【SE07】篝火に照らされて

担当午睡丸
出発2020/11/17
種類イベント 日常
結果大成功
MVPソル・ラティアス(da0018)
準MVPセヴラン・ランベール(da1424)
ドール・ジョーカー(da1041)

オープニング

◆意外な要請
「……突然ですまないが、新魔法の為に君たちに『火炎祭を盛り上げて』きてほしいんだ」
 ローレックの街、ハウンドギルド。
 集まったハウンドたちを前にその男は唐突にそう言った。

 いかにも偏屈そうな彼の名は『バーマン・ゴーンリーブ』。ハウンドギルドに所属する魔法、および古文書の研究者である。

登場キャラ

リプレイ

◆祭りを前に
 宵闇迫るグラスター村。
 その広場の中央には例年通りに大きな篝火が設けられ、周辺の竈では食事や酒の準備が進められている。
 日没と同時にこの篝火は灯され、朝日が新たな一日の始まりを告げるまでこの火炎祭は続けられるのである。

「大きな村だけに、なんとも賑やかな祭りになりそうであるな」
 オズ・ウェンズデイは初めて目にするグラスター村の火炎祭の風景に目を細ませていた。
 オーディア島南東部の穀倉地帯を管理するという必然性からか、この村は島の一般的な開拓村に比べると人口も多く、規模だけならばちょっとした街並みである。
「私も初めてだけど、これは凄いわね……」
 ドール・ジョーカーもまた、初めて目にする大掛かりな火炎祭の様子に瞳を輝かせていた。
 もちろん農村である以上は洗練という意味において都市部には及ばないのかもしれない。だが、少なくともドールの目にはそれらに負けないほどの住民の楽しげな様子が映っていた。
「旅芸人としちゃ、こんな大きな祭りを盛り上げてって頼まれたら……そりゃあやるしかないよね」
 そんな姉の気持ちを察したのかショウ・ジョーカーが意気込みを語るとドールは大きく頷いて応えた。
「そうねショウ、頑張りましょう。そういえば確か……古文書を探すのにあの木材が邪魔だったのよね。……っていうことは楽しんで楽しませて、どんどん焚べさせていけばいいのかしら?」
 ドールが広場の外れにうず高く積まれた木材の山を見る。
 そこでは同行してきた他のハウンドたちや、バーマンを始めとする研究班の面々が古文書確保の準備を進めていた。
 もっとも、その為にはまず積み上がった大量の木材をどけていく必要があるのだが。
「ありゃあ話通りに難儀ですねぇ……燃料の回転を早くするにゃ、こっちからいろいろと仕掛けておいた方がよさそうでさ」
 ソル・ラティアスもまた、木材の山に気付いて不敵な笑みを浮かべる。
 夜を徹する祭りであるからには遅かれ早かれ木材は減っていくはずだ。ならば放って置いてもいずれ古文書の断片は回収できるのだろうが……それでは研究班の実働がいつになるか知れたものではない。
 能率という点では明らかに落ちるだろうし、厄介事は早めに片付けておきたいのが人情である。
「ここは観客も巻き込んで参加させるようなネタを一つ、実演といきやすかね」
「……うん、村の人たちといっしょに盛り上がると良いね……!」
 ハープを手にサース・エイソーアがソルに頷いて見せる。
「なに? いいアイデアでもあるの?」
「なァに、燃やすのは何も形ある不用品だけとは限らねぇですからね……サース嬢と一緒に、ひとつ試してみますぜ」
「……うん、頑張るね……!」
 どうやら二人は何か考えがあるようだ。
「ふふ、何を見せてくれるか楽しみね! 私たちも張り切って盛り上げないと!」
「確かに。皆がこう忙しいとなると我が輩も楽しんでばかりもいられぬか……微力ながらあちらを手伝わねばなるまいな」
 ドールの発奮を受けて、オズもまたやるべきことを心に留めるのだった。

