オープニング
◆オーディア島の開拓村にて
ハウンドたちはオーディア島でとある開拓村に新魔法を訪れた。
何でもマクールが、開拓村に居たような、居ないような‥‥と言い出したらしい。
オーディア島ならば、比較的近場だろう。
ということで行くことになった。
ボロ屋の中に朝の光が差し込んでいた。
「俺の知っているワザ‥‥だと」
新魔法を知っているらしい男、ホークはゆがんだ笑みを浮かべる。
タルからエールの上澄みをマグで掬い、煽ったホークはハウンドたちを見つめた。
まるで──鷹のような鋭い視線である。
「マクールの舎弟ならば仕方がないか‥‥来い。実地で教えてやる」
言ってホークは腰に剣を帯びると、開拓村からしばし歩き、離れる。
酔ってなお、足取りはしっかりしている、やはり元ダーナなのだろうか?
「ここらならいいか──一分待ってやる、好きなところに行け。ただ、俺の魔法の伝授は少々手荒でな‥‥体で覚えろ」
ハウンドの位置を確認すると、ホークはおもむろに懐から魔法の杖を抜いた。
「俺の魔法を耐えて見せろ‥‥命を惜しんで、距離をとるようなチキンや、カウンタースペルで打ち消して終いにするようなヤツには、この魔法を覚える資格が──ない」
ホークの魔法の杖が振られた。
しかし、何が起きるのか、それは分からない。
ハウンドの修行が始まる。
選択肢
a.三メートル以内 | b.六メートル以内 |
c.十二メートル以内 | z.その他・未選択 |
マスターより
成瀬です。今回は新魔法を一発食らって耐え抜いたら奥義を教えてくれるそうですよ。
事前の一分で出来る下準備を書くことをお勧めします。
みなさんに書いてほしいことは一分間でどんな準備をするかです。
何が起きるのか──新魔法のハズ。
それでも絶望を踏破するならば──そんな皆さんの参加をお待ちしています。
※【SubEpisode07】新魔法を獲得せよ 関連シナリオ
シナリオの成功等により新魔法が実装されます。
登場キャラ
◆承前
「ほう‥‥いい度胸だ」
パドマのホークは魔法使いの杖を片手にハウンドたちをほめたたえた。
ハウンドの決断──それは、至近距離から魔法を受ける。
五人まとめてという事だ
「ならば行くぞ」
ホークは詠唱を一瞬で完了させた。
──高速詠唱だ。
そして、シメの言葉は。
「アースクエイク」
時間はそれより一分前に遡る。
◆『パオラ』
「属性も効果もわからないので‥‥一分間で覚悟しますね」
ホークの目は、
パオラ・ビュネルの瞳を見据えた。
(なるほど──覚悟を決める、か‥‥思った以上にキモが座っているな)
「何事も‥‥実践しないとわかりませんから。で、でも‥‥痛くないといいな」
「なら、やめるか?」
突き放すようなホークの問いかけ。
「いえ‥‥やります」
選択肢を与えられたパオラ。彼女は過去に戻らない。その覚悟もあるのだ。
それはハウンドとしての誇り。そして自分自身で、おのれの未来を切り開くという思い。
◆『エクス』
「お願いします」
エクス・カイザーはそう言ってホークに向かい腰を折った。
「新たな力となる魔法、例えヴォルセルクが会得する者でなくとも、その身に刻み込む事に否は無し」
エクスは頭を上げる。
「──味方として放つなら、戦場で初見殺しになるよりは‥‥いい」
守りたいものがある、愛している人がいる。だから、狼王は強くなれるのだ。
「手加減はせん」
「それ『も』お願いします」
エクスの言葉にホークは唇の片端を吊り上げる。
「さすが見事な『漢(おとこ)』ぶりだ──いや、勇者か」
どちらが賛辞として適切かは分からない。
だが、ホークは笑っていた。
◆『エウロ』
「ほう。距離を取るのはチキン、ですか‥‥ほう」
毛並みで見えないが、こめかみあたりに静脈を浮き出させた、
エウロ・シェーア。
「ああ、俺の魔法を耐えるのが趣旨だ」
ホークの言葉にエウロは確認する。
「耐える、ですか。では、防具はよろしいでしょうか? 相応に頑丈ですが」
「かまわない」
「では、戦技や魔法は?」
「かまわない」
どういう魔法? エウロの脳裏にその疑問が浮かんだ。
精神に干渉する魔法だろうか? あるいは多少の防具など歯牙にかけず吹き飛ばす超攻撃魔法?
