【SE07】山はおいしいぞ

担当成瀬丈二
出発2020/11/16
種類ショート 日常
結果大成功
MVPパオラ・ビュネル(da2035)
準MVPパラス・イシター(da2034)
アンカ・ダエジフ(da1743)

オープニング

◆おばあちゃんの知恵袋
 朝早くムーンポータルから、ウーディアに移動したハウンドたち。
「おやおや、ハウンドの方々ねえ‥‥お疲れ様です」
 そのとある山。秋も深くなったそこにある東屋(あずまや)を訪れると、小さなパラのおばあさん──名はイーサという──が出てきた。
 まあ、パラは50を越えてから、顔にシワが目立つようになるのだが、DGSをつけたこのおばあさんは本当に人が良さそうに見える。


登場キャラ

リプレイ

◆アンカの奇妙な川釣り
「ではでは、お供を連れて、川魚釣りをするのですよ」
 そう言って、アンカ・ダエジフはまだ見ぬ清流を求め山へと繰り出していった。
 なお、ブラウンベアクマーに乗ってである‥‥さすが釣り師一味違うオンナっぷり。
 ちなみにクマーには、この山に住むブラウンベアのナワバリには入らないように、気をつけさせている。
 とはいうものの、アンカの知識に猟に関するものがないため、どれだけクマーにニュアンスを通じたか非常に微妙だ──クマの野生の本能に期待大である。
「まあ、イザとなったら釣ったサカナでも分けましょうかねえ、これでご勘弁くださいって」
 そして、彼女は、己の力量にふさわしい、釣果を上げるのだった。

◆エフィとレギオスの不思議な狩猟行
「腹を満たし、新魔法も獲得──なんとも素敵な試練ですわ‥‥試練ではないかもしれませんけれど」
 相棒のレギオスくん──隼──を肩に乗せた、エフィ・カールステッドが山菜などを詰みに赴いている。
 なお、レギオスくんの成果はウサギ八羽である。さばき済みだが、かなり肉がある。
(昔の様にお腹がすく一方だと人間寂しい気持ちになりますわね。お腹がいっぱいになれば安心しますから♪)
 キノコは自身の鑑定力に自信がないため、あえてエフィはスルーする。
 キノコ類は結構毒と美味いキノコでまぎらわしく、うかつに手を出せないものだ。
 そんなエフィの肩の上でレギオスくんは満足げに羽繕いをするのである。

◆メシをば作ろうではないか?
「川魚の大漁に、山菜とウサギの肉、さすがな集めぶりです」
 そう言って、パオラ・ビュネルは口元をほころばせた。
 いくつかのスパイスとハーブで、口当たりを変える準備をするつもりのパオラであった。
 昔は満足げに食べた主人が、空になった皿を彼女にぶつけたりしたものだ。
「おばあはん、いっしょにご飯食べたりが楽しみなん‥‥そしたらおばあはんがもっとうれしくなるように、うちもガンバる!」
 と、パラの、パラス・イシターがイーサ婆に話しかける。
「うんうん、そうだねえ。すごくうれしいよ。それにこれだけあっても男の子とかいると、あっという間になくなるね」
 イーサ婆に男の子扱いされたのは、ベルクート・クレメントだ。
 彼もパラだけあって、育ち盛りの手前の子供に見える。
 なお、パラの実年齢と食欲の関係は、今はまだデータが少ない‥‥多分、誰も集めないだろうが。
「まあ、半分くらいは食べる自信があるよ」
 根拠のないことをベルクートは言う。
(こんなに女の子がご飯作ってくれるんだ──ビバ! ハウンドライフ!!)
 ベルクートよ、君はまだ、本当のハウンドを知らない‥‥。

◆小さきものよ──汝の名はシフールとパラなり
「家事もお料理もちょっとはできるし‥‥おばあはんのしたいこと手伝う! みんなで食べるお料理と関係ないことでも、なんでもしてあげたい☆ あまり山を歩かへんって言うてはるし、ちょっと足腰弱ってる?」
 そんなパラスの言葉ひとつひとつがイーサ婆には暖かいのだ。
 危険なところを見回ったりしてもあげたい。それには少し時間が落ちてしまったが。
「ベルクート鼻の下をのばしてるのー」
 そう、シフールのチャウが、ベルクートを表する。
「はやくごはんにしよう? はりーはりーはりー! そう言えば、山のてっぺんの熊さんって強い? 美味しい?」
 そういってチャウはイーサ婆の顔めがけて身を乗り出す。
「私と同じオイボレだよ。強いかどうかは分かんないねえ、多分美味しいけど心が痛くなるよ」
 イーサ婆の言葉にうなずくチャウ。
「スゴイねえ‥‥ねえ、アンカお魚頂戴」
「生は駄目ですよ、あたりますから‥‥そこの猫ちゃんに食べさせるのですか? ええい、もってけシフール」
 猫戦車(シフール版)の引猫にアンカは川魚を放る。
「あと、クマーにも」
 アンカの言葉に屋外にいるクマーは目を輝かせた! 多分‥‥。

