オープニング
◆
「どうしたらいいのなのー?」
エルーカ・エルルカは縋るように呟く。
その言葉が全てを物語っていた。
月のダークヒュージドラゴン――ダークアビスドラゴンのもとから帰還したハウンド達から得た話を勘案した結果、ダークアビスドラゴンは『夢の世界にいざない、精神的に抹殺することを望む種』と判断された。
そして、その夢の世界を打破することがディスミゼルに繋がる可能性が高い、とも。
しかし、夢は相手の用意するフィールド。
ダークアビスドラゴンの手の内が分かったとはいえ、その攻略法は見つからない。
さらに夢の世界に放り込まれた者達の体験談から、『夢では能力や得意なことも封じられる』ことが判明している。
夢の中では戦技も魔法もスキルさえも使うことができない。
まさに抵抗する術がない以上、どうにも手の打ちようがなかった。
八方塞がりの状況の中、痛いほどの沈黙だけがハウンドギルドに落ちる。
その時、ギルドマスターの声が聞こえた。
「いいか、お前らも挫折や苦難、絶望を体験してきたはずだ……けどハウンドとしてここにいる以上、それを乗り越えられた自分がいたってことだ」
ハウンド達は俯いていた顔を上げる。
その瞳の奥に在るのは諦念ではなく、確信だった。
「そしてハウンドであるならば、心にも強力な芯があるはずだ。絶対に折れない、目標や信念、自分への自信が……」
ダークアビスドラゴンが作り出した夢に打ち勝つための行動。
それはハウンド自身の心にある。
「なにかあれば、それを思い出せ。そして仲間と感情を伝播しあえ。心の強さなら、ハウンドならヒュージドラゴンにだって負けないはずだ!」
仲間と感情を伝播し合えば、絶望の世界でも決して一人ではない。
きっと、絶望の世界の中でも全てが変わると思った。
けれど、絆は変わらないと信じた。
◆
ハウンド達がドラゴンポータルで転移した場所――そこに居たのは全ての光を飲み込むような漆黒の肌を持つ痩身のドラゴンだった。
「ダークアビスドラゴンなのか」
その威容を目に焼きつけていたハウンド達に対して、ダークアビスドラゴンは何らかの魔法を放つ。
その瞬間、眠気に襲われる。
やがて、ハウンド達の視界は黒く塗りつぶされていった。
最初に訪れた夢は何の脅威も争いもない穏やかなミドルヘイムの世界。
まるで理想郷のような世界を歩いていると突如、アビスの化身と名乗る者達が現れて、「アビスの世界へいらっしゃーい!!」と告げてハウンド達を闇の世界へと引きずり込んでいった。
――意識が切り替わる。
ハウンド達の眼前に広がったのは先程の理想郷とは程遠い荒れ果てた廃墟。
しかし、そこがミドルヘイムの世界である事は目の前に広がる光景で一目瞭然だった。
「もしかしてローレックの街なのー……」
エルーカは夜の闇に横たわるローレックの街をぼんやりと見つめていた。
目の前で血の通った家族を、友達を、仲間を、自分の世界を形作るかけがえのない人達を、理不尽に傷つけられ、犯され、弄ばれる現実がそこかしこに転がっている。
いや、恐らく、この場所だけではない。
ミドルヘイムの各々で目も当てられてない悲劇に襲われている誰かが今もこの瞬間にいるのだ。
「これがダークアビスドラゴンが見せる夢なのか」
そこは今まさに終末を迎えようとしている世界。
まるでこの夢は心の弱い者を、力の無い者を淘汰するようにできているようだった。
◆夢の世界の流れ
前半は戦技や魔法やスキルが封じられており、使う事はできませんが、ハウンド達が絶望の夢に打ち勝つと夢の中にダークアビスドラゴンが現れます。
その時点で戦技や魔法やスキルを使う事ができるようになります。
ダークアビスドラゴンは何らかの能力や魔法などを用いてきます。
戦闘を行う場所は誰もいない廃墟と化したローレックの街、時間は夜になります。
ダークアビスドラゴンを夢の中で倒せば、絶望の夢は打破され、同時にディスミゼルがなされます。
◆選択肢の説明
・『心で打ち勝つ』
大切な人、特別な場所が失われる絶望の光景を目の当たりにします。
心を希望で満たせば、夢が見せる絶望に打ち勝つ事ができます。
・『感情で打ち勝つ』
大切な感情、もしくはポジティブな感情が失われる絶望に苛まれます。
誰かを愛するという感情を失いかけた場合、その人が呼びかけたり、その人の事を想い描く事などでその絶望に打ち勝つ事ができます。
笑うという感情を失いかけた場合、皆の笑顔を見る事などでその絶望に打ち勝つ事ができます。
・『行動で打ち勝つ』
アビスの化身と名乗る者達が街を徘徊しております。
