【HH04】夏祭り920

担当槻又ともこ
出発2020/08/29
種類イベント 日常
結果成功
MVPドール・ジョーカー(da1041)
準MVPレネット(da0035)
セース・エイソーア(da0925)

オープニング

◆ローレックの街で
 ハウンド達がサンドラで、遺跡の魔物退治やらを頑張っている中。
「サンドラも暑くて、砂嵐なんかもあって、大変そうだけど、街も結構暑いわよね‥‥」
 テア・ベルゴミは、汗を拭きつつローレックの街を歩いている。
 繁華街のメイン通りを歩く彼女の目に、作業中の街人の姿が映った。
 照りつける太陽を浴び、額や首を流れる汗を拭くのも忘れて、彼らは作業している。

登場キャラ

リプレイ

◆ローレック城の正面門。
 パレード直前。ハウンド達は引き締まった表情ながらも、瞳は輝き。
「ほら見てみなよ、皆、ワクワクでキラキラだろ?」
 アレッタ・レヴナントは、隣で複雑な表情を浮かべているレオン・ウィリアムズの衣装の袖を引っ張り、彼の顔を自分のほうへと向けさせると、ニッと歯を見せた。
 彼は低めの声で。
「だな‥‥」
 と一言だけ呟いた。手元を見ると、ドラムを叩くスティックを強く握りしめている。

 レオンがこのパレードの列に加わったのはついさっき。
 友人であるアレッタがこのパレードに出ると聞いて、声援を送る為に近づいただけだったのだが。
「レオンも一緒にどうだい? こういう場に出るの苦手ってんなら無理は言わないけどさ」
「む‥‥なんかそう言われたら参加しないわけにはいかないな‥‥あとで何か奢ってくれよな?」
「おっ、そう来てくれるなら嬉しいねぇ」
 そうして、パレードが動き出す。レオンはアレッタの後ろで表情を変えずにドラムを叩き始めた。

 正面門前を出たパレードが、メイン通りへと移動を始めると、通りで待っていた観客達の歓声があがった。
 サース・エイソーアはその歓声を聞くと。
「‥‥わあ、賑やか‥‥久しぶりの大舞台‥‥緊張する‥‥!」
 ソル・ラティアスからプレゼントされたハープを緊張で落とさないようにグッとつかみ音楽を奏でる。
 隣のソルも、サースからプレゼントされたアイスリュートを手に。
「‥‥祭りにゃたまにあるが、揃いも揃って奇跡みたいな集いさねぇ」
 ソルの氷のような外見のリュートを、観客の子供達が指を差して、涼しそうだねぇなどと声を上げている。
 目を輝かせる子供達を見て、サースも最高の笑顔で演奏を続けた。
 ソルが、そんなサースに顔を向けてお茶目にウィンク。
「こんな『稼ぎのいい面子』の音合いなんて、中々味わえませんぜ?」
 言うと、空に向かってリュートから吹雪を放った。
 空から冷たい水と氷が降ってくると、観客達からキャーと歓声が上がる。次に彼は。
「ハウンドも2年めとなりゃ馴染みも新顔も増えた増えた。ここらでちぃと覚えて帰りやしょうや」
 仲間達の紹介といきますか。と、ソルはサースにリュートの先を向けつつ彼女をイメージした曲を奏でるのだった。

◆シフール達のおまつりー!
 アンリルーラが隣の空に吹雪が上がったのを見て、わーっ! と声を上げた。
「ひとがいっぱいだね! おまつりー!」
 小さな掌を空に目いっぱいに広げて、楽しい空気を胸いっぱいに吸い込む。
 手にはカスタネット。それをリズムよくカタタンっと鳴らすと、隣のレネットが、歌声を披露。
 安定の可愛らしく美しい歌声である。
 レネットは、近くで不意にお腹にどしんと響くドラムの音や、明るいバグパイプの音色が聞こえてくると、その傍にパタパタと飛んでいき、即興で歌う。
 観客達から歓声と拍手が送られる。

