オープニング
◆
ウーディア地方のとある街。
ハウンド達はそこでとあるデュルガー達の捜索を進めていた。
以前、別の街で貴族の青年マイナーが保持していた芸術品が奪われる事件が発生した。
芸術品を強奪したのはデュルガーであるコウモリのような羽と矢尻のような尻尾、そして牛の角を持つ筋骨隆々の男性達。
彼らが何処からやって来たのか。
筋骨隆々の男性達の足取りを追っていた際に、同様の手口と思われる事件が他の街でも相次いでいる事を耳にする。
各地で芸術品を収集する筋骨隆々の男性達。
ハウンド達はそのデュルガー達の手掛かりを求めて、被害にあった貴族がいるとある街を訪れていた。
やがて、夜が落ちてくる。
宿屋に泊まったハウンド達は温かな食事を終え、和やかに談笑していた。
「大変だ! 近くの村が襲われているぞ!」
その時、駆け足で届けられた情報は不穏極まりないものだった。
旅人の男性が語った話によると、近くの村がバーヴァンらしき者達の襲撃に遭っているという。
「大変なのー」
その話を聞いた瞬間、ハウンドの少女――エルーカ・エルルカは顔に憂色をたたえる。
「急いで村に向かおう!」
ハウンド達はとある村を襲撃しているバーヴァン達を食い止めるために急いで宿屋を発った。
すべては災いを撒くバーヴァン達の猛威から村人達を救う為に――。
◆
ハウンド達がとある村に到着したその頃。
幼さを滲ませた少年は周囲に視線を巡らせていた。
だが、そこで予想外の光景を目の当たりにする。
目線の先にあった村は立ち上る黒煙とともに炎に包まれていた。
「あの村に何があったんだ……?」
少年は全身が総毛立つような感覚に襲われる。
だが、その直後、少年の背後に突き刺すような悪寒が走った。
「――っ」
周囲には蠢(うごめ)く多数の影。
発達した牙と赤く光る瞳。
闇の住人、バーヴァン達である。
近衛兵のような格好をした者達とバーヴァン化した巨大な翼を持つ不気味なコウモリ達。
彼らはいつの間にか、少年の背後に忍び寄っていた。
「というか、待て待て、こいつら、何者だーー!!」
襲われそうになった少年は咄嗟にその場から姿を消した。
◆
夜の暗幕が村に落ちている。
だが、視界に映るのは真っ赤に燃える家屋の数々。
轟(とどろ)くのは助けを求める悲鳴の声。
我先にとバーヴァン達の脅威から遠ざかるように人混みを掻き分けて逃げ惑う人々。
阿鼻叫喚の声がいたるところで聞こえてきた。
鳴りやまぬ喧躁、天をも焦がす猛火のうねり。
しかし、絶望が横たわる村に一筋の希望の光が灯る。
駆けつけたハウンド達は村人達を守るために、バーヴァン達と戦闘を繰り広げていた。
そこに突如、思わぬ存在――幼い少年が姿を現す。
「男の子が突然、現れたのなのー?」
その光景を目の当たりにしたエルーカは弾かれたように呟いた。
「わあっ、今度はハウンド達がいる! 先程の変な奴らもいるし、一体何がどうなっているんだ!」
降って湧いたその疑問に返ってきたのは襲来。
少年の困惑した視線が向かう先――それは少年に今にも襲いかかろうとしているバーヴァン達だった。
「あの者、普通のコモンの子供ではないな」
その光景を空から見下ろしている存在がいた。
今回の事件の黒幕、村を襲撃しているバーヴァン達の首領である。
「農林大臣である私は、コモンから村のひとつでも奪い取らねばならぬというのに……。ハウンドと名乗る手練の者達といい、厄介極まりない」
高貴な貴族のような身なりをしたバーヴァン――マドルクは地上で繰り広げられる戦いを見つめていた。
◆選択肢の説明
・『近衛兵優先』
村を襲っている近衛兵のような格好をした屈強なバーヴァン達を優先して攻撃します。
・『コウモリ優先』
村を襲っているバーヴァン化した巨大な翼を持つ不気味なコウモリ達を優先して攻撃します。
・『救助』
逃げ遅れた村人達を救助したり、避難誘導をします。
選択肢
a.近衛兵優先 | b.コウモリ優先 |
