【SE07】量産しちゃうぞ☆

担当成瀬丈二
出発2020/11/25
種類ショート 日常
結果成功
MVPジョシュア・マクラーレン(da1234)
準MVPミカ・グランディディエ(da2016)
パオラ・ビュネル(da2035)

オープニング

◆私はコモンが嫌いだ
 最近、魔の森の遺跡に引っ越した、酔狂なマイスターがいた。
 人間嫌いが高じての事らしい。
 アガタというこのダークエルフの女性は、ハンターギルドには務めていた。
 戦場での荒事より、研究室での基礎研究という分野の先駆者として語られることが多い。
 彼女が最後に研究経過を発表したのは、ハウンドギルドが設立する寸前だ。

登場キャラ

リプレイ

◆序章──魔の森の深くない森で、出会ったダークエルフ
「成程‥‥アガタさんとおっしゃいましたか? ありがとうございます。あなたのおかげで、志半ばで冷たい骸にならずに済みそうです」
 と、ジョシュア・マクラーレンは、隙あらば資料を紐解こうとする、幼馴染の、ミカ・グランディディエのベルトを掴んで制止した。
「いいじゃぁない、ジョシュア。これも片づけの一環よ?」
「とっとと眠って、早く出ていって欲しいよ」
 と、アガタは一刀両断(と、当人は思っているのだろう)な言葉を並べる。
「失礼ですが、袋の中身をお伺いしても? いえ、私も珍しい石や植物など‥‥色々なものを集める趣味がありましてね。実に興味深い」
 ジョシュアがそういうと、アガタはDGSのブリッジを押さえる。
「マイスターが珍品を珍品、興味深いですませていたら進歩しないよ」
「ごもっとも。マイスターのふりをしたドロボウと思われず、非常に幸いでした。珍品探しの旅の途上で、これは良い出会いと思いつい饒舌に。語らせていただけるなら一晩中でも、と言いたいところですが──それも申し訳ない。宜しければ、管理・分類のお手伝いをいたしましょう。お役に立てればなによりですよ」
「断る。あんたは一晩雨で濡れない。私はそれで自己満足を得る。それだけだ」
 ミカはジョシュアの脇腹を肘でつつく。
「そうよジョシュア、あんまりがっつくと、欲しいものだって逃げてっちゃうんだからぁ。オトメにはオトメの事情があるんだから、深く詮索したりしなぁいの。あ、お茶でも淹れる?」
 そう言って、ミカはハーブティーなどに使う、材料を準備するのだった、
 しかし、それを見て、渋い顔をする声がひとつ。
「濡らすでない。貴重な資料ばかりだからね」
 アガタの言葉に、ミカは顔を輝かせる。
 反応した‥‥無反応よりはいい。

◆第一章、酒の勢いで──は、しない人もいるよ
「あら? そんな大事なものをアタシたちに任せてくれるの? 感激よ!」
「言葉のアヤじゃ」
 アガタは打ち消すが、ミカの様にダイレクトに思いをぶつけるほうが効果的かもしれない。
「私もダークエルフです。仲良くしましょう☆」
 そう、某ドスから来たわけではない(ひょっとしたらグレコニア近辺にはあるかもしれないが)アンカ・ダエジフが胸の前で掌をあわせる。
「とはいっても、人嫌いは同族でも嫌でしょうから、馴れ馴れしいのはダメですね」
「その通りじゃ、茶でも何でも体が温まったら、休むだけじゃぞ」
 それを聞くと同時に、手を動かし資料を整理しながら、キャサリン・モロアッチが小さく呟いた。
「人嫌いの研究者か──まあ、研究に集中したい気持ちはわかるよ」
 しかし、そこから先は口にはしないのだ。いや、出来ない。
(そもそものもとを正せば、今回の事態は研究の引き継ぎがうまくいっていないから起こった事態のはず。だから、引き継ぎさえしてしまえばわざわざこんな遺跡まで訪れる人はぐっといなくなると思うよ──って言ったら怒るだろうな)
 あくまでハウンドということを隠していたい者もいると考えての沈黙だ。
 キャサリンのその思いを知って知らずか、アガタは彼女に目を凝らす。
「あのこれ‥‥皆で食べませんか?」
 言ってパオラ・ビュネルがビールと干し肉を出す。
 彼女なりの、感謝の現れだろう。
「私たちは茶だけ飲みます。ビールを飲むと汚してはいけないものを汚し、取り返しのつかない事を‥‥」

