【SE07】白骨の秘文

担当三毛野才蔵
出発2020/11/26
種類ショート 冒険(他)
結果成功
MVPソレイユ・ソルディアス(da0740)
準MVPエルシー・カル(da2004)
シェール・エクレール(da1900)

オープニング

◆伝承
 オーディア島のとある地域にルーン文字で記された一編の物語がある。
 それは古き時代に活躍した、とある勇者の物語。
 勇者は武勇に優れるだけでなく人徳があり、豪胆かつ剛力を誇る戦士2人とともに島の各地に現れる魔物を討伐していた。
 ゆえにコモン達は彼らを崇めていたものの……ある時、強大な魔物が現れた。
 当然勇敢な彼らは魔物をとある遺跡に封じ込め、死闘を繰り広げた。

登場キャラ

リプレイ

◆冷たき月光の下で
 時折北風が吹き枯れた草が寂しげに音を立てるウラート草原に足を踏み入れた6名のハウンドは、死の気配とでも呼ぶべき奇妙な感覚に捉われた。
 そこでかつてアンデッドであるスカルロードと交戦経験のあるシェール・エクレールソレイユ・ソルディアスのグリーヴァソウリュウにエエンレラを詠唱、浄化の力を施す。
 それまでルミナリィによる明快な視界で周囲を警戒していたソレイユは、彼女の気遣いに真摯なまなざしを投げかけた。
「ありがとな。アンデッド相手だと武器の切れ味だけでは勝負にならないから正直、助かる」
「いいえ、とにかく今回は短期決戦を目指さないといけませんから。できるだけのことはやりませんと」
 シェールは潜めた声でそう返事をすると枯草の間に姿を隠し、草の踏み荒らされた痕跡を辿る。
 かのアンデッドはウラート街道を通過する商人を狙い、攻撃を仕掛けた。それならば今晩も生者を求めて街道の傍に出現する可能性は低くはない。
 現実に草はウラート街道の方に向かって倒れているものが多く、彼女はハンドサインで仲間達に敵のいるであろう方角を示した。
 するとベル・キシニアがオフシフトの力を身に纏い、口元を吊り上げる。
「ふふ、今回も楽しめそうだな。戦えぬものを襲う輩なら、退治してやる必要がある。それが相応の実力を持つなら殊更な」
「そうだね。それに全部ぶっ飛ばして魔法書を手に入れれば良いんだろう? 強い奴と戦えるし一石二鳥ってもんさ」
 ユミル・エクレールも気力が漲っているようだ。
 一方、後方で眠そうな顔をしているのはケイナ・エクレールである。
「あ〜面倒臭いのじゃ。相手は剣の使い手……どう考えてもわしらと関係無い魔法じゃろう?」
 その愚痴にエルシー・カルがおっとりと笑みを返す。
「まぁま、何の魔法にしても立派な価値があるべ。最近沢山の魔法が見つかってるべな、皆が協力し合えば強い魔物も倒せるようになる。多くのコモンを救う力になるべさ」
「……まぁ、それは否定せんがの」
 事実、ケイナにもいつの日か新たなカムイ魔法の恩恵が与えられるかもしれないのだ。
 まずは魔法を手に入れ、この街道の脅威たる魔物も倒す。
 それを改めて互いに確認し合い、ハウンド達は前進する。
「お宝も気になるけど被害が出る前に何とかしないとな。何よりも魔物はきっちり片付けるつもりだ。あの商人も下手すると命を落とすところだったんだしさ」
 ソレイユがそう呟き、草陰から顔を上げた時――街道側からがさりと音が鳴り響いた。
 奴らが、いる。枯れた白木のごとき三体の骨が。
 エルシーはその禍々しい気配に「……今回の相手も強敵そうでツイてねえべな」と肩を竦めると、ガードの魔法で身の守りを固めた。

