【HH04】闘え! ハウンド

担当成瀬丈二
出発2020/08/26
種類ショート 冒険(討伐)
結果普通
MVPナイン・ルーラ(da1856)
準MVPトサ・カイザー(da1982)
トウカ・ダエジフ(da1841)

オープニング

◆ピラミッドマンの予言
「残虐王はかつて、殺戮競技を好み、コモンとコモン、コモンと魔物を命懸けで競わせ観覧していたという伝説が‥‥そして、ブリーゲピラミッドの中には、おぞましき魔力が、場を満たしているのかもしれないです、キテそうです!」
 そのピラミッドマンの言葉をガーベラは一笑に付せなかった。

 ブリーゲピラミッドを探索していくハウンドたち。
 呪いかどうかはわからないが、みなぎる力がハウンドたちのいる広間を満たしている。

登場キャラ

リプレイ

◆密を避けようヴォルセルク
 それが唯一の光源だった。
 広場の中央に落ちているガーベラが、手にしていたマジカルトーチ。遺跡の興奮でハウンドたちが使い切ったものの残りのひとつ。

「皆様、同士討ちの懸念がありますので、密は避けましょう」
 理性を振り絞り提案するのはナイン・ルーラである。
「この状況では、戦う内に互いに見境を失くし、同士討ちを起こす懸念があります。今回は密は避けて、ソーシャルディスタンスを心掛けて戦いましょう」
 ソーシャルディスタンスとは何か? 問うなかれ! きっと女神教会に仕えるナインのみが知りうる専門用語だろう。
「ソーシャルなんたらはわからんが、密を避けるのは賛成──私から半径五メートル以内に入ったら死ぬよ」
 最近手に入れたらしい、名槍ドラゴンフライをしごく、ユミル・エクレールだった。
 一方、軽くため息をつくのはエルシー・カルだ。ユミルの雄姿に頼もしさと、危険度の両方を感じたのだろうか?
「今日の依頼もツイてないべさ‥‥まったく、ユミルの姉さんの武器は凶悪だべさ。絶対に、近づかない方がいいべ──」
 エルシーはユミルが暴れる場面に、過去出くわしたのかもしれない。
「わ、わかった。これも瘴気の影響なのか‥‥!?」
 飛び出すのは、エクス・カイザー
(くっ闘争心が高まる‥‥熱狂に身を委ねたら、我々もあのスケルトンの仲間入りだ──心を鎮めろ、冷静になれ、私は狂戦士ではない、勇者だ)
 ルミナパワーより、大切な仲間であるガーベラを回収することが大事。なぜかって? ──エクスとはそういう男だからだ。
「よしわかったナイン。目の前の敵を粉砕すれば良いのだな! 密を避けて粉砕だ!」
 利き手から有機的に融合したレイピアを解放する、トウカ・ダエジフ
 体の一部といっても過言ではない一体化ぶりだ。
 専門家はこう呼ぶ──バサラフォームと。
「戦うこと。それはハウンドである私には当然なことだ‥‥そして手加減が不得手な私が突撃し、単独で力尽きることもまた当たり前のことだ!」
 さっそく密を守れそうにない奔走っぷりだ。
 しかし、彼女にこの得物──シュヴァルツシュペーアが不運をもたらすことは、語るべき時ではない。
「まあ構わん。わが妖剣、ダーインスレイヴは血に飢えておる‥‥相手がもう死んでいる? はっはっは、わが生き血がかかったらめっけ物ではないか?」
 CROSSの刺青が彫られた場所がどこかはわからない、トサ・カイザーが、全長二メートルの巨剣を持ち上げる。
「ガーベラを頼むぞ!」
 一方、スケルトンから逃げてきたエクスは、ガーベラを皆の前に置く。彼は背中が熱いのを感じる、ガーベラの確保の際、背中から何度か攻撃されたのだ。
 相手の攻撃の確度が悪いため、致命傷にはならない。
 なお、ガーベラは意識を取り戻さないが、安定した模様。

◆敵は密集スケルトンズ
「とった!」
 全力で突っ込むトウカ。
 褐色の肌と、はち切れんばかりの躍動美にスケルトンは感嘆したわけではないが、シュヴァルツシュペーアはスケルトンを貫く。
 そう貫いたのだ。
 スケルトンは骨である。人体と比べて隙間が多いため、突く武器は隙間を撃つこともある。
 今回は不幸なことにそれに対峙して、注意できる人材がいなかったのだ。
「それくらいのハンデ、上等!」
 返す一撃をスケルトンから浴びるトウカ。傷は浅い──痛みを感じないわけではないが、それがどうした、という心境になってしまう。
 これがこの場の魔力だ!
 そう悟った瞬間、シュヴァルツシュペーアを強引に相手の肩の関節を砕くのに使うトウカ。
「会心の出来‥‥!」
 しかし、顔面に一撃を浴びせられる。傷らしい傷ではなかった。だが、屈辱だ。

 ナインはその頃、軍神のように戦っていた。蹴りを飛ばせばレッグアーマー、逆手からはミスリル刃のついた盾、利き手からはタイマソードの乱打を浴びせる。
 しかし、それが連動しているわけではなかった。ダブルアタックなどを使えれば、それらを連動させ必殺の一撃を三打浴びせることもできたかもしれない。
 だが、今の彼女は狂奔である。理性が吹き飛んでいるようにしか見えない。彼女の提唱したソーシャルディスタンスは正解だったのだ。
 とはいえ、スケルトンの背骨にひびを入らせるにとどまる。お互いに致命とはならない。
 荒れ狂うナインは一方的に包囲されていく。
 彼女は幾度か手傷を負った。二の腕に浅くだが傷を負う。