◆研究班といっしょ
 同じ頃、木材の周辺では。

「……それじゃ、古文書を破いてたのはあの辺りで間違いないんだね?」
 アレッタ・レヴナントが件の古文書が破かれた場所を尋ねていた。
 といっても現在は崩れてきた木材の下敷きになっており、あくまで場所の確認に過ぎない。
「ええ、そうです……いつ頃かって? そうだなぁ……あれは確か日暮れ前で……あの木の影がこの辺に伸びてくる頃だったかなぁ……」
 古文書を破いた張本人――つまり持ち主である村人は申し訳無さそうな顔でアレッタからの質問に答える。
「それなら大体の時間は絞り込めるね……」
 アレッタの目的はパーストによる情報収集にあった。
 この魔法の使用には『対象となる時間の指定』が必要となる。その為にも太陽の位置などからその時間帯を割り出す必要があったのである。
 これ以前に件の古文書が開かれたタイミングとなるとハウンドギルドからの先遣が古文書を発見した時となるが、それは過去見を行うにはそぐわない状況だったのである。

「あれがその古文書を受け継いだという……? もっと粗雑そうな方かと思いましたが」
 セヴラン・ランベールは二人を遠巻きに眺めてそんな感想を漏らした。
「……うん? ああ、その件については何度も詫びられたよ。農作業と祭りの準備に追われて、つい確認を疎かにしてしまったらしい」
 解読用に持参した山のような資料を広げつつバーマンが答える。
「もともと彼の家の物だし、あまり責めるのも筋違いではあるからな」
「それにしても古文書を焚き付けと間違えて破くなどとは……。バーマンさんが激高するのも当然です」
 セヴランは自身を農民の立場に置き換えようとするも、その心境はまるで理解できなかった。逆にバーマンの落胆ならば想像に難くない。
「学者の家系といえど、それはあくまで彼の先祖だからな。単に、生き方が変わればものの見方もまた変わるという事例に過ぎないかもしれないが……何やら虚しくなるのは確かだよ」
 それはともかくとして、とバーマンは手元を動かしたままでセヴランに続ける。
「すまないな、祭りだというのに手伝わせてしまって」
「いえ、構いませんよ。破損したとはいえ燃やされてまでいないのは何よりの僥倖。回収と復元、それに解読もできるだけお手伝いいたします。ルーン語ならばそこそこ読めますので」
「そこそこ……? ご謙遜だな、ルーン語に詳しいハウンドがいると噂に聞いているよ。だから頼りにしている……ああ、そっちはどうだった?」
「破いた時間はどうにか絞り込めそうだね」
 ちょうど事情聴取を終えたアレッタが研究班に合流してきた。
「なんとか魔力が保つうちに特定さえできれば、どの辺に断片が固まってるかぐらいは判りそうだ。上手いこといけば古文書の内容そのものも読めたりしないかねぇ」
「さて、ただでさえ保存状態が悪くてシミも少なくなかったらしいからな。それに一読したぐらいでは理解し難いような内容だったというし」
「それじゃ難しいかな……過去見のあいだは時間も止められないしね」
 他にも限定的な視点の変更や物理的な関与ができないなど、パーストには様々な制約が存在する。だがそれを補ってあまりある便利な魔法であることは確かである。
「何にしてもあとは祭りが始まってから、かねぇ」
「そうですね、木材の消費に関しては他の方々に任せましょう。さっさと……ああ、いえ、頑張って祭りを盛り上げて頂きたいものです」
「大きな声では言えないが……まぁ、そういうことだな」
 セヴランがつい漏らした本音にバーマンを始め研究班が同意して頷く。
 それもそのはずで、ここいにいるのは『花より研究』なコモンたちばかりなのだから。

◆炎をあげよ
 日が落ち、いよいよ火炎祭が始まった。

 篝火からは盛大に炎があがり、村人たちがその周囲を思い思いに取り囲む。
 暖を取るため広場には大小さまざまな焚き火が灯り、年に一度の火炎祭を祝う声が聞こえてきた。
「じゃあ、さっそく盛り上げていこうか!」
 リュートを手にショウが篝火へと進み出た。事前に打ち合わせておいた村の子供たちの歌に合わせて曲を奏で、祭りの立ち上がりを盛り上げる。
 歌われる内容はいずれも火の加護に感謝するものである。この開拓地オーディア島において火はコモンを守護する重要な存在でもあるからだ。
 ときに楽しげに、ときに勇猛に。ショウのリュートに乗った歌声は篝火とともに夜空へと舞い上がっていく。
「じゃ、次はこっちの出番ね!」
 子供たちが歌い終わるとドールの登場だ。カスタネットを手に篝火の周囲を舞い踊った。
 まるで燃え盛る炎のような激しいダンス。ショウのリュートも転調し、その動きに合わせた激しい曲と歌声でドールの舞いを盛り上げた。
「まだまだこれからよ!」
 一転、ダンスからジャグリングへと移るドール。クラブ代わりに投げるのは棒状の薪である。
 最初こそ小さく軽い薪を投げていたドールだったが、それはやがて大きく重いものへと変化してく。
「ふふ……これだけじゃないわよ!」
「いくよ姉さん!」
 ショウが掛け声とともに先端に火の点いた薪を投げ寄越した。
「「「おおっ!」」」
 リズムと勢いで炎を手玉に取るドールに、村人からは歓声とどよめきが起こる。
「それっ、それっ!」
 やがて炎は弧を描いて一本ずつ篝火へと投げ入れられ――姉弟には盛大な拍手が贈られたのだった。