◆怨念渦巻く白き戦士
 冠を被った人骨――スカルロードはハウンド達の存在に気づいた瞬間、言葉にならぬ奇妙な音を立てて彼らに向かい駆け出した。
 その従者たるスケルトンリーダーの片割れも主を守るように盾を構えながら疾走。そしてもう一体は瞬時に地を蹴るとシェールのもとへ突進。チャージングを仕掛ける!
 その危機に颯爽と割り込んだのはベル。彼女はルミナパワーを宿したタイマソードを振りあげ敵の切っ先を逸らした。しかしスケルトンリーダーの力は思いのほか強く、ベルの腕が軽く痺れる。
「……っ! なかなかの剛腕じゃないか。気に入った!」
 その間にユミルは「気合い入れて殴って行こうか」と言い放つとブラインドアタックの構えに入る。
「さあ死にたい奴から来な。おっともう死んでいるか」
 相手がどれだけ技巧に優れようが重厚な武器で叩き潰せばこちらが劣勢になることはないはずだと信じ、強気で挑発しながら。
 その頃シェールはエエンレラを詠唱し、自身の矢に浄化の力を宿した。
 かたやケイナはスカルロードの放つ瘴気に顔を顰めるも、それを断ち切るべく格闘戦に持ち込まれぬ距離から真銀の矢を放つ。
(腰から上……ええい、とかく腕や足のような細い部位でなければ狙えるじゃろう!)
 しかし相手は肉のこそげ落ちた骨である。スケルトンリーダーの腰骨を狙うも奴は軽く身を落とすことで脇腹であった箇所、すなわち何もない空間で矢をやり過ごした。
「……くっ!」
 急ぎ次の矢を番えるケイナ。そこでエルシーは相手の意識を自分に集中させることで隙を与えようと、アースアーマーで一層身の守りを強固にし大声で挑発した。
「おめえら程度の雑魚がおらの守りを抜ける訳ねえべさ。来るなら来るべ。雑魚が!」
 もっとも知性の無い骨にその意思が伝わることはないのだが、彼女は声を放つことで前進する勇気を奮い立たせる。
 その間にソレイユは急ぎ火打石を打ち鳴らし、トーチに点火。草が腐り土がむき出しになった地へトーチを突き立てる。
(これで光源ができた……後はあの偉そうな奴をここまで誘導できれば勝機を掴めるはず!)
 彼は自身の秘策を脳内で反芻すると双剣を手に立ち、懸命に戦う仲間達のもとへ駆け出した。

◆激しくも哀しき業の応酬
「ほら、俺はこっちだ! 素早い動きが厄介ならまずは俺を狙いな!」
 ソレイユはスカルロードに真っ直ぐに狙いをつけ、ルミナパワーを宿した双剣を叩きつけては素早く後退して相手を翻弄するという策に出ていた。
 これは単に力が図抜けた者を孤立させるだけの策にあらず――それを察したベルはスケルトンリーダーを鎧ごと叩き壊さんとタイマソードを叩きつける。
「巻物は任せた。私はコイツらを倒すッ!!」
 ルミナパワーにより高められた力はスケルトンリーダーの利き腕に繋がる鎖骨から肋骨に鋭く皹を刻み込んだ。そこにすかさずケイナが銀の煌く矢を放てば奴の白頭がガガッと音を立て、骨の欠片が飛散する。
 しかし魔物らも翻弄されるばかりではない。まずはスカルロードがソレイユにスタンアタックを叩き込む。剣の重さは然程ではないが、それ以上の速度と剛力はマルチパーリングを成就した上で盾を構えたソレイユにさえひどい圧迫感を与えた。
(十分な準備がなければあっという間に意識を奪われてたかもしれないな。こいつは舐めてかかれない……!)
 そして守りに長けたスケルトンリーダーはスカルロードの傍に駆け寄り、ソレイユの腕にポイントアタックを仕掛ける。するとソレイユの腕から血が迸った。
「くっ!」
「ソレイユさんっ! 今、治療に!」
 シェールが急ぎソレイユのもとへ向かおうとするも、そこに立ち塞がったのは傷つきながらも攻撃に長けたスケルトンリーダー。奴はシェールにチャージングを仕掛けることで彼女の前進を食い止めた。しかし息を荒げつつもシェールは諦めない。
「このままじゃ……邪魔しないでっ!」
 彼女は次の一手で相手を突破するべく弓を構え直す。
 そこに続いて怒りを胸に突進したのがユミルだ。彼女は防御のままならぬこの白骨死体へ力いっぱいブラインドアタックを見舞った。
「私の大切な妹を……よくもッ!!」
 もしこれがハルバードの突きの部分であったなら奴は辛うじて回避したかもしれない。しかし重厚な斧頭を頭から叩きつけられてはたまらぬもの。呆気なく首まで潰された体は左右へ揺らぎ、それでも剣を構えようとしたところを――。
「おめえらはもう死んでるべさ。命を失うもんは大切なもんの幸せを願って永遠に眠るべき……そうだべ?」
 エルシーの真銀のショーテルによるスマッシュが、スケルトンリーダーの肩から腰椎までまっすぐに斬り裂いた。すると奴はそれっきり動くことなく朽ちていった。

