裏の通りに出て、なんでもない顔をして、アルカと落ち合う予定の方角へと歩き出したのと同じ頃。 「私‥‥今日、フラれてしまったの。貴方もそんな酷いことがあったのなら、私の気持ち、わかるでしょう? 私たち、似てるわね」 耳元で囁くアルカに、詐欺師は小さく頭を降る。 「わ、悪いけど‥‥俺、連絡しないといけない所が‥‥お、おふくろ‥‥が、心配する‥‥」 そう言う詐欺師に、アルカは胸を寄せ、艶やかに目を細める。 「お母様が? いけないわ、早く連絡してあげて?」 「あ‥‥ああ」 そう言うアルカに、詐欺師はかくかくと痙攣するように頷いた。 会計を済ませる長髪の男性の背を見るともなしに見つつ、女性はスマホを耳に当てる。そして、聞こえてきた男性の声に微笑む。 「わかったわ。じゃあ、後で」 相棒からの定期連絡を受けたサングラスの女性は、目の前のグラスを軽く煽る。ビッグアップルのオレンジ色が、照明を透かして僅かに女性の虹彩を染める。 その時、帰っていく長髪の男性と入れ違いに令嬢風の女性が現れる。胸元には大降りな宝石がゴールドのチェーンに繋がれて揺れていた。 「あんな男‥‥」 呟く声を聞き、彼女は僅かに目尻を細める。 「あら、珍しい」 カモが二人も来るなんて。入ってきた女性の沈んだ顔と潤んだ瞳を見て、今日はツイてる、なんて思いながら、彼女は女性が座った席へと近付いていく。 「貴女‥‥何か、悪いことがあったのね? 当ててあげる‥‥この感じ、失恋、かしら?」 「‥‥ええ」 頷く女性は、机の木目を数えるように俯いたまま、此方を見ようとしない。凄く落ち込んでいるのね。そう結論付けた彼女は、酔いも相俟って上機嫌だった。 「私、占いが得意なのよ。今日は気分が良いから、特別に教えてあげる‥‥貴女を不幸にしているのは、そのネックレスね。間違いないわ。早めに手放す事よ。それも、困っている人にあげるの。そうすれば、貴女は幸せになれる」 ふふ、と笑う彼女は、ゆっくりと顔を上げた令嬢風の女性――三代を見て、首を傾げる。思ったような顔じゃない。これは、そう、何か‥‥決定的な、ミスをしてしまった気配。女性の酔いが、物凄い速さで覚めていく。 「あら? 助言通り指輪を手放したのにまたですの? でも、このネックレスは借り物なのよ」 「じゃあ、そのネックレスを貸してくれた方ね。貴女に、悪意があるの」 しまった。女性はサングラスの奥に焦りを隠しながら、極めて穏やかな口調で答える。 「そんなこと、あるかしら」 うーん、と唸る三代に、女性がさてどうしたものかと考えを巡らせていると。 「レディ二人で何をお話しているのですか? 僕も混ぜていただけます?」 にっこりと微笑みながら、グラスを持ったルイ・ラルカンジュが二人の座る席に歩み寄る。 「あなたの知り合い?」 顔をしかめた三代を見て、どう答えるのがいいかと女性は数秒思案した、が。 「うん、そうですよ。知り合いです。占い仲間‥‥ですよね?」 ここは三代を回避するのが最優先、と判断した女性は、微笑む。 「ええ」 「‥‥‥‥そう」 それを見た三代は首を傾げつつ小さく頷き、去っていく。比較的遠い、壁際の席に三代が座ったのを見てから、女性は小さく尋ねる。 「助かったわ」 「いえ、困ってらっしゃるかと思いまして」 微笑むルイは、悩むようにグラスに触れる女性の手元をじっと見詰める。 「何?」 「占い、お得意なんですね。僕も占い得意なの、嘘じゃないんですよ。手相見せて貰っても良いですか?」 問い掛けるルイに、女性は頷き、左手を出す。 