'; document.write(js_file); var sflg = smartphoneCheck(); if(sflg == 1){ if (window.innerHeight > window.innerWidth) { document.write('\n'); } else{ document.write('\n'); } document.write('\n'); } else{ var rand = Math.floor( Math.random() * 100000 ) ; var css_file = 'https://rexi2.net/pd/css/style_pc.css?' + rand; document.write('\n'); document.write('\n'); } function map_show(){ // キャンパスの要素を取得する var canvas = document.getElementById( 'map-canvas' ) ; // 中心の位置座標を指定する var loc = ''; var ary = loc.split(","); var latlng = new google.maps.LatLng(ary[0],ary[1]); // var z; var z = ary[2]; if (z == '' || z == undefined){z = 15;} z = parseInt(z); // 地図のオプションを設定する var mapOptions = { zoom: z , // ズーム値 center: latlng , // 中心座標 [latlng] }; // [canvas]に、[mapOptions]の内容の、地図のインスタンス([map])を作成する var map = new google.maps.Map( canvas, mapOptions ) ; // ドラッグできるマーカーを表示 var marker = new google.maps.Marker({ position: latlng, title: "", draggable: true // ドラッグ可能にする }); marker.setMap(map) ; // マーカーのドロップ(ドラッグ終了)時のイベント google.maps.event.addListener( marker, 'dragend', function(ev){ // イベントの引数evの、プロパティ.latLngが緯度経度。 var lat1 = ev.latLng.lat(); var lat2 = ev.latLng.lng(); document.getElementById('gmap').value = lat1 + ',' + lat2; }); } -->
ビバ☆サマー!
オープニング◆夏とは。七月。この常夏の島においてその単語に大した意味は無いかもしれないが、大半の北半球の国々にとって、それは夏を意味する。 「夏‥‥夏か」 ぶつぶつ呟きながら、カイ・エリクセンは図書館で本をめくる。夏、夏休み、バカンス。夏という単語にまつわるものは、大抵が楽しいもののようだった。記憶がほとんどないカイにとって、夏に関する記憶も思い出ももちろん無いに等しかった。 せっかくこのようにある程度の自由を謳歌出来るのだから、夏ももちろん謳歌したい。いつか過去の自分自身が体験したであろう夏を、今の自分も満喫したい。そのために、夏にやるべき事は何だろう。 「夏‥‥バーベキュー‥‥、海水浴? それともスイカ割り?」 登場キャラ