c.救助 | z.その他・未選択 |
マスターより
こんにちは、留菜マナです。
今回はとある村を襲撃しているバーヴァン達を食い止める話になっております。
お話はバーヴァン達と戦闘を行っている最中に、幼い男の子が姿を現したところから始まります。
今回の事件の黒幕マドルクは上空で戦局を見定めています。
上空の何処かにいるマドルクを発見した場合、戦う事ができますが、マドルクはハウンド達が他のバーヴァン達を全て討伐した場合、もしくは自身のHPが半分以下になった場合、撤退します。
今回、魔物知識はマドルクと村を襲撃しているバーヴァン達の知識のみになります。
バーヴァン達と戦闘を行う場所はとある村、時間は夜になります。
今回、エルーカはお声を掛けて頂いた場所、もしくは村人達の救助に回る予定です。
バーヴァン達を退け、とある村を救って頂けたら幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
※【SubEpisode14】世はかくも奇っ怪なり 関連シナリオ
登場キャラ
◆
「この所のバーヴァンの襲撃、何かありますね。組織化して動ける理由が連中に生まれたのでしょうか?」
アリーは統制が取れたバーヴァン達の動きに疑問を覚える。
「これだけ大規模な活動をしてるって事は親玉がどこかにいるはずだが、生憎と探している暇はないな」
ソレイユは周囲の状況からそう判断した。
「まずは村の被害を食い止めるのが先だ!」
「そこら辺は後で考えましょう。今は村人を助けるのが最優先です」
「同じ闇の眷属の不始末だけど、ここは村の皆を無事に避難させるのが優先ね」
ソレイユ達にこの場を託し、アリーと
ムーンは村人の救助に向かう。
「どうやら知っていそうな敵が多そうですね。知らなくても邪悪なバーヴァンは滅ぼさなくてはなりませんね」
シェールは自身と前衛の仲間にエエンレラによる日射の力を付与する。
「罪の無い人々を虐殺するとはバーヴァンは許せないわ。確実に滅ぼしましょう」
ティファルは位置を悟られないように物陰へと歩を進めていった。
「バーヴァン達がまた集団的に村を襲うとはぁ。何かが起こっているんでしょうけどぉ、今はそれよりも救助と迎撃が先決ですぅ」
「罪の無い一般人を狙って虐殺をするとは許せないね。皆で協力してバーヴァンを滅ばそうね」
カーミレの意思に呼応するように、
レナは魔法の杖を構えた。
「皆、アイスエイジを使うから注意して」
レナは十分な距離を取るとアイスエイジを蝙蝠が一塊になっている場所に放つ。
蝙蝠達の周囲が一気に凍え、動きが鈍る。
さらに霧竜の力が宿った魔法の杖の効果を用いてヴィンドスヴァルを放つ。
「今回の相手は手ごわそうだし、正道ではなく詭道……騙し討ちでいくわ」
クリスタルアーマーを付与した
シャーロットは蝙蝠の動きを見計らう。
サイコキネシスで弱った蝙蝠を捉える。
さらにその蝙蝠を操作して近衛兵の死角からぶつけた。
「貴様、何をする!」
「従僕も従えられない小物という奴ね」
シャーロットに煽られた近衛兵は怒りの形相で迫る。
「今回はこちらで攻めましょうか」
接近されたシャーロットは剣の鞘へ手をかけた。
いつ鞘から剣を引き抜くのか。
近衛兵の思考がそちらに向いたのを逃さず、彼女は魔法の杖を振り抜く。
実は剣を抜くと見せ掛けて、逆の手に隠し持っていた魔法の杖から光の刃を生成していたのだ。
(ダーインスレイヴは奥の手、最後の手段よ)
シャーロットは奥の手である呪われた大剣ダーインスレイヴを使うタイミングを見極めていった。
「随分好き勝手にやろうとしているべ。悪さ出来ない様に滅すべさ」
ガードとアースアーマーを成就した
エルシーは近衛兵達の前に立ち塞がる。
「坊主を相手にする暇はないべな」
バサラフォームでアイアンフラッシュと同化した腕。
前に出たエルシーは近衛兵達の波状攻撃を受ける。
そして近衛兵から逃げ回る男の子へと目を向けた。
