【PS】ハウンドチャンネル

担当留菜マナ
出発2022/10/13
種類イベント 日常
結果大成功
MVPアクア・パッツア(da2185)
準MVPソレイユ・ソルディアス(da0740)
アリー・アリンガム(da1016)

オープニング


 秋、それは毎年巡る季節。
 短い紅葉の盛り、その時限り生まれる思い出の数々。
 ミドルヘイムの種族と魔物達、そして魔法などが存在している現代日本。
 インターネット上のコミュニティサイトで様々な人達と交流したり、自主制作の動画作品を継続的に投稿していたり、フリマアプリでショップを開設して商品やサービスなどを出品したりと。
 人々は楽しい体験を期待して、ネットワーク上に集まっている。

登場キャラ

リプレイ


  トラエ・モンが更新しているブログは様々な魔物料理のレビューを紹介している。
 ブログのタイトルは題して『トラエモンの怖いから食べてしまおうニャ!』。
『ハウンドが卸す魔物肉は美味しい食材ですが、一般の方にはゲテモノ料理と見做されて敬遠される事が多いニャ!!』
 冒頭の文章からトラエの魔物料理に対する熱意が伝わってくる。
『そこで美食家ハウンドの僕トラエ・モンが美味しい魔物料理を紹介していこうというのですニャ』
 トラエの滾る意思はレビューを紹介する熱量へと変わっていった。
『ドラゴン料理、インセクト料理などの食べても美味しい魔物の料理を調べて実食し、ブログで紹介していきますニャ』
 トラエのブログには一般の人達の魔物料理に対する敬遠をなくすための工夫が施されている。
『ドラゴンの肉を使った料理を実食してみたニャ。濃厚な味わいが心を踊らせるニャ。ドラゴンは怖いから、ドラゴンの肉は残さず食べてしまうニャ』
 トラエの食べてみた感想や体験談を用いた名言。
 ドラゴンは畏怖の対象でしかない人達にも、ドラゴンの肉の美味しさを味わってもらうためにその素晴らしさを記載していく。
 トラエのブログは一般の人達だけではなく、魔物料理の美食家まで幅広く絶賛されていた。

 パメラ・ミストラルは自身のブログページを作っていた。
 自分の今までのハウンドとしての活動や他のハウンドから聞いた冒険譚をアレンジして、小説にして公開していくためだ。
(目指せ高PV数、口コミ高評価です)
 それは未知の領域。
 パメラは目指す場所へ向けて意欲を掻き立てる。
(その為に高頻度の更新や多少話を盛ったりは必要かもですね)
 パメラは毎日更新や読者の興味を掻き立てるような物語の転換を視野に入れた。
(後、高評価な他の人の小説を見たりして良い部分はパク……参考にさせて貰います)
 小説ブログの人気ランキングには、常にランキング上位にいる作者もいる。
(これは恋愛ものですね。過去に戻った女性がその時代の男性に恋をする話です)
 パメラは左手で口元を覆いつつ、高評価の小説を閲覧して自身の小説の参考にしていった。

 パメラは小説の更新とは別に、稀に趣味の料理のレシピなどもブログに載せていた。
(こっちは趣味なので評価とか気にしないです。今回はサーモンマリネのレシピを写真付きで載せます)
 パメラはテーブルに置いてあるサーモンマリネをカメラで撮った。
 漁師から届いた最高品質のサーモンをオリーブオイルで漬け込んでいる。
 料理の作り方とともに必要な材料や調味料について文字を打ち込んでいく。
 興味を注がれる小説と食欲を掻き立てる料理のレシピ。
 後にパメラのブログは多くの読者が訪れ、高評価の口コミが書き込まれていった。


