オープニング
◆オーディア島にて
開拓村で夜出歩いた少年が襲われるという事件が起きた。
無数の攻撃を浴びせられ、抵抗する暇もなく、なぶり殺し。
倒れたところを鋭い牙で喉笛などを食いちぎられている。
不思議と流れた血潮は少なかったという。
これをきっかけに、開拓村で殺人事件が勃発。
村の狩人曰く、周囲の足跡からゴブリンではないか? という見立てが出された。
村の近所に森がある。中には良くわからない、塔の基部のような遺跡がある。
開拓初期に村の総出を上げて、害獣は一掃した。しかし、新しく群れが移住したのだろうという。
「群れだとすれば、ハウンドに頼もう」
行商人に頼み、ローレックの街に伝言を頼む。
数日後ハウンドが訪れた。
「どうも、開拓も大変だねえ」
パラパドマのベルクート・クレメントを含む数人だ。
少なく思えるが、ハウンドは魔法を使えるので、少数でも十分な実行力を持っている。
ハウンドは狩人と相談して、森をチェックすることにした。
遺跡に潜んでいるのでは? と考えたためだ。
「流れた血が少ない? ‥‥吸血鬼かな」
そう考える者もいる。ミドルヘイム各地で吸血鬼が動き出しているのだ、オーディアも例外ではない。
ハウンドたちは遺跡のあたりを調べる、確かに周囲にゴブリンサイズの新しい足跡があった。
後は遺跡を調べるのみだ。
──ハウンドの調査行が‥‥始まる。
選択肢
マスターより
謎めいた遺跡への調査行。果たしてハウンドへ火中の栗を拾えるか?
潜むゴブリンを討て!
皆さんの参加をお待ちしています。
※【SubEpisode09】純白穢す新たな闇 関連シナリオ
登場キャラ
◆第一章──暁の強襲!
「吹き飛ばせ!! ベルクート!」
エクス・カイザーが遺跡目がけて、
ベルクート・クレメントに指示を飛ばす。
村を襲ったバーヴァンゴブリンが巣食うと思しき、遺跡は塔の基部だ。
しかし、基部だけあって、上に何か構造部があったらしく、密閉されているわけではない。
ファイアボムで先制の一撃を与えることは決してムダではないだろう。
「──ファイアボム!」
爆風が遺跡を直撃する。
「遺跡の吸血鬼だが、ゴブリンは殲滅しないと」
そう、
アステ・カイザーは、非業の死を遂げた、開拓村の人々のことを思い出す。
「あれだけ吹き飛ばせば、多少の罠は‥‥吹き飛ぶでしょうねん──ハイ」
キャサリン・モロアッチの弁だ。彼女は、ドラゴングラスを弄ると、言葉を続ける。
「ゴブリンもヴァンパイアになる時世だな‥‥急ごう」
トーチで明かりを確保する、
ソーレ・スクードであった。
利き手にはミスリル製のショートソード。ルミナパワーを磨けば、この刀身でも破壊力を期待できたかもしれない。
エクスは何も言わず、ソーレのショートソードに、ルミナパワーを付与する。
「礼を言う、エクスさん」
それだけ、ソーレは言うのだった。
「よし、ヴァンパイアハンターへの道の最初の一歩だ」
◆第二章──夜空よりこちら側
「~♪」
キャサリンとアステが塔の中身をチェックしながら、進んでいく。
かなりのメンツがゴブリンがトラップをしかけるのでは? と、考えていた。
しかし、特にそんな様子もない。
そして、ベルクートのファイアボムで、あちこち崩落した遺跡の中、ハウンドたちは下に続く落し戸を発見した。
「使われた形跡が──あるねん」
キャサリンが使われたことを確認する。
「地下牢かな?」
そう問うアステ。キャサリンは親指を立ててサムズアップサイン!
一方、男性陣は別の話題で盛り上がっていた。
「ゴブリン一匹も死んでないな」
ソーレの言葉に同意するエクスとベルクート。
「おそらく、太陽がイヤなのだろう」
エクスの言葉にふたりは同意する。
◆第三章──奈落のさらに底
伝説でも実在でも、バーヴァンは日の光を嫌がるものだ。
「じゃあ、地下への落し戸は‥‥」
ベルクートの言葉にうなずくふたり。
「吸血鬼の巣だろう」
エクスはそのまま、落し戸へと進む。
「大雑把に中にファイアボムを放り込んで、オシマイという訳にはいかないか‥‥」
先ほどエクスがとったのと同じ戦法だが、一回目の時点で向こうに被害を出せなかったのだ。
エクスが及び腰になるのも無理はない。
その時、日差しがおそるおそると言った風情で昇ってきた。
◆第四章──ハウンド諸君、突入せよ!
ソーレの手元、アステのベンヌヘルムの、それぞれが明かりになっている。
まさしく闇を斬り裂く叡智の光だろう。
そう、ここは遺跡の地下だ。あえて、火中の栗を拾うことにしたハウンドたち。
仮にここをベルクートのファイアボムで崩落させても、バーヴァンたちに決定打を与えられるかは分からない。
故に潜入して、叩き潰す!
