オープニング
◆キティドラピンチ!
ウーディアで、キティドラゴン数人が、フィルボルグスに囚われている、という情報が入った。
情報をもたらしたのは、キティドラゴンのテレモートと、シフールのガーベラである。
報告したふたりによると、別件の依頼の途中、山中にある巨漢の妖精、フィルボルグスの集落を発見。
ガーベラの判断では、このフィルボルグスは巨大な剣を携え、目が極端につり上がり、赤い縁取りがある。あやしいのではないか? との事。
身長は二メートル近く、屈強な体格、男女ともに体毛が濃いそうだ。ガーベラのドンブリ勘定では二十人はいるらしい。
ともあれ、気になって調査したところ、集落の中央に位置する半地下のような牢屋に、キティドラゴンが五名囚われているのを発見する。
しかし、戦力もないため助けることも、詳しく調査することもできなかったという。
少なくとも、奴らがすぐに殺そうとはしてないようには見えたという。
どうも、新月の晩に何かを考えているらしい。
キティドラゴンたちはギルドを目指して旅の途中に捕らわれたのだろうか。
ならば、放ってはおけない。
フィルボルグスの身柄確保と同時に、キティドラゴンの救出にいこう。
「うむ、道案内は任せるでござる」
テレモートは胸を叩いて、一同を力づける。
「なんで、きてぃどらごんをあつめたんやろうか? きれいやからかな?」
ガーベラは能天気にそんなことを言うが、奥が意外と深そうであった。
◆キティドラ大ピンチ
五人のキティドラゴンたちは、後ろ手に戒められ、時々放り込まれるパンらしきものを食べて命を繋ぐ。
「捕まってから何日だっけ?」
と、青い毛並みのキティドラゴン。
「三日までは数えていたよ」
桃色の毛並みのキティドラゴンはシンプルな答え。
「何かシフールが来ていたね」
緑の毛並みのキテイドラゴンは鷹揚に述べる、まるで人ごとのように。
「誰か助けに来ないかな」
金色の毛並みのキティドラゴンは多少他力本願なことを言い出す。
「信じて待つべし」
灰色の毛並みのキティドラゴンはまるで遺言でも言うかのような風情。
ただ、疲れた空気がただよう。
先行調査を含めて、ハウンドたちの幾人かがその山里を訪れた。しかし、相手から視認された次の瞬間、相手は抜刀し、攻撃的な意図を見せた。
たしかに妙な赤い紋様が顔に描かれて(?)いる。
ともあれ、相手に話合いの余地はない。
──ハウンドの戦いが始まる。
選択肢
マスターより
成瀬です。ガーベラとテレモートの冒険はしばらく続きそうです。
さて、今回はフィルボルグスの村にガチで殴り込みの話です。
少なくともガーベラがさらわれたキティドラゴンを見たのは事実。
ともあれ、皆さんの挑戦をお待ちしています。
※RealTimeEvent【HoundHistory03】ようこそ竜戦士 連動シナリオ
本シナリオは、世界の歴史を動かす可能性を秘めた企画「リアルタイムイベント」に連動した特別シナリオです。
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登場キャラ
◆1.水と月のアンサンブル
「あの紋様と吊り上がった目。ウワサのダークフィルボルグスかな?」
水筒に準備した水を用いて、
リザ・アレクサンデルは魔法を成就する。ブレードofローレライ‥‥彼の代名詞とも見える魔法だ。まあ、他にも色々あるのだが‥‥。
「ダークサイドと見て間違いないでしょう──毒の息もありますし、正面から攻めるよりは、物陰や死角を利用した不意打ちの方が効果的でしょうか──相手は魔力面が少々弱い種の様ですから」
分析を行う、
ベドウィール・ブランウェン。
彼のミタマギリは、様々な局面で相手の魔力を削る。
そのシンプルな強さとともに絡め手もこなすヴォルセルクとして知られている。
「集落全員そうなのかな‥‥そうっぽいよね、コモンはフィルボルグスだって虐殺しそうだし‥‥こんな山中の集落だと、向こうを拘束しておいて解呪できる人を呼ぶ、ってのも難しそうかな‥‥まあ、そういうのは出来る範囲でね」
現実的な判断を下すリザ。
「拘束したとしてその後どうするかというのがありますね、まあそこは現場の状況に任せましょう」
「だね。捕まってるキティドラゴン達の救出が最優先だからさ」
ふたりの闘争準備は万端なり!