夢の中では戦技や魔法やスキルが封じられておりますが、武器などで攻撃することができます。
彼らを消滅させれば、絶望感に苛まれている周囲の人達の心が希望に満ち溢れていきます。
選択肢
a.心で打ち勝つ | b.感情で打ち勝つ |
c.行動で打ち勝つ | z.その他・未選択 |
マスターより
こんにちは、留菜マナです。
今回は月のダークヒュージドラゴン――ダークアビスドラゴンが見せる夢を打破する話になっております。
お話は廃墟と化したローレックの街に迷い込んだところから始まります。
お話の流れは、前半は終末を迎えようとしている世界――ローレックの街周辺の様子を、後半は夢の中に現れたダークアビスドラゴンと相対する形になっております。
選択肢は絶望の夢に打ち勝つためにどんな行動や方策を行ったのかになります。
絶望の夢に打ち勝つと、夢の世界にいる間、ハウンド達の能力が向上します。
今回、エルーカはお声を掛けて頂いたもの、もしくは笑顔を失いかけて絶望に呑み込まれそうになっています。
どうぞよろしくお願い致します。
※RealTimeEvent【HoundHistory09】ダークヒュージを解呪せよ 連動シナリオ
本シナリオは、世界の歴史を動かす可能性を秘めた企画「リアルタイムイベント」に連動した特別シナリオです。
参加することで【HH09】を冠したグランドシナリオに参加する権利を得ることができます。
登場キャラ
◆
「奴の脅威は前にハウンド達があいつに心を壊されたからよくわかる」
ソレイユは目の前の光景に苦い表情を見せる。
思い出すのは仲間のハウンド達が語った悪夢。
それでもソレイユは敢えて絶望の夢に立ち向かう意思を固める。
「苦難の今を乗り越え、明るい未来を掴み取る。それが俺達ハウンドだから」
「人は皆、ハッピーエンドを目指す旅の途中。振り返る思い出は苦くとも未来の道標になると私は思います」
揺るぎない決意に応えたのは
ビアだ。
「ふむ、ドラゴンなら武力で来れば良いものを感情を攻めてくるとは。えげつない敵だ」
トウカはここに来る前に聞いた情報を呼び起こす。
「しかーし! どんな相手も返り討ちにしてくれるわ! 気合いならば誰にも負けん!」
姿を見せないドラゴンに対して、トウカは拳を握りしめる。
「勝負だ!」
それは堂々たる宣戦布告であった。
「魔物さんたちが人々を襲って……!? なんとかしなくっちゃ!」
アビスの化身達の非情な仕打ちに、
ユナは瞳に強い意思を宿して宣言する。
ルミナシールドを生み出そうとするが、何故か一向に盾は生成されない。
「え? ……なんで?」
思わぬ事態にユナは狼狽える。
しかし、ためらったのは少しの間。
「……でもなんとか護らなきゃ!」
ユナは目の前の脅威に立ち向かう意思を示す。
カスミブレードとスライスシールドを手に街の人達を護るために動いていった。
魔法が成就できなかったのはユナだけではない。
「真の勇者とは弱く優しい命を守る為、巨悪に立ち向かう勇気ある者。それこそが私が憧れ目指した勇者の姿……!」
思い出すのは勇者に憧れて故郷を発った日。
エクスは成すべき事を心に刻み込む。
「魔法と戦技が使えないなど問題はない。例え武器が無くても……五体があれば私は戦える!!」
その想いがエクスを突き動かす。
「救いを求める人がいるのなら助け出す! それがドラゴハウンドだ!!」
エクスは確かな決意を胸にレーヴァティンを抜き放つ。
向かう先はアビスの化身達から逃げ惑う人々のもと。
「今、助けるぞ!!」
エクスはそう宣言してアビスの化身に立ち向かった。
敵の間合いに踏み込むと、反応されるより早くレーヴァティンを振るう。
踏み込みの勢いも込めた攻撃は、不意を突いた敵を一撃で沈める。
「では、世界最高の悪夢の始まり始まり!」
エクスの勢いに脅威を感じたアビスの化身は囲んで制圧しようと一斉になだれ込んでくる。
そんな彼から敵を引きはがすべく飛び出したのは
ベルである。
「夢の世界か。面白い。自身の力だけでの戦い、良いじゃないか」
ベルはこの状況を楽しむように言った。
彼女の血潮は過酷な戦場であるほど苛烈に燃え上がるのだろう。
「自身の素の力を試せるいい機会だな」
幾多の激しい戦場を駆け抜けてきたベル。
その過程でシミュレーションも経験もかなり積んでいる。
まるで夢の世界を凌駕するように決して止まる事なく駆け回り、敵を消滅させていった。
街を見つめるソレイユの心境はどこか思い詰めた響きがあった。