青い海、白い砂浜。陽光を弾いてきらきらと輝く水面。 「わっは~♪ ナタクセンパイと、う~み~っス☆」 と、ナンシー・オズマがはしゃいでいたのは恐らくほんの数時間前の事だろう。泳ぎに行くというナタク・ルシフェラーゼに、いっしょに泳ぐだけでもとっても幸せ、とついてきたは良いものの。 「でも、ナタクセンパイの体力には、ついてけないス‥‥」 チャレンジするだけ、したのだ。しかし、元プロサーファーというナタクのウインドサーフィンにはついていけず、結局ナンシーは少し泳いで陸に上がり、浜辺で休憩しつつナタクを待っている事にした。 「ホントいつもステキっスけど、ナタクセンパイと海はベストマッチっスね~♪」 颯爽と海面を走るように波にのるナタクの姿に、ナンシーは居ても立っても居られず、にへ〜と笑って飛び跳ねる。 「センパーイ!!」 その衝撃で、大きな胸が上下に揺れ周りの視線が集まるが、本人は全く気付かない。しかし、その彼女の叫びにちょうど後ろを通りかかったカイ・エリクセンが様子を伺いに来た。 「夏らしいイベントでもやってるのかと思ったが‥‥違ったか」 何処と無く落ち込んで見えるカイに、ナンシーはナタクを指差す。 「あのウインドサーフィンしてるの、ナタクセンパイっスよ! ああいうの、夏らしくないっスか?!」 そう言われ、カイはナタクへと目を向ける。眩しいほどに輝く水面を滑り、くるりと回転するボード。 「たしかに‥‥夏らしい絵にはなるな」 なるほど、と頷きながら、カイはくるりと踵を返す。 「どこに行くんスかー?」 背中にかけられた声に、カイは軽く振り返る。 「他にも夏らしさが見つからないか探しに行く。もし何か良いものが見つかったら教えてくれ」 そしてひらりと手を振って、カイは歩き出す。 そこから5分くらい歩いたところは飲食スペースになっており、椅子と机が用意されている。ほとんどが客で埋まっている中ぽっかりと空いた一つの席へ、出店でトロピカルジュースを購入してきた神崎真比呂が、真純清輝を連れてやってきた。 ストローが二つ刺さっているトロピカルジュースをテーブルに置きながら、椅子を引いて真比呂が腰掛けると、その横に清輝が腰掛ける。それから、二本刺さっているストローに目を向けて、わずかに首を傾げた。 その視線に気付き、真比呂は笑う。 「ジュース屋さんが2人用ストローくれたんだ、すずきさんそっち咥えて?」 促されるままに片側のストローを清輝が咥えると、もう片側は真比呂が咥える。2人でこうして分け合うジュースというのも、ビーチデートの醍醐味というものだろう。 「ん〜!」 ジュースの甘さと清輝と分け合う幸せに思わず笑顔を浮かべる真比呂に、清輝はAiフォンを取り出してカメラモードに切り替える。 「はい、チーズ」 常夏の島とはいえ、夏は夏。季節を大切にする日本人として(清輝談)、こういうイベントは欠かせない。 「うん、よく撮れてるねー」 画面を確認する清輝は、真比呂にもその写真を見せる。 「すずきさん、お花の水着すごい似合ってるね。可愛くて悪戯な花の妖精みたい‥‥」 囁く真比呂に、清輝は思わず目を向けた。 「ね、ねぇ‥‥ボクの今日の水着、どうかな? 色っぽく頑張ってみたんだけど‥‥」 そこまで言って、恥ずかしくなった真比呂はがばっと立ち上がり、海へ向けて走り出す。 「まっぴー! 待って」 追いかける清輝の手には、まだカメラモードのAiフォンが。自分用にと真比呂を複数角度からソロで撮るつもりでいた清輝としては、まだまだ諦め切れるものではない。 「も、もうすっかり夏だよね。いっぱい楽しも? バカンス行って海中散歩して水着フル活用!」 きらきらと輝くような笑顔の真比呂に、清輝も思わず目を細める。 「海に花火にお祭りもあるからね、まだまだ、楽しいことはたくさんあるよ」 この海辺のデートだって、まだ始まったばかりなのだから。伸ばされた真比呂の手を握りしめ、清輝も海面へと走り出した。 ニンジャへの道は一日にして成らず、鍛錬あるのみ。その信条を胸に、エラ・ウォーカーはしっかりと準備体操をしてから海で泳ぎの練習に明け暮れていた。クロール、平泳ぎなどオーソドックスな泳ぎに加え、日本古来の古式泳法なども練習していく。 「‥‥これに動物の動きを取り入れて」 遠くの方を泳ぐイルカの姿に、ふと思いついたままに身体を動かす。イルカのように身体をくねらせ‥‥バタフライほどは大きくない動きだが、進まない事もない。あとは犬かき。顔を出して、前後に手足を動かす。こちらはあまり効率が良くないようで、水しぶきと労力は大きいが、あまり進まない。 犬かきはやめて、他の泳ぎでも試してみようか。