「せっかくだし、面白い事をやってみたいな」
「ソラ、頑張ろうね」
 ソレイユ・ソルディアスの言に、ハナ・サルタバルタは柔らかな笑みを綻ばせた。
 二人は確かな決意を胸に、これから行う動画の収録の準備を整える。
「ソラと」
「ハナの」
「「ソラハナチャンネルーーー!」」
 ソレイユとハナの声がハモり、動画の配信が開始された。
「って、そのまんまだな!?」
「そうだね」
 ソレイユとハナの温かなやり取りに誘われたようにブーブリーがやってくる。
「今日はこのでっかいブーブリーにチャレンジだ! これだけでかいのなら俺達二人ぐらい乗れるはず!」
 ソレイユが告げたとおり、現れたブーブリーは通常よりも遥かにでかい。
「今日はブーブリーに乗ってみたいと思います!」
 ブーブリーに乗る発案――それはハナの好奇心からだった。
 何故、ブーブリーなのか。
 それは巨大で小太りな鵜のような水鳥、ブーブリーが可愛いからだ。
 愛くるしいその姿はまさに『可愛いは正義』。
「まずはこいつでブーブリーの気を惹く!」
 ソレイユはバルーンを持って、ブーブリーの目の前でフリフリと動かす。
 ブーブリー型の錬金バルーン――しかし、ブーブリーからは相手にされない。
「好みじゃなかったみたいだな。えいっ」
 ソレイユはボール代わりにバルーンをぽーんと投げつける。
 その途端、ブーブリーは宙を舞うバルーンに大いに興味を惹かれた。
 ブーブリーは我先にとバルーンに飛びつく。
「よし、今だ!」
 その隙にソレイユはハナとともにブーブリーの背中に乗り込む。
「ところでこいつ、人乗せて走れるっけ?」
 ソレイユは騎乗して乗りこなそうとするが、ブーブリーは超がつくほどの緩慢な動きで移動する。
 やる気はなさそうだ。
 二人がブーブリーの背中から降りると、ブーブリーはソレイユにバルーンをもう一度投げてほしいとせがんでくる。
「ボール遊びがしたいのかな?」
 不思議そうに首を傾げたハナに興味を抱いたのか、ブーブリーは彼女をパックンと飲み込もうとした。
「ハナ!」
 ソレイユは即座に駆け寄り、急いでハナを助け出す。
「大丈夫か?」
「ソラが助けてくれたから。ありがとう、ソラ」
 ソレイユの優しい声と確かな温もりに、ハナの胸に嬉しいという気持ちが秋花のようにふわふわと舞って満していく。
 小さな一歩が大きな幸せへと昇華するように。
「よーし、いっぱいボール遊びしようね!」
 笑顔を咲かせたハナはバルーンを持ってブーブリーと戯れる。
 最終的にはソレイユとハナがブーブリーと楽しくボール遊びしている動画の内容になった。
 視聴者の視界に広がる光景はどこまでも優しさに満ち溢れた二人の姿。
 ソレイユとハナの笑顔、欣喜雀躍するブーブリーの様子を見守るように温かなコメントが寄せられていた。

 最近、動画共有サイト中で話題沸騰中の動画がある。
 動画の内容は、トサ・カイザーが各地の魔物と対決して倒していくというものだった。
 動画のジャンルは『戦ってみた』。
 動画の画面には『ハウンドは訓練を積んでいます。真似しないでください』というテロップが出ている。
 今回の実況動画のタイトルは『グンマの山奥にドラゴンを見た』。
 トサが今回、果敢に挑んだのは強靭なドラゴンとの対決だった。
「今回の動画はグンマの山奥に生息するドラゴンへの挑戦である!」
 トサはグリーヴァタロータチを掲げて明確な指標を告げる。
「チバ、サイタマと並ぶ秘境グンマに生息するドラゴンを求め、行く手を遮る魔物を倒しながら進む実況動画である」
 トサによって行く手を阻んできた魔物達は次々と倒される。
 その熱い闘志は如何なる困難に直面してもドラゴンとの対決をやり遂げてみせるという不退転の覚悟を感じさせた。
 トサの隣にはフィールドドラゴンのアールがやる気に満ち溢れている。
 全ては順風満帆で事が運ぶと思われていたが、山奥を目指して進んでいたトサはやがて歩を止めた。
「ちなみにドラゴン迄到達するかは不明」
 トサの弁は現状を如実に語っていた。
 ゆっくりと見渡したそこは山の中腹辺りだろうか。
 道に迷ったらしく、現在居る場所が把握できない。
 つまるところ、遭難したのである。
 トサがドラゴンのもとまでたどり着く事ができたのか、それは実況動画を見ていた視聴者のみが知っている。

