オープニング
◆
ハウンド達はウーディア地方のとある館を訪れていた。
各地で芸術品を収集するデュルガーであるコウモリのような羽と矢尻のような尻尾、そして牛の角を持つ筋骨隆々の男性達。
彼らが何処からやって来たのか。
その拠点を突き止めたハウンド達は暗く湿った館の中を進んでいた。
やがて、窓から淡く差し込む木漏れ日の光が照らし出したのは幼さを滲ませた少年。
呪いの書を手に入れるまでの間、ハウンド達と一時的に協力し合っているデュルガーだ。
彼は筋骨隆々の男性達の本拠地に先行して偵察へと出向いていた。
「コルパンくんなのー」
「あっ、変な名前!」
「変な名前じゃないのなのー」
幼い少年――コルパンの不遜な振る舞いに、目線を合わせたエルーカ・エルルカは不満を抱く。
(この人は――)
ハウンド達の困惑した視線が向かう先には筋骨隆々の男性達の協力者と思われる貴族の男性の姿があった。
(どうやら芸術品を強奪したデュルガー達の協力者みたいだな)
彼はコルパンと一悶着あったのか。
コルパンに手を握られた事で戦意を喪失していた。
(侵入者である俺達に対して敵意が感じられない。もしかしたらコルパンの能力によるものなのかもしれないな)
貴族の男性の有り様に、ハウンド達は僅かに違和感を覚える。
思考を走らせたその時、コルパンが貴族の男性とのやり取りで得た情報を報告した。
「なあなあ、この館の主であるスクブスが持っている巻物の一つが、俺の探し求めていた呪いの書である可能性が高いみたいなんだ」
コルパンの眸に希望の灯が宿る。
ハウンド達はコルパンを追いかけて、スクブスがいる広間へと向かう。
広間の扉を慎重に開くと重く冷たい空気が溢れ出てくる。
「あら、賑やかなお客様ね」
眸に喜色を堪えた女性はそっと手を伸ばして愛しそうに巻物に触れていた。
「……あっ! 俺がずっと探し求めていたのはあの巻物だ!」
短剣の切っ先を向けながら、コルパンが鋭い声を発する。
その声音に、この館の主である女性――スクブスはコルパンを睥睨した。
「探し求めていた? もしかして、この巻物の持ち主さんかしら?」
スクブスは典雅に一礼する。
それに応えたのは自身の頭部を抱えた漆黒のスーツアーマー姿の魔物だった。
「恐らくはそうだろう。スクブス、やはりその巻物は強力な呪物の類いだと判断する」
デュルガーである首無し騎士デュラハンは戦意を高める。
「我らの野望を成就するための要となるはずだ」
デュラハンはスクブス達と協力状態にあり、同じ目的のために結託していた。
それでも痛いような静寂を破るように、コルパンは必死に主張した。
「待て待て、その巻物は俺が無くしたものだ! 『超』がつくほどの大事なものでずっとずっと探していたんだ!」
「あら、そうなのね。でも、残念。この巻物はもはや私達のもの」
自分の思想を刷り込むように。
スクブスはそっと手を伸ばして、愛しそうに巻物に触れる。
「それじゃ、彼らの相手をお願いね。私達がこの強力な呪物を利用してのし上がるために」
「お任せください。我らが主のために、必ずや彼らを排除してみせましょう」
壁際に侍(はべ)っていた筋骨隆々の男性達――インクブス達は満足げに頷く。
「お願いね」
そう言い残すと、スクブスはデュラハンとともに広間から出ていった。
ハウンド達はインクブス達の追跡を振り切って広間を出ると、即座にスクブス達を追いかけようとする。
しかし、その矢先、エルーカの悲痛な声が聞こえた。
「……なのー!!」
悲鳴が尾を引いたのも一瞬。
エルーカは仕掛けられた網(あみ)に絡め取られて床に張りついていた。
「エルーカ、大丈夫か?」
「……ありがとうなのー」
ハウンド達によって救われたエルーカは安堵の表情を浮かべる。
ハウンド達が改めて視線を向けると、スクブス達は既にこの場から立ち去っていた。
「館に仕掛けられた罠がこれだけとは限らないよな」
どうやらこの館には他にも様々な罠(トラップ)が仕掛けられているようだった。
