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夏は花火で
オープニング◆「なんということだ‥‥」 そう頭を抱えるのは、自室でテレビを見つめるカイ・エリクセン。 「ハナビ‥‥ハナビか‥‥」 夏については随分と模索してきた。だからと言ってはなんだが、かなり世間一般の夏、サマーバケーションには詳しくなったつもりだ。常識の範囲まで認識を近づけることが出来たと言っても過言では無いはずだ。しかし、まさかこんな隠し球が残されていたとは。 頭を抱えたまま、カイはテレビで流れ続けている番組を凝視する。 登場キャラ
浜辺での準備を終え、他の学生達の到着を待っていたカイ。指定した時間になった頃、ぽつりぽつりと学生達が集まってくる。 「花火楽しそうだな!」 そう楽しそうに会場に現れたのはイーノク・オルティス。着方はわからないながらもネットで調べ、四苦八苦しながら着た浴衣に身を包んだイーノクの横には、同行者であるリラ・ミルンが。リラもイーノクと同じように、浴衣を着用している。 「花火ってことで、浴衣を着てきました!」 「二人とも素晴らしい。花火らしさが出ているぞ」 満足そうなカイだが、彼とて花火を実際に見たことはない。全てはテレビからの受け売りだ。そんな彼の元にやってきたのは、氷見彩玻。彩玻もリラやイーノクと同じように、浴衣を着て、手に何か荷物をぶら下げていた。 他の二人に比べ、日本人のためか幾分か自然な動きで、彩玻はカイのすぐ手前まで歩いてきて、肩をすくめた。 「これはどちらかというと変わり種BBQパーティーかな、と思うけど‥‥まあ、楽しければいいかな。これ、みんなの分持ってきたよ」 そう言ってカイに手渡したのは全員分のトウモロコシと焼きそばの材料。 「これは?」 首を傾げるカイに、彩玻は頷き、キリッとした。 「これは焼きトウモロコシ用のトウモロコシと焼きそば。日本の花火大会の大定番」 私調べだけど、と彩玻の続けた言葉を、カイは見事に聞き流し、感心したように目を丸くする。 「興味深い」 それから、カイは調理方法を彩玻に聞き、焼きトウモロコシと焼きそばの作成に取り掛かろうとするが、その前に彩玻に呼び止められた。きょとんとするカイに、彩玻は用意した扇子を差し出す。 「これがあると、花火大会の気分が出るよ。こうやって‥‥開いて使う。扇いで、涼を得る‥‥感じかな」 彩玻は自分の分の扇子を広げて、扇いでみせる。 「畳めるという事か。すごいな」 嬉しそうにそう言うカイに扇子を手渡すと、近くにいたイーノクとリラにも扇子を渡していく。 「俺も花火持ってきたからいっぱいできるで」 同行者である彩玻を追いかけてきた夕星将太郎は、まずはカイに持参した花火を手渡す。 「こんなにたくさん‥‥良いのか?」 たずねるカイに、将太郎は頷く。 「帰宅部の先輩がくれてん。裏に説明書いてあるから、読みながらやったらええんちゃうかな。バケツもいるやで」 的確なアドバイスをもらい、カイは真剣に裏面の説明を読み始める。ちなみに、バケツは一応用意してあった。そんなカイを見守る将太郎に、全員に扇子を配っていた彩玻が最後の扇子を手渡す。 「はい、これ。持ってると雰囲気出るでしょ?」 夏の日本を連想させる扇子を受け取り、将太郎は広げて扇いでみせた。 「良い風やね」 そんな将太郎の姿を見て、首を傾げながらライリー・ホワイトは扇子をごそごそと弄っていた。 「どうやったら、ああやって開くんでしょうか?」 困ったように眉を寄せるライリーに、推裾ソスエは将太郎がやっていたように、開いてみせる。 「こう、ですね」 縦長の棒状に折り畳まれたところから、絵にあるような扇子の形に広がるのを見て、ライリーも同じようにやってみる。 「あ」 パッと開いた扇子に、ライリーは目を丸くした。そんなライリーの様子に僅かに目を細めつつ、ソスエが呟く。 「花火なんて久しぶりです」 そんなソスエに、ライリーはふわりと笑う。 「日本の花火はすごいと聞きます。楽しみです。ソスエさんも、花火はしたことがあるんですか?」 ライリーの問いに、ソスエは少しだけ記憶を辿るように考えこんで、それから小さく頷いた。 ◆ じゅうじゅうと醤油とトウモロコシの焼ける香りが、浜辺を包み込む。 「‥‥こんな感じで良いのか?」 カイがたずねる先は、トウモロコシを持参した張本人である彩玻。 「それ以上焼くと炭になっちゃうから、大丈夫だよ」 頷く彩玻に、カイは満足げに頷いた。まずは腹拵えから、という事で、手分けしてお好み焼き、焼きそば、そして焼きトウモロコシを作成することになった面々。出来上がった料理は、それぞれ好きな量皿に盛っていく。 「お好み焼きすんねやったら『はしまき』しよ」 と、将太郎の提案で、お好み焼きは九州や中国地方では屋台の定番となっている『はしまき』スタイルで、食べやすいコンパクトサイズとなった。 わいわいと賑やかに、そこそこみんな腹も膨れた頃、カイは引火防止の為に離しておいた花火を両手に持って戻ってきた。自分の用意した分と、将太郎が持ってきてくれた分の手持ち花火を合わせると、かなりの種類と量になる。この人数でやるなら、十分だ。 「ここに置いておく。好きなものを選んで、使ってくれ」 BBQコンロから少し離して花火を置いて、カイは用意したロウソクに火をつける作業に取り掛かる。 