「はい、どうもー。釣り師のアンカの『釣り三昧チャンネル』ですよ」
 動画の画面に、アンカ・ダエジフが姿を現す。
「夏もすぎて肌寒くなってまいりましたが、釣りはこれからが本番です」
 アンカの声音とともに、川縁を流れる水の音が聞こえてくる。
「本日は視聴者からリクエストのあった『川のヌシを釣るまで帰れません』です」
 アンカはブラウンベア――クマーと共に、国内某所にある川で伝説のヌシ釣りにチャレンジしようとしていた。
「果たして川のヌシ『シラタキタロー』の正体は魚か魔物か、それともメロウなのか!?」
 アンカは川のヌシの正体の真相に迫る。
 全身で風を受ける心地よさを堪能して、クマーも満足げだ。
「何気にアクアさんとのコラボ動画です」
 アンカはアクア・パッツアとのコラボ動画を思う存分楽しむ事にした。

『コラボ企画、釣り師VSメロウ、そんな針に釣られクマー』
 その頃、アクアは動画画面でコラボ動画のタイトルを伝えていた。
 アンカの釣りチャンネルとアクアのメロウチャンネルのコラボ企画に、視聴者から期待のコメントが多く寄せられていた。
 アクアは下半身をメロウ本来の姿に戻すと、メロウ仲間のエルルとレフィとともに川に入る。
(コラボ企画ばい)
 今回はエルル達に協力を仰いで、アンカにドッキリを仕掛ける趣旨だ。
(メロウチャンネルと釣りチャンネルのコラボ企画で、アンカと対決よ)
 アクアとアンカによる熱い駆け引きが繰り広げられようとしていた。

(おかしいですね)
 アンカは怪訝そうに川を眺める。
 高い釣果を得られそうな場所で釣り糸を垂らしていたのだが、魚が釣れる気配がない。
 たまに釣れるのはドラゴンの鱗など不可解なものばかりだ。
 アンカの釣り針に魚がかからない理由――それはアクアのドッキリによるものだった。
(水の中なら任せて)
 アクアは水中でアンカの釣り針に魚がかからないように妨害をして、彼女の釣り果をボウズ――魚が全く釣れずに終わらせようとする悪戯を仕掛けている。
 さらにエルル達がフリマアプリで出品している商品を、アンカの釣り針に引っ掛けて釣り上げさせた。
 アンカに釣り上げさせた商品は動画を視聴している人達への商品の紹介の意味も仕込んでいる。
「川のヌシ『シラタキタロー』を釣るまでは帰れませんよ」
 アンカは川のヌシがいそうなポイントを見当つけると改めて釣り糸を垂らす。
「要は場所が大事なんです。川のヌシ『シラタキタロー』、必ず釣り上げますよ」
 アンカがそう宣言したその時、釣り竿が大きく揺れ動いた。
(これは……!)
 引きの強い明らかに並大抵ではない獲物。
 アンカはここぞとばかりに相手の引きを利用して釣り上げる。
 奇しくも、というべきなのだろうか。
 それともこれこそが彼女達のコラボ企画がたぐり寄せた必然だったのか。
(アンカに四度も釣られた時は――)
 アクアは地上へと躍り出た途端、潔く腕輪の中央にある赤いボタンを押した。
「きゃああああっ!?」
「シラタキタロー!?」
 それは自爆スイッチ。
 釣り上げたアンカをも巻き込むほどの大爆発が周囲に巻き起こった。
 その後、起きた現象は凄惨だったと視聴者達はコメントに残している。
 エルル達が至急、救助要請をしたりと事態は混沌と化した。
 生死の境をさまよったアクア達はカムイの名医のリジェネレートによって九死に一生を得たという。


