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はじめての?
オープニング◆「みんな、今回はとある人の護衛よ」 集まった学生達に、アンナが言う。 「ある人‥‥って、誰ですか?」 尤もな質問、というよりも、アンナの待っていた質問。彼女はふふふ、と笑って答えた。 「この子よ。外交官の息子さん。名前はショーン君!」 登場キャラ
がちゃり、と扉が開き、元気よく飛び出して来た少年ショーンは、楽しそうな笑顔を浮かべ、歩き出す。 「我々に子供のお守りをさせるとは……相変わらずアンナは楽しませてくれる」 呟きながら、肩掛けのショルダーバッグを大切そうに持って歩く様子を物陰から見守るのは、陳華龍。くるりとマーケットの方に足を向けるのを確認し、Aiフォンで仲間達と自身が撮影を装って呼び寄せたエキストラ達に連絡をした。 「そちらの方に歩いて行く。引き続き、宜しく頼む」 貧困も知らず優しい大人に見守られながら育つ少年。自分とは全く違う境遇の子供。しかしそれならば、せいぜい優しい世界を見せてやろう。華龍はショーンを見守りながら、心に決める。 (私はあの時‥‥私に手を差し伸べなかった大人達とは違う、力無き者に手を差し伸べられる大人になったのだから) どん、と軽い衝撃。ふらついたショーンに手を伸ばすディルク・ベルヴァルドは、さりげなく彼のショルダーバッグに盗聴器を滑り込ませる。 「ごめん‥‥大丈夫?」 太めの体格に少し驚いたショーンだったが、案外優しい声に安心したようで、目を瞬きながらも頷く。 「だ、いじょうぶ」 良かった、と小さく呟きながらショーンをしっかり立たせて、立ち去るディルク。一番手前の路地を曲がり、Aiフォンを確認すれば、盗聴器はきちんと作動している。感度も良好だ。 「あとは‥‥」 用意していた鴉型ドロイドを取り出して、起動させる。本物の鴉そっくりのドロイドを地面から飛び立たせるディルク。ドロイドのアイカメラは、しっかりとショーンの姿を映していた。 「よし、移動したな」 ショーンの姿を確認し、エヴァ・マルタンはミニバンを走らせる。少し余裕のある距離を確保しつつ停車し、コサージュ型のドローンを操作する。 「な、なんかの企画番組みたいだな‥‥面白い」 そう呟くエヴァのAiフォンは、仲間達から届く連絡が随時受信されて行く。その連絡によれば、そろそろショーンの仲のいい友達の家の前に差し掛かるらしい。第一の難関、と言ったところか。 「そろそろ、み、見所か‥‥」 親なら子供の頑張ってる記録映像が欲しいだろうという配慮に基づき、エヴァは良いポジションで撮影出来るようドローンを操作して、その場所に固定させる。多少コサージュ型というのはこうした風景に於いては目立つが、子供の目線からだとそんなに気にならないだろう。そもそも、彼に上空を気にする余裕があるかどうか。 「あ、あと、‥‥連絡、入れてお、おかないと」 言いながら、エヴァはAiフォンを操作し始める。 信号に差し掛かり、ショーンは小さく首を傾げる。青になったら渡る。確かそうだった。だから、信号が赤から青になった瞬間、渡らないととショーンは思った。だけど。 「っママぁ‥‥」 車通りはあまり無い信号ではあれど、一人で渡るのは怖かった。涙目で助けを呼ぶも、母親は家にいてここには居ない。そうこうしているうちに、青信号は再度赤くなる。 その様子を物陰から伺っているのは、華龍。彼は少し考えてから、Aiフォンを取り出した。 「信号を渡ってくれ。なるべく、子供の近くでな」 指示を受け、ショーンの横に立ったのは華龍の呼んだエキストラの男性。彼はただ、信号の変わるのを待つ。それを見たショーンは、ハッとしたように目を見張り、それからびしっと背筋を伸ばし、男性と同じように信号を待つ。青になった瞬間、ショーンは男性と共にゆっくりと転ばないように歩き始めた。そんなこんなでなんとか信号を渡り終え、直進路に差し掛かる。ここを300m歩いてから右折をすれば、目的地は直ぐそこだ。 「あっ、ケインくんのいえ!」 ショーンがはっとしたように顔を上げたのは、丁度直進路の真ん中、150mくらいの所。そこを直進せずに左に曲がれば、ショーンの友達の家に着くらしい。 「ケインくん、いるかなー」 うーん、と考え込むショーン。どうやらその時点で、買い物については忘れている様子。 「あ、ママ? うん、ちょっと買い物してから帰るね」 そこに、後ろから歩いてくるヤスミナ・リベラは、Aiフォンで母親に電話をしている演技をしながらショーンの横を通り過ぎる。 