オープニング
◆ベルクート飛ぶ(?)
事件が起きたのは『帰らずの森』に近い平原。
この帰らずの森は今だ神秘に包まれている。
しかし、逸話だけはあるという奇妙な地だった。
──曰く、迷ったら二度と帰って来れない。
森の奥はあの世に続いているなどと言われている。
とはいえ、鮮やかな襲撃であった。
全長三メートル近い、尾羽が四つに別れた白い猛禽がハウンドを襲ったのだ。
猛禽が、森の調査を目指すハウンドのグループを襲う。
中央にいたベルクートの両肩をがっしり掴む。
少々重そうにする猛禽、ベルクートが反撃を決意する頃には時、すでにおそし。
猛禽は大空に消えていった。
もし、帰らずの森に消えれば、ベルクート単独での脱出の目は事実上ない。
「助けてー」
情けない声を後に引きながら──猛禽は帰らずの森に消えていった。
◆流浪の民登場
そこに十代と思しき男性の影が現れた。
去年に接触したハウンドもいるかもしれない。ローベという名前の若者だ。
サンドラの方から移住したらしく、褐色の肌をしている。
赤い毛皮を頭からかぶっている。ただ、鞭を帯に挟んでいる。
首から何か笛のようなものをぶら下げている。
その脇にいるのは、雪塊を削りだしたような白きライオン。
光の加減か尾っぽが数本に見えた。
「ハウンド困っているか? 出来る事なら助ける、あのホワイトイーグル仲間さらったか?」
ローベは森の浅いところなら、案内は出来そうだといった。
そう森の調査も出来たうえで、ベルクートを救えるのだ、ちょうどいい機会か?
ハウンドの──救出が始まる。
選択肢
マスターより
ローベが登場した過去リプレイは挑戦者たちの掟!という去年二月のものです。
いろいろな勝負をして、当時のハウンドと結構いい勝負をしていました。
まあ、見なくても大丈夫ですよ。
さて、ベルクートがホワイトイーグルの巣で餌食になるまでは一時間と言っておきましょう。
ムシャムシャデリシャス、というやつですね。
一応、途中で寄り道をしなければ大丈夫らしいです。ローベ曰く。
なお、ホワイトイーグルは大樹の上に巣を作っているそうです。
皆さんのお手並み、是非拝見させてください。
登場キャラ
◆冒険が始まる
「まだ一キロ以内にいれば‥‥テレパシー」
そう
ベルクート・クレメントの身を案じて、
パオラ・ビュネルは魔法の杖を構え、テレパシーの魔法を成就する。
「大丈夫ですか? ベルクートさん──いま、ライトを点けて追いますから光が見えたら、そちらに誘導してください」
「パオラさん今のところ大丈夫だよ」
ベルクートの通信が切れる。気絶はしていない。実はホワイトイーグルが自身の嘴を媒体にアマテラスを付与してテレパシーを弾いていたのだが、そこまで分かるハウンドはいない。
あわてず騒がず、
エクス・カイザーが魔法の箒を出す。
「追おう──森を飛んで他の生き物を刺激することはない」
「はい」
パオラはうなずく。
◆ドキドキが始まる
「じゃあ、下から行きまわよ」
そう、
ティファル・クラウディアがそういうと、ローベの肩を叩いた。
「まあ、多少巻き込んでも簡単には死なない、あのベルクートはその程度には頑丈じゃ」
軽口をたたく、
ケイナ・エクレールだった。
ケイナはティファルのゼウスの技量を知っているから、そう言えるのだ。
「もっとも、死にかかったところで落ちたら、タダではすまぬのじゃ」
「あれだけ魔物が大きければ、そうそうゼウスは外れないわよ」
そんなティファルの言葉がきっかけになって追走劇が始まった。
「行こう」
ローベが慎重かつ出来得る限り迅速に動き出す。
◆地の追走撃
ローベが帰らずの森の中を小走りで歩く、彼に追従するハウンドたち。
このペースなら十分かからないだろう、とローベは言う。
「あれ? ベルクート‥‥さん」
パオラがエクスの後ろで声をあげる。
(パオラさん、ぼくも今のところ大丈夫だよ)
三メートル近い全長の、ホワイトイーグルの胴体中央あたりに位置するベルクートは条件が合えば、直径三メートルのアマテラスの結界からはみ出ることもあるのだろう。
まあ、偶然の範疇だがそういうケースもある。
「パオラさん、ベルクートに伝えてくれ。少し手荒に叩き落す、と」
不敵な笑みを浮かべるエクス。
──小規模なれど、風雲急を告げる!
◆涙と震撼
「魔物と空中戦とは、まるで英雄譚の勇者!」
あまりのとんでもないシチュエーションに感動するティファル。これは是非とも記録してエッダに送らねば。
「うむ。感動じゃのう、全オーディアが涙すること間違いなしじゃ」
ケイナが目元をぬぐうふりをする。
「いいえ、きっとミドルヘイムが震撼するわね」
とティファル。
「見つけました」
そう、パオラがみなに告げる。
──戦いの機運高まる。
そして、その序曲の幕をあげるべく、ティファルが立ち止まって、魔法の杖を天に向ける。ケイナもエルヴンロングボウに矢を番えた。
戦いの予感をヒシヒシと感じるエクス。彼は魔法の箒に搭乗する前に、ブルームマスターを成就、空中戦に備える。
「‥‥──ゼウス!」
ティファルが詠唱とともに魔法を成就、激しいイカズチがホワイトイーグルを捉え──なかった。
ホワイトイーグルのアマテラスの結界で弾かれてしまう。
「ふむ、CROSSもパンドラのクリスタルもなしにアマテラス、いや魔物法かのう‥‥まあ不可解じゃ」
ケイナが推測をするが、今ひとつ知識があいまいだ。
◆天より来るもの
「今、いくぞベルクート!」
エクスが魔法の箒にまたがる前に、エクスは成就した魔法、ルミナパワーを己のグリーヴァブレードに付与する。
「死なせはせぬのじゃ! 乗せるのじゃ、エクス!」
準備していた箒をエクスはケイナに向ける。
──口にしては!
