【SE07】囁き、詠唱、祈り

担当成瀬丈二
出発2020/11/09
種類イベント 日常
結果成功
MVPパオラ・ビュネル(da2035)
準MVPビア・ダール(da1972)
アステ・カイザー(da0211)

オープニング

◆優雅(?)な昼食
 パイロ・シルヴァンはひとつの騎士団を切り盛りする立場にある。
 ダーナ時代のクセが抜けず、KillerQueenなどに出向くこともしばしばだ。
 しかし、勤務中ともなればそうも言っていられず執務室で簡易な昼食をとるのだ。
 そんな彼のもとに、アポイントメントをとったハウンドたちが訪れた。
 要件は、彼のダーナ時代に今とは違う魔法を使うダーナがいたかどうかだ。

登場キャラ

リプレイ

◆KillerQueenにて──肉は人類の友‥‥多分
(失った腕を生やす‥‥ウワサのトロールみたいに腕が生えてくるとか)
 と、アステ・カイザーは何か微妙に違う連想をしながら、パイロ・シルヴァンの前に肉を盛る。
 あぶり肉とか、炙り肉とか。レアからウェルダンまで‥‥まあ、何でも好きかもしれない。
 成長期のヴォルセルクならこれくらいペロリ(偏見である)といくだろう。
 しかし、三十を過ぎてこの健啖ぶりは、様々な意味で大したものだ。
「かなりの力を消耗しそうですけど、その魔法がハウンドに知られていないのは、何か理由があるんでしょうか?」
「単純に言うと、腕を吹っ飛んでも──治せるとなれば‥‥たかが腕一本となるだろう? 治せたって痛いものは痛い」
 豪快に食うパイロ。アステは森にいたリスを思い出した。まるで頬袋一杯に詰め込んでいるかのようだ。
(あれ? ポジティブなことは言っているけど、ネガティブな面の具体的な言及はない?)
「喉詰まります」
 店のソースに様々なアレンジをしている、パオラ・ビュネルは軽く酒を勧める。
 喉仏を上下させて肉を飲み下す、パイロ。
 その視線はパオラの指先を見ているようだ。
(俺はルミナを失った。それにリジェネレートじゃ、その傷跡は癒せないんだよな)
「‥‥あの? お見苦しかったでしょうか」
 奴隷生活をしたせいか、若干態度が低くなってしまうパオラ。
「いや、何でもない‥‥もう少し酒を‥‥ダメか?」

◆話は分裂の一歩、二歩目は統合への道
「ともあれ信じます。魔法の力は、我々が思い描く以上の可能性があると信じます」
 そう、エクス・カイザーは言い切る。
 少し前にパイロが語った腕を再生したという話についてだ。
「確かに絶対な回復魔法を知れば、それを当てにして無茶をする者が出る懸念は理解します」
「それでマクールがその魔法は時期を見計らって公開を控えていたんだよな」
 と、パイロ。
 エクスはマクールがそこまで深く考えていたのか、とちょっと感動。
「切り札は切り札と弁えて正しく使いこなすと約束したいです‥‥勇者として」
「じゃあ、ちょっとビア、たとえ話をしていいか?」
「どういう話でしょうか?」
 話を振られた、ビア・ダールが身を乗り出す。

◆選択せよ──カムイたち、そして全てのハウンドたち
「アンタもカムイだ。仮にリジェネレートの魔法を使えたとする。激戦で魔力はギリギリ一回分しかない。そして手足を吹き飛ばされた仲間が二人いる。そういう選択になったら‥‥どうする? もちろん、正解は『自分が魔法の無駄遣いをしない』とか『戦いを回避する』だが、それは置いといて、選べるか?」
「四肢を失う事態とは穏やかではありませんな。一体何があったのですかな?」
 と、ビア。
「たとえ話だ」
 パイロの言葉に、ビアは沈思黙考。
(ふむ、この状況は実に興味深いですな。苦悩する英雄や聖女の詩の題材にもなりそうです)
「それって、私も考えていいかな? ちゃんとしたカムイだし」
 と、アステが興味深そうにビシッと挙手する。
「それは疑っていない。構わないよ」
 言いながら、しばし肉をほおばり続けるパイロ。筋肉の維持は大変なのだ‥‥ろう。
「はい、ひとつの考えが出たよ、多分正解だから」
 アステが自信満々に答える。
「仮にこのメンツなら『兄貴に待ってもらう』だね」
 あまりの塩対応に酒で咽るエクス。さすがの兄妹愛である。
「う、麗しき兄妹愛とかは‥‥」
 ビアも思わず突っ込む。
「『兄妹ゆえ』だよ」
 シビアだ‥‥とはいえ、ふたりはそういう関係なのだろう。