 カシスは、観客に混じってパレードを楽しんでいる。
「今年はローレックの街を離れて活動する事が多いですが、折角のお祭りですもの。参加しなくてはなりませんね‥‥あたくしは、観覧参加でございますけども」
 ということで。目の前を通るシフール達に。
「あら、あら、まぁ、楽しそうでございますね」
「カシスみーっけ!」
「アンリルーラ様、お疲れ様でございますわ」
「うん! まだまだパレードはこれからだよー!」
 笑顔のアンリルーラの手には、パセリの杖。
「っていうことでー、カシスもえーい!」
 杖をカシスにペコンと振った。
「まぁ、なんだかとても楽しくなってきましたわ」
 いつもより少しだけ気持ちが高揚したような感覚を覚えた彼女は、その場で思わずクルリと一回転。
 アンリルーラは、カシスの下にいる観客達にも、杖をペコンと当てていく。
「うおぉぉ! 楽しくなってきた!」
 観客達が、アンリルーラのカスタネットに合わせてやんややんやと手を叩きだした。
 カシスも、右に左にと体を動かしながら、手を叩く。
 レネットも、そこにやってきて歌い出したが。
「あっ! お菓子配ってますの!」
 彼女は、仲間達がお菓子を配っているのを見つけると。
「私も食べたいですのっ下さいですのっ!」
 ぴゅーんと飛んでいったのだった。

◆剣舞と衣装とオマルドス
 桜色の口紅で艶やかさを増したドール・ジョーカー
 パレードの進行が一時止まると、ドールはウィップを振り上げ、地面に叩きつけた。
 パンッという鋭い音と共に、両手にダガーを携えたアイン・クロービスが隊から飛び出してきた。
「今度は負けないからな」
 去年は、全力のドールに怪我をさせまいと緊張しっぱなしだったアインだが、今年は‥‥。

 ドールはさながら獣を追い立てる狩人のように、息をつかせぬ勢いでウィップを振る。
 アインは彼女のウィップの動きを見据えて、ダガーでウィップを受け流しつつ。
「?!」
 ドールが目を見開いた。
 アインがウィップのしなりの隙をついて、間近に迫り、彼女のウイップを振る腕を掴むとその腰に手を回してきたのだ。
「やるわね」
「去年とは違うぞ!」
 言ってアインは、ドールを持ち上げるとクルリと回る。
 ドールのフワリと揺れた衣装が二人の動きを追って舞うと、観客から拍手と指笛が沸き上がった。

 ドミニク・レノーは、パレードの中間あたりでハープを奏でている。
 後ろについたショウ・ジョーカーが。
「去年よりも盛り上げていこうね!」
 と、肩を叩くので、彼女はそうだなと笑顔を見せ。
「楽しいパレードには、良き音楽、華やかな振る舞い、そして美しい英雄‥‥ま、俺は英雄ではないからね、音楽に徹するよ」
 それに、ショウは頷くと、じゃ、盛り上げてくるね! と、走り去っていった。
 ドミニクはそれを笑顔で見送る。顔を上げた拍子に暗い空と、点々と並ぶトーチの炎、観客達の笑顔が目に飛び込んでくる。
「今日は、良い夜になりそうだな」
 ドミニクが呟いたところに、カモミール・セリーザがグリーヴァリュートを持って近づいてきた。
「一緒にどう? この曲すごく盛り上がるのよね〜!」
 音楽を奏でる。
 ドミニクがハープをバグパイプに持ち替えた。
 1フレーズで完結する簡単な音楽にしばし耳を傾け。次のはじまりからバグパイプを合わす。
「さすがね〜、あっという間に」
 カモミールは呟いてから、観客達に簡単なダンスを披露。そして大きな声で。
「簡単だから、誰でも踊れるわよ〜! さ、みんなで一緒に〜!」
 リュートをベベンとかき鳴らした。

