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青い宝石と彼の夢
オープニング◆「今回狙ってもらうのは、このブルーダイヤモンドの指輪よ」 そう言ってアンナが学生達に示したのは、カットされたブルーダイヤモンドが真ん中で煌めく細身の指輪。 「これはとある貴族の家に伝わるものだったのだけれど、現当主のおじいさまが幼い時に無くし、今はある一般家庭に保存されているの」 そう言って地図上で指差した一般家屋が、それらしい。 「事の真相は、おじいさまが幼い頃別荘で知り合った女の子に指輪をあげちゃったっていう何ともかわいらしい話なのだけれど‥‥まぁそれは良いのよ」 登場キャラ
昼少し前、インターホンを押したのは、陳華龍。アンナ先生の無茶も、無意味なものでは無い。きっと、盗人と怪盗の違いを体現せよというのだろう。ならばと自分なりにショーを彩るために、華龍は捜査官としてアレックスに協力する事にしたのだった。華龍の後ろには同じく捜査官としてアレックスに接触したリュヌ・アカツキと、ゲルト・ダール。しかしゲルトは、ウルマンと偽名を名乗っていた。 「よく来てくれましたね。華龍くん、リュヌくん、ウルマンさん」 元刑事らしく、一度聞いただけで覚えた名前を呼び、彼は三人を室内へと招く。 「まだ変わった事はありませんか?」 尋ねるリュヌに、アレックスは小さく首を降る。 「ええ。我が家の優秀な番犬、ロビンも反応していないし、ウルマンさんに貸して頂いたカメラでも特に何も‥‥あぁ、そういえば礼がまだでした。ウルマンさん、ありがとうございます」 一階のリビングで椅子に腰掛けながら、アレックスはゲルトに笑いかける。 「大したことではないよ。ここの警察は我々の捜査に非協力的でね‥‥しかし、貴方がこのように我々に手を貸してくれて助かった。此方からも礼を言わせてもらう」 僅かに目を伏せて頭を下げるゲルトに、アレックスはいやいやと首を横に降った。 「良いんです、私としても君たちのようなICPOの捜査に協力できるなんて、光栄な事なのだから。まさか私がこういった事件に携わる事になるなんて、思ってもいませんでしたが‥‥人生とは解らないものですね」 興奮を隠しきれない様子のアレックスは、ふんと鼻を膨らませる。その顔には、緊張が走る。 「世の中予測できる事の方が少ないでしょう‥‥かの高名な探偵たちも、未来の事を予知する事は出来なかった。だからこそ、彼らは起こった事件を過不足なく評価し、分析し、そしてその真実を見極めていく必要があった。そうでしょう、アレックスさん?」 促されるままに用意された椅子に三人はそれぞれ向かっていく。リュヌが一番右端の椅子を少し引き、腰を下ろしながらそう問えば、アレックスは僅かに目を見開いてから、ふふと笑う。先程まで漂っていた緊張感は、その瞬間に霧散した。 「その通りです、リュヌくん。いや、君は本当に冷静ですね‥‥。君達はまるで私が敬愛する探偵達のようだ。いやはや心強い。そういえば君達は同じICPOの所属でしたね。同僚なのでしょうか?」 今更だが、と付け加えつつ首を傾げるアレックスに、華龍は僅かに肩を竦め、首を横に降った。 「いや、一口にICPOと言っても人数も多く、担当も部署も多様で‥‥全てを把握するのは、殆んど不可能に近いのです」 そう言って肩を竦める華龍に、アレックスは何処か満足げに頷く。 「私はICPOとは無縁の刑事生活を送っていたからよくは解らないですが‥‥私たち一般の刑事ですら他所の刑事はわからないもの。ICPOともなれば、尚更なのでしょうね」 納得したらしいアレックスに、華龍は続ける。 「細分化された組織というのは足並みを揃えるのもそれ相応に難しくなるというのが、社会の通説。我々はいかなる場合においても協力体制を取れるよう備えていますが‥‥今回、怪盗がこのように分散して予告状を出したのも、捜査を混乱させる為かもしれません」 難しい顔で華龍が視線を向けた先にあるのは、複数の予告状。『ダイヤの指輪をいただく』。ファントム・サワタリと記名された予告状も、その中には混じっていた。 「ふむ‥‥まぁ、予告状からわかったのは怪盗が入るのは今日の昼以降であるという事だけ」 アレックスはそう言ってから、席を立つ。 「緊張してきましたね。コーヒーでも淹れてきましょうか」 そう言って、アレックスはキッチンの方へと歩いていった。 「アレックスさん、あれは?」 リュヌは自身の右側にあるコルクボードに身体を向け、覗き混むようにしながら、アレックスに尋ねる。 「あれ?」 