「お前ら今まで好き勝手にやったんだ。私がお前らを好きに狩っていいよな」
ユミルはエルシーと入れ替わり、グリーヴァタチで斬りかかる。
ブラインドアタックによる確かな太刀筋は近衛兵を捉えた。
既にルミナパワーとルミナシールドを成就し終えている。
「しっかり滅ぼしてやるよ」
ユミルはエルシーの鉄壁の守りを生かしながら、迫り来る近衛兵達に対してソードボンバーの溜めに入る。
「闇の貴族を気取ってする事は弱者の蹂躙か?」
「それの何が悪い?」
マサカの言に返ってきたのは純粋にコモンを淘汰する意思を持つ者の牙。
「なら最も無様で不本意な仕置きを与えてやろうじゃないか」
敵の悪意を撃ち砕くべく、マサカはダークネスパワーを付与した闇砕きの丸太を振りかざした。
(……よし、気が付いてないな)
複数の魔法を成就したソレイユは不意を突いてネットを投擲する。
それは敵軍の先頭の敵を絡め取り、後続の敵の威勢を鈍らせた。
その間にソレイユはソードボンバーの溜めを済ませると一気に叩き込む。
「ソードボンバーは通用するみたいだな」
有効打だと判断したソレイユは敵陣にソードボンバーを炸裂させていった。
夜闇に紛れた死角からの奇襲にも鋭敏に察知して対応していく。
「クソ忌々しいがバーヴァンは滅すだけじゃ」
そこに
ケイナが物陰を活かして近衛兵を狙撃する。
仲間が完全に包囲されないように援護の矢を射た。
「夜の静寂をかき乱す外道どもめ! 夜の闇にも正義があると知るがいい!」
村を駆け抜けた
アレックスは近衛兵と対峙する。
幾度か剣戟を繰り広げたが、近衛兵の攻撃を完全にいなすことが出来ずにその腕に牙が穿たれた。
そのまま吸血しようとするが、ヴァンパネーロはこれを受ける事はない。
アレックスは振りほどくと攻勢に転じる。
既にローゼスレイピアにルミナパワーを付与し、左手にルミナシールドとマルチパーリングを成就していた。
「こいつらは兵士だ! 兵と使い魔を使役する指揮官が何処かにいる筈だ。余裕がある者はそいつを探すんだ!!」
アレックスは仲間に呼びかけると周囲の警戒を強める。
この混乱の渦の中で唯一、事態の推移を甘受して高見の見物をしている相手。
思考の途中でアレックスはある事に気づく。
「高見? 上空に注意を払ってみるか!?」
行き着いた結論とともに、アレックスは夜空を仰いだ。
「オークのメスの大群に襲われた恐怖に比べれば、ヴァンパイアなど恐れるに足らず!!」
カモンは勇猛果敢に告げる。
トラウマ級の恐怖を先に味わうと、大抵の強敵はまだマシに思えるから不思議だ。
「プロメテウスが効果的な相手なら特にね」
カモンは後方から迫り来る近衛兵に狙いを定める。
「今回のヒーローの座は頂くぜ」
カモンはメンタルパワーリングを使って続々と迫る近衛兵達を狙い撃ちしていった。
「あっちこっちと騒ぎを起こして連中は何を考えているのか」
上空から戦況を俯瞰しているのは
ローザだ。
既にルミナパワーとスカイランニングを成就している。
魔法のヘッドライトで前方を照らしていた。
「……ロクな事じゃないでしょうね。我々ヴァンパネーロの評判の為、叩き潰しますか」
エルシー達の連撃に集中している隙を突き、ローザは上空から後方の敵に接近してデスサイズを振りかざす。
「相変わらずバーヴァン達は無粋な事をするものだね。君達の醜悪さが顔に出ているよ」
スマッシュを付与したエルシーの背後から
シーマが進み出る。
「自分達を高貴と言うなら優雅に戦わないとね」
シーマはミタマギリを付与したアイアンフラッシュで殴打した。
確かな打撃は近衛兵を捉えたが、奇妙な手応えも伝わる。
「まるで防御力を高めたようだね~」
シーマは歌いながら舞うような優美な動きで敵の攻撃を躱していく。
その間にケイナは魔矢発動で傷ついた仲間達へとキュアティブを飛ばした。
「こ、ここは通さないんだからー!」
ユナは逃げ遅れた村人達を守るために村を駆けていた。
(こ……、こわくないもんっ!)