 こちらは観客の人込みの中。最前列に、飛竜型‥‥っぽいような、そうでないような青銅製ガーゴイルが鎮座している。
 その瞳はカモミールのほうをじっと見つめており。
「‥‥色々忙しいですがお祭りはきっちりやるんですねぇ。良い事ですぅ」
 脳に届いてくるカモミールの晴れ姿を眺めながら、パレードからは少し離れた、人の少ないベンチに腰掛けているのはカーミレ・セリーザ

 妹がパレードに参加するなら、のぞきにいきますよぉという感じなのだが。
「人込みは嫌いですし、見に来たことを見られたら調子のるじゃないですか」
 見事なツンデレであった。

 ショウは、ドミニクと離れると、パレードの列を自由に動き回っていた。
 彼の奏でるのはグリーヴァリュート。涼し気なユカタと相まって、彼の周りは異国情緒たっぷりである。
 ソルや、レネット、アレッタやドミニクの本気の顔を順番に眺めてきた彼は。
 そんな仲間の顔、好きだな。と心で呟きつつ。
「そろそろかな」
 と、リュートをグリーヴァヒゴユミに持ち替える。
 ショウは弓をかまえると、一風変わったアローをつがえた。
「変わった矢だねー!」
 子供達の声。
「面白いからよく耳を澄ましてね」
 ショウは言うと、弓を強く引き、カブラアローを射った。
 ヒョウっという音が鳴り、矢が空に飛んでいく。
 子供達は、その音に驚いた顔を見せてから、手を叩いて喜んだ。

 手を叩く子供達に紛れてパレードを眺めているのは、レティチェラ・サルトリオ
 仲間達の衣装を作り、それを渡すとあとは、パレードを見るほうへとまわった。
 テア・ベルゴミが通りかかる。
「レティチェラさんの作った衣装、大盛況よ!」
 彼女の体形に綺麗にフィットした衣装。
 『キラキラした衣装』というざっくりな要望にもしっかりと応えた、見事な仕上がりであった。
「最近故郷から出てきたばかりで知識がまだまだ足りないから、心配だったけど、気に入ってもらえてよかったわ~」
 人形のような唇から、ユルリとした口調が返ってくる。
 そこに、ショウが通りかかる。
「それ、レティチェラが? 裁縫上手なんだね、今度何か頼ませてよ、財布に余裕があるときだけど」
「ありがとう、うれしいわ~」
 ショウの申し出に、レティチェラはわずかな微笑みを浮かべた。

◆お菓子を配るよ!
「お菓子があるよって音楽が聞こえましたのっ、お菓子下さいですのっ」
 レネットが声をかけたのは、ハナ・サルタバルタ
 ソレイユ・ソルディアスのパンの笛は、シフールをも呼び寄せたようだ。
「はい、どうぞっ」
 ハナがお菓子をレネットに渡すと、彼女は。
「ありがとうですの~♪」
 と、器用に周りの音楽に音を合わせて歌いつつ、お菓子を抱えて飛んでいった。

 黄色い大輪の花をイメージしたワンピースを纏ったハナ。髪飾りも同じモチーフで統一しており、ソレイユも、胸元と頭に巻いた赤いバンダナに、ハナとお揃いの大輪の黄色い花のブローチをつけている。

 ソレイユは次々と寄ってくる子供達に、お菓子を配るハナを見て。
(普段あんま意識してないけど、やっぱ子供と一緒にいるハナを見てると『お姉さん』なんだな)
 と、心の中で思う。
 ハナが、ソレイユの視線に気が付いて彼の方を向いた。
「ソラの演奏は相変わらず楽しそうだね。芸の関係に秀でているの、すごいなって思う。こういうお祭りの時も楽しめるし」
「そうか? てゆうか、ハナは楽しめてないのか?」
「あ、いや、出来ないから楽しくないわけじゃないよ! 私は錬金術ばっかりで何もしてこなかったから‥‥あっお菓子だね、どうぞ!」
 寄ってきた子供にお菓子を渡す。
(こういう時、今までは見る専門になってたんだよね。だからここに来てソラに会ってからなんだ。パレードに参加するようになったの。楽しいなって思うから‥‥)
 こう繋げたかったが、今はお祭りの最中。また今度ゆっくりと伝えようと、ハナは心の中で思ったのだった。

