兄弟喧嘩は竜犬も食わぬ?

担当成瀬丈二
出発2020/06/21
種類ショート 冒険(他)
結果成功
MVPレミーラ(da1790)
準MVPアンカ・ダエジフ(da1743)

オープニング


 あなたはオックス湖に住むレイクオルカという動物を知っているだろうか?
 人々からオッシーなど呼ばれた、淡水域に生息するシャチだ。
 まあ、舞台となるのは、オーディア島ではない。

 レイクオルカの兄弟が住むのは、グレコニアの湖──そこで、喧嘩が始まっていた。

登場キャラ

リプレイ

◆全ての騎士たちへ
 湖の岸辺で、シフールの少女、レミタンことレミーラが悲し気な表情を浮かべている。
 その先には美しい軌跡を描くローレライでの激しい斬り合いをする、レイクオルカのネプチューンとポセイドンの闘争があった。
「レイクオルカのご兄弟がケンカ中と聞きましたが‥‥想像を越える激しさですの、ケガが治せると言っても、取り返しのつかない結果もあり得ますし、レミタン動物の皆々様とおしゃべりできますので、おふた方に原因をきいてみたいですの☆ ‥‥ですが水の刃が飛び交ってますので、どなたかに護っていただきたく‥‥まぁ‥‥まぁまぁ! レミタンの騎士さまになってくださいますの?」
「へへ、騎士様か。持ち上げられたからには、良いところ見せたいな! まあ、喧嘩するのは結構だが──と、言いたいところだが傍迷惑が過ぎるんだよ」
 ソルム・タタルが言いながら、レミタンを守るように彼女の(物理的に)下に位置する。
「喧嘩するほど仲が良いという言葉もあるがのう──なんとかの喧嘩は犬も食わぬと言うし、双方離れた所へ去んでもらうのじゃ」
 言いながら、エイル・グラシアが魔法の杖を持ち直す。
「根拠の無い勘‥‥ま、まぁ、虫の知らせというのもあるしのう。何やらあるかもしれん」
「ソルム、騎士か──格好いいな‥‥レミタン、おいらで良ければ騎士になるぜ」
 結構ポジティブなキティドラゴンの、グドラの言葉。
「よーし、皆でレミーラを守るぞー!! おーい、何だか知らないけど喧嘩は止せー」
 堂々とネプチューンとポセイドンに、声をかけるグドラ。
「やめましょう!」
 レミタンは空を飛んで二匹の間に割り込む。
「まずは落ち着いて‥‥怒りにまかせないで‥‥お互いがいなければケンカもできませんのよ? 後悔する前にどうか‥‥」
 シフールとして動物語に長けたレミタンはエンパシーの魔法を使う事で、レイクオルカたちは落ち着き話を聞いてくれる。

◆レミタンの涙
「どうしてこうなったのかレミタンに教えてくださいませ、ちょっとした行き違い‥‥ということはないでしょうか? 別の方が関わっておられるなら、その方にも話を訊きたいですわ。なぜ‥‥なぜ、そのようなことができますの?」
 悲し気に涙を流すレミタン。
 エイルは悲し気なシフールに──。
「レミーラ、説教のひとつもかましてやってよいぞ?」
「ちょっと無理そうですの」
 ともあれ、レミタンは経緯をまとめるべく、話を続ける。
「──!」
「‥‥!」
 レミタンが二匹の話をまとめると、お互いに縄張りに入って、エサを取ったと言っている。
 ──水掛け論であった。おまけにハウンドたちは現場をチェックできないのだ。

◆女のカンと暴走勇者
「むむ。ダークエルフの根拠の無い勘が、湖に悪意が潜むと告げているのです」
「ならば、湖の上を飛んで、適当な『魔物』がいたら、二匹にけしかけるか」
 漁師たちに話を聞いた、アンカ・ダエジフと、エクス・カイザーはカンの赴くまま、タンデムの箒で低空飛行を続けていたが、エクスはちょっと焦り気味。
 戦闘を前提として、騎箒したまま、魔法を使うのは難しそうだ。
「レイクオルカは寡聞にして知らなかったが‥‥凄まじいものだな」
 エクスは、レミタンを主軸とした、交渉自体は巧く行っているが、それより前に遠目に見ただけだったが、美しくも凄惨な戦いであった。