「ところで、お名前は?」 「サーシャよ」 果たして、手配書の名前はどうだっただろうか。ルイは記憶を探りながら、両手で女性の手に触れる。すす、と掌の皺を、指先で辿る。 「サーシャさん、ですね。あぁ、綺麗な手です。そして‥‥うん、良い手相だ」 頷きながら目を細め、ルイは顔を上げる。きょとん、とするサーシャに、ルイは言う。 「恋愛運、最強ですよ。貴女に運命の出逢いがあります。そう、目の前に‥‥」 「何を‥‥言っているの?」 慌てて手を引くサーシャに、ルイは柔らかく笑う。 「実は今日、手相が示す僕の運命の相手を探しに来たんですよ。だから‥‥僕と、秘密を共有しましょ?」 ふわり、と小首を傾げるルイ。サーシャは一瞬、机の上のスマホに目を向け、それから。 「貴方、面白い人ね」 目を細めてサングラスを外し、スマホをポケットの中に仕舞った。 ◆ 「ねぇ、レオン‥‥貴方、詐欺で荒稼ぎしているのでしょう?」 ドレスの裾を正しながら妖しく笑うアルカに、詐欺師――レオンは目を丸くする。 「なんで」 アルカは長く細い脚を組み換え、それからボトムだけ履いてソファに腰掛けるレオンに身を寄せる。 「ふふ、内緒よ。でも、私は貴女の相棒より上手よ? 私と組まない?」 そしてアルカの指先がレオンの唇に触れる。 「あんたとなら‥‥楽しくやっていけそうだな?」 レオンはニヤリと笑い、靴を履いてシャツを羽織った。 「アジトに案内してやるよ。あの女は暫くバーにいると言っていた。今なら、アジトにあるものを持ち出せる」 アルカが連れ込んだ事務所の扉を開けて、エレベーターに乗り込む男性の腕にすがり付くように胸を寄せ、アルカは尋ねる。 「案内してくれるの? 嬉しいわ‥‥近いの?」 「ああ、歩いて五分もかからない」 自動ドアを抜け、男性はすたすたと風を切るように歩く。 「ねぇ、早いわ」 背後を然り気無く伺うアルカは、甘えるように男性に胸を押し付ける。 「あんたと仕事をすることを考えると‥‥ついな」 「あら‥‥光栄ね?」 頬を赤らめるアルカに見とれつつ、レオンは歩いていく。東に真っ直ぐ歩いた後、路地を曲がり、寂れた倉庫の扉の前で足を止める。 「昨日の戦利品の指輪とか、一昨日のネックレスとか、色々あるぜ」 ポケットから鍵を取りだし、鍵穴に差し込んで捻ればかチャリと音がする。 「行こう」 ギィ、と油の切れたような音をさせながら詐欺師の腰くらいまでシャッターを上げたその時。 「ふぅん、なるほどね」 カッ、カッ、カッ。 人気の無い路地に、ハイヒールの音が響く。 「え」 先程までの噎せかえるような色香を放つような甘い声ではない。呆れを含んだ、渇いた声。彼が振り返った瞬間。 「ガッカリした? それが心の痛みよ」 呆然としたレオンの目の前で、ドレスの裾が翻る。すらりと伸びた脚の先、きらりと閃く爪先の刃は、レオンのシャツを切り裂き、胸元を薄く裂く。 「が‥‥」 「じゃ、彼は確保しておこうか」 詐欺師が倒れたのを見て物陰から出てきた嵐斗は、アルカに尋ねる。 「ええ。宜しくね」 頷いたアルカはハイヒールの刃を仕舞った。信じられない、といったように瞳を揺らすレオンを担ぎながら、嵐斗は問う。 「この手口を考えたのは、どっち?」 しかし身体が動かない詐欺師には、答えようも無く。 「どっちにしろ、俺は君たち二人を許す気はないよ」 小さく息を吐き呟く嵐斗は、詐欺師をずるずると、警察の待機する大通りへと引き摺って行った。 