「……さぁてお立ち会い! 盛り上がってきたところで、俺らからも一つ提案をさせていただきまさあ!」
 やがて篝火の前に立ったソルが村人に呼びかけると、ハープを手に同行したサースが横に並んでうやうやしく一礼した。
「聞けば、この祭りじゃあ冬に向けて不要になったモンを景気よく燃やすとか……? 確かに、物に溜まったいろんな形のないもんから決別して次の一歩を踏み出すってのは大事で」
 そこで言葉を切り、ゆっくりと広場を見渡すソル。
「……なら、別に燃やすのは願いや想い、決意に未練『そのもの』だっていいわけだ。形は与えりゃいい、自分が認識すりゃいい。だから善いも悪いも問わずに薪に託して放り込んでみやせんかぃ?」
 村人たちは彼の言わんとしたことが理解できなかったのか一瞬静まるが――やがて納得したような声が囁かれだす。
「つまりは『願掛け』ってやつでさぁ。そういうもんも含めて浄化の炎に焚べて天へあげてやりゃあ……」
「……炎は天を焦がす光……想いは高く、きっと天まで届くでしょう……」
 ソルの言葉を継いでサースがハープを奏で始めた。
 静かで優しい曲調に、村人は一人また一人と薪を手に篝火に近づいていく。

「……静かに想いを届けたい方は、私にお渡し下さい……。薪がよく燃えれば燃えるほど、願いは叶うでしょう……」
 ハープの調べに誘われるように村人たちがサースに薪を託す。
 ある者は先立った伴侶へ、あるいは短い生を終えた子へ。

「派手に届けて欲しいって御仁がいりゃあ、なんなら俺に薪を投げて寄越しても構いやせんぜ! 景気よく放り込んでやらぁな」
 一転、ソルはュートを賑やかにかき鳴らして村人たちから薪を受け取る。
 ある者は故郷に残してきた家族へ、あるいは生き別れた友へ。

「……届けたい願いを、消したい想いを、炎の力へと変えましょう……」
「きっとどこかに届くように、叶うように、どこからでも魅せられる炎にしやしょうや……さぁ、よしなによしなに!」
 静と動。
 対をなす炎のような二人に誘われて、篝火はひときわ大きく燃え盛ったのだった。

◆新魔法を掴め
 こうして、祭りが盛り上がるにつれて木材は目に見えて減っていった。

 やがて目的である焚き付け材の層が見えてきた。藁の束に古くなった縄、そして手頃な大きさに破かれた大量の羊皮紙。
「じゃあひとつ『視て』みますかねぇ……」
 足場と周囲の安全が確保できたところでアレッタがパーストを成就し、過去見に入った。
 絞り込んでいるとはいえ目的の時間を一度で捉えられるとは限らず、魔力の続く限り成就を繰り返すことになる。
 その間に研究班がせわしなく動き始めた。
「よし、風で飛ばされないように周囲に衝立を」
「こりゃあ、ヘタに動かすと混ざって分別がやっかいだな……」
「動かした木材に付着してないかもよく確認を。最後に肝心な部分が足りないじゃ泣くに泣けないぞ」
 などと大わらわの研究班。
 木材の山が消えたとしても、次はこの大量の焚き付け材から目的の古文書を探し出さねばならないわけで、ある意味ではこちらも祭りのようなものである。
「それで、これがその偽古文書ですか」
 アレッタが悪戦苦闘するなか、セヴランは適当な断片を手に取った。
 これらを破るついでに本物までが被害に遭ったわけで、いわばこれら大量の偽古文書が今回の元凶ともいえる。
「……これは酷いですね。意味のない言葉の羅列ばかりだ。中にはルーン文字ですらないものもあります」
 思わず表情を曇らせるセヴラン。
「だろう? こんなものを後生大事に受け継いできたと知ったら、そりゃ破いてしまいたくなるのも理解できるがね。間違って本物まで破いてしまうんだからな……」
 その村人の家系は相当に『おっちょこちょい』だと言わざるを得ないだろう。
 セヴランとバーマンが嘆いていると……。
「……よし、見つけたよ!」
 不意にアレッタが快哉を叫んだ。どうやら件の古文書を破る時間を引き当てたようだ。
「確かに聞いた通りの装丁の巻物……これで間違いないみたいだねぇ……あ! 確認もしないで思いっきり破き始めたよ……」
 次第に呆れ声になっていくアレッタだった。