芽生えた恐怖に身を震わせながらも、ユナは近衛兵の前に立ち塞がる。
「みんな! ……ユナを守って!」
前に出たユナは右手にルミナシールドを生み出し、左手のスライスシールドにルミナパワーを付与した。
「ユナさん!」
「この、近づかせませんよ!」
ユナの願いに応えたのは
エルーカと
キョンだ。
「ヴァンパイアの相手を引き受けますよ!」
キョンは魔法の杖を構えると迫り来る近衛兵達に対してトルネードを放つ。
竜巻を発生させると近衛兵達を上空へと巻き上げた。
近衛兵達はそのまま急降下し、地面に叩きつけられる。
そこに追撃のゼウスが叩き込まれた。
「キョンさん、すごいのなのー」
「エルーカちゃんも接近しないように注意しましょうね。うわっ、噛まれそうになった!?」
キョンは即座に死角から襲撃してきた近衛兵の牙から逃れる。
そこにエルーカが牽制の矢を射続けた。
「エルーカちゃんも頼りになるぅ♪」
ユナはエルーカ達の援護を受けながら村人達を安全な場所へと誘導していく。
アリーはテレパシーを成就して皆が連携して動けるように通信網を構築していた。
さらに隠密能力と捜査技術を駆使して村人が村の何処かに取り残されていないか注意しつつ避難誘導を呼びかける。
「ハウンドがいる限り、皆さんを守りますから」
「はい、この灯りに集まって! ハウンドがついているから、何の心配もいらないからね!!」
アリーとともにライトの魔法を使い光源役として動いているのは
オスカルだ。
オスカルは村人達に向かって飛来する蝙蝠達をファイアボムで吹き飛ばす。
(まずは弱そうな蝙蝠から潰します)
さらに
パメラは素早く蝙蝠達にヨウコストリングを投擲した。
「あなたたちが受けた仕打ちの報いはハウンドが与えるわ。安心してこちらに避難して。生きていればこそ、村を建て直す事も出来るわ」
ムーンが励ますものの、涙目の子供達は恐怖で身がすくんで動けない。
恐怖心に囚われている子供達にメンタルキュアティブをかけると、ムーンは戦いに巻き込まれないように安全圏まで誘導する。
そこで
ノーラはアマテラスを成就させた。
「皆の命は私が守りますから安心して下さいね。一歩たりともバーヴァンを近付けはしません」
アマテラスの結界はノーラの周りに集まった村人達が入る大きさにしている。
蝙蝠達が群れをなして飛来するが、アマテラスの結界によって護られている村人達には届かない。
「死にたくなければ、決してアマテラスから出てはいけませんよ」
ノーラは村人達に呼びかける。
「一歩も通しません」
それは村人達を導く希望の道標。
ノーラは不退転の意思を示した。
「あの男の子、また会ったね」
オスカルの視線の先には必死に逃げ惑う男の子の姿があった。
「エルーカちゃんらに誘導を頼み、男の子の保護に行こうか」
オスカルは男の子を保護するためにエルーカ達のもとへと向かった。
「あれ……?」
その頃、快進撃を見せていたカモンは連打した事でいつの間にか魔力を使い果たしていた。
「誰か助けてくれー!!」
迫り寄る近衛兵を前にして、カモンの悲痛な叫びが村に響き渡る。
「大変ですわ」
その危機を颯爽と救ったのは上空から接近したローザだ。
偽装を解いた赤い瞳で覗き込まれた敵は回避を行えない。
そこにマサカの追撃が加わる。
『闇の魔物にはこれが一番なのですよ』と孫娘の一人が渡した闇砕きの丸太。
彼女がこの状況を見越していたのかは分からない。
だが、闇砕きの丸太を振り回したマサカは近衛兵達に対して獅子奮迅の活躍を見せていた。
事前にアースアーマーで防御力を上げているマサカは近衛兵に向けて闇砕きの丸太を勢いよく振り回していく。
重い一撃が顔面に直撃し、近衛兵の牙が砕ける。
