【SE13】光封じる謎遺跡

担当野間崎 天
出発2022/09/09
種類ショート 冒険(他)
結果普通
MVPソレイユ・ソルディアス(da0740)
準MVPキャサリン・モロアッチ(da0421)
カモミール・セリーザ(da0676)

オープニング

◆砂漠の行進
 灼熱の砂漠。
 日光がぶん殴ってくる日中は80度、太陽がいなくなる夜間には氷点下、と、気温が乱高下するなんとも砂漠らしい気候をしているこの地域に、ハウンド達は調査にやってきていた。
「このあたりのはず、なんだけどね……」
 氷点下に耐えられるローブを着込んだパラのアーシャ・バーニングが、地図を見ながらつぶやいた。
 目標物が極端に少ない砂漠で、星座を頼りにここまで進んできたハウンドご一行であったが、エッダの館で見つけた説話通りであれば、もう、見えるはずだ。

登場キャラ

リプレイ

◆地上階
「謎の遺跡か。これは調査のしがいがあるねえ」
 祠の中の部屋で、キャサリン・モロアッチが陽気に声をあげれば、他の4人も同意した。
「暗いと文句を言うよりも進んで魔法で照らしましょう☆」
「私も灯りをつけます」
 調査の為に、カモミール・セリーザがライトの魔法で長い杖の先から光を放ち、ジョシュア・マクラーレンがキャンドルランタンの蝋燭に火を灯した。
 灯りに照らされた範囲で、先に進めそうな所はないが、
「行き止まりの様だけどこれで終わりじゃないよね。何かのギミックが合ってそれを操作する事で先に進める仕掛けかな」
 キャサリンはそう推理した。
「それじゃ謎を解かないと……この石動くかな?」
 キャサリンが壁を調べ始めると、カモミールやジョシュアの灯りを持つ者達が周囲を照らして、探索の手助けをした。
 2方向から照らす事で、影が少なくなれば、それだけ見落としが少なくなるだろう。
「おそらく、この絵画がヒントになっているっぽいよね」
 一通り調べ終えると、キャサリンは改めて壁画に注目した。
 壁を構成する石の中には、押せたり引けたり取り外せたりする石がいくつも見つかった。
 そのうちの、取り外せる石を集めると、石と石を重ね始めた。
 ソレイユ・ソルディアスがその作業の様子を覗き込む。
「何か作ってるのか?」
「そうそう。石を組み合わせて、絵のような太陽を作ろうと思ってね」
 笑って答えたキャサリンはああでもない、こうでもないと悩みながらも、うまく石と石を組み合わせていった。
 しばらくして、キャサリンが大きな息を吐いた。
 手には、抱えられそうな大きさの一塊。
 それを見て、アーシャ・バーニングがはしゃいで手を叩く。
「すごいすごい、本当に取り出せた石だけで、まん丸の石が作れたね!」
 だが、キャサリンはまだ納得していなかった。
「いや、まだだよ。まだきれいな球面になっていないんだ。しかけも動いてないっぽいしね」
 キャサリンはほぼ球体となった石の表面にまだ残る小さな穴を指さした。
 それから、再度部屋の中をキョロキョロと見渡し、照明係の二人が視線に合わせて灯りを動かす。そんなキャサリンの視線が一点に定まる。
「これの最後の一片は――これしかない!」
 キャサリンが小さな歪な欠片を壁から抜き取ると、すかさず、手元の小孔へと突き刺す。それがピタリと嵌まると、見事なまでの、球体が完成したのであった。
「これで絵のような太陽が完成したよ!」
 彼女の宣言に、残りの4人から感嘆の声が上がった。のであったが、それによる祠への変化が現れることはなかった。
 キャサリンは大げさにため息を吐いた。
「何が違ったのかな? ……あ、アーシャたんも、何か思いついたことないかな?」
 話を振られたアーシャが、少し驚きながらも、絵を見ながらうーんと考え込み……言った。
「絵の太陽が二つ描かれてるから、二つ必要なのかも……?」
 キャサリンがマジカルショックを受けたかのように、大きくよろめいた。
 完璧な太陽を作るのに、取り出せる石を探して集めて組み合わせて、ラストピースを嵌めるまでにものすごい苦労があったのに、これを、もう一つ?
 常人であればそのまま気が遠くなりそうなところであったが、偉大な発明家がこれしきのことでへこたれて良いはずがない。
 もう一度徹底的に部屋の中を調べ始めたキャサリンであったが、動かせる石の中に、こんな形の石を見つけてしまった。
 いや、目には入っていたのだが、自分で作ろうとしていたがゆえに、パーツとしては使えないそれを、無意識に除外してしまっていたのだろう。
 『球』の石だ。
 それが、2つあった。
 アーシャにも頼んで、二人で同時に押し込んでみた。
 床の一部がスライドして、隠し梯子が見つかった。

