【HH06】目覚めない姫君

担当成瀬丈二
出発2021/04/30
種類ショート 冒険(討伐)
結果成功
MVPアレックス・ブラック(da2081)
準MVPレクリーン・シモンヌ(da2140)
ミーユ・ノエル(da2134)

オープニング

◆魔の森の遺跡
「たいへんやで!」
 魔の森にある遺跡──おそらくは古代の墳墓──を調査するハウンドたち。
 髑髏の紋章の刻まれた奥まった一室。
 そこへ偵察に出た三人のハウンドのうち、ガーベラだけが飛んで戻ってきた。その尻のあたりには、斬り裂かれたような傷跡がある。
 ガーベラの話だと、剣をたずさえ冠をかぶったガイコツに遭遇したという。

登場キャラ

リプレイ

◆はじまりの章:冒険が始まる『やった者勝ち?』
 という精神性が、レクリーン・シモンヌにあるか? それはここでは控えておこう。
 確実なのは彼女が魔法の杖を構え、ファイアボムの詠唱をしていることだ。
 無論、レクリーンがどんな魔法を成就しようとしているかは、余人はうかがい知れない。
 少なくとも彼女は狭いところで大爆発を起こすことだ。それにより倍増した威力でスカルロードの頭上にある冠を叩き落すことを目指している。

「みんなたのむで!」
 せめてもの応援をする、ガーベラだった。

「頼まれました──それでは、ハウンドとしての初陣頑張りましょうか」
 言ってレイピアを構える、ローザ・アリンガム
 ヴァンパネーロである彼女は、得物の選択というハンデを指摘されたら、『承知の上』と言い切るかもしれない。
 それだけハウンドから『異物』扱いをされるのを嫌忌しての行動だろう。
「行くぞ」
 端的にそれだけ言って、歩み出るのはアレックス・ブラックである。

◆第一章:気楽にいこう『GO! A HEAD!』
 アレックスは利き手に銀製のショートソードを、逆手にシールドをもって前進する。
(私の方が、ハウンドとしての行動に慣れている分、仲間が冠を落とせるように、耐え忍ばねな)
 盾の握りひもを強く意識する。
 ──守る者と壊すものの戦い、答えは全てそこにある。

「ウチ的には、スカルロードは先に少しでも弱らせれば‥‥よかろう、なのじゃ」
 アテンディスクでの戦いを模索する、ミーユ・ノエルは思った以上に、前線が混むことを認識。そのため、位置取りに動く。
 この戦いでミーユが求める見返りは、ハウンドとしての信頼。そのために狙うのは足だった。機動力を削いでから、確実に冠を落とすことが目標となる。その際には彼女自身が落とす必要はない、最終的に落ちていればいいのだ。

「骨だけあって、当てるには骨が折れそうね‥‥当てるけどね」
 言いながらライジョウドウを構える、ムーン・シャドウ
 ムーンの自負は虚勢によるものかもしれない。いいではないか? 身の丈に合わぬ服も成長すれば、ちょうどよくなるものだ。

「──ファイアボム」
 レクリーンが詠唱の締めの言葉を唱え、魔力を解き放つ。
 爆風が吹き荒れた。
 可能な限り奥で発生した爆風は、わずかなダメージをスカルロードに与えた。
 奥の壁は崩落し、がれきの向こうに空間があるのが、見える。
 とはいえ、奥の調査は困難になった。
 ちなみにスカルロードの冠は落ちていない。
 ガーベラを除けば、動ける全員が『瘴気? 何ですか? それ』的な、ヴァンパネーロという闇の住人だけだった。
 冠を落とすのに腐心する必要がなかったのに、ようやく気付く一同だった。
 なお、ガーベラはこの一団がイケメンやなあと思った程度らしい。
 ──こうなったら‥‥もう!

