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秋のティータイム
オープニング◆秋といえば、食欲の秋だ。勿論芸術の秋とか、読書の秋とか、色々あるだろうが、自他共にスイーツ好きを認める‥‥であろうアンナ・ヴィドルフにとっては、間違いなく食欲の秋だった。 「これ美味しそうね‥‥でもこっちもなかなか‥‥」 アンナがものすごい顔で睨んでいるのは、オフィーリアのレジ横にあるケーキのショーケース。アルバイトのナオと店長がそれぞれ腕によりをかけて作ったケーキが並べられている。今日のケーキは、巨峰のタルトと栗のシフォンケーキの二種類。 常夏の島でも、スイーツには季節感を。アンナは常々そう思っていた。 「どうしようかしら‥‥困ったわ‥‥。困った時は‥‥両方ね!!」 登場キャラ
「巨峰のタルト、美味しそう!」 カットされ、机の上に置かれているケーキを眺め、神崎真比呂はきらきらと目を輝かせた。その横で、同じようにケーキを眺めて考えていた真純清輝はシフォンケーキを指差す。 「では、すずきさんは栗のシフォンで」 それぞれケーキを決めた二人に、アンナはケーキの載った皿を手渡す。 「飲み物はどうする? コーヒーと紅茶があるけれど」 アンナの問いに、真比呂は少し考えてから、清輝へと目を向ける。そんな真比呂の視線に気付きつつ、清輝は一つ小さく頷いた。 「今日は紅茶にしようか」 そう言った清輝に、真比呂も頷く。 「じゃあ、ボクもすずきさんと同じ!」 高らかに宣言した後、真比呂は自分の分と清輝の分、二つのカップを手に、紅茶のポッドが置いてある机の方へと足を向けた。 「注いでくるね!」 そんな真比呂の背中に、清輝は微笑む。 「まっぴー、さんきゅー」 言いながら、清輝はアンナが切り分けた巨峰のタルトと栗のシフォンケーキを二人の席へと運んでいく。清輝が席に着いたより数秒後、真比呂が向かいの席に腰掛ける。 「じゃあ、食べよっか!」 真比呂の声に清輝も頷いて、日本人らしく二人で手を合わせ、それからフォークを手に取りそれぞれ一切れ口に運ぶ。 「大粒でジューシーで美味しー!」 巨峰を口に運んだ真比呂は頬に手を当て、嬉しそうに目を細める。そんな真比呂の向かいの清輝も、満足げに栗のシフォンケーキを頬張った。 「秋のっていうと、うちじゃ芋か栗が定番だったなぁ。つい選んでしまう‥‥ん?」 清輝が、もう一切れ、とシフォンケーキをフォークで切ったところで気付いたのは、真比呂の熱視線。 「ね、シェアしよシェア! あーんで!」 いい事を思い着いたと提案する真比呂に、清輝も心得たとばかりに頷き。 「ほいほい、あーん」 そう言って栗のシフォンケーキを一切れ真比呂の口に運ぶ清輝と、それとほぼ同時に清輝の口に巨峰のタルトを一切れ運ぶ真比呂。ぱくん、とタルトを口に入れ、吟味する事数秒。 「葡萄はやっぱ巨峰よな、最近流行りのよりこっちがいいわ」 巨峰タルトを飲み込んで、清輝は呟いた。 甘い匂いに誘われて談話室にやってきたエリー・スウィニーは、アンナが切り分けているシフォンケーキを見つめて目をキラキラさせた。 「わああ、ケーキ! すっごく美味しそう‥‥!!」 隣の巨峰のタルトも美味しそうだけど、やっぱりシフォンケーキに惹かれるような‥‥、と悩むエリーの横に、同じくシフォンケーキを覗き込む人影が。ふとエリーが顔を上げるのと、その人物‥‥オリバー・カートライトがエリーに気がつくのはほぼ同時だった。 「あ、オリバーさん! 奇遇ですね!」 美味しいケーキにも惹かれたが、あわよくば友達を作れれば、と少しだけ目論んでいたエリーは、知り合いを見つけてぱぁっと表情を明るくさせた。 「エリーもケーキを食べに?」 そうたずねるオリバーに、エリーは照れ笑いを浮かべる。 「甘いもの好きなので、つい釣られちゃって‥‥」 そんなエリーに、オリバーは少し考えてから、シフォンケーキを指差してたずねる。 