(調子に乗って腰をやらんように注意しよう)
マサカは留意しながら殴りつけ叩きつける。
しかし、それでも近衛兵達の自然治癒力は侮れない。
「一気に攻める必要がありそうです」
近衛兵に矢を射たノーラは警戒を示す。
それに応えるように、エルシー達の攻撃が放たれ、敵は次第に再生力を活かせぬまま追い詰められる。
「退却する」
「逃がしませんよ」
そこにシェールは霊弦のドラゴンボウを引き絞ってから矢を放つ。
彼女は気配を消し、物陰に身を隠しながら迅速に移動を行っていたのだ。
さらに自身にシューティングブレスを成就し終えている。
シェールの矢を受けた近衛兵は絶命していた。
カーミレはGGのアバタードを具現化して蝙蝠達を迎撃していた。
具現化の際に与えた命令は「近寄る敵を剣で攻撃し仲間を盾でガードせよ」。
蝙蝠が応戦するも切り結ぶうちに崩れ落ちた。
さらにカーミレは
カモミールの付近で待機して妹の守護に当たる。
パメラがローゼスレイピアで蝙蝠を斬りつけ、カーミレが日射を伴うアテンディスクで攻撃した。
(一気に潰しますよ)
蝙蝠達は仲間の死角を取ろうと動き回るが、パメラはその動きも予測の範疇に組み込み狙いをつける。
「ふう、なんとか届きましたですぅ」
不意を突こうとした蝙蝠も、カーミレがアテンディスクを投擲した事で地に落ちた。
ユナ達の迅速な誘導で、男の子は無事に安全圏まで避難する事ができた。
「もう大丈夫だから」
ユナの笑みは陽の恵みに似た慈愛の光のようで、窮地を救われた男の子は顔を上げた。
「私達がこの村を守るわ」
ムーンが触ると男の子は想定外の冷たさに一驚する。
「手を触れたりすると体温で怖がられるので、男の子へのお触りは禁止ね☆」
「はいはい、驚かせないようにねー」
ムーンの言に、隣のオスカルは応えた。
「待て待て、空に何かいる」
「空……?」
オスカルが動こうとしたその時、男の子が呼びかける。
そこにいたのは今回の事件の黒幕マドルクだった。
「まさか私の存在に気づく者が現れようとは」
「あなたが今回の事件の黒幕ですわね」
ローザは上空で佇むマドルクと対峙していた。
アリーのテレパシーでオスカル達が得た情報を共有している。
「私はマドルク。農林大臣を務めている」
バーヴァンオリジンであるマドルク。
言葉の中に潜む敵の救いようがない悪意、それは彼がマントを広げた事により先鋭化する。
鳥の如き速さで死角に跳び込んだマドルクはローザの腕を斬り裂いた。
ローザは反射的にデスサイズを振るうが、マドルクは避け切る。
明らかに上位のバーヴァン。
目の前の強敵に全力をぶつけるべく、ローザは動く。
「切り札を使うしかありませんわね」
ローザはカルラによって金色の鳥のオーラを纏い、一気に距離を縮める。
強烈な猛攻を浴びたマドルクは即座に反撃に転じた。
上空で繰り広げられる苛烈な戦い。
ローザは隙を見てマドルクを地上に叩き落とす。
さらにマドルクをカモミール達のもとまで牽制したのはケイナと
ソランジュだ。
皆は既にカモミールのもとに集結している。
アリーのテレパシーとムーンカムを通じて、カモミールとソランジュがこれから行う魔法を把握していたからだ。
アマテラスの結界で村人達を護っているノーラは離れた場所にいる。
村人達が二人の魔法に巻き込まれないようにしていた。
「プリズマティック! 空間は昼、威力2倍で飛行禁止!!」
ローザが地上に降り立ったのを確認したカモミールはプリズマティックを成就し、仲間とバーヴァン達を聖域内へと引きずり込む。
日の光はバーヴァンが最も恐れるもの。
蝙蝠達は次々と落下してもがき苦しむ。
「はい、ソルで焼き払うわよ~」