 シース・エイソーアは、パレードの列に加わりお菓子を配る。
「はーい、お菓子だよ! う、受け取っても良いんだからね!」
 相変わらずの勝気っぷり。
 でも、子供達は彼女の素をお見通しなのか、寄ってきてはお菓子を受け取っていく。
 中には彼女をからかっていく子もいるが。
(皆、楽しんでくれてる、すごく嬉しい)
 彼女の連れているシーサー型のガガも、シースの手からお菓子を咥えていき、子供達に配っている。
 見た目怖そうなガガだが、一人がお菓子を受け取ると、珍しい物好きの子供達は、列をなしてお菓子を受け取ろうとしはじめた。
 同じようにお菓子を配るエクス・カイザーの元にも、沢山の子供達が集まっている。
 子供達の笑顔もだが、隣にいるシースが、楽しそうにお菓子を配る姿をとても嬉しく思いつつ。
(私が守りたいもの、見たいものはこの笑顔だな)
 彼女を心配させるので口には出さないが、傷つき倒れてもこの幸福と笑顔を守る、それが自分が目指す勇者の在り様なんだなと、彼は心の中で思うのだった。

 フレグス・カヴィンは魔法の絨毯に乗ってパレードに参加。
 ジャアファル・ジルフェもフレグスの絨毯に乗っている。
 絨毯からは、二匹の柴犬が尻尾をグルングルンと回し、口を開けてハッハッと息をしている。
 この柴犬達は二人のペットで、さながら観客に向かって笑顔を振りまいているようだった。
「魔法の絨毯か‥‥では、被り者だけでもサンドラ風にしてみるか」
 ジャアファルが妖精の謎袋の口を開いた。
「確か‥‥こうやって‥‥こう」
 出てきたのは三つの被り物。なんとなくサンドラ風だが、大きな目玉がゆるーい感じをかもし出してしまって、肩の力が抜けてしまうような出来ではあったが‥‥。
 ジャアファルはそれを被ると、小さい方を柴犬達にスポっと被せた。

「よし、じゃ僕もいきまっせ~、今回のは会心の出来やったで!」
 小さな籠に盛ったお菓子が、ほのかに光っている。
 アルケミーでお菓子が発光する粉を錬金したのだが、大成功したらしかった。
 籠のお菓子を絨毯から撒くと、大人も子供も光るお菓子に歓声をあげた。
「そや、先輩もどうです? 特別製や!」
 ジャアファルの口に、真っ青な小さいお菓子を放り込んだ。
「これはスーッとして美味いな」
 ジャアファルが言いながらフレグスのほうを向いた。
「あっ! 待っこっち向いちゃアカ‥‥ギャー! 寒い寒い寒い!」
 ジャアファルの口から吹雪が噴き出していた。
「すまない、大丈夫か? 成程、子供には危険だから、大人の悪戯菓子という訳だな?」
「‥‥キンッキンに冷えてもた‥‥うう‥‥なぜか焼き鳥食いたくなりましたわぁ」
 フレグスは言いながら、ジャアファルを隣に乗せた絨毯を、フラフラとパレードから離れさせていった。

 アクセル・ヘンドリースエワ・スイースソもお菓子を配る係を買って出ていた。
 アクセルは楽器も演奏できないのに俺がパレードに紛れ込んでもいいものか‥‥と悩んでいたのだが。
 スエワに。
「よーし、アクセル、私達も楽しく頑張って参加しようね!」
 とも言われたし。
 楽しめないのかといわれれば、そういう訳でもない‥‥ということで。
 二人はパレードの横を、お菓子を配りながら歩く。