「特攻しかないだろう」
 アレックスはそう決意した。

◆第二章:黒い嵐近づくとき『もはや乱戦しかあるまい』
 アレックスがローザと、さらに後ろにいる者に気を配りつつ、少しずつ前進する。
 一方で、ローザは女豹のように、精悍な助走とともに、スカルロードに飛びかかろうとする。
 しかし、そのタイミングで剣は振り下ろされた! そうスカルロードの斬撃だ! ソニックブーム!
 GUWAA──!
 スマッシュの戦技を込めた衝撃波がローザを捉え‥‥ない!
 なぜって? 『彼』が来た!
 無理は承知で飛び込んだアレックスだ。その身を捧げて、スカルロードの一撃を受ける。
 しかし、ムリをした反動で転倒する
「ワントップ、頼んだ──」
 そこに響く声。
「振り切ったそのスキもらった! 当たれ!」
 ミーユがアテンディスクを投てきする。唸りとともにディスクは飛び、スカルロードの頭にクリーンヒット!
 ──瘴気は消えた。しかし、瘴気があって困るのは前述の通りガーベラと倒れているふたり、だけである。
 それでも、アテンディスクの日輪の力はダテではないのだ!
 スカルロードの頭というか、しゃれこうべに大きくヒビが入った。
 その光景を見た瞬間、ムーンは不確実なライジョウドウを放り、ノルンズダガーに攻撃を切り替える。
「矢で撃つより、こっちの方が──早いわよね!」
 ムーンは見事な発想の柔軟性だ。
 ──一方で。
「ヒャッハー! イロイロ突っ込んでオトナの遊びするのに、ちょうどいい穴が開いたわねぇ‥‥」
 レクリーンが酔いどれ系エロの本性を明らかにする。
 なお、ガーベラ、精神年齢十歳程度である彼女は、レクリーンの言葉の意味は分からない。
 それでも、彼女が『退いた』くらいの圧はあった。
 ‥‥フリーダムすぎるだろう、レクリーン。

 最終的には、ムーンが押し倒したスカルロードの上にまたがって、かなり強引に、首をノルンズダガーで押し切った。
 しゃれこうべが‥‥落ちていった。
 ──戦いは新人ハウンドたちの勝利に終わったのである。
 勝鬨は無い。しかし、実感はあった。

◆第三章:おわりのうた『遺跡調査しよう』
 多分、ここは埋葬の部屋──玄室だろう。
 ハウンドたちはレクリーンのファイアボムで穴の開いた空間をそう認識した。
 その中に、髪の長い、女性と思われる亡骸があった。脇にはスカルロードと同じ冠が置かれている。
 恋人? 夫婦? 親子‥‥だったのかもしれない。そう考える者が多かった。
「この女性を守る守護者かなにかだったのかもしれないな」
 ローザがエルダーの杯の特殊能力で、ヴァンパネーロにも効力があるようにしてくれた、回復薬を飲んだアレックスが、そんな感想を述べた。
 アレックスにしてみれば、仲間を守る当然のことをしただけであるが、ローザの心意気を汲んだのである。
 それを聞いたガーベラは腕を組んで。
「しゅごしゃとかなんかー、しーりーこーとのせいせんしちゃうんか? ようしらんけど」
「ウチもしらへんなあー。けど、聖戦士なら闇の住人なんぞにはなったりせえへんと違うんか?」
「せやな」
 ガーベラの言葉にミーユはさらりと答える。あくまで推論ではあるが。
(聖戦士か。闇の中を光を求めてさすらうヴァンパネーロには夢また、夢か)
 そうヴァンパネーロの中で誰か思ったかもしれない。
(誰かがこの闇の道を砕き。種の呪いを‥‥いつか)

◆終焉の章:明日はじめよう『オカエリナサイ』
 結局、遺跡外部の調査スタッフは、ヴァンパネーロやガーベラと一緒に奥におもむき、倒れたふたりの先行していた仲間を一同は安静に瘴気が抜けるのを待つのだった。
 無論それまでに異常なものがないことは確認済みだ。
「おそらく古代の墳墓らしいですねえ‥‥大体、予測はしてましたが、入るまで確信が持てなかったのです」
 話を聞かれた調査スタッフがあくまで、仮説ですが、と前置きはする。
 確かにハウンドたちと提携するスタッフは、無能ではないが、万能でもないのだ。。
 とはいえ、この遺跡の全容は、一朝一夕では分からない。
 それもまた、研究の積み重ねのひとつ。調査スタッフは、長い遺跡坂を登り始めたばかりなのだ。
 魔の森の日常に新しいルーチンが加わる。
 新しい日々が、始まろうとしたときになってようやく、自分たちが不眠だったことに気づいた。
 ──それでも、ヴァンパネーロたちの冒険は‥‥はじまった!



 8

参加者

b.では、私は弓矢で援護を。 敵が骨だけに、命中させるのは骨が折れそうね。
ムーン・シャドウ(da2079)
♀ ?歳 ヴァンパネーロ カムイ 月
a.行くぞ!!
アレックス・ブラック(da2081)
♂ ?歳 ヴァンパネーロ ヴォルセルク 陽
b.中間距離からディスクで削るけえね。
ミーユ・ノエル(da2134)
♀ ?歳 ヴァンパネーロ カムイ 地
a.ふふ、それでは頑張りましょうか。
ローザ・アリンガム(da2138)
♀ ?歳 ヴァンパネーロ ヴォルセルク 風
c.では……派手にファイアボムぶっ放して、冠ごと吹っ飛ばしましょうか
レクリーン・シモンヌ(da2140)
♀ ?歳 ヴァンパネーロ パドマ 火
 たのむで、おふぇんす!
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


髑髏のしるしは──

魔の森の遺跡に眠る死者、ハウンドはその安寧をこわしてしまった!