(私のやる事はネット上で探偵業をする所謂安楽椅子探偵と言うやつね)
 シャーロット・ショルメは自身の事務所からは動かずに、インターネット上で相談者からの依頼内容と不足分情報のやりとりをしていた。
 インターネット上で出回る情報や新聞の過去記事を収集していく。
 情報屋で情報の裏取りをして推理材料を集め、寄せられた依頼の数々を解決する。
『お悩み事、未解決事件の相談、解決はショルメ電脳探偵事務所へ』
 シャーロットの探偵事務所には日々、多くの者達から依頼が届いていた。
 卓越した調査力、わずかな情報から解決への糸口を掴む。
 彼女の探偵業で培ったノウハウと直感、難しい依頼さえも解決へと導くその手腕は大絶賛されていた。
 とはいえ、シャーロットの探偵事務所の存在を知らない者もいる。
(此方から売り込みする事も視野に入れるわ)
 シャーロットは時間の合間に、捜査が行き詰まっている事件の情報などをインターネット上で確認する。
(未解決事件の情報とかネット上でも流れてる訳だし、その情報を纏めたら後一歩で解決できそうとかあるでしょうから)
 シャーロットは数多く寄せられた情報提供の内容をもとに、いまだに判明していない犯人を特定していく。
(その場合は依頼料は事件解決後でも良いし)
 シャーロットが寄せた情報によって長年、未解決だったその事件は動き、犯人はついに逮捕されたという。

 最近、インターネット上のフリマアプリのサービスで注目されている人気のサービスがある。
 サービスのタイトルは『満たされない貴方のココロを満たします♪』。
 それはアリー・アリンガムが出品している大好評のサービスだった。
『この世の中、手に入れようと思えば大抵な物はお金で手に入る世の中です。しかし、それで手に入る幸せは本当に幸せなのでしょうか?』
 サービス内容の出だしは閲覧している者達の心にそっと語りかけるもの。
『当サービスは、貴方の本当の望みをカウンセリングで割り出し、当社が誇るコネクションを駆使してその望みを叶えます』
 ドコーカ国国王やトアール合衆国大統領といった名の知れた者達。
 その偉大な人物達が強大な権力を駆使して、購入者達の様々な要望を叶えてくれるという夢のようなサービスだった。
『サービス購入後、その満足に見合った金額をいただければ結構です。さあ、迷う前に即購入を!』
 開始から話題騒然になったそのサービスは即購入が後を絶たない状態になっている。
 依頼実績は非常に高く、多くの購入者の感謝の感想が寄せられていた。
 ただし、購入者の中にはサービス内容の下にある肝心の『注意文』を読み忘れている者もいる。
『……但しご注意下さい。人を呪わば穴二つ。正当なサービスに対して正当な報酬を払わなければ……ふふふ』
 その悪意はいずれ悪果となって返ってくるだろう。



 5

参加者

b.せっかくだし、面白い事をやってみたいな。
ソレイユ・ソルディアス(da0740)
♂ 21歳 人間 ヴォルセルク 陽
c.ココロのスキマ、キッチリお埋めします♪
アリー・アリンガム(da1016)
♀ 29歳 人間 パドマ 月
b.ソラ、頑張ろうね
ハナ・サルタバルタ(da1701)
♀ 23歳 人間 マイスター 地
b.はい、釣り師のアンカの動画ですよ。本日は川のヌシに挑みます。
アンカ・ダエジフ(da1743)
♀ 26歳 ダークエルフ パドマ 水
b.ドラゴン退治の実況動画である。
トサ・カイザー(da1982)
♂ 26歳 人間 ヴォルセルク 陽
a.(カキカキ)『冒険譚や活動を小説に纏めて書いてますよ。』
パメラ・ミストラル(da2002)
♀ 19歳 人間 カムイ 月
c.お悩み事、未解決事件の相談、解決はショルメ電脳探偵事務所へ
シャーロット・ショルメ(da2142)
♀ ?歳 ヴァンパネーロ パドマ 地
b.メロウチャンネルと釣りチャンネルのコラボ企画で、アンカと対決よ。
アクア・パッツア(da2185)
♀ 17歳 メロウ ヴォルセルク 水
a.ブログで魔物料理の紹介をするニャ。
トラエ・モン(da2209)
♀ 28歳 ケットシー パドマ 月


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