 時に天才は、時代を先取りしすぎてしまうようであった。

◆地下一階
 梯子を降り、一通り調べ終わったハウンド達。 
 カラフルな立方体と描かれた色の名前を見て、カモミールがふと思いついた。
「んんんんん? これって色の配合て事かしら?」
「色の配合?」
 アーシャが聞き返すと、カモミールが繰り返す。
「石の色と書かれている色を、混ぜ合わせてみたらいいんじゃないかしら」
 カモミールには絵画の心得がないため、どの色とどの色を混ぜ合わせたらどの色になるのか、はっきりとした知識はなかった。
 だが、ここは直感で色を当てに行く!
「赤色の緑は『茶色』、赤色の青は『赤紫』……いわゆるピンクじゃないマゼンタだと言われる色?かしら?」
「そうかもしれないね」
 アーシャがぎこちなく笑う。実際に色を混ぜて試せる訳ではないので、正解かどうかはわからない。
 この答えにお墨付きを与えられる存在がいない中、カモミールはなんとかこの謎を解こうと頭をフル回転させた。
「二つの色を掛け合わせた色で、虹になるのかしらね?」
 壁画に描かれた虹を見直して、カモミールは予測を立てたが……虹に茶色の要素はないだろう。
「色を混ぜるのと、虹に沿った解き方は、合っているように思えるのですが」
 ジョシュアも同様に頭を悩ます。
 どこかで何かを間違えてしまっているのか。他のメンバーも加わってそれぞれの石が何色を表しているのかを考えてみるが、色に関する深い知識を持つ者がおらず、自信が持てる答えを見いだすことは出来なかった。
 仕方無く、部屋全体を再度調べ直すことになったのだが、ライトの魔法で周囲を照らしていたカモミールが、床の微妙な影の違いに気付き、その箇所を当たってみた。
 すると、床が微妙にへこんでいる区画があり、ちょうどそこに石を7つ嵌める事ができたのだ。
 7つ目の石を嵌め込んだ時、壁画の下の石壁が横にスライドし、この階の出口が現れたのであった。
「先に進めるのかしら?」
 カモミールが小首を傾げる。キャサリンが慎重に出口の先を探るが、罠などは見つからない。
「下に降りる階段はあるよん」
 何かにえぎらない思いはありながらも、ハウンド達は先へと進むのであった。