「承知した!」
エクスの魔法の箒のサドルに身を落ち着けるケイナ。
「ベルクートの近くまで行ったら、飛び降りるでな、存分にティファルの創作意欲を掻き立てるのじゃ」
ケイナは半分冗談、残り半分は自分でも不分明。エクスは一瞬、目をつむった。
──口にしては。
「‥‥承知した」
その時、殺意を感じたホワイトイーグルはベルクートを放し、地面に落とす。
ウェイト的なハンデを抱えての戦いを、危険と判断したのだろう。野生のカンというやつか?
ともあれ、落下するベルクート。即死は免れたようだが、早急な手当てが必要そうだ。
ケイナはベルクートの落ちた地点を確認すると‥‥。
「頼むのじゃ、勇者!」
そして、ケイナは立ち上がると、弓に魔矢発動でキュアティブの魔法を付与しておいた矢を番える。
「ふむ、死なせはせぬのじゃよ。このままでは今宵の酒が美味くないのでのう」
放たれた矢から注がれた魔法は、途切れ途切れだったベルクートの呼吸を安定させる。
後ろからはパオラが駆け寄ってきた。さらに後ろからはティファルも続く。
◆天と地の戦い
「グリーヴァブレードの斬れ味味わってみよ!」
エクスが戦技で器用に魔法の箒を操作して肉薄する。
一方のホワイトイーグルも動きがかなり早く、容易に有効打を当てられない。
巣と思しき木が見えてきた。巣の中には他の生命の気配なない、ように見えた。
肉薄するエクス。
エクスの渾身の力を込めたグリーヴァブレードの一撃は、ホワイトイーグルを捉えた。
ティファルがまるでおとぎ話のような戦いに目を輝かせる。
(今はまだ神秘が息づいている時代なんだよね──)
彼女に向かって血が空中からしぶくが、ティファルはそれすらも物語の一部のように感じてしまう。
ホワイトイーグルの決死の反撃が、エクスを捉えるが、彼がまとう竜の鱗を模した鎧はそれを弾くのだ。
「させない!」
肉薄したホワイトイーグルからグリーヴァブレードの間合いに切り替えるべく、エクスは魔法の箒を駆る。
ホワイトイーグルの肉薄は戦技のような洗練されたものではないのだ。
充分な間合いを取って、エクスはグリーヴァブレードを振り下ろす。
羽毛が舞い散り、血潮もそれに続く、失速して自身の巣に落ちるホワイトイーグル。
そこに追撃をかけるエクス。
「これで終わりだ!」
飛び立とうとするホワイトイーグルの頭上を取った一撃が繰り出される。
ホワイトイーグルはエクスの一撃の前に散った。
◆──沈黙の春
エクスは地上に舞い降りる。
戦いが終わり、集まる一同。
慎重にベルクートに普通にキュアティブを成就するケイナ。
「うーむ、今度は間違えてリジェネレイトでも使おうかのう。一日動けぬのじゃが」
物騒なジョークを言うケイナ。
「あれ、ベルクートさん、目を覚ましましたか?」
パオラがゆっくりと、横たわっていたベルクートの上半身を抱え起こす。
「ありがとう、そしてごめん。みんなに迷惑かけてしまって‥‥」
さすがにバツが悪そうにするベルクート。
「少し鍛えなおしたほうがいいな」
とは箒から降りたエクスの弁だ。
「ローレックの街に帰ったら、KillerQueenで皆に奢ることだな。今回の報酬は寒いことになるかもしれないがな」
そう続けたエクスは、悪ガキのような笑みを浮かべる。
「──いくらくらいでしょう?」
考えたこともないので、相場が分からず、恐る恐る聞くベルクート。その声に──。
「まあ、『心づくし』だよ。そのままベルクートさんの命の値段だから、お好みでね?」
──ティファルが髪を弄りながら答えを返す。
ブラックジョークかもしれないが、物騒な答えだった。
ともあれ、ローベから幾つかの新情報を得て、その裏どりだけで探索の日程は終わりを告げた。
ローベと互いの無事を祈り、帰還するハウンドたち。
──帰らずの森、冬──春はまだ遠かった。
しかし! ハウンドの冒険は‥‥つづく!
6
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参加者
| | a.魔法の箒は持ってきているが、まずは森を急ぐか
| | エクス・カイザー(da1679) ♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火 | | |
| | b.後衛でゼウスを撃ち込んでいくわ。
| | ティファル・クラウディア(da1913) ♀ 26歳 ライトエルフ パドマ 風 | | |
| | b.回復と援護射撃じゃ。
| | ケイナ・エクレール(da1988) ♀ 30歳 人間 カムイ 火 | | |
| | c.よろしくお願いします。
| | パオラ・ビュネル(da2035) ♀ 23歳 ライトエルフ パドマ 地 | | |
| 寒いの寒い、高いの怖いよ~。 | | ベルクート・クレメント(dz0047) ♂ 26歳 パラ パドマ 火 | | |
見よ大空の白い鳥
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帰らずの森の調査に行く途中で仲間が誘拐された。現地の猛獣使いと協力して奪回しよう!
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