激辛魔物料理フェス

担当椎名
出発2022/10/23
種類ショート 日常
結果成功
MVPエクス・カイザー(da1679)
準MVPトウカ・ダエジフ(da1841)
トラエ・モン(da2209)

オープニング


「我こそは激辛魔物肉料理に挑戦したいという猛者大募集! 激辛魔物料理フェスティバル、明日開催です!」
 と叫ぶ呼び込みの少年の声と、辛そうな料理のイラスト。広場に設置された机と椅子。果たして何のイベントなのだろうか。
「ベリル殿!」
 首を傾げるベリルを、聞き覚えのある声が呼び止める。
「ジョシュア殿‥‥貴殿の関わるイベントか?」

登場キャラ

リプレイ


 ハウンドが参加するんだって。そんな事を最初に口にしたのは果たして誰だったか‥‥、怪しいと警戒していた人々も、それを聞いて納得したとか、なんとか。そんな訳で沢山の人々が広場に集まる中、激辛魔物料理フェスティバル開催のアナウンスが声高に宣言された。
「ジョシュアさんも料理に掛ける情熱がどんどん大きくなっていきますよねえ‥‥」
 屋台の中から盛り上がる様子を眺めつつ、エフィが呟く。ジョシュアとはそこそこの付き合いになるが、彼の料理に対する熱意と拘りは増す一方で、エフィとしては感心するばかりだ。
 そんなエフィが掻き混ぜているのは、持参したレッドペッパー、ターメリックといったスパイスと野菜をミックスして使い、コトコト煮込んだ旨辛野菜スープ。ジョシュア達が提供してくれたメガシャークの肉も一緒に煮込まれ、ほろほろとした食感と淡白な味の肉、スパイスと野菜の旨味のハーモニーが楽しめる、優しい辛さの一品となっている。
「お姉さん、この屋台もう開いてるかい?」
 激辛チャレンジのステージの方へと目を向けていたエフィに、客の男性が声を掛ける。
「ええ、準備万端ですわ! 一つでよろしくて?」
 頷く男性客に一つスープをよそい、手渡す。そうこうしている内に、エフィの屋台にはそこそこの列が出来ていた。そこへ、運営やジョシュアの屋台の方から応援のスタッフがやってきて、順々にエフィが並んだ客達を捌いていく。こうしてスムーズに案内された客達は、スープを受け取った順に席に着き、スープを口へ運んでいく。
「美味い! 程よい辛さで、食欲が湧くなぁ〜‥‥これ、何の肉だろ?」
 肉の正体には疑問を持つ者も多く居たが、それを差し引いてもエフィのピリ辛野菜スープの評判は上々だった。
 一方、ジョシュア達の屋台では、トラエが注文したヒュージスネークの干し肉ピリ辛シチューを受け取り、自身の確保した席に座っていた。
 魔物料理が食べたくてハウンドになったトラエとしては、激辛を承知で食べない選択は無かった。が、しかし、極度の激辛は猫舌には大敵である。とりあえず辛さは無難にマイルドな1をチョイスした。なお、裏メニューは美食家の矜持にかけて頼まなかった。辛さもその料理の特色の一つである。それを楽しまずして、何が美食家か。まぁ、美食家それぞれ拘りはあるだろうが、少なくともトラエはそう思っていた。
「いただきます、だニャ!!」
 あつあつの料理。一番美味しいタイミングだ。その分辛さは際立つけれど。
 最後にコップに水を用意して、スプーンを手に取る。意を決して、ぱくりと一口。
「んー! 辛い‥‥けどこの肉、スープの旨味を吸ってて‥‥あ〜、クセになりそうな味だニャ!!」
 他の食材では表現出来ない魅惑の味と食感。これぞ魔物料理。もぐもぐと咀嚼し、舌で転がし、そして。
「辛いニャー!!」
 辛さの閾値が限界に達して、ごくんと飲み込み水を飲む。ふわっと旨味が鼻に抜けた。
「う〜ん、美味しいニャ! さすがだニャ〜!」
 更に一口、もう一口と、水を間に挟みつつ、スープを平らげていく。さて、次はメガシャーク肉と野菜のピリ辛ハーブ蒸しにチャレンジするニャ、とトラエが立ち上がった、その時。
 カンカンカン! と鐘の音が響く。
「お集まりの皆様、お待たせいたしました! これよりメーンステージにて、激辛チャレンジを開催いたします!!」
 司会の声が高らかに響いたのだった。