「それにしてもお菓子美味しそうだね! 子供達だけなんだ、残念!」
「だよな。腹も減ったし一個つまんでもバレないんじゃ‥‥わー! 嘘嘘! 食べないから安心しろ!」
「え、アクセルも同じこと考えていたの!?」
 スエワがアハハと元気に笑う。アクセルもそれにつられて苦笑い。
「確かに美味しそうだからね、お菓子!」
「おねーちゃん、お菓子ちょうだい!」
 子供が寄ってくる。
「はいどうぞ、美味しいお菓子だよ!」
 小さな手にお菓子を渡す。

「ところでスエワは、芸事も得意らしいな?」
「ん? じゃあちょっとやってみますか!」
 スエワはお菓子の籠をアクセルに渡すと、その場で側転、バック転と身軽に動きつつ演技を披露。
 観客達から拍手が起こると、スエワは笑顔でおじぎ。
「意外だったでしょ!?」
 スエワは目を真ん丸にしたアクセルに向かって、いたずらっぽい笑みを浮かべた。

 その懐には、特別にラッピングしたお菓子を忍ばせている。パレードが終わったら、まだまだ続く夏を最後まで楽しもうねっと言って、彼に渡すつもりである。
 それを貰った彼はきっと、すぐに食べるのはもったいないと、大切にしまうのだろう。

「はーい、皆、お菓子ですにゃー!」
 セース・エイソーアは猫耳に尻尾をつけた衣装でお菓子を配っている。
「猫ちゃん、お菓子ちょうだいー!」
 子供達が寄ってくる。
「わわ、尻尾引っ張っちゃダメですにゃー!」
 慌てる様子に子供達はさらに大喜び。
「大人の皆様もどうぞですにゃー!」
 大人にもお菓子を配る。謎の(猫耳少女萌えな)視線で見られたりもしたけど気にしない!
「さあ、どんどん盛り上がっていきますにゃ!」

 パメラ・ミストラルは、羊皮紙に『お菓子配ってます』という文字と、簡単なお菓子の絵を添えたものを持ち、手作りのお菓子を配っている。
 料理の得意な彼女のクッキーは、食べた子供がもう一度貰いに来るほど。
 喉に横一筋の古傷が痛々しいが、今は楽しく騒々しいパレード。
 声が届きづらく、ジェスチャーで会話をする観客達も多く。
 同じようにジェスチャーを使いお菓子を配る彼女が、まさか声が出せないと思う者もさほどおらず。
(アレにはできるだけ近づかないように)
 パメラはそう心で唱える。
 『歌』は声を出せる者のみが成しえることだから。声が出ていたころを思い出すソレには近づかないように。

 ラファロはおめかししてお菓子配り。
 甘い林檎の香油の香りにつられて、子供達寄ってくる。
 月の光に輝くドレスに、ハイヒール。
 角にはリボンをつけて。
「ごきげんよう!どうぞですわ!」
 怖がられはしないだろうかという、少しの不安も残っていたが、そんな心配は全く不要だった。
「可愛いわね! ドレス、すてきよ!」
 観客の女性に褒められて、頬を赤らめるラファロ。
 お菓子の籠を持ち女性に近づき、お菓子を差し出す。
「おいしいおかしは、しあわせになりますもの。ぜひたべてほしいですわ!」
「ありがとう、あなたに貰えるとしあわせな気分ももっと増えそうだわ」
 お菓子を摘まんで、ニコリとした女性に、ラファロは自分も幸せな気分になったような気がした。

 ケイナ・エクレールは修道服姿でお菓子を配る。
「面倒臭いが敬虔なる女神様の使徒たるわしが、お菓子を配るのじゃ」
 そんなことを言いつつ配るお菓子は、予めしっかり準備しており。
(そうそう、わしの恰好はこすぷれではないぞ。この格好は敬虔なる女神様の使徒の様式美じゃ)
 などと心の中で思いつつ。
(わしの様な美女が微笑みながらお菓子を配れば信徒も増えてウハウハじゃ‥‥勿論、冗談じゃ)
 なんてことも考え、表情がクルクルと変わるケイナ。
 そんな彼女を子供達はじーっと眺めた後。
「綺麗なおねーちゃん、お菓子ちょうだい?」
「お、おぉ、考え事をしておったぞ、ほれ、心して食せよ」
 ケイナが笑顔で優しくお菓子配る。