(実際に自分の大切な人達が惨い目に遭わされてるのを目の当たりにすると、覚悟はしていたとはいえ心が折れそうになる)
理不尽な現実の数々。
今、この瞬間にも大切な人達が傷つき、苦しんでいる。
(世話になってる市場やいきつけの酒場の人達。尊敬している義兄。そして、俺にとって何よりも大切な人)
もはや手を伸ばしても届かない。
胸が締めつけられるように苦しくなる。
だけど、ソレイユは目を背けない。
どうしようもなく胸が痛んでも。
それでも――
「思い出せみんな! 俺達はこの光景を現実にしないためにここに来たんだ!」
ソレイユは怒りと使命感を希望へと変える。
他のハウンド達と共に立ち上がるために――。
「ここにいたのだな」
街を巡っていたトウカは愛する恋人と遭遇していた。
勇敢な恋人の姿を見た彼女は事情を説明した後、意気揚々と告げる。
「任せろ。絶望を強いるドラゴンなんぞ、この私が――」
しかし、その先が出てこない。
何故なら胸の奥にどうしようもない喪失感があったからだ。
まるで自分の一部をなくしてしまったような欠落感。
(これは……)
それが何なのかは目の前の恋人を見た事で思い至る。
恋人を愛する気持ち。
それが自分の心から徐々に失われているのだ。
(この現象は……なんだ? 何故、消えていくんだ?)
トウカは彼への愛情が失われていく恐怖に戦慄した。
彼はそんな彼女の心を守るように想いを告げる。
「私もおまえも絶対に負けん! 勝利は愛情だ!」
(勝利は愛情……)
トウカの心に弾かれたように彼への愛慕が蘇る。
それだけではない。
愛する人のその言がトウカの心に積もっていた恐怖を散らしていった。
「どんな攻撃でも私は負けんぞぅ! 勝つのは私だぁぁぁ!」
トウカは絶望を押し切るように声を上げる。
目に焼き付けるのはいつだって傍にいてくれた世界で一番大切な人だった。
ベル達は一連の動きで多くのアビスの化身の引きつけに成功した。
だが、それでも街の人に向かおうとする敵もいる。
そんな敵の猛威から、ユナは街の人達を護っていた。
吹き飛ばされても倒れても街の人達を護るために立ち上がり続ける。
だが、そんな彼女の姿を嘲笑うように、悪意はハウンド達の脳裏に響いた。
「諦めろ。この世界には希望も未来もない。あるのはそこのコモンが抱くように暗く寂しい絶望だけだ」
その意図を掴むより早く、答えは
エルーカによって紡がれた。
「怖いのなのー……」
「エルーカちゃん? ダメ! 護らなきゃ!」
ユナはエルーカを支えるように戦いの意志を固める。
そして度重なるアビスの化身の猛攻から庇い続けた。
しかし、敵の数はあまりにも多い。
次第にユナは傷つき、敵の猛攻に押し切られていく。
その時、満身創痍の彼女の心を奮い立たせる声が響き渡った。
「……負けるもんかぁぁぁぁ!!」
「キョンさん……!」
キョンが示した確固たる意志に、倒れていたユナは顔を上げる。
「あたしがハウンドを目指したのは、生まれた村が魔物に襲われた時に助けに来てくれた師匠たちに憧れたから!」
去来したのはあの日の憧憬。
「あたしも師匠のように強くなって仲間を守れるようになりたかったんだ!!」
キョンの熱い想いは、ユナの心を奮起させた。
「たとえ弱くても……運がなくても、何もしないなんて……できないもん」
溢れるほどの勇気が胸にこみ上げてくる。
「怖くて震えても、どうしても護りたくなっちゃう。そんなユナが好きだから! ぜったいそれだけは裏切りたくないから!」
迷いのないその眼差しは、ユナの意志の強さを物語っていた。
「……エルーカちゃんもそうだよね♪」
「ユナさん……」
ユナはエルーカを導くように立ち上がる。
「エルーカちゃん、挫けたらダメ! ハウンドは独りじゃない。あたしたちはまだ負けてなんかいない!!」
「キョンさん……」
キョンは不撓不屈の意思で宣言した。
エルーカも自分も励まして一緒に絶望を払うために――。
「エルーカは……絶望に負けないのなのー!!」
ただ、狂おしく誓いながら。
エルーカは求めるようにユナとキョンのもとへと駆け寄った。
(絶望ですか……生憎と私は既に経験しておりますよ)
ビアの脳裏に浮かんだのは悲哀に包まれたあの日の光景。
(仲間を失くしたあの時、私の心は押し潰されそうになりました。だからこそ、私は悲しみに抗うと決意したのです)
大切な仲間と過ごした過去の出来事がビアの脳裏に蘇る。
だからこそ、湧き上がる感情を抑える事はできなかった。
(その私にこんな夢を見せようとは……そしてハウンドの仲間を絶望に落とそうとは……私とて、怒るべき時は怒りますぞ!!)