 参加者は8人ほど。しかし、体力やその他身体能力に差があるということで、一般の参加者とハウンド達はグループを別に開催する事となり、前にスタートした一般参加者達はものの数分で全員ギブアップした。
「なかなか美味しく出来たと思ったのですが」
 そんな死屍累々の有様に、ジョシュアが思わず呟いた。が、しかし。
「つまり‥‥これはハウンドに対する挑戦、という事だな!!」
 トサは気合十分といった感じで、きらりと愛用のDGSが陽光を弾いた。
「そこに挑戦があるのなら喜んで挑戦するぞ!!」
 トサに負けず劣らずの熱量で、トウカは叫びながら用意された席に着く。
「激辛魔物料理か‥‥」
 前者2人に対して、テンション低めのエクス
 クランの皆から一度は喰っとけと勧められて参加してみたが、絶対に不幸を分かち合おうという目だったな、などと遠い目をして少し前の記憶を振り返る。なお、その一度は喰っとけと言ったみんなは今回不参加だ。
 が、しかし。
「まぁ‥‥場を盛り上げるのもハウンドの役目だ」
 気を取り直し、席に着くエクス。同じく、最後に席についたベリル・ボールドウィンも、魔物料理はさておき、激辛は苦手だった。
「ぐ‥‥」
 ジョシュアに説明されている間に興味が湧いて参加する事にしたベリルだが、ここに来るまではなんとかなるような気がしていたのだが、いざステージに上がるとどうにもならない気がしてくるのは何でだろう。
 順番に運ばれてくるドラゴンの肉のスパイシーハーブシチューから漂う香りは、素材の良さと調理の巧みさを窺わせる美味しそうなものだった。ジョシュアの手で、シチューと食器、コップに入った水とがセッティングされていく中、トウカははっとした様子で顔を上げ、隣に座ったトサを見つめ、びしっと指を刺した。そして、宣言する。
「トサ、勝負だ! 勝者は‥‥取りあえず美味しく食べられた方だ!」
 ふと思い立って衝動的に宣言したはいいものの、勝利条件をろくに考えずに言い出してしまったトウカの宣戦布告はなんとなくふわっとしていたが、それに対して深く考えるトサではなく。
「うむ、良かろう! その勝負、受けて立つ!! 我こそはこの激辛シチューを美味しく完食するものなり!!」
 トサが答えたその瞬間、トウカとトサの間に闘志の炎が燃え上がる幻影が見えた‥‥とか、なんとか。
「では参加者の皆様、用意は宜しいですか?!」
 4人は大きく頷き、そして、戦いの火蓋は切って落とされるのであった。
 控えめに鳴り響くスプーンの音。ジョシュアの料理の解説。一同食べ進める事しばし。
「う、ぐ‥‥」
 最初に限界を迎えたのはベリルであった。元々があまり辛さに強くないと自称していたベリル。なんかもう辛いとか辛くないとかそういう話じゃない。垂れる鼻水を耐えるのも、もう限界だった。
「ギブアップだ‥‥」
 手を上げて、流れる汗を拭う。結果は五分の一程度であった。
「まぁ辛さ耐性のない方であればその程度でしょう。さて、あとは意地と維持のぶつかり合い、ですね」
 実況席を設けて解説をし始めるジョシュア。辛さをごまかす為、ぶどうをつまみ始めたベリルであるが、折角なのでジョシュアの横で実況の手伝いをする事にした。
 残り3人は、一様に顔を真っ赤になっている。
「ぐ、これは‥‥極寒の中でこそ食したいシチューだな‥‥」
 そう涙目でシチューを啜るのはエクス。なんかもう口が痛い。エクスに大会参加を勧めたクランの面々を恨めしく思うような気がするが、今更である。一気に上がった体温を下げるべく、水を半分ほど飲み干す、が。
「うぐっ!!」
 辛い時に水を飲むのは良くないと、そういえば誰かが言っていたような気が。かえって増した舌の痛みに、エクスはぐっと奥歯を噛み締める。残りは半分強である。
 そして、勝負をしているトウカとトサはというと。
「ぐ‥‥しかし、私は‥‥負けないっっっ!!」
 トウカは唸りながら気合いでスプーンを上下させるが、その先端がぷるぷると震えているのは気のせいではないだろう。あまり食べたことはないが、辛いものもそこそこ平気のつもり‥‥その自負をいとも容易くけちょんけちょんにするような、容赦のない辛さ。トウカの目の前は、涙で歪んでいた。
「瞬時に吹き出す汗、舌に走る激痛‥‥これは‥‥‥‥手強いっっ!!」
 トサは汗で曇った偽DGSを都度都度拭いながら、必死にスプーンを進めていく。ひと匙口に入れる毎に増大していく痛み。しかし、トウカとの勝負は元より、ハウンドとしての意地がある。
「死んでも‥‥負けられないのだ!!」
 トサは自身に言い聞かせ、スプーンを運ぶ速さを増していく。
 そして、更に数分後。
「私は‥‥‥‥強い、はずだ‥‥」
 自分自身に言い聞かせるも、トウカのスプーンは微動だにしない。残るシチューは三割程度。あと少し、頑張れば口に流し込める量ではあるが、身体がこれ以上の辛さはダメだと防御反応を示す。
「うぅ‥‥‥‥くっ、こんな‥‥所で‥‥!!」
 カラーン。ぽろりと涙が溢れ、トウカの手からスプーンが落下した。その数秒後。
「あ‥‥あ、あ‥‥‥‥」
 サングラスで良くわからないが、視線を虚空に彷徨わせ、トサが呻く。
 喉が痛い。食道が痛い。胃が痛い。最早舌がどうこうとかいうレベルじゃない。死んでも負けられんと思ったが、本気で死をすぐそばに感じる。
 内臓の痛みと極限まで上がった体温と血圧に限界を悟ったトサは、朦朧とする意識の中、人差し指を天へと指し示し、そして。
「‥‥‥‥限界だ」
 トサはそのままの格好で、灰になった。
「ギブアップと見て良いのでしょうか、ベリル殿」
「恐らくは」
 ベリルが頷くのを見て、たっぷり10秒待ち、そして。
「ギブアップと見做します。それではトサ選手、トウカ選手‥‥結果の確認をいたします」
 ジョシュアのその発言にも、トウカ、トサ共に返事はない。まるで屍のようだ。
「トウカ選手‥‥七割! トサ選手八割!! 量としてはトサ選手に軍配が上がりましたが、お味の方はいかがでしたか?」
 その問いに、2人は呻き声しか返せなかったという。
 最後の一人となったエクスはしかし、あと三口といったところで限界を悟る。
「ぐぬぬぬぬ‥‥‥‥しかし! ハウンドとして、勇者として!! 負ける訳にはいかん‥‥散っていった仲間達の為にも!!」
 覚悟を口にしたエクスは、カッと目を見開き、そして。
「スサノオー!!」
 炎の幻影を纏うエクス。実際のところ効果はないのだが、思い込みの力というのは凄まじく、彼はスプーンを倍の速さで動かし、残り五口のシチューを口の中へ流し込んでいく。
 こうして優勝は参加者で唯一完食したエクスとなり、トウカとトサの勝負は引き分けとなった。完食したエクスは、これ以上ないほど真っ赤な顔で持参したリンゴを齧っている。
「野菜スープは完売ですわ! 皆さま、ありがとうございました」
 それとほぼ同時、エフィは空となった鍋を見やりつつ、声高に叫ぶ。
「完売したニャね。その前にゲット出来て良かったニャ」
 トラエもメニューを全制覇し、魔物料理を満喫出来たと満足そうだ。