そう思いながら動くのをやめ、息を落ち着けるために顔を出し、波間に目を向ける。揺れる光の隙間に見えた魚の背びれに、エラはハッとして一度顔を水面につけた。鮮やかな色の魚。季節の移り変わりと共に、この島まで泳いできたのだろうか。 「春にはいなかった魚が‥‥」 この常夏の島でも、夏が来たのだと実感しつつ、エラは休憩のために浜に上がり、腰を下ろす。息が落ち着いてきた頃、見知った顔が眉間に皺を寄せ、通りかかった。 「ん? カイ、何してるんデス?」 問われたカイはハッとエラを見て、口を開く。 「夏らしさを探しているんだ。この浜辺にはきっと夏らしさがあるはずだと思って」 あの太陽も夏らしさかもしれないし、そしてこっちの浮かれる人々も夏らしさかもれないりそうじゃないかもしれないが。そう説明しながら指をさしていくカイに、エラはにっこり笑って頷く。 「夏らしさ? いいですネ。ミーもさっき見つけましたヨ」 海を見つめてそう言うエラに、カイは目を瞬く。 「それは、どんな?」 たずねるが、エラは笑うばかり。しばらくエラを見つめるカイだが、ややあって諦めたように息を吐く。 「こういうのは、自分で見つけてこそ‥‥だな」 納得したように頷くカイに、エラはひらりと手を振る。 「じゃあ、ミーはもうひと泳ぎしてきますネ」 そして、エラはまた海へと戻っていくのだった。 ◆ オリバー・カートライトと今井天は、これから食べるものを見繕いに飲食店の間をふらふらと彷徨っていた。しかし、その時。 「あ、あれ」 天がそう呟き走り出したので、オリバーも同じ方向へ付いていくことにした。 「トロピカルジュースくれ!」 売店のお姉ちゃんにそう注文する天に便乗し、オリバーも同じものを注文する。 「隣の店、肉売ってるな」 ジュースを受け取りながら、オリバーは隣に目を向けて呟く。 「買ってく?」 問いかけに頷くオリバーを見て、天は少し考える。 「そういえば、オリバーは何が好きなんだ?」 天の問いかけに、肉のメニューを眺めながらオリバーは口を開く。 「海といえば焼肉だから、肉は食いたいな。あと、甘いものとか。逆に、天はどんなものが好きなんだ?」 オリバーと同じようにメニューを見つめる天は、うーんと少し唸ってから答える。 「この中だと、強いて言えばホットドッグかなぁ‥‥」 昔、じいちゃんと食べたっけ。なんて思いながら、焼肉バーガーを頼むオリバーと一緒にホットドッグを頼む天。それから他の店も見て、少しずつ注文していく。 「海の見えるところで食おうぜ。あっちの方‥‥あそことか良いんじゃねえ?」 そう言ってオリバーが指差したのは、楽しそうに泳ぐ人々が良く見える、比較的静かな一角。 「あそこで食うか」 そう言って歩き出す2人の横を、カイが通り過ぎていく。 「何してんの?」 ちらりと視界に映ったカイに、天はたずねた。カイは食べ物の袋を両手に持つ2人に目を瞬くが、すぐに気を取り直して頷く。 「夏らしさを探している」 首をかしげるオリバーに変わり、天が口を開く。 「色々あるが、俺はこの『夏に浮かれる人々』が夏らしさだと思うぜ」 天が指し示した方向には、水着で泳ぐ人々、仲間たちと盛り上がる若者達が見える。それに目を向け、カイは納得したように頷いた。 「たしかに、ああいう雰囲気は、夏ならではかもしれない」 飲食店の方では、白頭鷲のアルカとコンドルのディアを連れた桜葉千葉がドロイドのトンボの伯達を連れた桜葉杏花の腕を引き、どことなく薄暗い店の方へと向かおうとしていた。 「アン姉様、こっちのお店美味しそうですよ!!」 もう既に妙なものを食べた後の杏花は、若干顔を引きつらせて首を横に振る。 その前に杏花が手配した食事の美味しい店で昼ご飯を食べたというのに、その美味しさはその後食べた妙な民族料理の味でかき消されて記憶のはるか向こう側へと旅立ってしまった。あれはハズレだった。確実に。 「ミル、運を使ってお店選ぶのは流石にもう危ないよ」 杏花の千葉を止める声は、かなり真剣だった。しかし、その制止にもめげず千葉はきりっとした顔で振り返る。 「だって、私まだアン姉様にあーんしてないです!」 そう言う千葉に、杏花は先ほどの店であーんを断った事を少しだけ後悔した。