「線香花火は最後、と聞きましたが」 花火を選ぶライリーがそう言えば、全会一致でとりあえず線香花火は最後、という事に決定した。 「線香花火以外の手持ち花火だけでも、沢山ありますねっ。イーノク君、どれからにします?」 一つずつ指で指し示しながら考えながら、リラはイーノクにたずねる。 「うーん‥‥本当に色々あるんだな。これなんか、途中で色が変わるとか‥‥これは、フラッシュ?」 これがいいか、それともこっちか。首を傾げながら一つずつ確認していくイーノク。 「どれにしようかな? どーれーにーしーよーうーかーなー‥‥これです!!」 慎重に選ぶイーノクに対し、リラはほぼ勘で花火を決め、一本掴む。 「まぁ沢山あるからな。最初はどれでも良いんじゃないか?」 一本ずつしか無い訳じゃないのだから、とカイが言えば、イーノクも納得したように頷いて、取り敢えずメタリックスパークなる花火に決めたらしい。 「ところで‥‥火はどっちにつければ?」 首を傾げるカイの花火は、運悪く上も下も同じような太さの花火だった。 「んー‥‥どっちやろー? つけてみたら?」 かなり適当に返す将太郎に対し、彩玻は鼻を鳴らし、カイの花火を掴んで少し観察した後、少し先端に紙のついている方を指差した。 「こっち。外国では手持ち花火になれてない人も多いんだね」 日本人だと、ある程度は馴染みがあるけど。言いつつ、彩玻は今日のメンバーを順番に見やる。半分は日本人ではない。ならば、見本を見せるのが一番いいのではないか‥‥そう考えて、彩玻はわかりやすく火薬側が膨らんだ花火を手に持つ。 「こうやって花火の端を持って、火薬が入っている方に火をつける。お友達に火をむけてはいけません。まぁ、裏面にも書いてあったと思うけど、念の為」 裏面をつぶさに読んだカイも、それは心得ていた為小さく頷く。 「あと、こうやってまとめて沢山持ったりとか、危ない持ち方もやめようね」 片手に3本ずつ花火持ってキリッと決めた彩玻の説明に、日本以外の国籍を持つメンバーはそれぞれに頷き、そして手に持った花火の火薬部分を確認し始める。 「お、ついた!」 火薬に火をつけたイーノクは、弾ける火花に目を輝かせる。 「すごいですね。さすがです」 隣のリラも浴衣の袖が火に当たらないようもう片手で持ちつつ、火のついた花火を下に向ける。 「あ、消えてしまいました」 放射状に広がる火花を見つめていたライリーだが、選んだ種類がたまたま運悪く早く消えるタイプのものだったらしい。先が黒く焦げた花火の柄を持ったライリーは、その向きのままバケツの水の中に入れると、じゅ、と僅かな音がした。 ライリーは少し選んでから、一本の花火を手に取った。 「まだ、着いてる人がいたら、灯りをいただくのですよね?」 記憶を辿りながらソスエにたずねると、ソスエは頷いて手招きする。 「まだ大丈夫ですよ。そっと、近付けて‥‥」 花火の先端同士が当たるか当たらないかくらいの所に寄せると、火花が重なるように一瞬ちかりと光り、ライリーの花火に火がついた。 「どの色も綺麗ですね」 ソスエがそう言いながらライリーの方へと目を向けたら、ソスエも微笑んで頷いた。 (友達から火をもらう‥‥、こんな事、来る前は想像もしていませんでした) 浜辺の夜の闇の中で、ちかちか、パチパチと火花が散る。ざざぁ、と寄せては帰る波を視線の隅で捉えつつ、様々な花火に火を付けて、散る火花に目を瞬く。 どれくらいの時間が経っただろうか。山のようにあった花火は、残すところあと線香花火のみ。 「一人一本‥‥っていう量でも無いね」 大体セットで買うと、一セットにつき一袋線香花火が入っているものだ。数袋ある線香花火を掴み、彩玻が呟く。 「みんな平等に、配って行こか」 将太郎の提案で、取り敢えずは2本ずつ線香花火を配っていくが、まだまだたくさんある。 「せっかくだから、勝負とかする? 最後の焼きトウモロコシとか賭けて」 イーノクの提案に、まず最初に頷いたのはリラ。となれば、他の面々も同じように同意を示し。 「ロウソクで、なるべく全員同時に火をつけるぞ」 カイの言葉にそれぞれ頷きつつ、線香花火に火をつける。ジジジジ、と縮まっていく火球からは、小さな火花が散り始める。 「落ちないようにそっと‥‥」 なるべく揺らさないよう気をつけて線香花火を持つソスエに、ライリーも同じく息を潜めながら、呟く。 「‥‥きれいですね」 ぱちぱちと弾ける火花は、徐々に勢いを増していく。震える火球が落ちてしまいやしないかと、一同は自然と大きくなっていく火球を凝視する。 「線香花火って、人の人生を表してるってよく言われますね。長く、灯っていてほしい‥‥ですね」 リラの言葉に、イーノクは火球を落とさない程度に小さく頷く。小さく震える火球は、まだまだ火花を散らして花火の最後を華やかに締め括ろうと頑張っている。 ばちばちと弾ける火花の音は、波の音に紛れて夏の海に沈んでいく。楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。それでも、一夏のこの思い出は、きっと彼らの胸にいつまでも刻まれる事だろう。
参加者
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