オープニング
◆Kill Them All?
慈悲なき洞窟への探検に備えたハウンドのキャンプがある。
今は星が降りそうな夜だ。無論、表に出れば寒さの洗礼を受けるだろう。
「あーさぶさぶ」
ガーベラがトイレから帰ってくると(ガーベラに花をつむ、とかそういう言い回しは似合わぬ)、足音がした。
「誰や?」
「ハウンドたちだな。死んでもらうぞ」
顔色の悪い男だ。その肩には一匹の黒猫がしがみついていた。その黒猫が肩から地面に降り立つ‥‥と、見せかけた次の瞬間、そいつは翼の生えた黒豹に変身した!
「シンデモラウゾ」
と、見る間に黒豹は二匹増え、三匹になった。一体どこに隠れていたというのか?
「なんやー! だれかー!」
言って逃げようとするガーベラ。
そこに飛びかかる黒豹。
ガーベラは運悪く、連続攻撃に晒される。
最初の一撃を回避したものの二匹目の攻撃は無理だった。
抑え込まれたガーベラは、黒豹をぽかぽかと殴るが、効いた様子はない、頑丈な表皮か魔力──あるいは?
「ムダダ、チビ」
血の匂いにテントで休んでいたハウンドや、見張りをしていたハウンドたちがかけつける。
血だらけのガーベラを男のほうに放る黒豹。
慌てず動じず、男は漆黒のショーテル──湾曲刀を振り下ろす。
鎌のような見た目の得物だ──盾越しに相手を攻撃できるような造り──そこから迸る黒炎――ガーベラは斬撃と炎を同時に浴び、ダメージを受ける。
禍々しくも美しい剣筋。同時に繰り出す(?)何かの力──歴戦のハウンドから見ても男も黒豹もタダ者ではないだろう。
正体不明の刺客。普通でない武器。なぜか共闘する魔物。ともかく、勝たねば始まらないのだ。
「ハウンド」
「コロス」
ガーベラは出血が激しく、意識を失っている──この寒さで、気絶しては体力の消耗も激しいだろう。いつまで保つか?
──ハウンドの戦いが‥‥始まる。
選択肢
a.剣客 | b.黒豹 |
c.ガーベラ | z.その他・未選択 |
マスターより
ひゃっはー! 成瀬です。連動の最後は派手な話です。
光源は焚火があります。
随伴ですが、通常の生き物の場合、寒気で動きが制限されるかもしれません。
相手の男は服装がサンドラ風ですね。現状で断言できるのはその程度。
シナリオとしては最大の覚悟と戦術を準備出来る方向けですね。
その上で言いましょう‥‥ふるっての参加お待ちしています。
※RealTimeEvent【HoundHistory04】掘り出せ呪いの書 連動シナリオ
本シナリオは、世界の歴史を動かす可能性を秘めた企画「リアルタイムイベント」に連動した特別シナリオです。
参加することで【HH04】を冠したグランドシナリオに参加する権利を得ることができます。
登場キャラ
◆月と地と闇と
「今回も強敵だべな」
そう言って、
エルシー・カルはミスリルの斧頭や穂先を持つ、ハルバードを構えた。
命綱として戦技魔法の成就に入るが、相手──魔獣グリマルキンたちは待ってくれない。
(むう魔法を成就する前にケガするべ‥‥いや──ここはバクチを打つかぁ)
彼女は自らの防具に命運を託す。
魔獣の爪が食い込む──さすがプレートアーマーだ。猫程度の爪ではビクともしない。これにガードを加えれば、まさしく鉄壁だろう。
「サテ、マンゾク?」
魔獣は負けたにも関わらずエルシーをあざ笑った。
今、攻撃した一匹目とは別に、後ろに控えた二匹が姿を変える。
魔獣の本性、黒猫から黒豹に。その背中にはコウモリの翼があった。
爪は鋭そうだ。
エルシーが戦技の限りを尽くして、防具で受け止めても‥‥わからない。
「はあ、ドキドキするほど大ピンチだなっす」
しかし、エルシーは何物にも恐れを抱かないのだ。
一方、
ベドウィール・ブランウェンは、魔獣が『犬がキライ?』程度の感想しか持っていない。
「さて、こちらとも遊んでくれませんか? 猫の扱いは結構得意です」
言って、シノビブレードを構えなおす。この得物で受けに徹する。簡単には崩せないだろう。
──と、思いたい。
◆水と月と‥‥
「仲間の血は、己の血で贖ってもらうわ」