「ママ‥‥あっ、ママ! おつかいだった、わすれてたー」 その声を聞いたヤスミナと、盗聴器でハラハラしながら様子を伺って居たディルクは、ほっと息を吐く。ヤスミナはそのまま歩いて行って、手頃な角を曲がってショーンがちゃんと歩いて行くのを確認する。 彼にとって、今日が世界を変える1日になるように、そしてその1日が無事に終わるようにと願いながら。 たっ、たっ、たっ、と軽い足音をさせながら歩くショーン。予定通り、無事右折した時だった。 わふっ、と庭につながれているボーダーコリーが軽く吠える。犬的には、挨拶と言った所だろうか。 「カールだ! ぼくねー、きょうねー、ひとりでねー、おかいもの!」 そんな恐らくはカールという名前のボーダーコリーに、ショーンは楽しそうに声をかける。 「すごいでしょー!」 ショーンはそう言いながらしゃがみこみカールに手を伸ばすと、カールも満更では無さそうで、その手をくんくん嗅いでからべろりと舐める。 「うわぁ、くすぐったいよー」 けらけらと笑うショーンに、寄っていくボルゾイ。 「なに? わんちゃん?」 「あぁ、ごめん。そいつはボルゾイのキロロ。あんたも犬、好きなのか?」 そう声をかけるのは、犬の散歩を装ったアスマ・スィーン。エヴァからの連絡を受けて、道の向こう側からキロロを連れて歩いてきたのだ。 「わんちゃん、すきだよ。キロロ‥‥おとこのこ? おんなのこ?」 「オスだよ。男の子」 大人しく座っているキロロを、庭のカールは不思議そうな顔で見つめている。そして、少しの間そうしていたかと思うと、挨拶する為に寄ってきた。取り敢えずはキロロはそのまま成り行きに任せ、アスマはショーンに尋ねる。 「ここ、あんたんちじゃ無いだろ? 向こうから歩いてきたから、見てたけど。何してたんだ?」 「カールにあいさつ!」 元気よく返事をするショーンに、アスマは微笑む。 「わざわざ、犬に挨拶しにきたのか?」 「ちがうよ、おかいもの。‥‥あっ、おかいもの! ママにたのまれてたの!」 そこで漸く本来の目的を思い出したショーンが、勢いよく立ち上がる。その様子にカールはその場を離れ、庭の方へと帰っていく。 「そっか、ママに頼まれてたんだな」 「うん、ママね、こまっちゃったんだって、セロリないと、だめなんだって!」 ママ、と言う単語を嬉しそうに言うショーンに、アスマは僅かに目を細める。 良い家族がいるのは当たり前じゃないし、居るならそれを大切にしてもらわなきゃな。 アスマはぼんやりと思いながら、ショーンに尋ねる。 「そっか。どこの店、行くんだ?」 「えーっとね‥‥なんかね、あっちのおみせだよ!」 少し考えた後、ショーンは真っ直ぐ向こうを指差した。その指し示した方向へ目を向けてから、アスマは頷いてみせる。 「そっか、俺もキロロの散歩で向こう行くんだ。一緒に行こうぜ。俺、親戚の家に遊びにきて、この辺よくわかんないからさ、誰かいると心強いかも」 「そうなの?! じゃあ、いっしょにいこうね! キロロもね!」 元気よく言うショーンに、キロロも嬉しそうに尻尾を振った。 ◆ 「ありがとね!」 「ああ、買い物頑張れよ」 アスマとキロロに手を振って、ショーンは店の中へと入って行く。綺麗に陳列されてる商品に、ショーンは目を瞬く。 「わぁ‥‥たくさん、あるねぇ」 買うものはリンゴとセロリなので、目的地は青果売り場。ショーンは青果売り場目指して、ふらふらと歩いて行く。 「リンゴ、セロリ、リンゴ、セロリ‥‥あっ、おやつ!」 そんな彼の視界に入ったのは、ポテチや飴、マシュマロなどの並ぶお菓子売り場。その様子を、陳列棚の上の方を静かに飛んで居たドローンがカメラに移し、その様子をエヴァに送信する。因みにディルクのドロイドは鴉なので、店内には入れなかった。 「た、対象は‥‥お、お菓子売り場に、向かってる、ぞ。た、頼んだ‥‥から、な」 Aiフォンを耳に当て、お菓子売り場で日本で言うところのヤンキーみたいに座り込む明神刃は、エヴァの指示に頷く。とっとっと、と背後から聞こえる足音が大きくなって、止まる。くるりと首を捻った先に居たのは。 「グミがいいかな、マシュマロかな」 お菓子を物色するショーンだった。そんな彼の視界に入るようにポジションを調整し、態とらしくギターを担ぎ直した。 「ん?」 それに気付いたショーンを、サングラスの下からギロリと睨め付ける。 「っひ‥‥ご、ご‥‥ごめんなさいっ!」 その迫力たるや、母親がそこにいたら泣かなかったショーンを褒めてやるくらいには怖かった。早足でその場を去って行くショーンの背中を腕時計で撮影しつつ、刃はぶはぁと盛大に溜息を吐く。 