「でないと女神様のバチが当たるからのう。それに‥‥良い事をした後の酒は多分最高に美味かろうからな」
 小さく呟いた彼女の言葉は、祭りの喧騒にかき消されたので、まぁ良しとしよう。

 そうしてパレードは盛況のうちに幕を閉じた。

◆そして露店へ
 エクスとシースは、露店の前で立ち止まる。
「エクスさん、お疲れ様‥‥えっと、今日はすごく楽しかった‥‥ありがとう」
 エクスは真っ赤になりながら言う彼女に、笑顔で頷いた。
 シースは歩き出すエクスの手をそっと握る。
 そして、もう少しだけ夏の終わりを楽しもうと、一緒に歩き出した。

 アレッタは、露店の主人から肉の串焼きを受け取ると、隣のレオンに手渡した。
「な、楽しかったろ?」
「みんなの音色が合わさって、悪くなかったな‥‥俺は奴隷だったから‥‥奴隷時代の見世物のようなそんなのを思い出すから人前は苦手なんだ‥‥誰かに合わせるのは苦手だし」
 レオンはここで肉の串焼きをパクリ。一息ついてから言葉を続ける。
「‥‥でもまあ、今日のは悪くなかった。楽しかったとは思う」
 言って彼は、はにかんだ笑顔を浮かべた。

◆広場で一休みも
 アインとドールは、ヴァルキュリエ像の広場から少し離れた川沿いに並んで、一休み。
「楽しかったな」
「そうね! 本当に‥‥」
 言葉を止めたドールにアインが視線を向けると、ドールの長いまつ毛が目の前に迫っていた。
 ドールは、アインのXの刺青に唇をつけると、身を引いてからニコリとした。
「深い意味はないわよ。愛しくなっちゃっただけ」
 目を見開いていたアインだが、ドールのその笑顔に照れたような表情を向けると。
「そうか」
 と、呟いた。

 サースとソルの二人は、観客がまばらになったヴァルキュリエ像の広場で。
 サースは、飲み物で喉を潤すと。
「夏の夜の夢ももう終わり‥‥ちょっと寂しいね‥‥」
「なに、季節は巡るもんですぜ」
 ソルの言葉に、笑顔で頷いたサースは、空を見上げて、夏の終わりの歌を口ずさむ。
 真っ暗な空に、澄んだ歌声はどこまでも響いていくようだった。

 カモミールはパレードを終え、メインの通りから少し離れた場所を歩いていると、見慣れた家族の姿を見つけた。
 目があった。
「良かったら座りますぅ?」
 カーミレが隣を勧めてきた。
 カモミールが隣に座ると、しばし沈黙。そして、カーミレがコホンと咳払い。
「まぁ、良かったんじゃないですぅ?」
 聞いたカモミールは、そう? と呟いてから、空を見上げた。

 そこから少し離れた通りの隅では、セースが大きく背伸び。
「もう夏も終わりかー、早いなー」
 それを少しだけ寂しく感じつつ。
「でももう少しだけ、このままで」
 彼女は涼しくなってきた風を感じながら、猫耳と尻尾を揺らしたのだった。