◆館について
館は二階建てになっており、様々な罠(トラップ)が仕掛けられています。
館に仕掛けられている罠の内容を自由に決める事ができます。
どんな罠を突破していったのか、プレイングに記載して頂けたら幸いです。
◆罠の例
・落とし穴
・滑りやすい床
・床から突如、槍などが飛び出す
・天井から矢などが降ってくる
・網(あみ)に絡め取られて床に張りつく
・階段の上からボールなどがたくさん転がってきた、など。
選択肢
a.軽やかに突破 | b.強引に突破 |
c.慎重に突破 | z.その他・未選択 |
マスターより
こんにちは、留菜マナです。
今回はデュルガーであるスクブス達が所持する呪いの書を手に入れるために奮闘する話になっております。
呪いの書を所持しているスクブスとデュラハンは館の何処かに潜んでいます。
デュラハンはスクブス達と協力状態にあり、強力な呪物(呪いの書)を利用してのし上がりたいと考えております。
彼らは呪いの書の存在、それに関する事を知りません。
そのため、呪いの書を管理していたデュルガーである男の子――コルパンもろともハウンド達を倒そうとしてきます。
選択肢は罠をどうやって突破したのかになります。
コルパンと一緒に協力して罠を突破する事もできます。
今回、エルーカはお声を掛けて頂いたもの、もしくは慎重に罠を突破する予定です。
どうぞよろしくお願い致します。
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登場キャラ
◆
エアは手にしたランタンで「むう」と周囲を照らす。そして、スカイランニングを成就してふわりと足を浮かばせた。
この状態なら床に仕掛けられた罠を踏まずに済むし、周囲の壁に接触しない限りは罠のスイッチにかかる問題もないと判断したのだ。
「取り合えず、先行して罠の確認をしてくるね」
エアは肩に相棒のヤシチ――シノビエイプを乗せてそう宣言すると、この先に仕掛けられている罠を捜索していく。
「これは落とし穴かな」
エアは怪しい床をカゲヌイブレードで突く。その途端、床に大きな穴がぽっかりとあいた。
さらに部屋に入ると、天井に仕掛けられていた網を切り落とした。
その瞬間、罠が作動して吊り下げられていた天井板が落ちてくる。標的を押し潰そうとしていたインクブス達は呆気に取られた。
エアはインクブス達の追跡を振り切ると、彼女と同じく忍者装束を纏ったヤシチの力も借りながら館の安全を確保していった。
◆
「出来るだけ安全を確保してきたよ。ここはトラップハウスだと言っても過言じゃないね」
「ふむふむ、トラップハウスか。コレはボクに対する挑戦だね」
エアの見解に、
キャサリンは納得したように頷いた。
「慎重に……でも確実に罠を解除して安全に進んでいくよん。忍犬のクナイ君と共にね!」
キャサリンは忍犬のクナイとともに奥へと進んでいく。そして部屋のドアを開けようとした矢先、危険な罠が仕掛けられている事に気づいた。
「オーコレは、巧妙に隠されているけどドアを開ければ何かの液体が落ちてくるタイプの罠だね。ドアを開ける際の感覚で分かるよ。クナイ君も薬品の匂いに警戒しているし」
キャサリンが調べている最中、クナイはドアに警戒を示していた。
「液体は油か強酸かな。殺意高くて良いね」
キャサリンは確信に満ちた笑みを浮かべる。この罠を如何に解除するのか、そのための段取りは既に彼女の頭の中にあった。
程なくして罠を解除したハウンド達は先に進んでいく。
「わ、罠は何処にあるのなのー」
「エルーカちゃん、大丈夫! 慎重に行けば罠なんて……」
不安を抱く
エルーカを勇気づけるように
ユナは一歩進む。その瞬間、次々と矢が飛んでくるが、咄嗟に盾を構えたユナは辛うじてそれを防いだ。
「た、盾が間に合ったぁ……」
ユナは速まる鼓動をどうにか落ちつかせようとして壁に手をつく。途端――今度は足元の床が抜ける。落とし穴の罠が稼働したのだ。
「……ユナばっかりなんでぇ〜〜?」
