【SE14】遺跡のフンドラ

担当椎名
出発2022/11/22
種類ショート 冒険(討伐)
結果普通
MVPパメラ・ミストラ(da2242)
準MVPエルシー・カル(da2004)
エア・カイザー(da1849)

オープニング

◆遺跡の外で
 ウーディア地方の隣接した村々の鎮魂祭にて、強制脱衣事件が発生したという連絡を受けたハウンド達。フンドラ教団の仕業に違いない、と見たハウンド達が調査すること暫し。
「ここがその怪しいっていう遺跡か〜」
 森の中にある、半ば崩壊した遺跡を前に、杖を手にしたラヴィーニが呟く。
 それぞれの村に程近く、怪しい人物が数人出入りしていた姿が確認されたという。しかし、教団のアジトにしては人が少ない。恐らくは一時的な拠点なのだろう。しかし、何かしらの手掛かりがある事は否定できず、且つ村人達の不安をそのままにしておくのも憚られる。ハウンド達はこの遺跡がフンドラ教団と関係していると見て、調査及び制圧のために、遺跡へと乗り込むべく、こそこそと身を隠しつつ、準備を進めていく。
 そんな怪しい遺跡の入口からは、遺跡内にあると思われる翼竜のブロンズ像がうっすらと視認できる。もしかして、あれはガーゴイルなのでは? と、推察したハウンド達が注意深く遺跡の観察と準備を続ける中、遺跡の入口付近に現れたのは、ガタイのいい男性が2人。

登場キャラ

リプレイ


 スカイランニングを用いて、上空へと上がったエア・カイザー。他の仲間は、そこから少し離れた地点にて突入のタイミングをうかがっている。
「悪いけど、こっちには手間も慈悲もかける余裕は無いんだよね」
 ぽつりと呟くエアの手には、新兵器のコンデルミナが握られている。
 とりあえず、私があの二人を引き受けるから、みんなは先に突入してて欲しい。後から追いつくから。
 そう言って、戦闘の準備を整え上空へ向かったのは今から少し前の話。麻痺させて、適度にしばいて、口を割らせる。そうしたら、今度は遺跡の中で戦う仲間達の援護。頭の中で段取りを確認して、一つ息を吐いた。
「よし!」
 気合を入れて、エアは白いフェイズガードを顔に装着した。
「‥‥ん?」
 何かしらに気付いたらしい用心棒の内、兄貴と呼ばれた方の男が首を傾げるが、しかし。
「猫だよ、猫。それか他の野生動物だって。こんなとこ、誰も来やしねぇ‥‥門番やってて、誰も来たことねぇじゃねぇか」
 もう一人の方がそう言って、肩を竦める。それを見て、兄貴分は小さく息を吐き、からりと笑う。
「そうだよなぁ! この間も兎だったもんなぁ!!」
 そう言って完全に油断した二人の真ん中に、エアはコンデルミナを投げた。
「あ?」
 間抜けな声を上げる二人が何かしらの反応をするより前にコンデルミナは炸裂し、電撃を撒き散らし始めた。叫び声を上げながらダメージを受けた。ついでに感電した二人へと、エアはカゲヌイブレードを手に降下。
「みんな、今だよ!!」
 エアの合図に、一同は一斉に遺跡へと駆け出した。