◆地下二階
 地下二階に点在する悪魔の銅像――リビングガーゴイル――の額に刻まれたアルファベットは合わせて5文字。
「『LIGHT』ですね」
 言語に詳しいジョシュアが、アナグラム状態になっていた5文字を適切に並べ直した。
(とりあえず、太陽と虹で、陽の魔法だと思います)
 壁画のヒントもあったとはいえ、瞬殺だ。
 さて、では実際にどう並べる……どうすれば動かせそうかと、思考をそちらに傾けたジョシュアであった。
 同じく、ガーゴイルの動かし方を考えていたソレイユ。
 一体一体のガーゴイルを改めて見て回った後に、口を開いた。
「一応解き方は思いついた」
「おお、すごいね!」
 アーシャが感嘆の声をあげ、他のハウンド達もソレイユに注目した。
「正直俺も確証がある訳じゃないけど――」
 と、ソレイユが『L』のガーゴイルの前に立つと、口笛を吹いた。
 ソレイユの唇から発せられる甲高く鳴る音。その音に導かれるように、今まで能動的には動こうとすることのなかったガーゴイルが、ついに自らの意思で脚を踏み出した。
 ソレイユが、口笛を吹きながら後退するのに合わせて『L』のガーゴイルもついていく。
「うまくいったみたいだね」
「ああ。唇って事は、連想されるのは口笛だからな」
 『L』のガーゴイルの腹部に描かれた『唇』を見て、ソレイユが頷いた。
 次いでソレイユは、『I』のガーゴイルに相対して、横笛を構えた。
 奏でられる曲に惹き寄せられるように、『笛』が描かれたガーゴイルも動き出す。
 そのまま、『G』の『手』には手拍子をし、『H』の『音符』のガーゴイルには歌を歌うことで、誘い出すことに成功した。
 最後は『T』の『脚』だが。
「さて、これで合ってるか?」
 不安に駆られながらも、ガーゴイルの前でステップを踏み鳴らすと、ガーゴイルは素直にソレイユの後を追い始めた。
 もろもろを試す前に感じていた不安、
(……これでただ『ステップ踏みながら笛を吹く』が正解だったらマヌケだけど)
 という心配は杞憂であったようで、こうしてガーゴイルは部屋の中央に集められた。
 『LIGHT』の順に並んだ5体。
 この時点ではまだ何も起こらない、が、ソレイユはそのまま仕上げにかかった。
「さあ、こっちだ」
 それぞれのガーゴイルへ合図を送り、部屋の中央へ――大きな皿型の岩へと誘導したのだ。
 5体のガーゴイルがきっちりと皿の上へと収まり、『L』『I』『G』『H』『T』――光――が一箇所に集められると、皿は静かに沈んでいった。
 そして、床下から「カチッ」という何かが押された音がすると、壁の方から続けて「ゴゴン」と音がした。
「あそこのようです」
 ジョシュアが音がした方に近寄り、ランタンを掲げると、壁の一部が抜け落ち、空間が生まれ、そこには――
「これは、石版ですね」
 念のためにキャサリンが罠がないかを調べるが、手をかざすと落ちてくるギロチンや、取り出すと遺跡が崩れるような自爆機能など、発動しそうな罠はなかった。
 落ち着いてジョシュアが石版を眺めると、長々と書かれた文章の内、僅かながら、読めた。
「『光』『集める』…………どうやら、『ソル』の魔法について書かれている物で、間違いないようです」

◆後日談
 こうして、遺跡の調査を終えたハウンド達は、帰路へと着く。行きの移動と探索で時間はそれなりに経過している。夜が明けて砂漠が灼熱地獄に戻ってしまう前に、急いでローレックの街へと帰還した。
 地下2階で発見した石版は、現在、専門の研究者達が分析中である。ジョシュアの予想通り、『ソル』について記されているようで、そのうち結果がまとめ上げられることだろう。
 地下1階については、再調査の予定が立てられている。
 解き方の方針などは、今回の推理や調査も活かせるように、芸術方面も得意な面子が派遣されるのだそうだ。

 こうして、光にまつわる新たな魔法の可能性を模索するダンジョンアタックは、一区切り着いたのであった。



 5

参加者

a.図形の問題っぽいね。絵画にヒント有りかな?
キャサリン・モロアッチ(da0421)
♀ 22歳 ライトエルフ マイスター 風
b.んんんんん? これって色の配合て事かしら?
カモミール・セリーザ(da0676)
♀ 31歳 ライトエルフ パドマ 陽
c.一応解き方は思いついた(合ってるかはさておき)。
ソレイユ・ソルディアス(da0740)
♂ 21歳 人間 ヴォルセルク 陽
c.…(今のところ地下二階は「LIGHT」に並べるのかと思うが根拠が…)
ジョシュア・マクラーレン(da1234)
♂ 29歳 ライトエルフ マイスター 風
 それぞれの絵は、何を表してるのかな?
アーシャ・バーニング(dz0048)
♀ 24歳 パラ マイスター 水


灼熱の砂漠の遺跡に挑む

灼熱の砂漠に、ある魔法の限界を越える為の方法が記された物があるらしい。その情報を得たハウンド達は、砂漠を進み、謎だらけの遺跡に挑むのであった!