辛くもユナは床が崩れていない所につかまっていた。
「だ、だれか引き上げて〜〜」
「ユナさん、すぐに助けるのなのー!」
エルーカは涙ぐむユナを救うために皆とともに引き上げていった。
しかし、それ以降もユナが動く度に何らかの罠が発動する。
「な、なんでユナばっかり罠にかかっちゃうの~!?」
反射的に盾で防ぐものの、罠発動に歯止めがかからない。
「……ユ、ユナはジッとしてるね?」
もはや身動きが取れないと判断したユナは片足の浮いた変なポーズで固まる。そのまま静止していたその時、エルーカに向けて矢が次々と飛来しているのが目に入った。
「エルーカちゃん、危ない!」
盾を構えたユナはエルーカの前に飛び込むと迫り来る矢から護った。
「ユナさん、ありがとうなのー」
「エルーカちゃん、無事で良かった~……」
エルーカが涙を堪えながらユナのもとへと駆け寄ってくる。
とはいえ、このままでは埒が明かない。ユナはマルチパーリングとルミナシールドを成就した。
「もう、かかりながら進むね!」
両盾を構えたユナは片っ端から罠を発動させていく。
「カイザー家の家訓に曰く『仕掛けられた罠はかかるのが礼儀』である!」
一方、
トサは果敢に挑むように宣言する。
「私はエアのような罠解除は出来んので、仕掛けられた罠は踏み潰して先へと進むのである!!」
その最初の一歩を踏み出すが、トサはそこで床板を踏み抜いてつんのめる。
豪快に床板に顔面をぶつけるものの、トサは「なんのこれしき」と立ち上がった。だが、今度は床に塗られていた油で足を滑らせる。
そのまま廊下を滑っていき――途中でふっと消えた。いや、実際は床下に滑り落ちて館の奥へと姿を消したのだ。
館の何処からか慌ただしい騒音が響き渡る。トサはどうやら行く先々で悉く罠にかかっているようだった。
やがて、トサはエアに救われて皆と合流を果たした。一連の流れで何処も罠だらけだと示唆された館。
「落とし穴か」
ユミルの目の前には奇妙な床があった。周辺を警戒していた時、床に隠蔽されたような跡を発見したのだ。
その時、グリーヴァランタンが飛んできて奥側の床に置かれる。するとその場所にユミルの姿が現れた。
「まあ、楽勝だね」
ユミルはホルスの転移を利用して落とし穴を回避したのだ。
先頭を歩いていた
エルシーの持つランタンが館内を照らし出す。その時、天井から飛来したのは矢の嵐だった。
「天井から矢が飛んでくるべか?」
エルシーは周囲を見渡し、どんな罠なのか特定する。さらにガードとアースアーマーを成就して鉄壁の防御を固めた。
「おらは堅さを生かしてどんどん進むべさ」
矢が次々と降り注ぐが、盾を頭上に翳したエルシーは一気呵成にその場を通過していった。
「こういうトラップハウスは心躍るなー。年甲斐もなくワクワクしてきたよ」
忍者装束を纏った
オスカルは罠を楽しむように声を弾ませる。
「待て待て、致死性の罠とかないよな」
一方、コルパンは畏怖を覚えていた。偵察時、罠に遭遇しなかったのは運が良かったのだろう。
「ここは一緒に罠をクリアしていこう。遊びと思えば楽しいもんだよ」
「そ、そうだよな。遊びと思えば、罠なんてすぐに突破できるよな!」
オスカルの呼びかけに、コルパンは一転して尊大な態度で言い放った。
「デュルガーに巻物を持たせるのはどちらでも大問題です。巻物はこちらが手に入れる様に立ち回ります」
「ノーラちゃん、巻物はこちらで回収しましょう」
緊張を滲ませた
ノーラの声音に、
シェールは頷いた。
問題は乱戦の最中、コルパンやスクブス達に呪いの書を持ち逃げされる危険性を孕んでいること。ならば、その前に呪いの書を確保する必要があった。
「先ずは罠をクリアしなければなりませんが」
「罠を華麗に回避していきましょう」
ノーラの意思に呼応するように、シェールは応える。その時、二人は床の微妙な色の違いに気づき、その箇所を当たってみた。その途端、飛び出したのは鋭利な槍。
「罠ですか。床から槍が飛び出して来る物みたいですね」
