シフールマルカジリ

担当成瀬丈二
出発2020/07/01
種類ショート 冒険(討伐)
結果成功
MVPエルマー・メスロン(da1576)
準MVPベドウィール・ブランウェン(da1124)
シェール・エクレール(da1900)

オープニング

◆シフールダメゼッタイ!
 アルビニオでちょっとしたバカンスを楽しむハウンドたち。
 森の近くを進む、彼らの前に変わった看板が立てられていた。
『シフールダメゼッタイ』
 看板というにはあまりにおおざっぱで小さい。
 それを石で、地面に打ち込もうとするシフールの姿があった。

登場キャラ

リプレイ

◆しなやかに、プロローグ
「ガーベラさまがあった相手でしたら、ダークジャイアントトードかもしれないですの」
 シフールのレミーラが、自身の持っている知識から、ガーベラが過去に出会った、その魔物を特定しようとする。
「‥‥ですけどシフール狙いならレミタンがおとりに‥‥ですが囲まれてしまうとピンチなので、どうか護ってくださいませ? まじめな話、レミタンは争い事は好きでありませんのでこうして体をはるくらいしか役にたてないのではと‥‥ガーベラさまはなにもせずとも誘き出せそうでスゴいですの」
「なんでやねん」
 ガーベラが裏拳でレミタンにツッコミを入れようとしたが、『レミタンの騎士様』がその凶手をやんわりと受け止める。
 誰だ? そう、ソルム・タタルだ。
「まあ、ダークジャイアントトードというセンはないのである」
 マジメな表情で、ノワール・トゥーナインは断言した。
「まったく、ジャイアントトードでも何でも、シフールを食べるなどとんでもない!! 今の自分があるのは半分、いや、八割方シフール達のおかげである! シフールを害する等、天が許してもこの自分が許さぬわ! 安心するが良い! 我が友、シフールを護る為ならば此の命、賭ける事に僅かの躊躇いも無いのである!」
「ノワールあつ、い」
 去年の記憶を思い起こし、苦い顔を無表情の範疇で作る、ソレイユ・フォリー
(ソイツの、存在、ダメ、ゼッタイ、なんてネ! ククッ♪)
「ノワールが、シフールを、護るなら、私は、ノワールを、護ります。ノワール、シフール、の、事に、なると、周り、見えなく、なります。私が、ノワールの、目に、なります。シフール、助かれば、ノワール、喜び、ます。私も、嬉しい、です」
「我が輩も嬉しいのである」
 ノワールの言葉に頬を微かに赤くするソレイユ。
 一方、エルマー・メスロンは言葉を添える。
「ダークジャイアントトードはディスミゼルしたのである──あれは去年の年末の事であった」
「レミタンさん、その線は消えただろ」
 ディスミゼルすれば、もうその魔物はいなくなる。そう、ソルムは付け加えた。
「疑うのは間違いとはいいませんが、相手はダークトロールと考えますよ」
 笑みを浮かべて、ベドウィール・ブランウェンが言葉を添える。
「真正面から力押しで倒し切るには少々面倒な相手ですね‥‥?」
 と、切り出す。
「相手の再生をどうするか、如何にして相手を日光の中に引きだすか、それがカギになりそうですね‥‥リザ、何を考えているのです? 明日の朝食の事ですか」
「ウィール? 人を食欲魔人みたいにいわないでよ。ねえ、相手がダークトロールだとすれば、ウィールもルミナパワーいるよね? 体力あるし回復力高いしで大変な相手ぽいけど、再生能力を上回るダメージを与えていければなんとか‥‥! ‥‥なるといいなあ」
 リザ・アレクサンデルの言葉に、シェール・エクレールは手のひらを拳で打つ。
「見事な脳筋なのです。でも、べドウィールさんの言う通り、相手の得意なフィールドで戦う必要はないのです、決闘ならいざ知らず、ラクに勝ってはいけない理由はないでしょう」
 ベドウィールは説明する。ダークトロールは日光に弱く、陽ざしの下では、再生も魔物法も使えないのだ。
 一同は思った。
 ──ラクをしよう──と。

◆いきなりクライマックス!
「ということで先行偵察します。見つけたら、みなに合図をします。私は間合いを弓矢向けに取りますから」
 シェールが全身に土や葉の匂いを付着させて前に出る。
 これも必要以上に相手を警戒させない様にだ。
 初夏の日差しの中、大型生物の足跡を探す。
 なお、サムを含む、シフールたちは退避している。
 キロ単位で風下にいるシフールを誘引する、ダークトロールの特殊な芳香を避けるためだ。
 三メートルを軽々と超す、大型の生き物となれば、動けばそれなりに痕跡を残すものだ。
「イビキとは太平楽です」
 それは小さな洞窟から聞こえる音だった。
 正直聞き苦しい。
 シェールは合図して、一同が場所どりをしたのを見ると、自身は最大射程に位置取りをする。
(さあ、ゲーム開始です)
 心の中で呟くと、彼女は火矢を洞窟に射こんだ。
 ──数秒後、聞き苦しい叫び声をあげて、爛れたような顔面をしたダークトロールが姿を現した。
(なかなか強敵そうですね)
「傷、治るって、致命傷も、治るのカナ? 試してみよっカ?」
 鎌を片手に躍りかかるソレイユ。
「此処は退かぬ! 退く訳には行かぬ! みな我が勇姿、其の目に焼き付けよ!」
 ノワールもグリーヴァオオダチを手に間合いを詰める。
 ‥‥その巨体は黒鉄の城の如し!
「──」
「いくのである、我が相棒」
 エルマーが連れてきたヘラジカに叱咤するが、ヘラジカは動こうとしない。
「ならば‥‥肉体労働は不得手だが‥‥」
 ラッキーヒットを狙い、レーヴァティンを鎖状にして打ち据える。
 熱い一撃を浴びて、声を漏らすダークトロール。
「ふむ、さすがレーヴァティン‥‥よく燃える」
「グオオ!」
 ダークトロールが唸り声とともにエルマーに迫ってくる。
「させぬのだ!」
 ノワールが前に立ちはだかる。そこに巨大なこん棒を振り下ろされた。
 ガシッ!
 グリーヴァオオダチを両手で持ち、ノワールは辛うじて、受け止める。事前に戦技魔法マルチパーングを成就していなければ、受けるのには間に合わなかっただろう。
「ふむ、確かに重いのである」
 後ろからリザのブレードofローレライが伸びる。べドウィールがミタマギリを付与し、相手の魔力を削り倒すのだ。
 思い返すのは先ほどの会話。
「リザ、相手の魔力を打ち破れれば、三回で‥‥最短三回で相手を気絶に追い込めます」
「うん、ウィールは本当に計算高いよね‥‥」
 リザの言葉にベドウィールは──。
「搦手が得意なだけです。正面突破が全てではないはずですから」
 ──と返した。
「ウィールの理屈では、ね」
 べドウィールの声にほほえみで返すリザ。
「なあに、あと二回ですよ」

