【SE07】猛烈シフール学者

担当北野旅人
出発2020/11/20
種類ショート 冒険(他)
結果成功
MVPチャウ(da1836)
準MVPグドラ(da1923)
オスカル・ローズ(da2033)

オープニング

◆ローデル氏登場
 シフールのコーを見るなり、男は言った。
「可愛い~!」
 彼はウーディアの貴族であり、自称、魔法植物学者のローデル・ワーズワース氏。だがその自称のわりに、昨今の研究対象はもっぱらシフールとされている。
 彼ほど、シフールのことを知ろうと――知り尽くそうと――味わい尽くそうとする学者はいない、と、学会では恐れられている。「やべぇ」的な意味で。
 しかし、彼の興味はシフールに留まらないようだ。先日、アポを取りにいったハウンドの使者団によると、キティドラゴンでもパラでもドワーフでもエルフでも「Kawaii~!」と言っていたそうなので。「カワイイ学の専門家かも」と漏らすハウンドもいたほどらしい。

登場キャラ

リプレイ

◆おいでよローレックの街
「だいじょうぶー?」
 チャウは、ふらふらと着地したコーの顔を覗き込む。その顔は、チャウの連れていた猫2匹にペロペロされていた。
「やれやれ‥‥天才と人格は別というけど、この坊やも似たようなものかしら?」
 オスカル・ローズは、まだ悦に入っているローデルを見ながら、可愛らしく首をかしげる。
「まあ、自分の巣に閉じこもりたがるお坊ちゃんは、巣立ちが怖いんだろうけど、このままじゃ卵の殻の中でヒヨコにもなれずに老いちゃうね」
「手厳しいご意見ですね、お嬢様」
 シャルル・シュルズベリがにこやかに言うと、オスカルは「あらま、そんなに若く見えるかねぇ?」とほほ笑んでみせた(50歳のパラなのだ)。
「ま、新天地への説得は若い子に任せるよ」
 オスカルはチャウの背をそっと叩いた。チャウは「んとねー」と、深く考える前にノリで語り出した――といっても、深く考えようと思えば深く考えられるわけではないのだが。
「ローレックの街は美味しい料理がいっぱいあってー、えーっと、うーんと、あ、猫戦車を走らせても怒られないから、猫戦車でばびゅーんと走り回ると楽しいの―」
「猫戦車‥‥は、私は乗れそうにないが」
 そう言うローデルの足元では、猫2匹が見上げていた。しかしその猫らが引く荷台は、赤ちゃんのゆりかごより小さく見えた。
「ホラこれとか美味しいよー」
 チャウは、オーディアの新式菓子、ショコラを取り出すと、興味深そうなローデルの目の前で、バグバグと一気食いした。
「そこは食べさせなきゃダメだろー!?」
 グドラもさすがにツッコミを入れる――ローデル、ぐぬぬと震えてるし。
「ええと‥‥味のほうは、この満足げなチャウ様の表情からご推察ください」
 シャルルがナイスフォローすると、
「食べたければ、お越しください‥‥ってことだね」
 オスカルもナイスアシストした。
「むしろ煽ってるだけな気もしますけどねー‥‥」
 コーがそうつぶやくも、チャウとシャルルとオスカルは、ただ静かに、笑顔でうなずくだけだった。

