仮面に隠した邪な心

担当成瀬丈二
出発2020/07/20
種類ショート 冒険(討伐)
結果成功
MVPセイ・ローガン(da1834)
準MVPエア・カイザー(da1849)
エクス・カイザー(da1679)

オープニング

◆ウラート最後の夜
「さて、どこから切り出したものか?」
 その仮面の女性は鈴を震わすような声で、テーブルの対面に座る自身の元部下に宣告した。
「ハウンドに破れて船を失った‥‥それはよしとしよう」
 元部下‥‥海賊船の船長はほっと息を吐きだした。
「だが、再起するから、資金の提供をしろ? 恥を知れ」

登場キャラ

リプレイ

◆ラブ・サバイバー
 海賊団を殲滅したハウンドたち。
 その海賊団の生き残りが、彼らの黒幕のもとに逃げ込んだ。
 ハウンドは追い詰める。シンプルだが、他に言いようがない。
 ──結論、ぶっとばせ!
 黒幕の使っている倉庫の近くで、エア・カイザーが言うには‥‥。
「ここはNINJAっぽく忍び込み、背後からの奇襲と行こうか」
 ‥‥だった。まじめに返す、セイ・ローガンだったが、その言葉は疑問形だ。
「NINJAってなんだ?」
「グリーヴァめいたものだよ、きっと。『フーリンカザン』や『チクショウバタラキ』とかといっしょでね」
「‥‥さよか」
 まあ、NINJAは一部のモンスターにはそういう表現もあるのだが‥‥。
 ここはエアのグリーヴァ愛のなせる業だ。
 ふたりの潜入が状況の決め手になるのだが、今はそれを語る時ではない。

◆ブレイクスルー・ザ・ナイト
「みなさんこんばんわや、はうんどのものやで!」
 扉を開けると、シフールのガーベラが飛び込む。
「我らハウンドを恐れる臆病者か!? し、死んでるー?」
 言いながら、エクス・カイザーが、グリーヴァオニキリを片手で大きくふり回そうとして、動きが止まる。
 倒されたテーブルの脇には、海賊船の船長が倒れていた。多分、死んでいるだろう。
(何か知らんが大物を引き当てたみたいだね)
 それとは対照的に、ユミル・エクレールが、アイアスシールドと瞑想剣エアリオラを携え進み出る。
「ユ‥‥」
 そこまで言ったところでエクスは殺気を感じ取った。しかし、それを伝え終わる前に!
「──BOWWOW!」
 同時に扉の両脇に潜んでいた、ウルフたちがユミルに不意打ちをしかける。
 右から襲うウルフはエアリオラで、さばこうとしたが叶わず、グリーヴァーアーマーなどの装甲に任せる。
 彼女としては防具の厚みを最大に活かしたいところだが、それを可能とする戦技魔法は今の彼女の『属性』では不可能だ。
 左からのウルフの攻撃は、アキレス腱を狙ったもので、どうやらこちらが本命だったらしい。とはいえ、ユミルはアイアスシールドで危なげなく防いだ。
 操る猛獣使いは、どうやら犬笛の類で操っているらしいとエクスは看破した。

◆オーバーシュート!
「あ~面倒臭いのじゃ」
 とは、ケイナ・エクレールの弁だった。この赤毛の女性は、眠たげな表情をシスター服の上に載せている。
「早く前に出んか、女神は拙速を良しとすると思うのじゃ‥‥多分のう」
 エルヴンロングボウを構えたケイナに、後ろから、シェール・エクレールがささやく。
「何か違う‥‥でも、大物を引き当てたようですよ」
「うむ、任せたのじゃ。シェールよ──仔細は任せるから、何とかして前にいる連中を‥‥」
 シェールはプロキシマを成就して、ライジョウドウを手に、ウルフたちと肉弾戦の間合いを取る。
 カムイならでは戦い方だ。
「みなさん、ここは任せるのですよ。私はこのザコウルフを相手にするのです」
 彼女の言葉にケイナは──。
「あちゃー、シェールは熱血くんじゃったか! 適当に表に引き出せ、そしたらワシの弓が物を言うのじゃ」
 うなずくシェール。
「委細承知です! 行ってくださいふたりとも」
 エクスとユミルは顔を見合わせ、走り出す。