「ひとりの攻撃は、避けれても、ふたり同時、なら、どうですか?」
 ソレイユの撃ち込みに呼吸を合わせて、ノワールも豪剣一閃!
 両者ともに深々と突き刺さる。
「ふーん? まだ、死なない、んだ。だったら‥‥死ぬ、まで刻もうっと、いいよ、ね」
 ソレイユの笑顔は狂気めいていた。
 そこにソルムとベドウィールが回り込み強襲。
 ベドウィールが自身のカゲヌイブレードに付与した、ミタマギリでダークトロールの魔力を削る。
 ソルムがレーヴァティンで強襲をかけた。
 ダークトロールが膝をつく。そこに伸びたリザのローレライがトドメとなり、昏倒する。
 女神ではなく死神のようにソレイユは首を刈った。

◆ラストエンカウント
「ありがとう、コモンらよ」
 近くの木から声がした。トレントと分かる者はいないが、百年近い樹齢と思われる古木だった。
「森の中で火を使ったのは、我らである。ダークトロールを撃つ為故。どうか謝罪を受けて入れて頂けないだろうか? 『じいちゃん』」
 エルマーがその木に向かい話しかける。
「ほう? よくわかっておる。だが、謝罪は受け入れよう。そこにおる妖獣も放置するがいい。やがて、地に還り、大地を肥やすであろう」
 あれ? こんな木あったっけ? とシェールは首をかしげる。
 尋ねると。
 歩いてきたとのこと。
「手助けをするまでもなかったか。そなたらの名を聞かせてもらえぬか」
「とおりすがりのハウンドですの!」
 レミタンが断言した。

◆さわやかに、エピローグ
 一同は旅路に復す。そのさなかで──。
「ソレイユ、汝は我が輩の最高の相棒である」
「ノワール──それ、以上は、恥ずか、しい」
 ノワールの中で、シフールへの好感度が減じたわけではない。そう、思いはとどいた‥‥ソレイユはそう思いたい。
「しかし、ダークトロールは狩っても食べられないのです‥‥まあ、妖獣とはいえコモンですし」
 惜しそうにシェリルが呟いた。
「だよね? ウィール」
「リザ、何が言いたいのですか?」
 リザの微妙な疑問形と視線に、幼馴染のべドウィールは冷静に返す。
「ふうむ‥‥トレントとは興味深いのである。また会えるのだろうか?」
 エルマーは不可思議な現象‥‥つまりトレントが未知の存在と知り、少し嬉しそうだ。
「やっぱり、ソルムさまは、わたくしの騎士ですの♪」
 レミタンは満面の笑顔を、自らの騎士に向ける。
「──‥‥」
 ソルムはひどく赤面した。
 ともあれ──ハウンドの人生は‥‥つづく!



 7

参加者

b.シフール狙いならダークトロールかなあ…?再生能力高いのがキツいよね。
リザ・アレクサンデル(da0911)
♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水
a.真正面から力押しで倒し切るには少々面倒な相手ですね…?
ベドウィール・ブランウェン(da1124)
♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月
c.何時ものように呪いで援護するのだよ。
エルマー・メスロン(da1576)
♂ 51歳 ダークエルフ パドマ 陽
a.シフールを、食べるなんて、とんでもない
ノワール・トゥーナイン(da1749)
♂ 29歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 風
c.レミタンがおとりになりますの。…きっと騎士さまが護ってくださります♪
レミーラ(da1790)
♀ ?歳 シフール カムイ 水
a.オマエの、存在、ダメ、ゼッタイ、なんてネ!ククッ♪
ソレイユ・フォリー(da1795)
♀ 22歳 カーシー(小型) ヴォルセルク 陽
b.なかなか強敵そうですね。
シェール・エクレール(da1900)
♀ 19歳 人間 カムイ 風
a.俺のレーヴァティンなら傷は癒えにくい。攻撃を重ねてダメージを蓄積させる
ソルム・タタル(da1979)
♂ 25歳 ダークエルフ ヴォルセルク 地
 うーん、しふーるくうんか? どこかであったような‥‥。
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


オジイチャンどうしたの

ああ、サムかダークサイドが来たのじゃ。魔法を撃ちこんでもすぐ、傷がふさがるから気をつけるのじゃよ。奴はシフールが大好物だ‥‥。