気配を消すべドウィール。その前にミタマギリの魔法をリザのブレードofローレライに付与するのを忘れない。
弧を描き、長距離からダークフィルボルグスを斬る水の剣。
かわし切れないこの連打は、かなりのダークフィルボルグスを気絶させていくのだ。
後ろからこっそり、気絶させていくべドウィール。
「まあ、こうなりますか‥‥」
潜入は既に専任のふたりがいる。
もっとも、彼らはべドウィールから見て、かなり危なっかしいが。
「しかし、面倒なのが‥‥やはり麻痺毒の息ですか?」
あまり体力に自信はない、べドウィールだった。
◆2.健全なる筋肉に、健全なる筋肉は宿る
一方、村の牢に囚われた、五人のキティドラゴン──囚われの彼ら、彼女らは飢えに悩まされていた。
ダークフィルボルグスたちは彼らに与えていた僅かな食事という安息を奪ったのである。
「な、何か食べたい‥‥」
キティドラゴンたちの胃袋が、やたらと自己主張を始めた。
その時ダークフィルボルグスたちが、彼らに縄を打とうと、牢屋の前で鍵をいじり始める。
「後ろががら空きでござる」
言ったのはテレモートだ。
彼もキティドラゴンであり、それなりの戦士だ。
テレモートがダークフィルボルグスを競り合っている間に、本命の
ガーベラが鍵を開ける。
「たすけにきたで。はうんどや!」
なお、キックして最終的に鍵を壊すのはガーベラの中では、鍵開けに入っているのだ‥‥問うなかれ!
その時、煙が巻き起こった。
キティドラゴンの、
グドラが有志に頼んでおいたのである!
グドラは現在場所どり中。
「それでオシマイっス」
声とともに、煙の中からマッチョが現れた。
嗚呼!! 人よ女神よ、あの、
フェルス・ディアマントを見よ!
「ではでは、先手必勝のいきなりヴィンドスヴァルでいきましょう」
煙の中から吹き荒れる冷気の魔法。
何者だ!?
◆3.氷と水
「キティドラを捕らえて儀式の贄に捧げようとは、ダークサイドの計画に違いないと、正義のダークエルフの直感がキタコレのですよ」
最近ダークエルフ性にこだわるのは、
アンカ・ダエジフだ。その手に握られているのは魔法の杖。通常のものより長めのそれだ。
「闇の凍気に凍えるがよいのですよ!!」
彼女がテレモートとガーベラをキティドラゴン救出に向かわせたのである。
「キティドラゴンはお前らになんか負けないぞ!!」
と、グドラ。
サンダーアローをクロスボウで撃ち放つ。
ヴィンドスヴァルの冷気で動きが鈍った相手を中心に狙った。
一方、脇から回り込ませておいた、アンカのブラウンベアがマッチョさではフェルスに負けまいという対抗心か! フルパワーで荒れ狂う。
「クマさん、ナイスッスよ!」
フェルスがハンマーを振り回しながら、猛攻に打って出る。
「聞くッスよ! キティドラゴン達を捕まえて何を企んでるッスか! これ以上戦うのなら、こちらも全身全霊、筋肉で答えるのみッス!」
近くにいたダークフィルボルグスが、大きく口を開けた──しかもふたりだ!
熱く感じた──少なくともフェルスは、その時はそう感じた息が容赦なく浴びせられる。
「効かないッス。もう少し筋肉があれば話は別だったッスよ」
後ろから、ダークフィルボルグスへ、べドウィールが無言でカゲヌイブレードを突き立てる。
グドラも狙っていたが、もう一体の息を吐いた相手を狙いなおす。
「当たれ!」
狙いロクにつけずにグドラはクロスボウを撃ちこむ。
放たったクリスタルアローは敵の太股を射貫いた!