無頼漢相手にスカラベ型ゴーレムをけしかけるべく、装身具に手をかけるのは、
アザリー・アリアンロッドだった。
無頼の輩が凄腕でも石造りのゴーレムには、相応の時間をかけないと倒せないと思いたい。
その間に魔法を成就する、それが彼女の狙いだ。
「殺!」
しかし、男はその様子を見て踏み込んできた。
アザリーは先ほどの黒い炎を伴った斬撃を警戒する。彼女が盾を使わなかったのは幸いだ。無頼の輩の得物、ショーテルは盾さえ乗り越えるような造りなのだから。
漆黒の刃が迫る。非常に高い水準の腕前であり、ハウンドでもこれだけの斬撃を繰り出すのは難しいだろう。
故にアザリーはかわし切れず、体勢を崩したところを刃がらえた。その刃はプレートアーマーで十二分に防御した彼女の肌に食い込む。同時に黒い炎が噴き出した。
黒い刃にはルミナパワーが付与されており、切れ味は余計に鋭利。
存外に面倒くさい相手──アザリーは思わざるを得なかった。
体力も消耗し、そこに黒い炎が迫る。その力を渾身の精神力でアザリーは耐えきった。しかし、彼女の防具は対魔法戦では十二分な力を持たない。
「こんな夜中に襲いに来るなんて、礼儀を知らない人ね‥‥どうして私たちの命を狙うの?」
「命令だ」
「あら、喋れるのかしら? 意外。叫ぶだけしかないと思っていたわ」
言って、アザリーはスカラベ型ゴーレム起動する。
「さて遊んであげて‥‥次はもっと激しいプレイのため、準備するわ」
(アザリー少し時間を!)
焦った様子の、
リザ・アレクサンデルが端的なことを思う。時間とはこの場でもっとも作り出すのが難しいリソースだ。
血だらけの
ガーベラの唇に回復薬をあてがう。
「さあゆっくり飲み込んで」
ガーベラが嚥下する。
容態は安定する。
「じゃあフルパワーであばれよっと‥‥アザリー」
(魔物を使役するテイマーがいるくらいだし、魔物の中にもテイマーがいるのかもしれないよね‥‥?)
「けれど、ムチは持っていないから、あれはダーナ崩れだろうね‥‥ローレライしている時間はないか」
言ってリザはタイマソードを構える。
◆月光に導かれ
エルシーは周囲を巡る二匹の黒豹グリマルキンの動きに注目する。
「どうせかわせないべ‥‥殴られるのが怖くなければ、襲って来い」
誘ったところでハルバード叩き込む覚悟だ。相手がどういう攻撃に弱いかはまるで分からない。
しかし、二匹が連携して飛び込んできた! 迫る二匹の片方にエルは豪胆に背を向け、片方をたたき切る。
いや、見事な体さばきで避けられた。
「い、今のをかわすべか‥‥面倒だべ」
背中からの攻撃は防具に防御を任せたエルシーだが、相手の爪はこちらを斬り裂けない。
前方からの敵は体を立て直した後に彼女に飛びかかる。
ガードの代償で回避が出来ない彼女だったが、避けも受けもできないが、喉笛に迫る一撃を弾いていく。
攻撃を避けるか、弾くかそんな防御重視の戦いは、長丁場になりそうだった。
しいて言えば、エルシーが本当に戦いを一時間続ければ、戦技魔法のための魔力が尽きるのだが、グリマルキンにそこまで理解出来ない。
ただ、一般論を言えば、プレートアーマーを着込んで、ハルバードを振り回せる豪傑なのだ。敵に回せば退きたいだろう。
(ふむ、思ったより知恵がありますね‥‥タイマソードを借りられれば、黒猫を襲いたかった、いやノルンズダガーで攻めますか)
ベドウィールは懐のノルンズダガーの重みを思い出し、考えを実行に移した。月光のように忍びやかに黒猫に迫る。
「──!」
完全な不意打ち。黒猫型グリマルキンはそれなりの傷を負った。しかし、流血はない。
「コ、コロス!」
「やはり本物のデュルガーですか? 血が出ないとは‥‥」
ベドウィールははじき出す。少なくとも以前に戦ったインプは出血しなかった。
一方、自身に魔法を付与しているアザリーを襲おうとする無頼の輩だったが、リザの気配を感じたのか、そちらに注意力をそがれたようだ。
襲いかかるスカラベ。その攻撃を完全に見切り、ショーテルと黒い炎で破壊し切る無頼の輩。
完全なオーバーキル。相手にしてみれば、戦力がわからないので、全力で排除したのだろう。