「せっかくだから、ケーキ食べながら一緒に話しでもしないか?」 オリバーの提案に、エリーは大きく頷いた。 オリバーとエリーがケーキと紅茶を受け取って席へと着いた頃、談話室へ姿を見せたのはイーノク・オルティス。イーノクは楽しげにケーキの方へと足を進め、二種類のケーキを見つめる事数秒。 「タルトとケーキか‥‥両方入るか。先生、両方一つずつ!」 そう注文するイーノクに、アンナは笑いながらケーキを皿へと載せていく。 「両方とも美味しいと思うわよ」 わくわくとケーキを待つイーノクに、アンナは手を休めないで問う。 「ところで、授業の方はどう? 困ってる事とか無いかしら」 たずねるアンナに、イーノクは少し考えてから口を開く。 「困ってる事‥‥は、あんまないな。強いて言うなら座学系だけど‥‥こればっかりは自分で勉強しないと駄目だろうし。一応ハイスクールの勉強はどうにか終わったし、これ以上はまた必要になったら考えるさ」 あっけらかんと答えるイーノクに、アンナはケーキの皿を手渡し、微笑む。 「それは何よりだわ」 イーノクは肩をすくめ、でも、と続ける。 「知り合いは増やしたいかな」 返しながらケーキを受け取るイーノクに、アンナは笑って頷く。 「それも良いわよね。あの‥‥窓辺のあたり、そんな感じのみんなが集まってるみたいよ? 他にも、友達を作りたいって子も多いし、みんなに挨拶してみたらどうかしら?」 そう言ってアンナが指差した窓辺へと、イーノクは視線を向けた。 「お友達‥‥欲しいですね」 窓辺の席でケーキを手に、ライリー・ホワイトは隣に座る推裾ソスエに声をかける。 「私も、もっとお友達欲しいです‥‥」 ちらりとソスエを見るライリーの視線には、少しだけ不安そうな色が滲んでいた。ソスエはそんなライリーに一回目を向けて、それから自分の前のテーブルに並べた巨峰のタルトと栗のシフォンケーキへと視線を移し、口を開く。 「なかなか上手くお話できなくて。どうすればお友達を増やすことが出来るのでしょうかね」 素朴といえば素朴だが、重大な悩みだ。 「私も‥‥どうすれば友達になれるのか‥‥」 自信なさげに肩をすくめるライリーに、ソスエは栗のシフォンケーキを口に運びながら頷いた。 「えっ、えっと‥‥こんにちは!!!」 そんな二人の元へやってきたのは、イーノクより少し早く談話室へとやってきた牧原火鳥。勢いよく挨拶する火鳥に、ライリーとソスエも挨拶を返す。 「こんにちは」 ソスエの返事に、火鳥は緊張を増して手を強く握りしめながら続ける。 「わ、わたし、牧原火鳥です! よ、よろしきゅ!」 よろしく、というつもりが、盛大に噛んでしまった火鳥。あまりの恥ずかしさに顔が真っ赤になって、涙まで溢れてきそうだ。 (か、噛んだーーーー!!) ギリギリのところで耐えた涙目の火鳥は、心の中で叫んでいた。もうやだ死にたい、くらいまで考えたところで、ライリーが意を決して口を開く。 「私‥‥ライリー・ホワイトです、よろしく、おねがいします」 ライリーも挨拶してから、これで良かったのかとソスエを見る。ライリーに、ソスエは頷き、続ける。 「推裾ソスエです。日本の方、ですよね。私も日本人で‥‥よろしくお願いします」 互いに自己紹介を終え、ほっと息を吐いた所で。 「こんにちは、知り合いを増やしたいなぁと思って来たんだけど‥‥いいかな?」 アンナに促され、窓辺にやってきたイーノクに、気が抜けていた三人はすっと背筋を伸ばした。 ◆ 「甘いものといえば、どんなものが好きなんだ?」 たずねるオリバーの目の前で、エリーはシフォンケーキを頬張りながらうーんと唸る。 「全部好きですけど、やっぱりシフォンケーキが好きです! 紅茶と一緒に頂くとなお最高で‥‥!!」 それを聞き、オリバーはぱっと表情を綻ばせた。 「わかる。