四人分のコーヒーをトレーに載せて運んできたアレックスは、眉間に皺を寄せた。そして、コーヒーを机に置いてから、リュヌが指差した方へと視線を向け、驚愕した。 「なんだこれは?」 彼が亡くなった妻と娘との写真を張っているコルクボードに刺さった見覚えの無いダーツと、カード。 「宵闇に潜む挑戦の眼光、確かに受け取った。輝き褪せぬ貴殿の宝を頂きに往こう‥‥名前は、無いな。怪盗の予告状か? 少なくとも朝起きた時には無かった筈ですよ。毎朝、私は妻の写真に挨拶をしているんです。もし今朝の段階でこれが刺さっていれば気が付く」 難しい顔でカードを覗き込むアレックスは、ポケットからハンカチを取り出し、ダーツを引き抜き、カードと一緒にハンカチで包み机へと持っていく。 「ならば、このカードが刺されたのは朝以降という事になるな」 呟くゲルトに、アレックスは頷く。 「しかし朝からずっと私はこの部屋に居たんですよ。この部屋を離れたのは君達を迎えに行った時だけ。だから、このカードを刺す隙があったのは、あの数分間だけという事になる」 そこでアレックスは顎に手を当てる。 「あのコルクボードは監視カメラの死角になっているんだが‥‥取り敢えず、カメラの映像を確認してみるか」 アレックスの発案に、ゲルトはカメラの映像を再生する。リビングを俯瞰で撮影するカメラは、アレックスが去った後、三人が椅子を用意して座るまで誰も現れなかった。画面の端ギリギリの場所に映るリュヌが脚を組んで右側に身体を傾けると、その右半身が見切れる。その数秒後、アレックスが現れた。 「何も怪しいものは映っていないですね」 呟く華龍に、アレックスは眉間に皺を寄せて頷く。 「ということは、この映っていないこの右側‥‥カメラの死角を通って怪盗はこの予告状を刺していったのでしょう。右側には階段は無いからと気にしていませんでしたが。そうなると、怪盗はこの監視カメラの死角を把握している可能性が高くなります。監視カメラの死角になっているところは殆んど無いように設置してはいますが‥‥怪盗はもうこの家の中に居るという事になります」 そう言って、ごくりと唾を飲み込んでから、アレックスは階段の上へと目を向ける。 ◆ 「取ってこい!」 一方その頃。投げ手錠を門の外へと投げたのは、澤渡龍兵の怪盗姿、ファントム・サワタリ。 「わふっ!」 それを玩具と勘違いした番犬は、嬉しそうに尻尾を振り、鳴きながら追いかけていく。 「今のうちだ」 犯罪を助長するようで好ましくない、とは思っているものの、まぁ仕方がない。そう腹を括ったユウキ・ヴァルトラウテは蒼い右目と紅い左目の女怪盗、戦場の勇気へとその姿を変じ、扉に手を伸ばした、その瞬間。 ガチャリ、と鍵が開く音。扉が内側へと開き始める。 「ロビン?」 犬の声に気がついたのか、アレックスが扉を開ける。そこからのユウキの行動は早かった。扉に手を掛け、思いっきり肩で押すと同時に、事前に控えさせていた協力者達に合図を送る。その瞬間辺り一面に広がる煙幕が、部屋の中へと吸い込まれていき、アレックスは咄嗟に手を離し、室内へと逃げを打つ。 「なんだ?!」 扉を開け放ったユウキは、焦った声をあげるアレックスの横を駆け抜けながら、微笑む。 「私は戦場の勇気‥‥青き宝石をいただきに来たよ」 煙幕の晴れた視界に、その姿を認めたアレックスが目を見開いたその瞬間、ユウキの後ろを追いかけて室内へとスライディングの要領で滑り込んできた迷彩色の影。 「ドーモ、ファントム・サワタリです」 アレックスの横を通り抜け、ぺこりとお辞儀する龍兵に、アレックスは数回口を開閉し、そして。 「怪盗だっ!」 叫びながらアレックスは、拳を握りしめる。 「ふんっ!」 アレックスが勢いよく突き出された拳を、龍兵はするりと避ける。そして、拳を出した事により空いた懐へと滑り込む。 「悪いな」 そう言って、脇腹へ向け手刀を叩き込もうとしたその時、アレックスの腕が引かれ、手刀は空振りに終わる。 「ウルマンさん!」 「怪盗は彼らだけではない。あのカードの怪盗もいる‥‥指輪の元へ急ごう」 そう言って腕を引き走るゲルトに、アレックスははっとして頷く。 「すんなり通れるとでも?」 立ち塞がるユウキだが、その瞬間華龍が放った拳が掠める。痛みを感じる程の鋭さの一撃に、ユウキは咄嗟に距離を取った。 「くっ!」 苦々しげに顔を歪めるユウキに、華龍は再度、拳を構えた。 「アレックスさん、早く指輪を!」 ユウキと龍兵を前にする華龍の構えに隙は無い。二対一と分は悪いが、華龍のその立ち居振舞いに実力の高さを悟ったアレックスは頷き、走る。 「アレックスさん!」 