◆ソレイユの賭け
 ソレイユは二体の魔物に囲まれ窮地に陥っていた。もしこれ以上の激しい攻めが直撃すればスカルロードの放つ禍々しい気に呑み込まれかねないからだ。
 しかしこれはチャンスでもある。彼は盾で彼らの放つ攻撃をいなしながら徐々にトーチに向けて後退、時折抵抗することでスカルロードの意識を引き付けていく。
 もっともスカルロードの身のこなしは無駄がなく、攻撃を幾度か回避されたのが悔しいかぎりだが、ここで引くわけにはいかない。これに負けじとソレイユは声を張り上げる。
「恨みなら俺が引き受けてやるよ、ほら! 全力で俺を斬ってみろ!」
 勇ましい声に呼応するかのように彼を追いスマッシュを放つスカルロード。しかしソレイユは精神を集中させるや半身をずらし、斬撃を避ける。
(もう少し、もう少しなんだ……。それまで耐えてくれ、俺の精神!)
 一方、スカルロードの護衛役を務めるスケルトンリーダーの前にベルは颯爽と滑り込むと魔を祓う剣を薙ぎ、スケルトンリーダーの肋骨と指の数本を斬り払った。
「実力ある戦士……死してなお忠誠のために戦うか。だが我らとて戦うべき理由がある。譲れんよ、お前たちにはな」
 するとスケルトンリーダーは歯をガチガチ鳴らし、武器を構える。だがケイナはその構えを崩すべく銀の矢を放った。
「夜は眠りの時ぞ。今日こそ永遠の眠りにつくがよい」
 静かに語るケイナ。その矢はスケルトンリーダーの顎を掠め、喉の骨を削り取っていた。
 一方シェールはスケルトンリーダーの警護が緩んだ隙にソレイユのもとへ駆け寄ると、彼の腕をしかと掴みキュアティブを詠唱する。
「治癒の祈りよ……今こそ!」
「……助かった、ありがとな。でもここは危ない、奴から放たれる空気は明らかに異常だ。それに……」
 これからソレイユが行う策は単独でなければ実現できぬもの。彼はシェールに距離をとるよう勧めると鋭い視線をスカルロードに向けた。
 それとほぼ同時に体勢を取り直したスケルトンリーダーはエルシーに飛び掛かるも、彼女は大型の盾でその切っ先を逸らす。
 そこで生まれた隙にユミルがハルバードを斜に叩きつけ、エルシーが盾を構えて全力のタックルを仕掛ける。スケルトンリーダーの腰は圧し折れ、その身を大きく後退させた。
「おらは守りの堅さには自信があるべ。それを貫けねえおめえはやっぱり雑魚だべ!」
 エルシーはそう告げてショーテルを構える。仲間を守るためなら彼女はどこまでもその身を固くし、勇敢な心をもって戦場に立ち続けるのだ。
 一方、ソレイユはスカルロードが松明に接近しながらもそれ以上前進しないのを確認するや、ここで動くべきと判断した。
 彼は森林竜のボーラを咄嗟に投げ、スカルロードの脚に絡める。スカルロードは突然足に食い込んできた棘付きのロープを急ぎ剥がそうとするも、すぐには解放されそうにない。
 そこでベルは「やったな」と呟くと、残されたスケルトンリーダーに力いっぱい剣を振りあげた。
「お前達の業には確かな技量はあれど魂がない……残念だ、生前の心があったならもっと良い勝負ができただろうに」
 そうして落とされた剣はまるで白い花弁を散らすかのように骨を砕いていく。残りは主君たるスカルロードだけだ。