だが、彼女の矜持が問わせない。それに聞けば挑発的な言葉が返ってくるだろう。
「では、そのように」
◆フェルス
「では全力防御、やってみるッス!!」
そう言ったのは、
フェルス・ディアマントだった。
エウロとのやり取りを聞いていたのだ。
「ギルド長の知己の猛者、修行相手として申し分なしッスね」
「そういってもらえるのは嬉しいが、『あの』マクールの仲間にも興味があるな」
ホークの言葉に破顔するフェルス。
「自分の持てる戦技、魔法、装備、ピラミッドパワーそして筋肉と筋肉」
ホークは問う。
「それは大事な事なのか?」
「大事な事ッスよ、なので二度言ったッス」
「そ、そうか‥‥」
初めてホークが引いた。
「今の自分が出せる全ての力を使って、一撃を耐えてみせるッス!!」
そして、ポージングと頭の四角垂を使いピラミッドパワーを再現。
◆アリアドネ
「あんなこと言われちゃ、近い距離で試すしかねーですけど」
という心境で、
アリアドネ・ウィステリアは、今の時点でホークににじり寄っている。
「折角きたのに、このままスゴスゴ逃げ帰るわけにはいかねーですよ。その魔法! 受けてたつですよ! クリスタルアーマーも成就済みです」
「‥‥」
ホークは生暖かい目でアリアドネを見ている。
「そ、それに、カウンタースペルは駄目って言われたけど、クリスタルアーマーは駄目だとは言われてねーですからね! カンスペは駄目でも、盾は駄目とは言われてねーですからね! さぁ来いですよ!」
見事なへっぴり腰だ。
「それ以上に何かするか? そろそろ一分経つぞ」
「好きにしやがれです!」
◆ホーク
「アースクエイク」
その魔法が成就した時、エクスは非常に嫌な予感がした。
なぜ、舌を噛んで精神攻撃に耐えようとしたのか。
大地が揺れるとは思っていなかった。
アリアドネが転倒してしまう。
「く、膝はつかねーです──全然痛くないでやがる?」
物理的な防御は有効であり、地属性の面々は防具や魔法で十分に耐え抜く。
「う、動きづらいッス」
意外な魔法に、フェルスは踏ん張る。まるで大樹の様に、山の様に──。
「ほう、確かに面倒です──しかし相棒がいなければ、どうという事はないかと──おしまいですか?」
面倒ではあるが、エウロが一歩、また一歩とにじり寄る。
パオラは意外な魔法にあっけにとられるが、辛うじて転倒は避ける。
「し、死んでない──あれ? 地面が揺れてる‥‥大丈夫、何とかなった」
◆ノーサイド
「俺の後ろに行け、そこは揺れていない」
ハウンドたちはホークの後ろに行った。ホークの手前までは揺れていたようだ。
なお、アリアドネはフェルスが引っ張り上げた。この基礎体力がものを言う。あと、筋肉とか。
「これが地のパドマの魔法『アースクエイク』だ。俺ひとりが使ったところでどうという事はない。しかし、コンビネーションのひとつとして考えたら?」
ホークがそう言うが、地面は揺れている、自分の意志で止められないようだ。
「それは相当に面倒ですね。確かにこの魔法が使われる前に、体力が消耗したり、空中から攻撃者がいたら‥‥」
エウロは見事に分析する。
「ガイアとかで体力を削るか」
微妙に活舌が悪い、エクスが口の端から血を流して呟く。
舌を噛んだのだ。
「ホークさん、ありがとうございました」
言ってエクスは再び頭を下げた。
礼に始まり、礼に終わる。
「強くなれよ‥‥そうそうこれが俺の使った魔法の資料だ。我流だがアレンジは幾らでも出来るだろう」
ホークはそう言って、巻物の束をハウンドたちに渡した。
「あーひさびさに魔法を使って疲れた、戻って酒でも飲むか?」
たまの客だ、酒場にでも繰り出すか、そう言ってホークは村に戻るのだった。
そして、一同は納得した。
──この魔法を村で使われたら、近所迷惑なこと間違いなし──
◆結
「私もいつかあんな魔法使えるでしょうか?」
パオラが酒の席でホークに問う。
「俺はできた、天才じゃなければ使えない魔法じゃない」
との事だ。
「まず、あきらめるな」
「はい」
「手の内が分からない相手がこんなに面倒とは」
そう、エクスがホークに問うた。
「カウンタースペルはこういう時に使う」
間違いない。エクスはそう納得した。
「いやぁマッスル大勝利ッスか?」
フェルスの言葉にホークはうなずいた。
「あくまで搦手だからな、地力があるものとの正面決戦には弱い」
「参考までに聞くッス? そういう相手にはどうするッスか?」
「逃げる」
端的なホークの言葉だった。
「シンプルッスね」
「耐えきりました。まだやりましょうか? ‥‥とは今の話でも出てましたね」
エウロの言葉にうなずくホーク。
「うむ、そうなったら俺も別の魔法を使うし、徒党を組む」
そうなった時には自分はどんな魔法を使うだろうか? ガチで考えてしまうエウロであった。
「ふふ、そうなったら私も手助けしてやるです」
アリアドネがほろ酔い気味で、エウロの沈思黙考に割り込んできた。
「さっきの魔法も痛くなかったのです、きっと次も痛くないのです」
そこまで言ったアリアドネは口を改めて開く。
「やられっぱなしは、私だってイヤですからね」
こうして新しい魔法研究が開始された。
だから、ハウンドの冒険は──つづく!
7
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参加者
| | a.あんなこと言われちゃ、近い距離で試すしかねーですけど。
| | アリアドネ・ウィステリア(da0387) ♀ 22歳 ライトエルフ パドマ 地 | | |
| | a.では全力防御、やってみるッス‼
| | フェルス・ディアマント(da0629) ♂ 22歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地 | | |
| | a.ほう。距離を取るのはチキン、ですか・・・ほう。(ピキッ)
| | エウロ・シェーア(da1568) ♀ 38歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 火 | | |
| | a.ならば至近距離で受け止めるのが勇者の矜持!!(覚悟完了)
| | エクス・カイザー(da1679) ♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火 | | |
| | a.属性も効果もわからないので……1分間で覚悟しますね
| | パオラ・ビュネル(da2035) ♀ 23歳 ライトエルフ パドマ 地 | | |
受けてみよ!
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ダーナの戦い方見せてやる──!
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