ビアはこの状況を見ているであろう相手に憤りを感じる。
「人々に絶望をもたらそうなど言語道断! 痛い目を見るべきですな!!」
ビアの迷いのない瞳が夜空を真っ直ぐに捉えた。
「絶望の世界の入り口はどこにでもある。誰でも落ちる」
やがて、ビア達の脳裏に響いたのは何者かの真理。
それに応えたのはベルだった。
「戦う事で道が開ける。そんな状況ばかりだったろう。私達は戦うのみだ」
その果てに在る未来を手にするために。
ベルは最後に残ったアビスの化身を消滅させる。
その瞬間、広がったのは希望の輝き。
祝福を交わすような人々の喜びが周囲に満ちていった。
「ここから逃げられはしない」
その時、劣勢を悟ったダークアビスドラゴンがハウンド達の前に姿を現す。
それと同時に街にいた人達は皆、消えてしまった。
だが、彼らが使用していた松明などの光源は残されている。
そしてハウンド達は失われていた力が漲ってくるのを感じた。
「行くよ、エルーカちゃん!」
「絶対に負けないのなのー」
ユナはエルーカとともに戦闘準備を整えていった。
◆
ドラゴンとの攻防は熾烈を極めるものだった。
ビアの強矢で動きが鈍ったドラゴンに、エクスが渾身の拳を叩き込む。
その威力を前にして、ドラゴンは自身の能力を先鋭化させる。
ドラゴンが視線を向けた瞬間、エクスの姿が突如消えたのだ。
「なっ!」
気がつくとエクスは別の場所に移動していた。
「むう……転移能力を使うドラゴンか。厄介極まりないな」
トウカはドラゴンとの攻防の最中、先程の能力を推測する。
「あのハウンド達を城に送り返した能力だな」
「へえ、面白いじゃないか」
複数の魔法を成就し終えたソレイユとベルもまた、ドラゴンの動きを注視した。
その間、ユナ達はキョンがいる場所まで低飛行したドラゴンを誘導しようとする。
「エルーカちゃん、掩護射撃、お願い!」
「任せてなのー!」
両盾を構えたユナの意思に応えるように、エルーカは矢を射続けた。
しかし、圧倒的なドラゴンの脅威がユナ達に迫る。
窮地に瀕したその時、凄まじい閃光が奔る。
「あたしは負けない!! 勇者を嘗めるなぁぁぁぁぁ!!」
キョンがゼウスをドラゴンに向けて放ったのだ。
「じゃじゃ~んですぞ!」
さらにビアが弓を引き絞ってから竜殺矢を放つ。
ドラゴンの表皮に矢が突き刺さった瞬間、強烈な爆発が巻き起こる。
「さて、待たせたな。では相手をしてもらおうか!」
ベルは効果上昇を用いたカルラを成就する。
そのまま肉薄するとドラゴンアローの連撃を浴びせかけた。
そこに強烈な爪が振り下ろされたが、ベルは浮遊した事によってそれを防ぐ。
守護発動によって成就したスカイランニングが可能にした動きだ。
「あのハウンド達の心を壊した罪、償わせてもらうぜ!」
そこにソレイユはバウンスブーツを駆使し、空中を足場にして跳躍する。
トリッキーな動きで攪乱しつつ、巧みに攻撃を加えていく。
ドラゴンはソレイユの動きを目障りだと感じたのだろう。
連綿と続く攻防の最中、ルナの魔法を次々と撃ち込んでくる。
「ぐっ!」
避けきれず、刃のように鋭利な一撃がソレイユの肩口を抉った。
しかし動いている間、ドラゴンの視線が彼に集中する。
この僅かな隙を作る事がソレイユの狙いだった。
「うおおっ!」
その間隙を突いて、攻撃を仕掛けたトウカが特殊槍による刺突でドラゴンの表皮を抉る。
さらに蹴りを放つが、ドラゴンは即座に反撃に転じた。
「ならば、死力を尽くすのみだ!」
トウカもまた攻勢に出る。
互いに僅かな隙も食いつかれる中で、ドラゴンは優先させる攻撃手段を見定めた。
ドラゴンは視線の先にいるベル達を同じ場所に転移させる。
そして上空へと舞い上がると高空からの急降下を伴った攻撃を放つ。
それはまるでこの悪夢から絶対に逃がさないというような強固な意思。
「くっ……!」