◆第二章──被虐の爪痕‥‥過去に刺さったトゲ
 パオラの指先、それが雄弁に語る、凄惨な彼女の過去をアガタは察したらしい。
「苦労したんだね‥‥でも、ひとりで飲む酒はつまらないよ──いいじゃないか、みんなで飲もうね」
 ジョシュアは辞退しようと思ったが、嬉しそうなアガタの顔を見て、ちょっと言い出せない。
 こうして少しずつ酒が入り始める一団。
 つい、口が軽くなるアンカ。
「魔の森で何を研究してるか、それを聞いても罰は当たらないでしょう?」
「研究しないことを研究しているんだよ!」
 とはアガタの弁だが、結構口が悪いらしい。
 しかし、実は基礎体力に欠けるところのある、ジョシュアはつい、うかつな言葉を発してしまう。
「でも、その研究をハウンドギルド──で、あ‥‥」
 そりゃあ、そうだろうとアガタ。怒る訳ではなかったようだ。
「こんな魔法の杖や、ドラゴングラスを着けて、魔法使いだと自己主張している連中が来るんなんて、このオーディアの島じゃあ、ハウンドかダーナくらいしかいないんじゃないだろう?」
 嗚呼アガタさん、大雑把過ぎる推理だ。
「分かっているなら大事な資料を渡してよ」
 キャサリンはほんの少し顔が赤くなった程度だ。
「そうすれば、ここまで来る色々なギルドの面々‥‥というか闖入者は少なくなると思うから」
 キャサリンに対しパオラは謝る。
「ごめんなさい、酒でこんな事になると──思っていなかったのです‥‥みんなに先に聞いていれば‥‥」
 そんなパオラは自分の就寝スペースを確保すると、ベルクート・クレメントに声をかけた。
「そういえば、ベルクートさんは毛布お持ちですか? 無いなら‥‥入ります?」
「うん、持ってないよ! そうだ、ひとり寝は寒いよね、暖まろう!」
 言って、ベルクートは一生懸命、自分の毛布を背中に隠そうとする。
 パオラはその光景を見て、パラの精神状態がコドモコドモした外見に、引きずられていることもあるのだな、と考える。
 夜は──更けていく一方だった。

◆第三章──遠い夜明けに誓おう──託された意志
 魔の森では雨は夜更けすぎにやんだ。
 これによりハウンドたちは就寝場所を得るという口実が使えなくなり、朝早くに出立することにする。
 出かける間際に──。

「あ、そうそう。その赤い箱に処分するつもりの石板があるから‥‥適当に捨ててきておくれ」
 アガタは遺跡を後にするハウンドたちに非常な早口で、伝えたにとどまる。
 ヒドイ猿芝居だった──アガタは役者としては最低ランクではないか?

 ジョシュアは感謝するが、行動にしては、その石板を回収し、中を改めたにとどまる。
 石板には緻密な文字が彫られている──コモン語だ。
 その見出しらしい言葉を見て、一同は無言で立ち去ろうとした。

 しかし、ミカはあえて口に出す。
「じゃあ、世界の平和とかのために使わせてもらうわ──ありがとね」
 彼は、アガタに対して声をかけるのだった。
 それに対して、アガタは何も言わず背を向け、ハウンドたち一団に向かい、手で挨拶するのみ。
(幸せになるんだよ‥‥)
 それが彼女の精いっぱいだった。
 魔の森を抜けるのには相応の時間が必要となる。

◆終章‥‥そして──新魔法へ、そして新たな冒険の始まりに
 こうしてハウンドギルドで開発が進むことになる新魔法が世に出た。
 その新魔法の名は『量産錬金』──この新魔法は今までのアルケミーとは違った道を、全属性のマイスターたちにあたえる事だろう。
 ハウンドが、マイスターたちがが出来ることはただひとつ。 新しい魔法により築かれた新時代が、今日より少しでもいい日であることを信じ、そして実行することだ。
 ハウンドたちに渡されたのは研究だけではない、明日への願いだろう!
 ──だからマイスターの探求も、ハウンドの日常もまた‥‥つづく!



 7

参加者

a.それじゃ片付けをしつつ目的を達成するためのチャンスをうかがうよ。
キャサリン・モロアッチ(da0421)
♀ 19歳 ライトエルフ マイスター 風
a.整理整頓は得意分野です。ええ。お任せください。
ジョシュア・マクラーレン(da1234)
♂ 28歳 ライトエルフ マイスター 風
a.私もダークエルフです。仲良くしましょう☆
アンカ・ダエジフ(da1743)
♀ 25歳 ダークエルフ パドマ 水
a.あらぁん、同族じゃない。無理にとは言わないけど、仲良くしましょ?
ミカ・グランディディエ(da2016)
♂ 28歳 ダークエルフ マイスター 水
z.折角ですし、片付けの合間にビールや保存食を勧めてみたりしましょうか
パオラ・ビュネル(da2035)
♀ 20歳 ライトエルフ パドマ 地
 整理する‥‥苦手だよ、床の上で眠ろう‥‥。
ベルクート・クレメント(dz0047)
♂ 23歳 パラ パドマ 火


研究が完成しそうなのに

うるさいねえ、何のために魔の森に来たと思っているんだ! まあ、かわいそうだから、一晩泊めてあげるか? 一晩だけだよ!