 激辛魔物料理フェスはこうして大盛況のうちに幕を閉じ、早くも構想段階の2回目の大会参加についてハウンド達の元へと打診がされたが、楽しかったけどたまにで良いかな、という客達からの意見により、第二回激辛魔物料理フェスの開催日は未定として、企画のみジョシュアの懐で温められているという。



 4

参加者

c.うま辛料理を作って見せましょう。
エフィ・カールステッド(da0439)
♀ 21歳 人間 カムイ 月
a.うーむ、皆から一度は喰っとけと言われて参加したが…スサノオーいくか
エクス・カイザー(da1679)
♂ 28歳 人間 ヴォルセルク 火
a.任せろ! 頑張って完食だ!
トウカ・ダエジフ(da1841)
♀ 27歳 ダークエルフ ヴォルセルク 地
a.これはハウンドに対する挑戦と受け取った!!
トサ・カイザー(da1982)
♂ 25歳 人間 ヴォルセルク 陽
b.激辛~食わずにはいられない!!
トラエ・モン(da2209)
♀ 27歳 ケットシー パドマ 月
 私は屋台の手伝いをしよう。人手はあった方がいいだろう?
ベリル・ボールドウィン(dz0037)
♀ 27歳 人間 ヴォルセルク 火


参加者募集中!

激辛シチュー挑戦者と、屋台出店、それから一般参加者、か。盛り上がっていた方が街の皆からの印象も良いだろうな。