◆見てよハウンドの実力
「まったく不作法な‥‥シフールだから許しちゃう☆ と言いたい気持ちもあるが、ハウンド代表ならもう少しマシな対応をすべきでは? という気持ちのが少し勝る」
 ローデルがぶつぶつ不満を述べると、
「よーし、そんならおいらの志をPRするぜー」
 と、グドラが前に出た。
「おいらたちの目標は、いつかダークドラゴンのディスミゼルを達成する為だぜ!」
「ほう‥‥?」
 ローデルは「ほんと?」って顔をした。シャルルは「当たらずも遠からずです」という顔でうなずいた。
「そしておいらの夢は、ハウンドとして修業を積んで、いつかでっかいキングドラゴンになる為なんだ。そして人を乗せられるぐらいに大きくなったら、気の合うハウンドを乗せて竜騎士にしてやる夢もあるんだぜ。みんなも竜騎士になりたいよな!?」
「ほう‥‥?」
 ローデルは「まじ?」って顔をした。オスカルは「そういう場合もある」という顔でうなずき、チャウはよくわかんなかったのでとりあえずメッチャうなずいておいた。
「しかし、ダークサイドのドラゴンと戦い、研究し、呪いを解くなど、無謀にもほどがあると思うけどねえ‥‥あんまり言いたくないけど、その、君らを見る限り、とても、その‥‥」
「できそうにない、って? そりゃそうだろうけどね」
 オスカルは苦笑する――細身のヒューマンに、パラに、キティドラゴンに、シフール2人。全員で睨みを利かせても、ゴブリン1匹怯えさせられない、と思われて当然かもしれない。
「実力をお疑いなら、お見せするのが早いのですが‥‥わたくしのデスでは、パフォーマンスとしては少々難がございますね」
 シャルルが口元に手を当てると、チャウがハーイと手を挙げて。
「じゃあじゃあ、キュアティブの回復力を見せたげるから、ちょっとケガさせるよー」
「それはいかがなものでしょうね」
「じゃあ、夜歩き下手なボーグルの威力を見せるから、ちょっと道に迷ってきてー」
「それもいかがなものでしょう」
「そんなら、こうだっ!」
 グドラだ。突如、かん高い雄叫びを上げる――竜語魔法である。すると、その尾が数倍に膨らみ、その翼が拡がり、バサリバサリと飛翔してみせた。
「どうだっ、キングドラゴンまであと一歩ってとこだろ?」
「す、すごい‥‥けど、迫力よりはカワイイと萌えが勝る‥‥トウッ!」
 ローデルが飛びついて抱き締めると、グドラはあっさりウワーと地に墜ちた。

「実力というほどではございませんが、わたくしどもはこのような武具も得られ、扱える立場にございます」
 シャルルは、特殊な武器を並べてみせた。
 ミスリル製の短剣。ミスリル製の刃が仕込まれた特殊なリボン。毒の仕込まれた忍者刀――いずれも、財力や各方面へのコネが必要、かつ扱いに技術を要するものだ。
「ふむふむ‥‥私は武具には疎いけども、これは相当なもののようだね」
「恐れ入ります」
「見て見てこれもすごいよー」
 チャウはパセリの杖を見せた。一応錬金術が用いられたマジックウェポンではあるが――
「‥‥パセリやないかい! おっと、高貴な私が俗なツッコミを」
 ローデル、せき払い。
「これもすごいぜ、バーレルアーマー!」
 グドラが胸を張ったその鎧は――
「‥‥ビア樽やないかい!」

◆愛でてよハウンド
「いやはや、いよいよハウンドなるものがうさん臭くなってきたぞ‥‥おや?」
 ローデルは見た――オスカルが、ネストドールすなわちシフール人形をあやす姿を。
「はい、良い子ですねー」
「おお‥‥尊い‥‥パラお嬢さんのシフール愛で愛で(メデメデと読む)」
「またまたお嬢さんなんて。これでも五十路突入なんだけどねえ」
「それもまたオイシイ!」
 見れば、他のハウンドもネストドールとたわむれていた。シャルルはうやうやしく、グドラは楽しげに、チャウとコーは、シフールvsシフールの構図だ。
「うむ‥‥ネストドールの扱いに関しては‥‥グッド‥‥しかし‥‥」
 それだけでハウンドを信用できるものか――ローデルのその判断は、そう簡単には覆らない。
 と、そこへオスカルとチャウが、
「ローレックの街に引っ越す時は長旅になるけど心配ないですよー。あの町はシフールがたくさんいますからねー」
「そーそー、友達のシフールやキティドラゴンもいっぱい住んでるのー。でね、たまに他のシフールとシフールの曲芸団を開いたりしたの―」
 と、こう言われると、
「シフールの曲芸団‥‥!?」
 ローデルの決意がちょっと揺らいだ。
「だからお兄さんも一緒に来て、皆と遊べば楽しいの―☆」
「そうですよーウェルカムですよー」
「一緒に遊ぼうぜー」
 チャウとコーとグドラがこう言うと、
「‥‥よし、行く行くー!」
 ローデルの決意は簡単にというわけではなかったがスピーディに大きく裏返ったのであった。愛でたし愛でたし。