目を細めるアザリー──三秒稼ぎ、その間にミタマギリの魔法をグリーヴァライモンに付与できたのだ。
「やっぱり攻めないと駄目だわ‥‥」
アザリーが呟く。
「ありがとうね、ゴーレム!」
一気に駆け寄るリザ。
タイマソードをふるい、一撃を狙う。
無頼の輩はかわし切れない! 砂場でバランスを崩したのだろう。今回は運がなかった。
血がしぶいた。
「まず、最初の血ね。少しきつめに取り立てるわよ」
アザリーが血に酔ったように宣言する。
「ハウンドコロス」
ベドウィールが傷つけた黒猫が有翼の黒豹に姿を変える。
傷口が広がった。
◆悪夢の始まり
「殺!」
無頼の輩はショーテルからの斬撃をアザリーに浴びせる。
「初志貫徹かしら?」
同時に繰り出された黒い炎の苦痛をこらえるアザリー。
「シフールも殺せない、私も殺せない──本当にあなたは誰か殺せるの?」
吐血しつつアザリーはあざ笑う。
言ってグリーヴァライモンを突き立てるアザリー。無頼の輩はにやりと笑う。
そして──。
魔力を削り取られ気絶した。
手からショーテルが取り落される。
「ヤバイ、ニゲルカ!」
グリマルキンたちが合図しあうと、翼を広げる。
「負け猫が吠えてるべ」
そこにエルシーがハルバードを突き立てる。
多大な傷を負いつつグリマルキンは撤退した。
「深追いしないほうがいいべか‥‥」
エルシーは追撃を断念。
一方で話の焦点は倒れている無頼の輩に向けられる。
「これで縛るべ」
魔鞭グレイプニルを引っ張り出すエルシーだった。
「黒幕は誰か、吐いてもらいましょうか? 我々少々手荒な手段をとってもいいですよ」
ベドウィールの宣告。
それからしばらくの『対話』ののち、無頼漢は言った。
『ウセルフラさまの手勢だ』と──。
「わーい『さま』つけとは、麗しい主従愛だね」
リザがわざとらしく、言葉にする。
「よく言ったわ。イイ子ね」
アザリーが彼のおとがいに手を当てた。
「なんか面倒そうだべ」
エルシーは腕を組む。
「めんどうやなあ‥‥で、うせるふらってだれや?」
ガーベラが不思議そうに問うた。周囲は一斉にツッコむ。
ウセルフラ‥‥なぜか王位に就いていない、現在の王の兄だ。
なぜ、彼が闇の住人と手を組むような輩に『ハウンド』を狙わせるのか?
「まだ、足りないピースが多そうですね。証人として王都に連れ帰りますか」
ベドウィールがまとめる。
しかし、ハウンドの夏は──つづく!
8
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参加者
| | a.仲間の血は、己の血で贖ってもらうわ。
| | アザリー・アリアンロッド(da0594) ♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | b.大丈夫?なにかに憑かれたりしてない?
| | リザ・アレクサンデル(da0911) ♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水 | | |
| | b.とりあえずこちらで。
| | ベドウィール・ブランウェン(da1124) ♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | b.前に出て頑張るべさ。
| | エルシー・カル(da2004) ♀ 21歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地 | | |
| こんかいばかりはだめかも──いや、こんなところでしんでたまるかー! | | |
デテクルハウンドミナミナコロセー
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今は悪魔が笑う時代‥‥ハウンドとか言う外国人が‥‥我が邪魔をするなら‥‥つぶす。(???)
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