しかし、それをもってしてもベルを倒す事はできなかった。
彼女には魔力を代償に持ち主の命を守る琥珀の指輪がはめられていたからだ。
「何故、立ち上がれる?」
「この程度で折れるような精神ではないんでね」
ベルは不敵に笑った。
圧倒的な強さ、肌でその緊迫を感じると同時に歓喜で胸が打ち震えた。
戦いはさらに苛烈さを増していく。
ベルが連撃で攻め立てるが、ドラゴンは矛先を回復に回っていたビアに向ける。
「させるかよ!」
そこに転移してきたソレイユがドラゴンアローを突き立てた。
街の松明を光源目標としたホルスとチャージングの合わせ技である。
さらにドラゴンランスを突き刺し、炸撃を上乗せした必殺の一撃を喰らわせた。
「さすがにこの状況で躱す事はできまい。見惚れているからそうなるんだ」
その好機を逃さず、ベルが怒涛の猛撃を浴びせる。
「我々はお前も助ける! 正気に返れ、アビスドラゴン!!」
そこにエクスの繰り出す拳が撃ち込まれる。
その瞬間、解放されるエクスプロージョンの威力。
やがて夢の世界は打破され、世界に白い光が伝播していく。
ハウンド達はいつの間にか元の場所に戻っていた。
「ディスミゼル成功! ドラゴンさんもよかったねっ♪」
「ありがとう。どうやら悪い夢を見ていたようだ」
ユナが視線を上げた先には白と黒の対比が美しいドラゴンがいた。
全解呪がなされた事で漆黒の肌に白く輝く様々な文様が浮かび上がっている。
「絶望と悲しみを知るからこそ、誰もがハッピーエンドを願うのですぞ」
「そうだな。これからは皆の良き夢のためにこの地を護り続けよう」
その夢の余韻に乗せて、ビアはハープを奏でた。
6
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参加者
| | c.魔法が使えなくたって……ゼッタイに護るんだからーーーっ!
| | ユナ・プリセツカヤ(da0671) ♀ 20歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | a.あのハウンド達の心を壊した罪、償わせてもらうぜ!
| | ソレイユ・ソルディアス(da0740) ♂ 21歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | c.夢の世界か。面白い。自身の力だけでの戦い、良いじゃないか。
| | ベル・キシニア(da1364) ♀ 28歳 人間 ヴォルセルク 風 | | |
| | c.救いを求める人がいるのなら助け出す! それがドラゴンハウンドだ!!
| | エクス・カイザー(da1679) ♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火 | | |
| | b.どんな攻撃でも私は負けんぞぅ! 勝のは私だぁぁぁ!
| | トウカ・ダエジフ(da1841) ♀ 27歳 ダークエルフ ヴォルセルク 地 | | |
| | b.絶望と悲しみを知るからこそ、誰もがハッピーエンドを願うのですぞ。
| | ビア・ダール(da1972) ♂ 54歳 ドワーフ カムイ 陽 | | |
| | a.あたしは負けない!! 勇者を嘗めるなぁぁぁぁぁ!!
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| ……怖いのなのー。 | | エルーカ・エルルカ(dz0054) ♀ 18歳 人間 カムイ 月 | | |
悲哀の夜空に
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流れ星を見つけたら何を祈るのだろう――。
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