【SE15】黒く塗りつぶせ

担当成瀬丈二
出発2022/12/28
種類ショート 冒険(討伐)
結果大成功
MVPケイナ・エクレール(da1988)
準MVPノーラ・ロネ(da2047)
ローザ・アリンガム(da2138)

オープニング


 グレコニアのとある谷。
 その奥深くに城砦はあった、この城砦は完全に地下に埋まった遺跡だ。
 遺跡内の広間でを構えるのは、数人の赤目の男女だ。
 バーヴァンノーブルだ。
 彼らの頭がザッハ大公だった。

登場キャラ

リプレイ

◆闇あるところ光あり
「みなさん、エエンレラを付与していますので、思う存分やってください!」
 そう、シェール・エクレールが周囲に活を入れる。
 シェールは弓を構えているが、あまり広くない部屋では、打撃力は期待できそうにない。
(早く片付けて応援に回らなければなりませんね)
「よし。今日の獲物はバーヴァンって事だね。お前ら残さず狩って喰らい尽くしてやるよ」
 そう、ユミル・エクレールが言い出すのは、迫真のジョークだろう。バーヴァン系統は一般的に食用には向いていないのだ。
 あえて、食の新たな地平を目指すフロンティアスピリットだろうか。
「待ってろよガーベラ、この遺跡が日光には満ちていなくても、お天道さんに顔を向けて生きてれば大丈夫だ」
「──プリズマティック、お前たちの時間は一生訪れない」
 高速詠唱で一気に展開される『聖域』。
 その創造者である、ソランジュ・スピースが宣告した。
(流石バーヴァンは卑怯な事を考える。間抜けな害虫どもの駆除を徹底的にしてやろう──これこそ、私の灰色の脳味噌の使い所に違いなし、だな)
 プリズマティックの力により空を飛ぶことを封じ、時刻を昼に変え、加えてすべての傷が重くなる、という徹底したバーヴァンシフトに出る。
 しかし、日光が差さないところではソルは成就しない。昼間だろうが、遺跡の中では(それがただの分厚いだけの石壁でも)同じことだ、とそうバーヴァンノーブルは思っていた。。
(いかん策士が策におぼれたか、笑うべきだな──と、ピンチには)
「ならない! 輝け日輪!!」
 籠手に込められた魔力がソルの力を解き放った。
 バーヴァンノーブルの一体が信じられないものを見るように、目を見開く。
「続くよ。先ずはノーブル退治だね」
 宣言するのは、シーマ・アルテタだ。
「相変わらずバーヴァン達は汚い真似をするものだね。君達の醜悪さが顔に出ているよ」
 バーヴァンノーブルたちはこの裏切者は鏡でも見ているのだろうかと思っている。多分、人間がわめくサルを見ても少し不快に感じるだけなのと同じだ。
 ガーベラを誘拐したのも、サルをワナにかけるのに撒き餌を準備するのと同じだ。
 シーマが舞うように、連打を繰り返すが、ノーブルたちも回避に徹する。単純な話だ。
 プリズマティックは待てば切れる。
 定命のものと違って、十分かそこらじゃれていれば、適当に反撃できる。
 まあ、ユミルが一刀両断して終わるのだが。鞘に納めてからの抜き放ちまさに閃光のごとし。
 万一打ち漏らしても、シーマが刻んでいく。
 ふたりの刃にはシェールが魔力を帯びさせているのだから。
 ただでは済まないのだ。
 一旦、傷を負えば動きも止まる。そこに矢が突き立った。
 シェールのそれだ。
「はいはい。永遠の命ですね、命は大事にすれば一生使えますよ」

◆悪あるところに光あり
 身長二メートルを超す筋肉だるま、バーヴァントロールを見て、ティファル・クラウディアがしたことはひとつ。
「──ゼウス」
 魔法の杖の先からイカズチが奔り貫いていく。
(こんなタフな相手を抱えているとは、なかなか強力なバーヴァンの様ね。それでもバーヴァンは確実に滅ぼさなければならないわ)
 多分、一様に抱えているバーヴァンは許さないという思い。
 ただ、それは論理のコアを曖昧にしており、バーヴァンたちからすれば、ただの感情論だろう。
 もし、闇の住人を許さないのなら、ヴァンパネーロももろともに討たねばならない。
「いけ、グリド!」
 ドラゴングラスを鼻に乗せた、セリス・エクレールがゴーレムに指示を出す。
 竜の立像を思わせるセリスのゴーレムが打って出る。凄絶な殴り合い──にならなかった。ゴーレムの一撃はバーヴァントロールを破壊する。
 グリドは無傷、打たれれば揺れるがそれ以上ではない。
 バーヴァントロールは魔をうつ力がないのだ。
「──なんだか分からないけど、とにかくいいのです」
(このバーヴァン達は滅ぼさなければならない相手とは解ります)
 拳を握るセリス。
 後悔するのはレナ・アルディーティだ。
 アイスエイジで相手を弱体化させようとしたが、仲間のうちには三人、防寒装備をしていないものがいたのだ。
 ユミル、ソランジュ、そしてローザ・アリンガムだ。
(バーヴァンは実に卑怯で汚い真似をしている様だね。でも、周囲が狭すぎて──みんなを巻き込んで使えないか)
 レナが仲間の援軍に回ろうにも、どちらを向いても巻き込んだ攻撃は、連携どころか足を引っ張りかねない。