◆孤独にして孤高の主
 ケイナは身動きのとれなくなったスカルロードが巻物ごと破滅しないよう、矢を放つことで奴を牽制するとシェールに視線を送った。
 シェールは念のためにソレイユへエエンレラによる浄化の力を与え直し、弓を構える。
 その間にスカルロードは足をボーラから解放することに成功するも、元々華奢な白骨である。骨は大きく抉れ、冠も落ち、真っ当に立つことさえできなくなっていた。
 そこでユミルは「巻物さえ無事ならいいんだろっ!」と叫び、ハルバードで敵の頭を狙う。しかし奴も左腕を盾代わりに犠牲にすることで耐え、抵抗の構えをみせた。だがエルシーは間を空けずに駆ける。彼女はショーテルでスカルロードの足を斬りつけると「このまま崩すべよっ!」と叫んだ。
 その隙にソレイユは光源を避けようとするスカルロードの背後にホルスで転移、ベルトからの巻物の抜き取りに成功する。
「よし、お宝は確保したぜ! 後は倒すだけだっ!!」
 もはや瘴気は薄れ、スカルロードは満足に動くことも叶わない。ならばこそ――ケイナは祈りを込めて矢を番える。
「二度の死……どれだけ辛いことかの。しかし恐れることなかれ。必ずや神が御手を差し伸べてくださるはずじゃ」
 その優しい言葉とともにスカルロードの頭はくしゃりと紙屑のように潰れ、風化していった。

◆伝説の終わり
 ソレイユが手にした巻物はすぐにギルドで検証作業に入り、いくつかの事実が明らかになった。
 これはある勇者が編み出した技の秘伝書ということと、彼が盟友とともに魔物を倒しながらも民から見捨てられ命を落としていること。
 目を伏せるハウンド達の前で職員は複雑な表情のまま取得した魔法の名を告げる。
「この書に記された魔法は陽を主としながら月の属性も宿す『ソードボンバー』。ならびに、風が主ですが地属性でもある『ソニックブーム』。いずれも戦技のようです。……しかしながら血で汚れていますので、全てを解すまでには今しばらくお時間をいただきたく」
 そこで一礼する職員にシェールはこくりと頷き、話を引き継いだ。
「わかりました。……私は以前狩猟で立ち寄った村で耳にしたことがあります。たった3人で強大な魔物を倒しながらも、民に救われることなく命を落とした勇者の伝承を。彼らがそうだったのでしょうか?」
「さて、スケルトンは言葉を持ちませんゆえ。しかし彼らが生前魔物に立ち向かっていたのは事実です」
 その時、ベルは呟いた。ひとりの戦士として鎮魂の願いを、抱いて。
「戦士の最期が戦いでないというのは、悲劇だな。……眠れ、強き者よ」



 4

参加者

a.お宝も気になるけど被害が出る前に何とかしないとな。
ソレイユ・ソルディアス(da0740)
♂ 18歳 人間 ヴォルセルク 陽
a.ふむ、楽しめそうだな。では私は取り巻きの片割れを相手しておこう
ベル・キシニア(da1364)
♀ 25歳 人間 ヴォルセルク 風
b.アンデッドの様なのでエエンレラを浄化にして付与しますね。
シェール・エクレール(da1900)
♀ 16歳 人間 カムイ 風
a.気合い入れて殴って行こうか。
ユミル・エクレール(da1912)
♀ 20歳 人間 ヴォルセルク 陽
b.援護と回復じゃのう。
ケイナ・エクレール(da1988)
♀ 27歳 人間 カムイ 火
c.敵さ引き付けるべな。
エルシー・カル(da2004)
♀ 18歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地