「さて、アレッタ君のおかげで破片の回収がかなり短縮できましたね……」
 十数分後、セヴランの前には古文書の断片らしきものが集められていた。過去見から古文書の破り捨てられた位置を特定し、その辺りから集中的に回収したのである。
 とはいえ、まだ偽古文書も多く混じっているのか数本分以上の量があった。これらの断片を一つずつ精査しつつ、パズルを組み上げるように古文書を復元しなければならない。これはかなりの根気が必要な作業だ。
 しばらく黙々と作業を進めていると……。
「進捗はどうかな? 軽食や飲み物を貰ってきたからひと休みするといい」
 祭りを見学がてら陣中見舞いにやってきたのはオズである。協力を頼んだ村人たちとともに大量の飲食物を振る舞う。
「……そうだな。何も食べないのでは逆に能率も落ちる。順番に休憩していこう」
 バーマンの判断でローテーションで休憩に入る研究班。
「そうするといい、秋の実りもじき終わる。味わっておかねば……ところで古文書の方は?」
 オズの質問に全員が渋い顔で応える。まだ復元は始まったばかり、内容の解読まで考えると相当な時間が必要になるだろう。
「そうか……では我が輩も断片を選り分ける作業でも手伝おうかの。解読となるとあまり役に立てぬだろうが、ルーン語とそうでないものを見分けるぐらいはできるでな。少しでも早く終わらせれば、みなで祭りを楽しむ時間もできるであろう?」
 そう言ってオズも加わり、地道な修復作業は続けられた。

 ――数時間後。
「……どうやら、全体の文脈が見えてきましたね」
「ああ」
 セヴランとバーマンが虫食い状態の巻物を眺めて頷きあった。
「そうなのであるか? 我が輩は簡単な単語を拾い読みするのがやっとであるが……アレッタ君は?」
「平易な文章はともかく、難しい部分はさっぱりだねぇ。もしかしてこれ、結構専門的な事が書かれてるんじゃない?」
 一方でオズとアレッタは首を傾げ合う。
「いったいどのような魔法であるかな?」
「……どうやらクラスやルミナの属性を問わずに扱える補助的な魔法のようですね。『守護発動』……これが名称でしょうか? これは、大変に興味深い……」
 興奮気味のセヴランの推測によれば、術者がその身を守るために即座に魔法を成就できるようになる、といったもののようだ。
 その名の通り守護精霊からの加護が大きく関わってくるようだが――現段階でこれ以上の情報は読み取れなかった。
「よし……このまま一気に復元し、今夜中に解読も終えてしまおう」
 バーマンの号令で静かに頷きあう研究班の面々。
 それはある意味、村人たち以上に祭りを満喫しているようだった。

◆このまま朝まで
 深夜近く、すでに祭りのたけなわも過ぎた。
 子供や老人は各々の家に戻り、篝火の周囲に残っているのは夜通し火の番をする者と、すでにそこで寝入ってしまった者だけ。

「……今日は楽しかった……皆も、楽しんでくれた……かな?」
 サースは燃え続ける篝火を見つめてそう呟いた。
 村から借り受けた毛布に身を包み、その瞳はすでに閉じかかっている。
「あれだけ盛り上がりやしたからね、そりゃ間違いねぇでしょ」
 二人を暖める焚き火に薪を投じながらソルが答える。
 もちろん頼めばどこかの家へ泊めてもらえるのだろうが、こうなっては彼女を無理に起こすよりもここで暖かく眠ってもらう方が良いだろう。
「……ソルさんとの演奏……どんどん合うようになってきて……嬉しいよ……」
「ははっ、そろそろ本格的に追いつかれちまってきやしたからね。こっちは気が気じゃねぇや」
 ソルの軽口にふふっ、と小さく微笑うサース。
「……私もね、薪を燃やしたんだ……『これからもソルさんと一緒に、広い世界を見ていけますように』って……良く……燃えた、かな……」
「そんなことを願ったんで? そりゃあもちろん……ん? ……なんだ、眠っちまいましたか」
 静かな寝息が耳に届いて――ソルはまた一つ薪を焚べたのだった。