「これも全て子供の為‥‥そう、子供の為なんだ‥‥」 何やってんだろ俺、なんて、思ってない。思ってないからな。思っちゃ駄目だ俺。 ぶつぶつと自分に言い聞かせる刃は、別の意味でも近寄りがたい雰囲気を醸し出し初めていた。 「これと、これ! ください!」 リンゴとセロリを出して、お金を払うショーン。その様子はバッチリとエヴァのドローンが撮影している。 「はい、丁度ですね」 丁度の金額が入った財布を渡し、会計は終了。空になった財布とリンゴとセロリの入った買い物袋を受け取ったショーンは、店から出る。そのタイミングで、ディルクのドロイドが塀の上に飛び乗った。 「あとは、おうちに、かえる、だけ」 若干重そうにリンゴとセロリの入った袋を持つショーンは、行きより少し重そうな足取りで歩き始める。カールに手を振りながら角を曲がり、直進していくショーンだが、100mくらい歩いたところでしゃがみこむ。ころり、と買い物袋から飛び出たリンゴが転がる。ころころと転がる様子をショーンは見守るが、直ぐにしょぼんと肩を落とした。 「‥‥拾う気配が無いな」 数メートル後方で気配を殺し、尾行している華龍が、近くを通行人として歩いているエキストラに連絡を入れれば、女性エキストラがリンゴをさり気なく手に取った。 「つかれたよぉ‥‥おもたいし‥‥」 「リンゴ、落ちたよ」 「‥‥ありがとう」 受け取ったショーンは礼を言い、ついでに差し伸べられた手を握り、立ち上がる。 ぐす、と鼻をすするショーンは、リンゴを手に握ったまま、とぼとぼと歩き出す。しかし、その足取りに元気はなく、いつ止まってもおかしく無さそうに見える。ずるずると時々足と買い物袋を引き摺りながらもなんとか歩いていたショーンは、友達の家がある所で立ち止まる。 「‥‥あそびたいなぁ。おかいもの、おもたいし、たいへんだし」 「あ、さっきの!」 そこで、道の向こう側からキロロを連れたアスマが手を振った。アスマの声に、ショーンは顔を上げる。そして、涙目を擦ってから、手を振り返す。やせ我慢かもしれないけれど、その口角は少しだけ上がっていた。 「あんたも早く帰れよー! じゃあ、頑張れよ!」 「うん‥‥わかった、かえるね!」 そう言うアスマに少しだけ勇気を貰い、ショーンはずるずる歩き出す。あと少しで信号、と言う所で、びりっと言う音を盗聴器が拾う。ディルクがあっ、と思った瞬間。 「ああっ!」 散らばるセロリに、ショーンは慌てて手を伸ばし、リンゴを落とす。袋に入れなおそうとしても、そこに穴が空いてどうしたもんかと途方に暮れる。そんなショーンに、ヤスミナは歩いて行って、リンゴを拾って手渡す。先程と違う帽子と羽織ものの為、ショーンはさっき追い越して行った女性だとは思っていないらしかった。 「これ、落としたよ」 「でもね、ふくろがね‥‥」 穴の空いた買い物袋を涙目で見つめるショーンの肩を励ますように軽く叩き、ヤスミナはリンゴを彼のショルダーバッグの中に入れ、セロリも拾って手渡した。 「こうすれば、大丈夫よ。頑張って。パパもママも、あなたが買い物を済ませて帰ってくるのを待ってるわ」 目線を合わせて、優しく励ますヤスミナに、ショーンは涙を拭って大きく頷く。 「うん‥‥ぼく、がんばる‥‥」 言うや否や、駆け出すショーン。行きに手間取った信号も、丁度青だったこともあって駆け抜ける。辿り着いた家の扉の前で、心配して待っていた母親がショーンを抱きしめる。 「良かったわね」 その様子を物陰から伺うヤスミナ。今回の買い物は、大人から見れば小さな事だけど、子供から見れば大冒険。それを達成する手助けが出来て良かった、と満足気に微笑む。 その向かい側の塀の影では、同じようにディルクが胸を撫で下ろしていた。何もなくて、良かった。勿論、何もないように色々と動いていたから、何も起きなかったのだけれど。 母親に抱きしめられるショーンを見守る華龍は、身を隠す柱に凭れ掛かる。彼の胸の中は、幸せな子供を包む優しい世界を守る事の出来た満足感に満ちていた。 「よ、良かった‥‥な」 ショーンと母親との様子をばっちり撮影しつつ、エヴァは彼らの家の玄関が伺える場所にバンを移動させる。それから、エヴァはAiフォンを手に取った。今回、ショーンのために動いてくれた全員に、彼が無事家に帰れた事と、撮影に成功した旨を連絡しなければ。 そう思いながら、エヴァは優しく目を細めるのだった。
参加者
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