◆ハイド・イン・シャドウ
 仮面の女性を、エクスとユミルは見た。
 黒いローブを身にまとい、仮面に顔を半ばまで隠した女性だ。
 ユミルは彼女が、非常にシュミの悪い女貴族だと気づいた。
 多分、人の命など塵芥にも思っていない。
 まるで、女貴族は壊れたオモチャを見るかのような視線で、海賊船船長を見下ろしている。
「オバサンのオイタもここまでだね」
 ユミルが罵詈雑言を並べて、挑発しようとするが、相手は無感動な視線を向けている‥‥らしい。
「今回の戦いに慈悲は無用だ」
 黙ってみているふりをして、エクスプロージョンを成就し終えた段階で、エクスが吐き捨てるように言う。
 しかし、魔物使いが操る、キングコブラの接近には──エクスは気づいた。
「跳べ! ユミル」
「──!」
 その声とともに、大きく舞う、ふたりのヴォルセルク!
 そこに三メートルはあろうかという大蛇──キングコブラだ──が二匹襲い掛かる。
「殺気を感じなければ、危ない所だったか」
 エクスは殺気を感じ取り、とっさに退いた。しかし、それがなければ海賊船船長のような目にあっていただろう。
 そこに鞭を持った男が現れる。ひとりではない、ふたり組である。
 つまり、キングコブラを操っていた魔物使いと、ウルフを操っていた猛獣使いだ。
「任せた、ここは退く──お前らは自力で来い!」
 言って女貴族は踵を返し、裏口ではないかと推測される方に走る。
 多分、人間であるふたり組が加われば、キングコブラの動きは予想はつかない。
「ならば──最速最短だ!」
 グリーヴァ・オニギリを捨てるエクス。それと同時の手早い動きでキングコブラのリーチ内に飛び込む。
「落ちろ!」
 エクスの刺激に、首のあたりを広げ、ドラゴングラスのような紋章を出すキングコブラ。
 そんな威嚇に仔細構わず、エクスの拳が接触、恐れを知らぬ戦い方だ。
 タイミングを合わせてエクスプロージョンの魔力が叩き込まれる。
「SHAA──!」
 悶絶する、キングコブラ。
 次の瞬間、女貴族が煙に紛れた!

◆エンド・オブ・ゲーム
 煙を起こしたのは、セイのゆかいな仲間たちであった。
 決して魔法ではない。だが効果は変わらない。
 周囲が唐突に見えなくなり、そこにセイとエアは忍び玉を放り込む。
 数秒後轟く炸裂音──続く悲鳴。
「エア、全くムチャばかりする‥‥」
 セイが言うが、裏口を発見したのは彼女たちのドロボウや義賊としてのカンである。
 一種、女神からの導き──そう言い換えてもいいかもしれない。
 それが組み合わされれば、一方的な奇襲もありうるのだ。
 エアは笑う。
「でも、セイは実行してくれるって信じてたから──」
 言うエアは空中にいる、スカイランニングの魔法だ。
「あっそ」
 そっけないセイ。

 その頃、ウルフを排除したケイナとシェールは、ユミルとエクスの支援に入っていた。
「ふむふむ、典型的な初見殺しじゃのう。死体──いやまだ生きておるがのう──さえ置いておかなければバレずにすんだのじゃろうに」
 ケイナにキングコブラの知識はないが、一般論としての暗殺術に関してケイナは述べる。
(もし、誰か噛みつかれておったら、わしではどうにもならんかったのう)
 傷は癒えるかもしれないが、未知の毒相手では魔法なしではフォローは難しい。
「それより、早くあっちの鞭使い倒そう?」
 シェールがユミルがそれなりに手こずっているキングコブラに矢を射こむ。
 ユミルも血のつながり故のコンビネーションか、互いを最大に引き出し合う連携が取れているのだ。
 ユミルが守り、エクスが魔法の成就というタメの後で、エクスプロージョンを叩きこむ。
 そんな形でキングコブラの戦いは終焉を迎えようとしていた。「そこまでだよ! バーバレラの身柄は抑えた!」
 セイが宣言する。
 どうやら、女貴族の名前はバーバレラというらしい。
「ウーディアに逃げるどころか、オーディア島できついお裁きが待っているからね、覚悟しな」
 仮面を外された女貴族はエアの手により、戒められていた。
「君たちの負けだよ! さあて、賞金どれくらい貰えるかな?」
 エアのウィンクで戦いは終わりを告げた。
 ──しかし、ハウンドの戦いは‥‥つづく!



 6

参加者

a.正面から正々堂々と乗り込むか。 さて、どんな手を使ってくるか…
エクス・カイザー(da1679)
♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火
c.後衛というか、裏から回り込んでみるかね
セイ・ローガン(da1834)
♀ 41歳 ドワーフ ヴォルセルク 火
c.ここはNINJAっぽく忍び込み、背後からの奇襲と行こうか
エア・カイザー(da1849)
♀ 28歳 人間 ヴォルセルク 風
b.援護射撃、回復がメインです。
シェール・エクレール(da1900)
♀ 19歳 人間 カムイ 風
a.まあ、前に出るよ。
ユミル・エクレール(da1912)
♀ 23歳 人間 ヴォルセルク 陽
b.援護射撃と回復じゃ。
ケイナ・エクレール(da1988)
♀ 30歳 人間 カムイ 火
 な、なんや、げろいかのにおいがぷんぷんするでッー!
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


ハウンド暴力はいいぞ

わたしの求める美食はまだ遠いわ。