「……よし、これで古文書の復元は完了だ。皆、ご苦労だったな」
「お、終わった……」
 バーマンの宣言を受けてアレッタが後ろにひっくり返った。
 手元も覚束ないような暗い中、長時間にわたって神経を使う作業の連続だったのである。疲れない方がどうかしているだろう。
「祭りもすっかり一段落しちゃったねぇ。とはいえ、一応は朝までは続くんだっけ?」
 篝火の周囲に目をやればまだまだ人の姿はあった。いまだに酒を飲み騒いでる集団、すでに寝落ちしている集団と、その様相もさまざまだ。
「アレッタ君のパーストは頼もしかったが、そのハープも聴かせて貰いたいな。どうであるか、あそこで酒を分けてもらいつつ、というのは?」
「いいねぇ、パーッと演ろうかな……セヴランはどうする?」
「私はいまから解読に入りますよ。まだこの魔法の詳細に迫っていませんからね」
「その通り、ここからが面白いところさ」
 セヴランとバーマンたち研究班はこのまま古文書の解読を続けるつもりらしい。アレッタとオズは信じがたいものを見た、という表情で篝火へと逃げていく。
 かように、知的好奇心という名の衝動はコモンを突き動かすのかもしれない。

「ソルの願掛けじゃないけど……余計な悩みとかさ。いっぱいあるでしょ、姉さんは」
 篝火の近く、ショウは姉を視ずにそう尋ねた。
 祭りの熱狂もすでに過ぎ去り、いまは静かな夜が過ぎゆくのみである。
「……なに、突然?」
「いや……姉さんって、昔からすごい自由でさ。俺なんて振り回されてばっかりだけど……それでも、いろいろと抱えてるものがあることぐらいは知ってる。いらないもの……この篝火で全部焼くといいらしいよ」
「あら? 私のことを心配してくれるのね……ふふっ、大丈夫よ」
 ドールは弟の言葉に少し顔を逸らした。
「私よりショウは燃やさなくていいの? 例えば、前の彼女への未練とか……」
 揶揄うように指輪をつけた弟の薬指を引っ張る。
「……この思い出は未練なんかじゃないよ。一緒にたくさんの時間を過ごした、一番の友達だったんだから」
 ショウにとっていま愛してるのはただ一人。
 でも友達だって、大切なたった一人。
「……そう。確かに、そうね」
 ドールはそこで可愛い弟の顔を視た。

 いつまでも真っ直ぐで、そして我儘で。
 ドールには、篝火に照らされたその横顔が少し――ほんの少しだけ、羨ましくなったのだった。



 7

参加者

b.薪に願掛けしてもらって放り込むってのやりまさぁ、よしなによしなに!
ソル・ラティアス(da0018)
♂ 25歳 人間 パドマ 月
a.盛り上げてって言われたら、そりゃあやるよね。
ショウ・ジョーカー(da0595)
♂ 17歳 人間 カムイ 月
c.上手い事条件指定すりゃ破ける前の古文書見れたりしないかねぇ。
アレッタ・レヴナント(da0637)
♀ 22歳 人間 パドマ 月
b.…願掛けと新しい案、頑張るね…!
サース・エイソーア(da0923)
♀ 17歳 ライトエルフ カムイ 月
a.楽しんで楽しませて、どんどん焚べていけばいいのね。
ドール・ジョーカー(da1041)
♀ 21歳 人間 パドマ 陽
c.ルーン語はそこそこ読めますので。
セヴラン・ランベール(da1424)
♂ 25歳 ライトエルフ マイスター 風
c.なんとも賑やかで忙しいほどの祭りであるな。やはりこちらも手伝わねば。
オズ・ウェンズデイ(da1769)
♂ 24歳 ライトエルフ マイスター 月


火と精霊の加護を求めて

今年も火炎祭の季節がやってきた。招待に応じてグラスター村へと向かうハウンドたちだが、今回は何か別の事情も絡んでいて……?