「行くべさ!!」
 ガードとアースアーマーで防御を固めたエルシー・カルを先頭に、感電した門番2人と、カゲヌイブレードでスタンアタックを叩き込んでいくエアの横を抜け、遺跡の中へと突入していくハウンド達。左右に居並ぶブロンズ像は、ガーゴイルとして何かしらのタイミングで動き出すのか、それとも本当にただの像なのか。しかし、それにしても数が多い。10‥‥はありそうだ。
「これが全部動くとしたら、ぞっとしないね‥‥」
 呟くオスカル・ローズに、突入前にガガと合身したカーミレ・セリーザがからりと笑う。
「それはそうですが、今日の私は一味違うのですよぉ〜」
 近接戦闘に不向きである自覚のあるカーミレでも、今日装備してきたアバタードの力があれば即戦力、と気合の入った表情で走る事しばし。
「あ、あれじゃない?!」
 広々とした部屋に出た瞬間、パメラ・ミストラがそう言った。彼女が指差すのは、部屋の中央で、こちらに背を向けて仁王立ちしている、もったりとした鎧の人影。それを合図に、オスカルはトーチを転がしてから壁沿いの影へと身を隠し、息を潜める。その間に、カーミレはアバタードと合身し、戦闘の準備を整える。
「男‥‥よね?」
 パメラはちょっと心配になって、眉間に皺を寄せた。シルエットがもったりしすぎていて男女の判別は難しいが、身長と髪型の雰囲気から言って恐らく男性‥‥だろう。多分。きっと。
「ム‥‥何奴」
 渋い顔をして振り返るその人物は、声からして明らかに男性であった。なお、漸くうかがえた顔は、下半分が布で覆われていて、よくわからない。
「怪しい男‥‥さては、連続脱衣事件の犯人さんね?! 観念して貰おうか!?」
 鞘から引き抜いたグリーヴァネネバスタを構え、パメラは宣言する。そんなパメラに、男はくくくく、と喉の奥を震わせる。
「何がおかしいのよ!!」
 問うパメラに、男は心底楽しそうに口元を大きく歪ませた。そして。
「お前らアレだろう。ハウンドとかいう奴らだろう」
 そう言いながら、男は右手を鎧から垂れる布へと伸ばし、叫ぶ。
「実験体がわざわざ来てくれたかと思うと、楽しくてねぇ!!!!」
 その隙をチャンスと見たオスカルは、意識を集中し、叫ぶ。
「ファイアワールド!!」
 オスカルの成就した魔法により、トーチの火は意志を持つように、男の手元の布へと向かい、そして。
「く‥‥くふ、ふはははははは!!! 残念だったなぁっっっ!!!!!」
「燃えない?!」
 無傷ではないようだが、その損傷は限りなく少ない。焦るオスカルを尻目に、男は哄笑を響かせながら、ずるんっ! とその赤い布を引き抜き、そして。
「ギャァァァァァァァァァ!!!!」
 布──フンドラゴラRougeより放たれた脱衣衝動を高める咆哮が放たれた。
「くっ‥‥見事‥‥!! だが‥‥脱衣など‥‥あたしは一向に構わん!!!」
「なにぃっ?!?!」
 ばっ!! と勢いよく衣装を脱ぎ捨てたパメラは、慄く男の手元へ向けて、勢いよくルミナの力を帯びたネネバスタを投擲した。その刃は、見事フンドラゴラと男の手を貫く。
「ぐあっ!! くっ、我がフンドラが‥‥! ガーゴイルよ!! 奴らを粉微塵にしてやれ!!!!」
 男が叫んだその瞬間、ゴゴゴゴゴ、と地鳴りのような音をさせながら動き出したブロンズ像が、ハウンド達へと襲いかかる。
「数が多いべ!!」
 元の体力の高さ故に脱衣衝動に抗う事に成功したエルシー。彼女はいち早く前に出ると、ガードを用いてガーデンガーゴイル達の攻撃をその身で受け止めていく。
「はーはっはっはっはっは!! ではハウンドの諸君!! さらばだ!!」
 ガーゴイル達をけしかけた男は、くるりと踵を返し走りだす。が、しかし。
「ちょうど良いところにいました‥‥見せてあげますぅ。ハウンドの恐ろしさをぉ!」
 そこにいたのは、近接戦闘に不慣れだったがために、ちょっと明後日の方向で身構えていたカーミレ。脱衣衝動を運良く回避する事ができた彼女は、目の前に立ち塞がる。
「行きますよぉっ‥‥!!」
 気合を入れて、刃を構える。
「ぐうっ!!」
 カーミレが刃を横に薙ぐより先に、男は鎧からフンドラゴラを引き抜いた。
「ギャァァァァァァァッッッ!!!」
 再度の咆哮に、一度は衝動を回避できていたエルシーは、脱衣衝動の餌食になった。
「くっ!!」
 脱ぎ出したエルシーへと、ガーゴイルが襲いかかっていく。
「まずいですわぁ‥‥っ!!」
 流石のエルシーとはいえ、脱衣中は無防備だろう。そう思ったカーミレではあるが、エルシーはさっと服を脱ぎ捨てその一撃を間一髪で回避する。ほっと胸を撫で下ろしたカーミレではあるが、その隙に男はいなくなっていた。
「どこですのぉ?!」
 男を見失い、慌てるカーミレへと、男はハウンド達が入ってきたのとは別の、奥へと伸びる通路の前で颯爽と片手を上げ、そして。
「ではさらば!!」
 そう言い残し、男は良い笑顔で去っていく。
「くっ‥‥逃げられる‥‥!!」
 脱衣衝動に耐えきれず、服を脱ぎ捨てたオスカルが苦々しげに呟くものの、もう既に男の背中は通路の暗闇の中だ。
「邪魔っ‥‥!!」
 男への追撃を阻むように動き出すパメラは吐き捨てながら、進路を妨害するガーゴイルを斬り払っていくが、間に合わない。
「待てっ!!」
 フンドラゴラの咆哮の効果のなかったラヴィーニは、竜の翼を成就し、上空から男へと追い縋る。が、しかし、間に割って入ったガーゴイルの爪の一振りを食らい、体勢を崩し落下した。
 その間にも男は走り続け、ガーゴイルはハウンド達を包囲していく。
「あいつの逃亡を阻むことは恐らくできませんが‥‥まずはここから生還することを第一に考えなければなりませんわぁ‥‥!!」
 フンドラゴラの成れの果てを拾いながら、カーミレが悔しげに呟くと、一同はそれぞれにガーゴイルと相対しつつ頷く。
「収穫がなかった訳じゃない‥‥とっとと片付けるよ!!」
 少なくとも、男の鎧にフンドラゴラRougeが仕込まれていた事と、火が効かない事はわかった。残骸を持って帰ればもっとわかる事もあるだろう。本当はここで仕留めてやるつもりだったけど、という悔恨を飲み込みつつ、オスカルは杖の先をパメラの一閃により、地に臥したガーゴイルへ向ける。
「ファイアボム!!」
 パメラを避ける射線で放たれた火球は、ガーゴイルのボディを粉々に砕いた。
「全力で行くべ!!」
 着衣は無いが、アースアーマー、アースランニングは活きている。エルシーは壁を走り、ガーゴイルを横からアイアンフラッシュで殴打していく。
「あいつにも逃げられたし、寒いから早く片付けるっ!!」
 気合を入れたパメラの一閃に、ガーゴイルが体勢を崩し、地に落ちる。そこへ追撃をかけようと、パメラがネネバスタを構え直した、その時。
「なんか凄いことになってるね‥‥変態はどこ行ったの?」
 全裸の集団に目を瞬きながら、エアがカゲヌイブレード片手に辺りを見回す。
「逃げられたの。こいつらをけしかけられて」
 苛立ちの混じったパメラの返答に、エアは溜息を吐く。
「入れ違いかぁ‥‥今からじゃ、間に合わないだろうし‥‥どっちにしろ、こいつらは片付けないとね!!」
 気合を入れ直し、エアは天井付近に飛ぶガーゴイルへと、一気に距離を詰めたのだった。