たまらずにうずくまったダークフィルボルグスに、フェルスがハンマーを振り下ろし、戦闘力を削ぐ。
「フフフ! その程度の覚悟で闇に生き、闇に死すなど笑止千万、だからあなた方はアホなのです──ヴィンドスヴァル」
アンカが放った魔法により、再び冷気が吹き荒れた。
傷に加えてもともと魔力が低いダークフィルボルグスには踏んだり蹴ったりだ。
かなりの数のダークフィルボルグスが深手を負う。
「ということで、闇の力を借りても、正義は勝つのです! ブイッ」
そうアンカは勝利宣言するのだった。
彼女は人差し指と中指でVの字を形作る。勝利──VICTORYの頭文字だ。
◆4.終焉の村里
ダークフィルボルグスたちは戦闘力を奪われた。奪われていないものは逃げ出す。特に女子供だ。
グドラはその後ろ姿だけでも、自分よりかなり大きいなと考えてしまう。
「よーし一杯食って大きくなる!」
強い決意──キングドラゴンへの道に王道なし。
「成程、イケニエを食べるですか? シンプルで分かりやすいのです」
一同は気絶したり、深手を負ったダークフィルボルグスたちを牢屋に放り込み、アンカが聞き出した。
ともあれ、儀式の執行者は、戦闘で死亡したので詳細は不明だが、そういうことらしい。
「相手が抵抗をやめて良かったのか、悪かったのか」
べドウィールは無用な戦いを避けた事と、解呪という救済の機会(非常に可能性としては薄いが)を失ったことをはかりにかけてしまう。
ただ、彼が女子供に刃を振り下ろせるかは別の問題だ。
相手の魔力を削ぐには戦闘不能になるまで殴る必要はない。だからと言って抵抗がある場合も存在しうる。
「まあ、ケースバイケースだと思うよ。もっとも、ハウンドギルドは勇者の集まり、勇者が逃げる女子供を後ろから攻撃しろ、なんて言わないよ」
リザはそう言って自分を納得させた。
「え? ハウンドギルドは筋肉の集まりッスよ?」
とフェルスの談。
諸々の防御魔法で守られた彼の体は傷ひとつない。まさしくパーフェクトボディだ。
「えーんか?」
とはガーベラの弁。テレモートは無言。
「いいッス」
フェルスが断言してしまった。
ともあれ、捕えたダークフィルボルグスたちは、ウーディアの当局に引き渡される。
そこから先の彼らの運命は、語るべきことでは──ない。
五人のキティドラゴンたちは腹いっぱい食べ、オーディア島でハウンドとなるべく、旅路につく。
ムーンポータルを敢えて使わず、途中の全てを鍛錬の糧とするのだ。
──だから、ハウンドの戦いは‥‥つづく!
7
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参加者
| | a.アースアーマーとガードを使って前衛で頑張るッス
| | フェルス・ディアマント(da0629) ♂ 22歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地 | | |
| | b.あの紋様、ダークフィルボルグスかな?麻痺毒の息に気をつけてね!
| | リザ・アレクサンデル(da0911) ♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水 | | |
| | a.真正面からやり合うのはなかなか辛そうですね…?
| | ベドウィール・ブランウェン(da1124) ♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | b.ではでは、先手必勝のいきなりヴィンドスヴァルでいきましょう
| | アンカ・ダエジフ(da1743) ♀ 26歳 ダークエルフ パドマ 水 | | |
| | a.じゃあ先手で麻痺毒を吐かれる前に、ミニオンに煙幕を張って貰うぜ
| | グドラ(da1923) ♂ ?歳 キティドラゴン ヴォルセルク 水 | | |
キティドラの災難
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ウーディアの山里に囚われたキティドラゴンたち。ハウンドよ、明日の同士を救出せよ!
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