 14

参加者

a.ハウンドならではの顔ぶれさねぇ。さぁ準備はいいですかぃ?
ソル・ラティアス(da0018)
♂ 28歳 人間 パドマ 月
a.うたっちゃうー?おどっちゃう〜??
アンリルーラ(da0020)
♀ ?歳 シフール カムイ 水
a.さて、今年はどんな剣舞になるか、楽しみだな。
アイン・クロービス(da0025)
♂ 32歳 人間 ヴォルセルク 陽
a.お歌歌ったり踊ったりしますのっ♪
レネット(da0035)
♀ ?歳 シフール パドマ 陽
c.あら、あら、まぁ…うふふ。楽しそうなパレードです事
カシス(da0412)
♀ ?歳 シフール マイスター 月
a.こーゆーの久しぶりって感じ! いやデートにかまけてたとかそんなんじゃ…
ショウ・ジョーカー(da0595)
♂ 20歳 人間 カムイ 月
a.おっ、そう来てくれるなら嬉しいねぇ、さ、盛り上げようじゃあないか。
アレッタ・レヴナント(da0637)
♀ 25歳 人間 パドマ 月
a.はいはい、ここは詩人の見せ場ね~
カモミール・セリーザ(da0676)
♀ 31歳 ライトエルフ パドマ 陽
a.難しい事抜きでとりあえず楽しむ!
ソレイユ・ソルディアス(da0740)
♂ 21歳 人間 ヴォルセルク 陽
a.久し振りの大舞台、緊張する…!
サース・エイソーア(da0923)
♀ 20歳 ライトエルフ カムイ 月
b.楽しくいきますにゃー!
セース・エイソーア(da0925)
♀ 20歳 ライトエルフ カムイ 陽
b.が、頑張るんだから!
シース・エイソーア(da0926)
♀ 20歳 ダークエルフ マイスター 月
a.昨年より盛り上げなくっちゃね! アイン、覚悟はいいかしら? なんてね♪
ドール・ジョーカー(da1041)
♀ 24歳 人間 パドマ 陽
b.(主人に代わって愛想を振りまく柴犬)
ジャアファル・ジルフェ(da1631)
♂ 19歳 人間 マイスター 陽
b.我がお姫様、何なりとお付き合いしますよ(シースさんに手を差し出して)
エクス・カイザー(da1679)
♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火
a.わー、やっぱり賑やかだね
ハナ・サルタバルタ(da1701)
♀ 23歳 人間 マイスター 地
a.行進を盛り上げる為の音楽を。さて、どの楽器がお好みかな?
ドミニク・レノー(da1716)
♀ 25歳 ライトエルフ パドマ 水
c.こそ)妹の晴れ舞台覗かせていただきますねぇ。オマルドス君頼んだですぅ。
カーミレ・セリーザ(da1860)
♀ 41歳 ライトエルフ マイスター 水
b.よーし、頑張るぞ!
スエワ・スイースソ(da1898)
♀ 22歳 ダークエルフ マイスター 陽
b.おかしくばりますわ!いっぱいのひとがたべたらいっぱいしあわせですもの!
ラファロ(da1940)
♀ ?歳 キティドラゴン ヴォルセルク 火
z.お洋服作るの、お手伝いしてええならお手伝いするんよ。
レティチェラ・サルトリオ(da1954)
♀ 19歳 ライトエルフ マイスター 陽
a.む…なんかそう言われたら参加しないわけにはいかないな…
レオン・ウィリアムズ(da1974)
♂ 26歳 人間 カムイ 風
b.ちょっとした驚きも暑さに疲れた心にはええ清涼剤になると…思う!(ぐっ
フレグス・カヴィン(da1977)
♂ 25歳 人間 マイスター 陽
b.まあ、お菓子を配るのじゃ。
ケイナ・エクレール(da1988)
♀ 30歳 人間 カムイ 火
b.よろしくお願いします。
アクセル・ヘンドリー(da1992)
♂ 24歳 ダークエルフ ヴォルセルク 月
b.(羊皮紙に)『私は子供たちにお菓子くばりますよ。』
パメラ・ミストラル(da2002)
♀ 19歳 人間 カムイ 月
 ちょっとの間だけど、楽しむわよー!
テア・ベルゴミ(dz0038)
♀ 30歳 人間 マイスター 陽


夏祭りだ!

サンドラで疲弊した心と体をリフレッシュ♪