 エアとパメラが連携しながらガーゴイルを両断し、カーミレが剣を振るい、エルシーは渾身の力でアイアンフラッシュを振るい、オスカルは遺跡が崩落しない程度に魔法を放ち、ラヴィーニがヴィンドスヴァルを連発し。
 暫しの乱戦の末、ガーゴイル達は完全に沈黙した。その後脱衣した者は脱いだ服を着て、身支度を整える。
「じゃあ、外のふん縛った2人を連れて帰ろうか」
 そう言ったエアに、パメラが問う。
「2人共何か知ってた?」
 その問いに、エアは肩を竦めて首を横に振る。
「依頼されただけだって。あんまり収穫なさそうだったから、早々に気絶させちゃった。本当にあんまり知ってる事は無さそうだったよ。もしかしたら、依頼人の名前と人相くらいは知ってるかもしれないけど」
 後でちゃんと尋問すれば、もう少しわかる事もあるかも知れない。
「そういえば、さっき何か拾ってなかった?」
 ふと思い出したオスカルがカーミレを見ると、合身の解けた彼女は意気揚々と赤い布切れみたいなものを掲げた。
「あいつが鎧から引き抜いたフンドラゴラの一部ですわぁ〜。どうも真新しい感じはあんまりしないのですが‥‥念の為、ですぅ」
 何かわかる事があればいいが、カーミレの様子を見るに、あまり収穫はなさそうだ。
「とりあえずみんな無事で良かったべ。多少脱げはしたけども」
 エルシーがそう言って、背中を伸ばして一息吐いた。フンドラ教団の脅威や謎の行動の数々については、わからない事が多くあるが、ひとまず全員無事、逃げ出した男もこれだけ大騒ぎをすれば、しばらく大人しくしているであろう。

 こうして、ひとまずの戦果を持ち、ハウンド達は帰路に着くのであった。



 4

参加者

a.はぁ~。とりあえずあの二人を締めますか。
エア・カイザー(da1849)
♀ 28歳 人間 ヴォルセルク 風
b.GGのアバタードを使って迎撃ですぅ!
カーミレ・セリーザ(da1860)
♀ 41歳 ライトエルフ マイスター 水
b.ガーゴイルと戦うべさ。
エルシー・カル(da2004)
♀ 21歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地
c.トーチの火をファイアコントロールで操作して、フンドシに燃え移らせようw
オスカル・ローズ(da2033)
♀ 53歳 パラ パドマ 火
c.また変な連中の仲間みたいだけど、あたしは一向に構わん!てね。
パメラ・ミストラ(da2242)
♀ 25歳 人間 ヴォルセルク 水
 教団のやつがいるかも、なんだろ? なんか不気味なやつらだよな〜!
ラヴィーニ(dz0041)
♂ ?歳 キティドラゴン パドマ 水


あやしい遺跡

ウーディア地方の強制脱衣事件の調査にて、一時的な拠点と見られる遺跡の存在が確認されたらしい。