「なんなのよ」 頭をおさえながら、よろめきながら歩くサーシャの左手には一輪の薔薇。いつの間にか寝ていた彼女が目を覚ませば、共に居た筈のルイは居らず、代わりにこの薔薇が置かれていた。 「変な奴に捕まっちゃったわ」 呟きながら、鍵を鍵穴に差し、捻ればデッドボルトが持ち上がる音がする。 「それにしても、レオンは何処に行ったの? あの馬鹿‥‥」 きらきらと輝く宝石、アクセサリー。それらを視界に納め、ほっと息を吐き、扉を閉めようとした瞬間。 「おい、女ァ! ここにレオンって奴がいるだろう! 隠してんじゃねぇぞ、早く出せェ!」 「何よあんた達?!」 突然後ろから扉を持つ腕を捕まれ、サーシャは声を荒げる。振り替えると、手の主はマフィアのような風体の男だった。その後ろには、まだ何人かの男が控えているらしい影が見える。 「俺達はあいつに金を貸してんだよ、今日中に返して貰わねぇと困んだよォ」 腕を持つ男の後ろに立つもう一人男がそう言えば、サーシャは腕を振り払うべく暴れる。 「あたしだって知らないわ!」 サーシャが叫んだその時。 「警察を呼びましたよ」 「何‥‥? 誰だてめぇ」 後ろからかけられた声の主は、ゲルト・ダール。それを見た男は顔をしかめ、それからサーシャの腕を離す。 「ッチ‥‥帰るぞ」 そして、さっと踵を返し男達は去っていく。 「嘘ですが、信じてくれて助かりました。災難でしたね。もう大丈夫でしょう」 「え、ええ‥‥どなたか知らないけれど‥‥」 訝しげに眉を潜めるサーシャは然り気無く扉を閉めつつ、礼を述べる。 「いえ、偶然通り掛かったもので」 通り掛かるも何も、今は使わない倉庫群のど真ん中だ。そんな事はあり得ないのに、平常心で無いサーシャは、ゲルトが暗示をかけるためにかけた言葉に、素直に頷いた。 「助かりました」 サーシャが柔和な笑みを浮かべ、室内へ逃げるように入ろうとしたその時。 「え」 扉が内側から引かれ、扉の縁を持ったままだったサーシャはバランスを崩したたらを踏む。内側から扉を引いたのは、アジトの壁際に身を潜めていた陳華龍。華龍はそのままサーシャの手首を掴み、投げ飛ばす。 「きゃっ!」 倒れたサーシャへとゲルトが腕時計の照準を合わせ、呟く。 「催眠術、偶然を装う、善意のフリ、催眠。やり返された気分はどうかな?」 「貴女‥‥!!」 信じられない、目を見開くサーシャ。騙されたと気付いた時には既に遅く、サーシャは首筋に刺さった麻酔針で意識を失う。 「やっている事は単なる詐欺だが、人の悲しみに追い打ちをかけるような所業‥‥それ相応の罰を受けてこい」 盗聴器で聞いた内容から考えて、首謀者はこの催眠術師だ。あちらの詐欺師の方はどのくらいの刑罰になるかは知らないが、彼女には重い罰が下る筈。 「これは‥‥被害者に返してやりたいところだな」 「うん、そうだね」 三代の指輪をポケットに仕舞い、その他の宝飾品に目をやる華龍に、ゲルトは頷く。それから、ゲルトは待機させていた警察にAiフォンで連絡を入れ、大通りに来てもらうよう手配する。 「大通りに彼女を連れていこう」 「彼女の事は俺が担ごう。案内は頼む」 警察と電話を繋いだままのゲルトは頷き、歩き出す。その後ろを華龍はサーシャを担いで追いかけていく。 「これでアンナ先生の怒りも鎮まるだろう」 華龍は去り際にちらりとアジトの中へと視線を向けて、それからぽつりと溢したのだった。
参加者
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