「シェールちゃん、協力して罠を回避しましょう」
シェールとノーラは罠の範囲を視野に入れながら軽やかに回避する。
「クソ面倒臭いことをさせおって」
その後方で
ケイナは二人が使った道を慎重に辿っていた。同じタイミングで罠が発動するが、彼女は素早く動いて華麗に回避していく。
「他にも罠があるみたいね」
ティファルはフロアへと続く道筋を見つめた。そして辺りを観察していた時、床が妙に滑りやすい事に気づく。
「滑り易い床の様ね。さっさと抜けてしまいましょう」
ティファルはフライを宿すとふわりと軽く飛んで滑る床を抜けていった。罠の突破を滞りなく終えた彼女は、やがて大階段があるフロアへと出る。
「二階に上がる階段のようね」
ティファルは状況を把握する。
だが、二階に上がるためには思わぬ難関が待ち構えていた。階上からヌルヌルの液体が流れ出していたからだ。
コルパンは危険を回避するため、二階まで転移しようとする。しかし、その前にオスカルが声を掛けてきた。
「コルパン君、トラップは楽しまなきゃ損よ☆ どちらが先に二階まで登り切るのか競争しようか」
「競争? よし、俺が一番乗りだからな!」
それは負けん気が強いコルパンの心を強く刺激した。
上の階までの道筋を見上げると、オスカル達は動き出す。階段を登っていくが、途中で更なる障害が待ち受けていた。壁の左右からボールが飛び出してきたのだ。
「うわっ!」
ボールに当たったコルパンはあえなく階段を滑り落ちていく。
一方、オスカルは巧みにボールを躱し、一気に二階まで登り切った。
「コルパン君、大丈夫?」
「次のトラップじゃ負けないからな」
その意気込みとともに、オスカルのいる場所にコルパンが突如現れる。だが、やる気を漲らせた所でふと気づいた。
(待て待て、今楽しい……って感じたのは何故だ?)
答えの出ない疑問に、コルパンは頭を悩ませた。
ハウンド達は様々な手段を用いて二階へと上がる。二階の廊下の先、そこには大きく分厚い扉が立ちはだかっていた。
扉は施錠されている。それ以外、罠らしき所はないように見えたが――
「罠のことなら任せたまへ」
わきわきとした様子のキャサリンが前に出る。
「鍵がかかった罠か。どりどり?」
「どうだべ?」
キャサリンがドアを調べ始めると、エルシーがランタンを掲げて周囲を照らし、調査の手助けをした。
「っと、鍵穴に毒針が射出されるように組み込まれているね。何かごついからきになったんだよ。不用意に解除したら即死だね」
「そ、そそっ!?」
「即死なのー!?」
思わぬ殺傷力の高い罠を前にして、ユナとエルーカは慌てふためく。
「大当たりかな」
キャサリンが扉付近を探り、罠の解除に成功する。恐らくこの先を進めば、スクブス達との遭遇は避けられない。皆は戦闘の準備を整えると扉の奥へと足を踏み込んだ。
「絵画があるね」
ふとユミルの目に入ったのは壁に掛けられた絵画だった。既にルミナパワーとルミナシールドを成就し終えている。
「傾いた絵画か。これは不用意に元に戻すと射殺されるね。定番だね」
「な、なんなんだ、この館は……」
キャサリンの説明に、コルパンは即座に絵画から離れる。
「……いや、楽しいトラップハウスだね!」
「こういうトラップハウスは心躍るねー」
キャサリンの陽気な声に、オスカルは嬉々として同意した。
「……もう罠ない?」
両盾を構えたユナは落ち着かない様子で視線を巡らせる。
「罠ですか。この辺りにはもうないみたいですね」
シェールがノーラと協力して他に罠がないかを調べるが、発動しそうな罠は見当たらなかった。
「よかったぁ〜〜」
「良かったのなのー」
警戒を続けていたユナとエルーカは気が抜けたようにその場にへたり込む。
「ただ、デュルガーが隠れ潜んでいるようです」
「あら残念。気づかれていたのね」
シェールが狙いを定めた場所から女性の声がした。ハウンド達の前に立ち塞がったのはスクブスとデュラハンだった。さらに続々とインクブス達が扉から入ってくる。