生クリーム載せたら最高だよな! イギリス出身者としては、シフォンケーキに紅茶‥‥最強のコンビだ」 オリバーの発言に、エリーは思わず目を瞬く。それを見たオリバーは、少しだけ顔を赤くして、肩をすくめた。 「男だけど、スイーツ好きなんだよ」 弁明するようにこぼすオリバーに、エリーははっとして首をぶんぶん横に振る。 「あっ、違うんです! イギリス出身なんだなぁって‥‥私もイギリス出身なんです、同郷だったんですね!」 「お互いに共通点多いな」 そう返すオリバーに、エリーはきりっと表情を引き締めると、数秒視線を落として拳を見つめ、それから意を決して口を開く。 「あ、あのぉ。よ、良かったら、お友達に‥‥なりま、せんか?!」 勢いよく言ったエリーに対し、びっくりしたオリバーは数秒後、思わず笑い出す。 「もう気が合ったということで友達、でいいんじゃないか? また今度何か食べに行こうぜ」 友達になるのに、正式な手続きや口頭での確認が必要なのかは人それぞれに違いないが。 「はいっ!!」 こうして、エリーとオリバーはめでたく友達となったのだった。 ケーキ二つを並べるイーノクとソスエに、ライリーと火鳥は目を見張っていた。 「たくさん食べるんですね」 感心したように呟く火鳥に、イーノクはからりと笑う。 「この後運動すれば良いと思ってさ」 そんなイーノクに続けて、ソスエも頷く。 「選べなくて二つ貰ったんですけど‥‥美味しいです」 満足げなソスエに、ライリーも嬉しくなって目を細める。 「ケーキ、美味しいですもんね」 もりもりとケーキを食べていくイーノクとソスエの二人を見つつ、ライリーは最後の一口を飲み込んだ。そして、空になった皿の上をじっと見つめる。 「なんだか‥‥不安になるんです」 空になった皿にフォークを置いて、ライリーはぽつりとこぼす。 「不安?」 首を傾げるイーノクに、ライリーはこくりと頷いた。 「皆さんすごい人ばかりで、私なんか‥‥」 消え入りそうな声でそう言うライリーに、火鳥はなんと声をかけようか考え込む。そんなライリーに、ソスエはケーキを食べる手を休め、言う。 「私は、私の周りに、私を大事にしてくれる方がいらっしゃるので嬉しいですよ‥‥ライリーさんも、その一人だと思います。本当にいつもありがとうございます」 これからもよろしくお願い致します。そう続けるソスエに、ライリーは目を瞬き、それから、少し表情を綻ばせた。 ケーキも大体食べ終わった頃。 「そういえば、来月はボク達の誕生日だよね。同じ月なんて運命的かも!」 真比呂は巨峰のタルトの最後の一切れを口に放り込みながら、提案なんだけど、と続ける。 「合同誕生日会で二人でどーんと祝い祝われするのはどうかな」 そう言う真比呂に、清輝は口に入っていた栗のシフォンケーキの最後の一切れを飲み込んだ。 「誕生日かー‥‥折角近いのだし、一緒に祝った方がきっと楽しいね」 清輝の返事に真比呂は嬉しそうに頷いた後、ハッとしたように目を見開き、それからしゅんとうなだれた。 「どうした、まっぴー?」 挙動のおかしい恋人に、清輝が首を傾げながら問いかけると。 「えっと‥‥具体案は‥‥これから、なんだけど‥‥」 肩を落とす真比呂に、清輝はくすりと笑みをこぼす。 「ま、具体案は追々でいいさ」 そう返す清輝に、真比呂は勢いよく顔を上げ、くしゃりと笑う。 「でね、それとは別に、二人っきりのお祝いもしたいの‥‥すずきさんがこの世に」 生まれてきてくれて、ありがとうって。 と、続けようとした真比呂の唇は、清輝の人差し指に制される。きょとん、と目を瞬く真比呂に、清輝は言う。 「ふたりのお祝いも勿論いいけど、その言葉は、当日に取っておこうね?」 清輝から告げられた言葉に、真比呂は少し赤くなりながら、小さく頷いたのだった。
参加者
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