「構わぬ。撃つのじゃ!」
 それは、ケイナ・エクレールの唇から発せられた。

◆困ったときの女神教宗教裁判
(人質を取るとは流石クソのバーヴァンじゃ。油断ならぬのじゃ)
 ケイナがザッハ大公が傷を負ってなお、優雅な動きでかわし続けるのを見て、ヴォルセルクの剣裁きより、絶対当たる、パドマの攻撃魔法に重きを置かざるを得なかった。
 自分たちを中心にレナがヴィンドスヴァルを撃っても、ノーラ・ロネが準備している通り、アマテラスの結界を張れば助かると判断した。
 ノーラは自身が把握している通り、アマテラスの結界の中にあるものは、プリズマティックにより聖域に引きずり込まれないのだ。
 なので、ノーラは聖域の中でアマテラスを展開している。
 しかし、ザッハは、ローザやエルシー・カルの猛攻をアマテラスの結界を背にしのぐ。
 結界越しにケイナが何度かプロメテウスを込めた矢(魔矢発動によるものだ)はかわされていく。
 ノーラも仲間を巻き込まずに撃つのは限界があった。
 さすがに弓矢を持った相手がアマテラスの中にいれば、ザッハ大公は余裕をもって気づく。
 斬り結ぶローザ。
「全く、大公を名乗るモノが人質を取ってくるとは。全く語るに落ちまくっていますわね」
「猪に聞かせるには、豚の歌で十分だよ、レベルを合わせてあげてそれはないな」
 へらず口を叩くザッハ大公。
「頼んでないべ!」
 エルシーが迫る。
 大技を繰り出せばラッキーヒット以外ねらえないのだ。
 格上相手にはあまり相性がよくないのだ。
 エルシーはそのことを一番知っている。
 しかし、ローザには時間がない。
 カルラの持続時間を粘られたら、自分は倒れる。
「では、己の器を思い知らせて上げましょうか。この小物が」
 ローザにも笑みを浮かべる余裕がない。
 その時、吹雪が荒れた。
 レナが放った、魔法の杖の特殊能力を使ったヴィンドスヴァルだ。
 ケイナとローラはアマテラスでノーダメージ。
 レナにすれば、ふたりがうかつに倒れない(と、思いたい)攻撃であった。
 日輪の力を込めたエルシーの銀の槍が、後頭部を貫く。
 左わきからローザの切り上げたデスサイズが、脊髄まで滑って行った。
 ふたりともにヴィンドスヴァルの攻撃で肉体がガタガタになる。
 ザッハ大公は気の利いた遺言も残さず、他人から奪うだけの生涯にピリオドを打った。
 ガーベラが鳥かごを揺らしながら自己主張。
「みんなあんがとなー。だしてくれんか?」
 セリスが鳥かごを開けると、ガーベラが出てきた。
「大丈夫?」
「たいへんだったで」
 なお、ローザはケイナの力によるキュアティブで生をつないだ。
「ん~間違ったかな?」
 ケイナが笑みを浮かべる。
「この程度で死ぬとは、少し根性を入れるのじゃ」
 ともあれ、エルシーは傷らしい傷を負っていない。
「お嬢様に何を言うの、デスサイズより重いものを持ったことがあんまり‥‥ないのに」
 こうして、ハウンドたちはガーベラを救出し、ザッハ大公とその一党を激滅した。
 だから、ハウンドの戦いは‥‥つづく!



 5

参加者

b.エエンレラの付与と回復補助です。
シェール・エクレール(da1900)
♀ 19歳 人間 カムイ 風
b.ホルスでガーベラを回収してから雑魚退治だ。
ユミル・エクレール(da1912)
♀ 24歳 人間 ヴォルセルク 陽
c.ゼウスで狙い撃ちね。
ティファル・クラウディア(da1913)
♀ 26歳 ライトエルフ パドマ 風
a.回復と援護射撃じゃ。
ケイナ・エクレール(da1988)
♀ 30歳 人間 カムイ 火
a.前で時間を稼ぐべさ。
エルシー・カル(da2004)
♀ 21歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地
c.こちらに回ります。
セリス・エクレール(da2012)
♀ 19歳 人間 マイスター 風
a.アマテラスで後衛の盾になります。
ノーラ・ロネ(da2047)
♀ 18歳 パラ カムイ 陽
b.プリズマティック、効果は2倍、空間は昼、飛行不可だ。
ソランジュ・スピース(da2063)
♀ 23歳 ライトエルフ パドマ 陽
a.今度こそキッチリがっちり仕留めてやりますわ。
ローザ・アリンガム(da2138)
♀ ?歳 ヴァンパネーロ ヴォルセルク 風
b.先ずはノーブル退治だね。
シーマ・アルテタ(da2139)
♀ ?歳 ヴァンパネーロ ヴォルセルク 月
c.アイスエイジを先に使うね。
レナ・アルディーティ(da2188)
♀ 19歳 メロウ パドマ 水
 えーと、うちはえーから、ざっはのたこしばかんか!
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


血を吸う鬼の大公

グレコニアでバーヴァンがハウンドに牙をむく。ガーベラをオトリにハウンドをおびき出したのは、かつてハウンドに破れしザッハ大公だ!