「アマテラスで皆を守ります」
ノーラが成就させたアマテラスの魔法によって不可視の結界が形成される。後衛の盾として立ち回り、接近してきたインクブス達を悉く弾き返した。
インクブス達が怯んだその隙に――
「ゼウス!」
ティファルが強烈な稲妻を叩き込む。
「デュルガーの思い通りにはさせないわ!」
「その通りだべさ!」
スマッシュを付与したエルシーは仲間の加勢に動こうとしたインクブスへと斬りかかった。さらにバサラフォームによって腕と融合したレーヴァティンで手当たり次第に倒していく。
その時、迫り寄っていた別のインクブスの存在に気づいたシェールが援護の矢を射る。
「これ以上は行かせません!」
シューティングブレスを宿したシェールは結界を活かして銀の矢を撃ち込んでいく。既に自身と前衛の仲間にエエンレラによる浄化と衝撃の力を付与している。
「小癪な真似を。ブラックフレイム!」
戦闘の趨勢を見かねたデュラハンの掌から漆黒の炎が迸る。
運悪くそこにいたのはトサだった。しかし、強烈な威力を喰らいながらも、トサは構わずデュラハンと対峙する。
「うむ、かかってきなさい!」
トサは片刃の剣を構えると幻の炎を纏う。さらに鎌のように敵を引っ掛けて攻撃を繰り出した。
「そこじゃ!」
ケイナはその間隙に乗じてプロメテウスを放つ。聖なる力を浴びた敵が怯んだその間にトサは持参した薬を飲み干した。
◆
「ではでは、巻物を手に入れるために動いていくよん」
幾度かの攻防を重ねる中、キャサリンはデュラハンが巻物を持っている事を突き止める。クナイと具現化させたフィルボの援護を受けて、デュラハンに対して銀のダーツを投擲した。
スクブスが間に入ってそれを妨害しようとするが、オスカルは構わず木製の杖を振るう。
「その程度の武器で私達は倒せ――っ!」
そこでスクブスは虚を突かれる。オスカルが不意を突くように直刀を振りかざしてきたからだ。実は鞘を偽装した仕込み杖であり、内部に銀製の直刀を隠していたのだ。デュラハンが加勢に動こうとするが、ノーラが銀の矢を射て阻害する。
「なっ!」
「はい、巻物確保!」
その矢にデュラハンが怯んだ隙を逃さず、オスカルは巻物を奪取する。すぐに奪い取られそうになるが、ティファルに渡した事で事なきを得た。
「この巻物を彼らや少年に与えるのは今後の為に良くなさそうね」
ティファルが接近してきた敵をストームで吹き飛ばす。その間にシェールとケイナは魔矢発動で仲間達にキュアティブを飛ばした。
ティファル達は手数を補うためにメンタルパワーリングで魔力の枯渇に備えている。
「我らの野望のためにそれを渡すわけにはいかない」
デュラハンは暴風の洗礼を浴びつつも巻物を奪還しようとする。
しかし、シェールは機先を制し、デュラハンに銀の矢を射た。デュラハンが動きを止めたその隙に、エルシー達は浄化の伴う攻撃を叩きつける。
その猛攻を前にデュラハン達は次第に追い詰められていく。
「私達の前に立ち塞がるならここで滅ぼしてやるよ!」
そこから止めへと繋げるため、ユミルはデュラハンの背後へ転移する。グリーヴァランタンを敵の死角に移動させた上のホルスだ。そしてチャージングでその背中を貫く。
「その程度で……っ」
虚を突くその攻撃に、デュラハンは体勢を崩すものの対処に乗り出そうとする。だが、移動させた光源に向かってユミルが再び転移した。勢いそのままに鋭い太刀筋がデュラハンを斬りつける。
「これで終わりだべ!」
そこにエルシーが一気に距離を詰めてくる。
これにデュラハンはクレイモアを振りかざし、全力の攻撃で応えた。だが、エルシーの堅牢な守りを貫く事はできない。そこにエルシーが全ての力を乗せた一撃を放つ。
「我らの宿願がこんなところで……」
それを受けたデュラハンの体は霧散する事もなく灰のように周囲に散る。やがて塵となって消えていった。
「デュラハンをよくも、絶対に許さないわ。ブラックフレイム!」
「あぶないっ! コルパンくんっ!」