カモミールがソルを放射した事で蝙蝠は焼き尽くされていく。
さらにソランジュのソルが近衛兵に放たれる。
屋内に転がり込みジタバタする蝙蝠――そこに家屋の陰に紛れて近づく存在がいた。
(……屋内に逃れても無駄ですけどね)
パメラは地に伏した蝙蝠達を次々と斬り伏せていった。
「コウモリは全て排除しないとね」
さらに凄まじい閃光が奔る。
物陰に身を隠したティファルが残った蝙蝠達にゼウスを撃ち込んでいく。
もはや耐えられる蝙蝠はいなかった。
その間にシェールとケイナとパメラは傷ついた仲間の回復に動いていく。
バーヴァンは日の光に弱い。
だが、マドルクの肌は陽光によって焼かれているのだがすぐに再生している事も分かる。
ソレイユはホルスでマドルクの背後へ転移するとその背中をチャージングで貫く。
マドルクを穿つ猛撃――しかし、その手傷は驚くべき速度で回復する。
「再生力が厄介だな。だが、回復能力を上回る手傷を蓄積させれば勝ち目はある!」
ソレイユは抉り込むように攻撃を叩き込み、確実にマドルクを追い詰めていく。
「村を襲撃した事を全力で後悔させてあげますわ!」
デスサイズを振りかざしたローザがマドルクを一気に切り裂いて刻む。
猛り荒ぶ嵐。
だが怒涛の強撃を浴びせつつも、そこで彼女はカルラにより力を使い果たし崩れ落ちる。
パメラ達が傷ついたローザのもとに駆け寄った。
プリズマティックの効果が終了し、聖域から現実の世界へと帰還する。
マドルクはカモミールが使った魔法を警戒し、剣撃を加えようとした。
だが、GGのアバタードの盾により阻害される。
「続けていくわよ!」
カモミールはプリズマティックを成就し、仲間とバーヴァン達を聖域内へと引きずり込む。
「さあ、今度は私らがお前らを狩ってやるよ」
ユミルはホルスで近衛兵の背後へと転移し、チャージングで攻撃を繰り出す。
さらにシーマはエルシーの背後から進み出て、アイアンフラッシュの効果によって近衛兵を転倒させた。
「一気にいくわ!」
「一網打尽です!!」
ティファルとキョンはトルネードとゼウスのコンボで攻勢に転じた。
ソレイユはアレックス達と連携しながら、ホルスでマドルクの背後へと転移し、攻撃を加えていく。
さらにユナがスライスシールドを投げつけた。
度重なる攻撃はマドルクの回復力を上回る。
やがて聖域から現実の世界へと帰還した。
「なんで……なんでこんなことするのっ!?」
踵を返すマドルクに対して、ユナは想いの丈をぶつけた。
「必要な事だからだ」
マドルクは上空に浮き上がると村から去っていった。
「これ以上、好きにさせてたまるかよ!」
ソレイユは決意を固める。
「流石バーヴァンは碌な事を考えんな。我が優秀な脳がお前らの結末を見切っているぞ。プリズマティックだ。威力は2倍、空間は昼、飛行不可だ」
ソランジュはプリズマティックを成就し、仲間と残った近衛兵達を聖域内へと引きずり込む。
「私は残った近衛隊を排除するね」
レナは近衛兵に狙いを付けてヴィンドスヴァルを放つ。
「これで終わりよ!」
シャーロットが放ったガイアの重力波によって近衛兵は葬られる。
「我が軍略に間違いはないな。間抜けな害虫共の駆除を徹底的にしよう」
ソランジュはソルを成就し、陽光で近衛兵達を焼き尽くしていった。
戦いが終わった後、男の子はいつの間にか姿を消していた。
「吸血鬼も聖域対策を練りそうで怖いけどね~」
カモミールの声が夜風と共に空に翔けていった。
6
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参加者
| | c.村の人たちを護らなきゃ!エルーカちゃん、援護お願いっ!