「この胸を焦がす思いが、きっと研究に役立つはずだ‥‥ハウンドらよ、ネストドールは大事に頼むよ!」
 ローデルは、グドラとチャウを小脇に抱えながら叫ぶ後方で、シャルルは人形にうやうやしく布を巻くのだった。さ、帰ろ帰ろ。

◆くつろいでってよハウンドギルド
 という次第で、ローデル・ワーズワース氏は無事、ローレックの街の貴族街に引っ越し、ハウンドギルドの研究所に出入りすることとなった。
「で、新魔法はー? おしえてー」
 チャウがせがんでも、ローデルは肩をすくめて。
「私に魔法とか言われても‥‥そんな約束してないのだけど?」
「でも、あんたから教われる、って、なんかよくわかんないじーさんから聞いてたから、おいらたち頑張ったんだぜー?」
「グドラ君、そう言われてもそれはそちらの都合であって、正直、私には何のことかわからんし、なんともできないのだよ」
「どういうことでしょうね。どこで齟齬が‥‥」
 シャルルもうつむくしかない――いや、チャウやグドラなど、泣きそうだ。
「あ、泣かないで泣かないで! たぶんね、ここに来ていろいろ研究もはかどれば、魔法くらいポンポン見つかるんじゃないかな! たとえばホラ、えーっと‥‥そうそう、シフールの里とか!」
「シフールの里? それは、R論文の‥‥」
 オスカルの問いに、ローデルはおおいにうなずくと。
「その通り! 私のツテで、シフールの里に詳しいダークエルフ達からいろんな話を聞いているんだよ! ただ、その‥‥私自身は、里に行けなくてね、少なくとも単独では‥‥その資格がないからとかなんとか‥‥けど、君たちハウンドならきっと、資格があるかもしれないよ! そうだ、私と一緒に行こう、あの茨(いばら)の洞窟へ!」
「イバラの洞窟? それはなんだい? というか、どこだい?」
 オスカルがそう聞くと、ローデルはニヤリとして。
「アルピニオ‥‥風のシーハリオンのふもとさ」

 ――という次第で、ローデル氏を招聘しても、とくに新魔法は得られなかったハウンド達。
 しかし、くだんの老魔術師は、めげずに主張し続けたという。
「大丈夫じゃ、これで新魔法は得られるのじゃ‥‥きっと、そのうちにじゃ!」
 というわけなので、もう少々、お待ちください。



 3

参加者

z.よろしくお願いします。
シャルル・シュルズベリ(da1825)
♂ 29歳 人間 カムイ 月
b.うんとねー、ローレックの街はねー
チャウ(da1836)
♀ ?歳 シフール カムイ 月
a.おーし、おいらの大望をPRするぜー
グドラ(da1923)
♂ ?歳 キティドラゴン ヴォルセルク 水
c.じゃ、ここはオバちゃんが骨を折りますか
オスカル・ローズ(da2033)
♀ 50歳 パラ パドマ 火
 手を出したりはしない人みたいですけど‥‥なんか疲れますねぇ
コー(dz0021)
♀ ?歳 シフール ? 陽


ローデル・ワーズワース氏登場!

私、ハウンドギルドでいろんな変わり者さんを見てきましたけど‥‥まだまだいるんですねえ、ミドルヘイムは広いですよ‥‥