◆ご無礼、あるいは『お上がりよ』の事
 メニューは山菜の大雑把な炒め物。大雑把=悪いわけではない。単純に丹念に炒めるより、山菜の野趣が残るのだ。
 続くのはアンカの遠火で焼いた川魚──多数。これをパオラお手製のソースで、適度に新しい刺激を楽しめる。
「はうーおいしいの! 大きくなって全部食べたーい!!」
 チャウとベルクートがすさまじい勢いで食べる中、女性陣はおしゃべりを交えながら、少しずつ味わっていく。
 最後に出されたのは、ウサギのローストだ。
 内臓を一旦抜き、それをハーブとミックスさせ詰め物にして腹の中に放り込まれている。これもパオラ特性のソース(今度は肉汁と併せている美味なものだ)で味わう。
「あー食べた食べた」
 ベルクートがだらしない体勢(へそ出しだが、悩殺される人はいないだろう)だ。
 昔のことを気にしてハウンドにおびえるパラスは、そういう自分もイヤであった。
 なので、屈託のないベルクートがうらやましく見える。
「んーおばあさん、これ食べて! ショコラー!!」
 謎の叫びとともにチャウはイーサ婆の口にショコラを放り込む。
「‥‥ふむ──ほう、なるほど! いいねえ、これは」
 甘味と苦みのコンビネーションはイーサ婆を虜にする。
「今度来るときはこれを是非持って来ておくれ。いいね、これは」
 その間に黙々と、食卓のかたずけをするパオラ。
 それを見て、深々と何度もうなずくイーサ婆。
 イーサ婆のその表情を見て、ハウンドの面々は気づいた。まず料理をしたら──後かたずけまでするものだと。
「ふふ、この貸しはいずれ精神的に、なのです」
 アンカはそう言って、立ち上がった。
 目指すはパオラの元。
「やっぱりきれいな川は全コモン共通な財産なのです──海もなのですが」
 そう言って、アンカは洗い物を手伝いを始めるのだった。
 無言でうなずくパオラ。
 ──一方。
「王のものは王に、女神のものは女神に──ですわね。私流というか今の状況で言うと山のものは山にという事かしら」
 エフィはそう言って炊事場、つまり川へと向かうのだった。
 そこでパオラのフォローを始める。
「お手伝いしますわ」
 こくり、と無言でうなずくパオラだった。

「では、猫ちゃんをブラシにして洗うのー」
 と、チャウが、満腹して腹を上にしている猫を引っ張り始める。やめておけ──。
「あ、そういうことすればよかったのー」
 手を打って、パラスは納得する。確かに食べたら後かたずけは大事だ。
 そして逆に思ってしまった事柄は──。
(作ったまま帰ったら、この人数の洗いもの全部、おばあちゃんがやったんか?)
 という事に関する申し訳なさだ。
「いいんだよ」
 パラスの顔を見て、イーサ婆はそう言ったのだ。しかし、パラスは涙をコブシで拭って、洗い物に立つのだった。
 こうして翌朝早く、ハウンドたちはイーサ婆のもとから出立するのだった。
 朝食は簡単に済ませている。

◆そして、秘法は明かされた
 帰り際にイーサ婆から託された巻物──そこには見出しとしてこう書かれていた。
 内容はは『効果上昇』。
 そう書かれていた。
 書付を見ると、いかなる属性、いかなるクラスのものでも魔力を制御することで、より大きな力を産みだせる補助魔法だ。
 これが普及すれば、初期には大きなアドバンテージになるだろう。
 だから、ハウンドの奇妙な日々は──つづく!



 7

参加者

a.ペットのレギオス君と共に小動物や山の幸を狩ってきますね。
エフィ・カールステッド(da0439)
♀ 23歳 人間 カムイ 月
a.ではでは、お供のクマーを連れて、川魚釣りをするのですよ。
アンカ・ダエジフ(da1743)
♀ 26歳 ダークエルフ パドマ 水
c.ごはーん!!
チャウ(da1836)
♀ ?歳 シフール カムイ 月
z.おばあはんのお手伝いガンバる…。ジャマになれへんやったらええんやけど…
パラス・イシター(da2034)
♀ 23歳 パラ パドマ 水
b.お料理のお手伝いとかやっておきますね
パオラ・ビュネル(da2035)
♀ 23歳 ライトエルフ パドマ 地
 やった! 初任務だよッ!
ベルクート・クレメント(dz0047)
♂ 26歳 パラ パドマ 火


‥‥まあいいか

ハウンドと言えばハンターギルドみたいなものだしねえ、その程度は分かるだろうね。