徐々に空気が湿気を帯び、石畳の廊下から、冷気が流れてくるのだった。
「これは‥‥洞窟?」
キャサリンはそうつぶやく。
通路は思ったより広い空間に繋がっていた。
赤い目のバーヴァンゴブリンたちが十匹以上、徘徊しているのが見て取れる。
「ここね──間違いない、兄貴、ソーレ‥‥前に出て、後ろからフォローするから」
アステがそう言うと、後ろに下がろうとする。
慣れたもので、きれいに入れ替わるエクス。
エクスが抜いた剣の刀身からは冷気が漂っていた。
キャサリンと入れ替わった、ソーレも感じる。
今の内に、という事で様々な魔法を付与し終える、ハウンドたち。
キャサリンが氷で出来たような女神像──ガーゴイルだ──を、強行偵察に出させる。
迎撃に出てきたバーヴァンゴブリンは十体だった。
そこから、逆算して計を練るハウンドたち。
「みんな大丈夫? じゃあ、行くよ──ファイアボム!」
ベルクートの魔法が戦いの火ぶたを切った!!
◆第五章──戦いの終わり
ファイアボムの火の弾が着弾し、爆風を産み落とす。
一同が思ったより、巻き込んだ数体のバーヴァンゴブリンに与えた威力は小さい。
「参る! 一番槍は貴族の誉れ!」
ソーレが真っ先に走り出す。
「中堅参る!」
エクスも負けてはいない。
「後ろから──失礼」
アステがクリスタルアローをミドルボウで射こむ。
「いやあ、することもないのは疲れますね、弓でも持ってくればよかった」
キャサリンはそう言うが、敵の数を確定できただけでも十分な戦果だ。
バーヴァンゴブリンたちは敵襲に抵抗する。
ソーレを組みやすしと見たのか、数を揃えて引き倒そうとした。
「その程度で‥‥!」
しかし、ソーレは組み打ちに適した得物、ショートソードを持っている。
ソーレはその得物で、バーヴァンゴブリンを屠る。
「さあ来い哀れな邪鬼たち!」
一方でエクスは冷気で動きを鈍らせたバーヴァンゴブリンに拳を叩き込む。流し込む魔力はエクスプロージョン!
その破壊力により、バーヴァンゴブリンは動かなくなった。
「──ファイアボム!」
ベルクートは距離を置いているバーヴァンゴブリンたちへファイアボムを使い確実に体力を削ぐ。
さすがに次のファイアボムを高速詠唱で撃つだけの余裕はない。
中に突入すべきか、否かベルクートは迷う。
「フォローお願い」
アステはベルクートの迷ううちに遠距離戦の主役となった。
彼女が位置取りに動く。
(もし、大物が出たら水の力でそいつを‥‥封じなきゃ!)
アステの切り札のアプサラス。そのための十五メートルの間合いの死守。
しかし、戦いはほぼ雌雄を決していた。
ハウンドの奇襲に、バーヴァンゴブリンたちは予備戦力がなく、受け太刀となる一方。
アステが危惧した、このバーヴァンゴブリンを統括する巨悪もない。
ただ、鋼と魔力だけがすべてを決する戦いであった。
極論すれば、相手の再生を上回る攻撃を与え続ける泥臭い戦いで勝利する。
最後の一体のバーヴァンゴブリンからの返り血を浴びて、ハウンドたちは戦いを終える。
村を救った彼らが次に向かうはいずこだろうか?
◆終章──戦い終った結末の後に
「ふう、疲れた‥‥やっぱり高速詠唱ばかりだと舌が疲れるなあ」
ベルクートの弁である。
「ふう、後味の悪い事件だった‥‥胸を張って勇者の冒険とは言えなかったな」
そうエクスはぼやく。
「‥‥称号のためとはいえ、実質弱いものイジメだったからな──バーヴァンかもしれないが、結局はゴブリンか」
ソーレが渋々といった口調で、意識を吐き出す。
「バカ兄貴の蛮勇も役に立ったわね。まあ、ボスがいないからアプサラス余っちゃったのよ」
アステが腕を組む。
それを受けて、キャサリンが言うには‥‥。
「みんな前に立って、捜索と‥‥同じことを考えているのねん、そこから一歩頭を踏み込むのが大事かー」
と、今回の感想を言い合うハウンドたち。
彼らは、開拓村への報告を終えたのち、近くのムーンポータルを使って、ローレックの街に帰るのであった。
多分、KillerQueenは今日もにぎわうのだろう。
だから──‥‥ハウンドの戦いは‥‥つづく!
5
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参加者
 | | b.ベヌンヘルムで照らして、弓矢と回復を担当します。
| | アステ・カイザー(da0211) ♀ 24歳 人間 カムイ 水 | | |
 | | c.怪しいところがないか調べながら進むよん。
| | キャサリン・モロアッチ(da0421) ♀ 19歳 ライトエルフ マイスター 風 | | |
 | | a.よろしくお願いします。
| | ソーレ・スクード(da1213) ♂ 22歳 人間 ヴォルセルク 火 | | |
 | | a.罠が仕掛けられている危険性があるから、慎重に行かねばな。
| | エクス・カイザー(da1679) ♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 火 | | |
 | 血潮が少ない? 血を吸う‥‥怪物か。 | | ベルクート・クレメント(dz0047) ♂ 23歳 パラ パドマ 火 | | |
開拓村は血の臭い
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血ッ! 吸わずにはいられないッ!(邪鬼語)
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