「うーん、なにか本当に元凶がいるかもしれませんし、いなきゃいないでそれっぽい魔物を見付けたら、『あの魔物を先に倒した方が最強です!』と兄弟を唆すのです」
 とレミタンたちに途中で合流して、聞いた話題を改めて、義従兄に告げるアンカ。なお、現在は箒の使用時間が切れ小休止。
 漁師の家の庭先で、グレコニアの陽ざしを受けながら──ふたりは思っていた。
『この他力本願、本当に勇者なのだろうか?』
 漁師から提供された、炙った干し魚を頂きながら世間話。ふたりは漁師から意外な話が聞けた。
「そう言えば‥‥最近、網とかが食い破られることがあるな」
「詳しく!」
 新しい情報に、問いを連ねるアンカ。
 場所など話を聞き終えると、エクスは立った。
「本当にいるかもしれん──第三の相手。存外と女のカンも当たるものだ」
 そう納得する、エクスであった。
「では──脱ぐのです」
 ビキニの水着姿になったアンカであった。
 見事なボディラインに周囲の注目が集まる。
「──ウォーターワールド‥‥と行きたいのですが、他の皆と合流するのが先決なのです」
 ふたりから話を聞いた、ハウンド四人とネプチューンとポセイドンは傷を癒して、そのポイントに急ぐ。

◆ダークレイクオルカ
「あれは!」
 浅い部分に出てきた第三のレイクオルカ──いや、ダークレイクオルカにハウンドたちは注目する。
 しかし、現在は戦技魔法などをフルに使用し、戦力の底上げを行っている。
「行くぜ、一番槍!」
 グドラがヴァルキュリエランサーを投げつける。ド命中だ!
 湖の水が少しワイン色に染まる。
「当たるのじゃ!」
 オデュッセウスボウを構える、自身よりはるかに大きなその弓を、エイルが全力で引き絞るが、残念‥‥軽々と躱されてしまった。
「ヴィンドスヴァル!」
 魔力を解き放つアンカ。ルミナの力は氷雪となり湖上を撫でていく。
 明らかにダークレイクオルカの動きが鈍る。
 凍えたのだ!
「──はッ!」
 エクスも気合とともにルミナショットを叩きつける。
「騎士の戦い方見せてやる! 唸れレーヴァティン」
 ダークレイクオルカに近寄って、戦鎖を叩きつけるソルム。
 苦悶の悲鳴をダークレイクオルカはあげる。
 そして、額に輝く第三の目!
「当たるのです」
 レミタンが引き絞りに引き絞った、フェアリーボウから矢を放つ。戦技オーバーロードだ!
 しかし、表皮に浅く突き立つのみ。
「暴力はやっぱり、不得手なのです‥‥」
 そんな戦いとは別に水中ではブレードofローレライで、ネプチューンとポセイドンが確実にダークレイクオルカの体力を削ぐ。
 アンカの魔法がなければ、ここまでは行かなかっただろう。
 ダークレイクオルカは、浅瀬で勝負を挑んだ段階で詰んでいた──そう言っても過言ではない。
 絶え間なく刻まれる苦痛に身体をよじろうとする、しかし──そのヒマがあれば、一瞬でも攻撃を避けること、傷を癒すことに使いたい──そして。
「めっ、なのです」
 レミタンの一撃が第三の目に突き立った。

◆大団円
 ダークレイクオルカが倒され、湖は再び平穏を取り戻した。
 ネプチューンとポセイドンは再び互いのナワバリを守っている。
 多分喧嘩はしないのだろう──今日の所は。

 一方、湖の岸ではアンカが釣竿から糸を垂れている。
「ふう‥‥なべて世はこともなしなのです」
 きっと女神は天か、どこかから自分たちを見守っているだろう。
 感謝すべきは、ルミナの才をもらったこと、この巡り合わせの一部に自分がいることくらいだろうか?
「とか考えると哲学者っぽくていいですね」
 アンカがそう思っていると、となりで道具を借りたグドラの釣竿が激しく反応していることに気づくのです。
「グドラ引いてますよ」
「ビギナーズラックかなあ」

 ちょっとしたエアポケットのような日々は終わりをつげ、ハウンドたちはオーディア島に帰るのであった。
 そこでまたハウンドたちはハウンドギルドに赴くのだろう。
 だから──ハウンドの冒険は‥‥つづく!



 8

参加者

c.ふむ。湖の上を飛んで、適当な「モンスター」がいたら、二匹にけしかけるか
エクス・カイザー(da1679)
♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火
c.むむ。ダークエルフの根拠の無い勘が、湖に悪意が潜むと告げているのです
アンカ・ダエジフ(da1743)
♀ 26歳 ダークエルフ パドマ 水
a.レミタンの騎士さま(ソルムさま)や皆々様にお話の内容はお知らせします☆
レミーラ(da1790)
♀ ?歳 シフール カムイ 水
a.根拠の無い勘……ま、まぁ、虫の知らせというのもあるしのう
エイル・グラシア(da1892)
♀ 34歳 人間 パドマ 風
a.よーし、皆でレミーラを守るぞー!!
グドラ(da1923)
♂ ?歳 キティドラゴン ヴォルセルク 水
a.へへ、騎士様か。持ち上げられたからには、良いところ見せたいな!
ソルム・タタル(da1979)
♂ 25歳 ダークエルフ ヴォルセルク 地


ポセイドンとネプチューン?

「ごおおお!」「どっぎゃーす!」