でも、あーんはしない。しないったらしない。 内心葛藤しつつ、たどり着いた店先で鼻先をくすぐる美味しそうな匂いに杏花は少しだけ安堵した。 「行きますよ、アン姉様!」 そんな杏花の様子に気付いたのか、勢いの増した千葉に、杏花は再度首を横に振り、宣言する。 「あーんはしないから」 果たして断り切れるかどうかはわからないが。 ◆ 「やあカイ」 飲食スペースのパラソルの下で休憩していたカイの元へやってきたのは、ジュースを片手に持った色原朔。泳いできたらしい水着姿の朔の髪は、少し濡れていた。 「ちょうど良かった、少し日陰に入れてくれ」 特に断る理由も無いので、素直に向かいの席を促すと、朔は一息吐きながら腰を下ろす。 「泳いできたのか?」 たずねるカイに、朔は頷く。 「ああ。少し疲れたから、ジュースを買って日陰を探して‥‥キラキラのカラフルタピオカソーダ、だってさ」 作り物じみた笑顔ではあるが、それでも不機嫌ではないのだろう。そう判断できるくらいの声音で喋る朔に、カイはふむと頷く。 「綺麗、だな」 キラキラの名に恥じぬ色合いだ。思わず呟くカイに、朔はタピオカソーダを差し出す。 「これ、飲むかい? きっと過去のきみは知らないやつだ。今のきみだけが楽しめる」 思いもよらない提案に、目を瞬かせるカイに、朔は頷いた。 「後でまた買うから構わないよ。あ、写真撮らせてくれ。SNS大丈夫?」 「構わない。それより‥‥ありがとう」 今の自分だけ、という単語に少し心動かされたカイは、ありがたくタピオカソーダを受け取ることにした。そんなカイに、朔はわずかに目を細めた。 「春にきみと話せてよかったよ。僕も、いたけどいなかった僕を確かめてるところだ。人はまるで鏡だ。相手に映り込んだ自分がよく見える」 春のバーベキューの時、話したこと。朔はカイにどうして人と仲良くしたいのかと問うた。それに対し、カイは素直に自分の目的、つまり過去にあったかもしれない何かを取り戻したいのだと答えた。それが朔にとって、良い刺激になったのだろう、とカイは受け取り、頷く。 「俺も、君と話せて良かった。そして、何よりこうしていつかの自分が手に入れることの出来なかっただろう物を貰えた。これはかなりの収穫だ」 満足そうに笑うカイに、朔も笑顔で応じ、席を立つ。 「さて、それじゃあ僕は泳いでくるよ。また話そう」 そして、朔はひらりと手を振り、波打ち際の方へと歩いて行くのだった。 その背を見送り、タピオカソーダを太いストローで飲みながらカイも立ち上がり、遊泳区画の方へと歩いていく。そんなカイへ、ウインドサーフィンを終えたナタクとナンシーが近づいていく。 「お疲れさまっス! 夏らしさ、見つかったっスか?!」 ナンシーはナタクに甲斐甲斐しくタオルを手渡してから、カイにたずねる。 「色々と見つけることは確かにできたが‥‥やはり当初の予想通り、たくさんあるようで、これという決め手に欠けるな」 タピオカソーダを飲みながら眉間に皺を寄せるカイに、タオルで顔を拭いたナタクはうーんと唸る。 「夏らしさ探しねぇ‥‥常夏の島では結構難しいよね。だってある意味『日常風景』だもん」 そして、考え込むことしばし。 「あっ! あたし行きたいところがあったんだった」 そう言って、ナタクはナンシーとカイを連れ、数ある飲食店の内の一つ、チェーン展開してるバーガー店。Aiフォンを操作して、画面を表示させて店員に人数分のセットを注文する。 「バーガーセット、2人に奢るよ」 そう言って会計を済ませるナタクに、カイは首を傾げる。 「それはありがたいが‥‥それと夏らしさは何か関係があるのか?」 真剣な顔でそう問うカイに、ナタクはAiフォンの画面を見せた。 「海で遊んでみんなで食事するのも夏っぽいし、何よりこれが夏限定なの♪」 にっこり笑うナタクの手のAiフォンに表示されているのは、サマークーポンの文字。それを読み、カイは少し考えて、頷いた。 「そうか‥‥これも、夏らしさか」 出来上がったバーガーセットを受け取って、カイは満足そうに目を細めた。 こうして、学生達は思い思いの一日を過ごしていく。常夏の島の夏は、まだ始まったばかりだ。
参加者
|