◆命の選択を
「うーん、私は答えが出ませんでした」
 と、ビア。
「ただ、どちらを選んでも私は後悔するでしょう‥‥」
 ビアも仮定をつける。
「例外として、腕を吹き飛ばされたのが、自分だったときは、自ら除外するでしょうが」
 真面目過ぎるビアの返答だった。
「正解は!?」
 アステが問うた。
「俺も知らない」
 パイロはあっけらかんと答えた。どこをとっても清々しい。
「は!」
 アステが目が点になる。
 一方、ビアは腕を組んで深々と頷く。
「そういう事ですか‥‥奥が深い」
 一方でパイロは言葉を続けた。
「だが、その時下した俺の選択は間違っていたことは分かっている‥‥」
 さらにパイロの独白は続く。
「──これ以上話すのは酒でも飲まないとやっていられないことだが‥‥」
 過去を思い返す目をするパイロ。だから、酒も飲みたかったのかと、四人は納得する。
「もう、ハラ一杯だ‥‥」
 パイロはいい笑顔を浮かべる。
「そういう時は、ちょっと、こうノドに人差し指、中指を突っ込んですね」
 アステは平然と返す。いわゆる、吐しゃを人為的にコントロールする方法である。
 おそらくは兄でそういう扱いを覚えたのでは? という仮説が立つ。
 一方、シンプルにハウンドになってから、覚えた技術と考えたほうが、スマートかもしれない。
 そもそも、営業妨害なことを、酒場の中でやるな、という意見はスルーしているようだ。

◆ささやき‥‥えいしょう‥‥いのり‥‥ねんじろ! けちなはいきょうしゃめでていけ!
「しかし、その問いはキュアティブでも、回復薬でも成立する」
 あえて、こういう形式で問いかける意図をエクスは計りかねた。
「それ以上を知りたければ、自分でこの魔法を研究してみろ、という事でしょうか?」
 パオラはそう分析する。
「まあ、そういう事だ。これを参考にしろ‥‥女神教会の古い書に祈りの文句にヒントがあった。その抜粋だ」
 パイロは懐から羊皮紙の巻物を取り出す。その貴重な資料はエクスが受け取った。
「酒をもう少し飲みたかったが、アステのおっかなさで胃が縮んだからな」
 火のカムイだけが使える新魔法、リジェネレート──。
 この魔法がどうハウンドたちにとっていかに新たな力になるか、それは‥‥今後の研究次第だ。
 ともあれ、まもなく研究は開始されるだろう。

◆終章──MURMUR-CHANT-PRAY-INVOKE! ぱいろははいになりました
 夜明けまでの時間を持て余す五人。
「ところで‥‥甘いものは別腹という言葉があってだな」
 食事会を終えようか、というタイミングでパイロが切り出す‥‥あまりにも唐突かつ不似合いなフレーズだ。
「酒は入らないが、甘味は入るとわ‥‥意外とオトメな胃袋だね」
 アステが見る、パイロの腹は腹筋が割れているに違いない。多分シックスパック。
「‥‥本当に入りますか?」
 パオラが問うた。
「大丈夫だ──今度は俺が奢るぞ」
 非常に自信ありげに聞こえるパイロの声にエクスは──。
「いや、勇者としてここは遠慮する」
 と、シリアスな声で返す。さすがにそこまではつきあえないだろう男子としては。しかし──。
「これもまた英雄譚のひとつでしょう。ご一緒いたします」
 とビアが肯定的な返答をパイロに返す。
 その言葉にパイロは『え゛』と言いたげな表情を浮かべる。
 あまりにも予想外だったのだろう。
 結局、巻物を預かったエクスがひとりで帰ったこと──それだけは記述がある。
 とはいえ──パイロ、ビア、アステ、パオラの四人がこの夜、甘味を存分に楽しんだか、否かに関しては記録は沈黙している。
 全ては歴史の光と炎の中に消え去るが定め。

 だから──ハウンドの貴重かつ奇妙な日常は‥‥つづく!



 8

参加者

b.食べ過ぎて灰にならない程度に勧めようかな
アステ・カイザー(da0211)
♀ 24歳 人間 カムイ 水
c.魔法の真髄を知る為にも、パイロ氏の話を拝聴させて貰わねば
エクス・カイザー(da1679)
♂ 26歳 人間 ヴォルセルク 火
c.ふむ、これは実に興味深いですな。良い詩の題材にもなりそうです。
ビア・ダール(da1972)
♂ 50歳 ドワーフ カムイ 陽
b.肉には香草を。風味付けにも毒消しにもなりますし
パオラ・ビュネル(da2035)
♀ 20歳 ライトエルフ パドマ 地
 ああ、気分がいい‥‥。
パイロ・シルヴァン(dz0039)
♂ 36歳 人間 無


お酒は適度に

肉の合間に酒を飲む。これが人生だろう──何新魔法だって? 俺もひとつ知っているな‥‥じゃあ奢れよ?