| | ユナ・プリセツカヤ(da0671) ♀ 20歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | b.毎度おなじみ~プリズマティック! 空間は昼、飛行禁止!からの~ソル!!
| | カモミール・セリーザ(da0676) ♀ 31歳 ライトエルフ パドマ 陽 | | |
| | a.これ以上好きにさせてたまるかよ!
| | ソレイユ・ソルディアス(da0740) ♂ 21歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | c.テレパシーで相互連絡しつつ、救助活動に当たりますね。
| | アリー・アリンガム(da1016) ♀ 29歳 人間 パドマ 月 | | |
| | b.ガガでガードしつつ火力支援ですぅ。
| | カーミレ・セリーザ(da1860) ♀ 41歳 ライトエルフ マイスター 水 | | |
| | a.エエンレラを日射で付与と援護射撃と回復補助です。
| | シェール・エクレール(da1900) ♀ 19歳 人間 カムイ 風 | | |
| | a.さあ、今度は私らがお前らを狩ってやるよ。
| | ユミル・エクレール(da1912) ♀ 24歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | b.先ずはコウモリの排除ね。
| | ティファル・クラウディア(da1913) ♀ 26歳 ライトエルフ パドマ 風 | | |
| | a.回復と援護射撃じゃ。
| | ケイナ・エクレール(da1988) ♀ 30歳 人間 カムイ 火 | | |
| | b.(カキカキ)『まずは弱そうな方から潰します。』
| | パメラ・ミストラル(da2002) ♀ 19歳 人間 カムイ 月 | | |
| | a.正面から勝負だべさ。
| | エルシー・カル(da2004) ♀ 21歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地 | | |
| | c.ライトで灯かりを灯すから、オバちゃんについてきて。
| | オスカル・ローズ(da2033) ♀ 53歳 パラ パドマ 火 | | |
| | a.プリズマティックだ。威力は2倍、空間は昼、飛行不可だ。
| | ソランジュ・スピース(da2063) ♀ 23歳 ライトエルフ パドマ 陽 | | |
| | c.避難誘導を担当するわ。メンタルキュアティブで落ち着かせないとね。
| | ムーン・シャドウ(da2079) ♀ ?歳 ヴァンパネーロ カムイ 月 | | |
| | a.外道ども! 夜の闇にも正義はあると知るがいい!!
| | アレックス・ブラック(da2081) ♂ ?歳 ヴァンパネーロ ヴォルセルク 陽 | | |
| | a.闇のバーヴァンを切り裂いて刻む、ハウンドやらねば誰がやるですわ。
| | ローザ・アリンガム(da2138) ♀ ?歳 ヴァンパネーロ ヴォルセルク 風 | | |
| | a.近衛兵を排除するよ。
| | シーマ・アルテタ(da2139) ♀ ?歳 ヴァンパネーロ ヴォルセルク 月 | | |
| | a.うーん、今回は詭道で攻めましょうか
| | シャーロット・ショルメ(da2142) ♀ ?歳 ヴァンパネーロ パドマ 地 | | |
| | a.プロメテウスが有効な分、オークの相手よりはマシなんだけどねッ!
| | カモン・セリーザ(da2154) ♂ 26歳 ライトエルフ カムイ 火 | | |
| | a.ふむ。孫がこれを持ってけと渡してくれた、闇砕きの丸太が役に立つか?
| | マサカ・ダエジフ(da2181) ♀ 51歳 ダークエルフ ヴォルセルク 地 | | |
| | b.コウモリを排除するね。アイスエイジも使うから注意して。
| | レナ・アルディーティ(da2188) ♀ 19歳 メロウ パドマ 水 | | |
| あの男の子、必死に逃げ回っているのなのー。 | | エルーカ・エルルカ(dz0054) ♀ 18歳 人間 カムイ 月 | | |
バーヴァン達の襲撃
| |
そこに乱入してきたのは……。
|