スクブスが怒りに任せた魔法を放つが、ユナはコルパンを庇う。そこにスクブスが迫ったが。
「美学のない強盗は義賊として見過ごす事はできないね」
エアはヤシチを放ち、スクブスの気を逸らせると頭上から攻撃を仕掛けた。さらに一条の矢がスクブスに突き刺さる。
「あなたの相手は私です!」
スクブスに生まれた隙を逃さず、シェールは弓を引き絞ってから銀の矢を放つ。
「……私達の望みが」
その一撃を受けたスクブスは塵となって消えていった。やがて全ての敵が塵となって消える。
「もう大丈夫だから」
幸せ零すようなユナの笑顔。それはまるで陽の恵みに似た慈愛の光のようだった。
(お友達って眩しいな)
窮地を救われたコルパンは顔を上げる。
「坊主には巻物は渡さねえ」
「悪いね。巻物はこちらで貰うよ」
視線を上げれば、エルシーとユミルがコルパンの動向を警戒していた。
「た、助けてもらった恩だ。超大事な巻物はあげるからなー!」
コルパンは言い訳みたいな台詞を吐くと一瞬でその場から姿を消した。
何はともあれ、ハウンド達は呪いの書を手に入れたのであった。
4
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参加者
| | c.罠のことなら任せたまへ(わきわき
| | キャサリン・モロアッチ(da0421) ♀ 22歳 ライトエルフ マイスター 風 | | |
| | z.な、なんでユナばっかり罠にかかっちゃうの~!?
| | ユナ・プリセツカヤ(da0671) ♀ 20歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | c.スカイランニングで足元を浮かばせて慎重に進もうw
| | エア・カイザー(da1849) ♀ 28歳 人間 ヴォルセルク 風 | | |
| | a.罠をスキルを生かして華麗に回避していきましょう。
| | シェール・エクレール(da1900) ♀ 19歳 人間 カムイ 風 | | |
| | a.まあ、楽勝だね。
| | ユミル・エクレール(da1912) ♀ 24歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | b.さっさと抜けてしまいましょう。
| | ティファル・クラウディア(da1913) ♀ 26歳 ライトエルフ パドマ 風 | | |
| | b.カイザー家の家訓に曰く「仕掛けられた罠はかかるのが礼儀」である!
| | トサ・カイザー(da1982) ♂ 26歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | c.あ〜、クソ面倒臭えのじゃ。
| | ケイナ・エクレール(da1988) ♀ 30歳 人間 カムイ 火 | | |
| | b.おらは堅さを生かしてどんどん進むべさ。
| | エルシー・カル(da2004) ♀ 21歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地 | | |
| | b.こういうトラップハウスは心躍るなーw 楽しまなきゃ損よ☆
| | オスカル・ローズ(da2033) ♀ 53歳 パラ パドマ 火 | | |
| | a.シェールちゃんと協力して罠を回避していきます。
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| 館には罠がたくさん仕掛けられているみたいなのー。 | | エルーカ・エルルカ(dz0054) ♀ 18歳 人間 カムイ 月 | | |
呪いの書を求めて
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筋骨隆々の男性達の本拠地で待ち構えていたのは――。
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