階段を半ばまで上ったとき、三階で赤い布が翻ったのがちらりと視界に映る。 「きっと奥の部屋です!」 あの怪盗は母の部屋へと指輪を盗みに行ったに違いない。アレックスは、ゲルトに叫ぶ。 「急ごう」 二人は全速力で走り、目的の部屋の前へと辿り着く。扉の前で二人は一度立ち止まって扉の両脇に身を隠すようにし、ゲルトはブラッディカードを構え、アレックスは拳を構え、頷き、そして。 「あれ?」 勢いよく扉を開けた室内には、誰もいなかった。眉間に皺を寄せ、部屋を左右に見回しながら訝しげに首を傾げるアレックス。彼は室内へと歩を進め、ダイヤル式の金庫へと目を向ける。 「まだ‥‥無事なのか?」 アレックスは呟き、目を瞬いた。階下ではまだ戦いが続いているらしく、喧騒は止まない。そこへ駆けてきたのは青い影。 「遅れをとったか?」 「さっきの赤い怪盗ではないな?」 騒ぎの隙に、裏口の扉をピッキングして室内に侵入してきた斑鳩恭耶が変じたヌルは、僅かに顔をしかめる。 「いや、まだ間に合うか」 「怪盗だな」 呟く恭耶に、アレックスは小さく漏らす。構えをとるアレックスを制するように、ゲルトは恭耶とアレックスの間に立ち塞がる。 「アレックスさん、あなたは早く指輪を!」 果たして、目の前に立つ捜査官に怪盗の相手が事足りるのだろうか。一瞬頭をもたげた疑問。しかし、今はこの捜査官の指示に従うべきだ。アレックスはその疑念を確信と義務感で振り払い、踵を返す。 「わかりました!」 ダイヤル式金庫へ駆け寄ったアレックスは、素早く数字を合わせていく。 「くっ!」 顔を歪ませ、金庫へ向かおうとする恭耶の足元に、ゲルトの投げたブラッディカードが突き刺さる。当たるか当たらないかは賭けに近かったが、牽制にでもなれば良い。そう思った一枚は、恭耶の足を一瞬止めさせるには十分だった。 「ウルマンさん、指輪です、まだ大丈夫です!」 アレックスがそう叫び、青い宝石のついた指輪を掲げたのと、恭耶が光学迷彩を発動させたのと、それからゲルトがアレックスへと駆け寄ったのは、全てが大体同時に起こった。そして、ゲルトはアレックスへと左手を伸ばす。 「アレックスさん、僕にそれを!」 信頼する捜査官がそう言うのだから。何故か頼もしく思える捜査官へ、アレックスは大きく頷き、ゲルトの左の掌へと指輪を載せる。指輪を載せられた掌は、ぎゅっと強く握りしめられ、アレックスが我知らずほっと息を吐いたそして次の瞬間、ゲルトの右手から放られたコインが、ひらりと光る。 「‥‥え?」 何が投げられたのかアレックスが理解する前に、そのコインは天井近くで炸裂する。煙幕が室内に満ちる中、窓が開け放たれる。ぶわっと風が室内へと吹き込み、煙が晴れたその時に、窓の前に居たのは神をも騙す幻術師を自称する怪盗。 「う、ウルマンさん‥‥?」 呆然と呟くアレックスに、彼は笑う。 「僕はウートガルザ・ロキ。今回の仕掛人さ」 ウートガルザ・ロキが伸ばした手の先に、白鷲、フレズベルグが舞い降りる。 「君は最高の演者だった。いいショーだったよ。それじゃあね」 「ど、どう‥‥うおっ!」 すがるように手を伸ばすアレックスの指先が奇術師に届く前に、再度投げられたコインが炸裂する。そして、煙幕が晴れた頃には、彼の姿はもう何処にも無く。 「無事ですか?!」 そこへ駆け込んで来たのは、華龍。振り向き、アレックスは呆然と呟く。 「華龍くん」 「怪盗共は盗り逃がしてしまいました‥‥指輪は、どうなりました?」 尋ねる華龍に、アレックスは笑う。 「いやはや‥‥素晴らしい手際でしたよ」 満足げなアレックスに、華龍は目を細める。 「とんでもないものを盗まれましたね」 「ええ、流石怪盗です」 肩を落としながらも経緯を説明し、アレックスは華龍と共にリビングへと歩いていく。その途中、アレックスは立ち止まり、首を傾げる。 「あの赤い影の怪盗、何処に行ったのでしょう?」 その少し前、机の上にフライトとカードを置くリュヌ。終始謎の怪盗を演じた彼は、最後の仕上げとして、この二つを用意した。これを見たアレックスは、どういう反応をするだろうか。 「心が躍る‥‥いや、半分は優しさだ」 浪漫や夢を追う魅力、リュヌ自身にとっては宝石より価値がある。アレックスの浪漫には、それだけのものがあったと、リュヌは一人、微笑む。 『我は最後の怪盗』 そう書かれたカードと、フライトに印された名前は、夜明けを征く者。その二つをアレックスが見つけるのは、あと数秒後のこと。
参加者
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