 そして、悲劇はユミルのところでも起きていた。
 疾風のように戦場をかけ、嵐のようにドラゴンフライを振りかざす彼女だったが。
 あまりにも‥‥大事なことがあった。
 ドラゴンフライは銀の武器でも、魔法の武器でもない。そして、ユミルにはそれを補う魔法がなかったのだ。
 そして、殺到するスケルトン二体。
 貫く攻撃をかろうじて耐え抜くユミル。彼女の防具は頑丈だ。
 彼女の剛腕は次々と首をとらえ、威力でスケルトンを吹き飛ばす。背中からたたきつけられるスケルトンたち。
 だが、魔法の武器ではないためダメージにはならない。
「戦いが──終わらない」
 得物の選択を間違えてしまった。

「ナイン! 背中を任せろ」
 言ってユミルはナインと何とか背中合わせになる。死角は半分となる。これによりユミルの猛攻を潜り抜けた猛者はタイマソードの餌食になる。
「さて、何をして遊びましょう」
 ナインの赤い目がそれ自身の赤以外のそれで彩られていた。

 悲劇はトサをも巻き込む。
 彼がダーインスレイヴに見限られでもしたのか(あるいは呪いのためか)戦いがうまくいかない。
「剣が無ければ素手で殴ればよかろう!」
 顔面を血まみれにするトサ、その血潮がダーインスレイヴの気に召したらしい。
「はーはっは! 主人が分かったようだな。スケルトンども──あえて言うぞ
 トサはスケルトンを指さした。
「あえて言おう。おまえはもう──死んでいる」
 一撃一撃を確実に当てるトサ。戦技も魔法もない──無骨一遍の攻撃だ。
 だがダーインスレイヴの地力がそれを可能とするのであった。
 最後の一撃がスケルトンを肩口から脇腹まで、袈裟懸けを浴びせる。
 振りぬいたトサは疲れていた。だが、魂は太陽のように燃えている。
「この戦い──いつまで続く‥‥」

◆ぼっちなヤツだろスカルロード
 そして、スカルロードと一騎打ちするエクス。
 相手は剣の攻撃と、ケリ技を複合した体術で攻めてくる。
 このコンボでエクスは苦境に立たされた。
 相手は膝を中心に攻め立ててくる。明らかに動かせないようにする狙いか?
 エクスは自身の考えそのものが楽観──そう切り捨てる。
 相手の注意を一点に向けさせ、そこから逆転する。少し腕がいい武人ならそれくらいはやるだろう。
 スカルロードが間合いを調節する時間を活かし、攻撃に転じてエクス。しかし、根本的な誤謬があった、スカルロードと戦うのには、魔的な得物がないのだ。
 いくら、グリーヴァオニキリがいい品とはいえ、傷を負わせられなければ根本的に相手にならない。
 ルミナパワーは今は使えない。
 ともあれ、攻め立てても決定打にならず、いつ瘴気で戦闘不能になるかわからない。
 そして、終わらない戦いを続ける意味を見出せないエクスは叫んだ。
「全員撤収だ!」
 そう、帰りの分のマジカルトーチすら怪しい。
 つまり遺跡の真っ暗な中を手探りで歩く。
 ここから先まであえて行く理由はないだろう。
 トサとナインを総動員してスカルロードを打倒しても、光源がなければ探索にならない。

◆ピラミッドマンで締める
「ほうほう! 広場を出たら戦意は消えたのですか!」
 ブリーゲピラミッドから這う這うの体で出たハウンドたち。彼らから話を聞いた、ピラミッドマンは感慨深げにうなずく。
 頭のピラミッド飾りが落ちないのは、ピラミッドマンのピラミッドパワーゆえかもしれない。
「一種の呪いだったのかもしれないです! いえ、ひょっとしたら‥‥推論のための推論は言うべきではないです!」
 もっとも呪いかどうかは別として、あの場に呪いを解ける魔法を使えたものはいない。
 そして、しばらく目をつぶった後、ピラミッドマンは目を見開いた。
「キテます‥‥やはりこのピラミッドは、変な言い方になるが‥‥生きています‥‥!」
 一同は頭の上にクエスチョンマークを浮かべるが、その意味が分かるものはいなかった。
 そう‥‥本当の意味では。
 ──だから、ハウンドの戦いは‥‥つづく!



 6

参加者

a.くっ、これも瘴気の影響なのか…!?
エクス・カイザー(da1679)
♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火
a.よしわかった。目の前の敵を粉砕すれば良いのだな! 密を避けて粉砕だ!
トウカ・ダエジフ(da1841)
♀ 27歳 ダークエルフ ヴォルセルク 地
a.皆様、同士討ちの懸念がありますので、密は避けましょう(提案)
ナイン・ルーラ(da1856)
♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 水
a.賛成、賛成、ちょっと大型武器を振り回すんで密はやばいね。
ユミル・エクレール(da1912)
♀ 23歳 人間 ヴォルセルク 陽
a.これは私に対する挑戦と見たァ!!
トサ・カイザー(da1982)
♂ 26歳 人間 ヴォルセルク 陽
a.前に出るべさ。
エルシー・カル(da2004)
♀ 21歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地
 (へんじはない、ただのしかばねのようだ)
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


キテます!

ああ! 神秘のピラミッドパワーと空中殺法ががハウンドをむしばみます! 怒りにまかせて、闇の住人と戦ってはいけないのです! あ! ‥‥空中殺法は関係ないのです! キテます!