【HH03】狙えウラート女子

担当槻又ともこ
出発2020/05/26
種類ショート 日常
結果成功
MVPドミニク・レノー(da1716)
準MVPテル(da1965)
ラファロ(da1940)

オープニング

◆ウラート女子のハートをつかめ
 オーディア島の玄関口、ウラート。ここに住むキティドラゴンは確認されていないものの、ギルドを目指す者のほとんどが通過する街なので、新参種族のキティドラゴンは、すっかり噂になっている。
 良い噂なら良いのだが、残念ながら噂の内容はあまり良いものではない。
 ハウンドギルドは、ウラートにおいてのキティドラゴンの噂が、主に『恐怖の対象』として広まりつつあるのを、よろしくないと判断した。

「ということで、ウラート女子を抱き込むことにしたんだよね?」

登場キャラ

リプレイ

◆酒場の色々
 花売り娘のナディアを中心としたグループのテーブルには、若い女性達が集まっている。
 ラファロは、頭につけた黄色い花の飾りを手で整えてから、スカートの皺を手で払い、そのグループのほうへと足を進める。
「私もお手伝いしますわっ」
 レネットが横を飛びながらついてきた。

 市場の女主人ネバのグループは、料理もまだ来ていないというのに。
「とりあえずビールだね」
 とか、酒好きが言いそうなセリフを吐きながら、仲間達と乾杯。

 グラートはその様子を、キッチンの入口から覗く。
 そこにテルが、尻尾を揺らしながら。
「グラート殿、助太刀いたす! 料理はいくばくかの心得がござるよ!」
「心強いな。助かるぞ」
 二人はキッチンの奥へと入っていった。

 ドール・ジョーカーは、酒場の外で養蜂家と。
「とれたての蜂蜜だぞ」
「ありがとう、恩にきるわね」
「なぁに、キミの頼みだからね」
 その後一言二言交わし、ドールは酒場へと戻っていった。

 売れっ子娼婦アデルミラの周りには、娼婦達が集まり、ワインを片手におしゃべりが始まる。
 ドミニク・レノーは、ハープを小脇に携え、そのグループへと近づいていった。

◆花売り娘ナディア
「今日は良い日ね。だってご飯がタダで食べられるんだもの!」
「うんうん、ご飯まだかなー」
 花売り娘達が、わいわいと話している。
 レネットは、そのテーブルへ近づくと。
「今日はよろしくお願いしますですの!」
 手に持ったハープをポロロンとつま弾くと、宙でクルリと一回転。白いネストドレスがフワリと揺れた。
「わー! かわいいシフールさんですねっ。よろしくお願いしますね」
 ナディアが、細い指を伸ばして握手を求めてきたので、レネットは小さな手を伸ばす。
 そこにラファロが、ヒョイとテーブルの横から顔を出した。
 角に飾った黄色い花が、チラリと揺れる。
「わ! 可愛いお花の飾りですね」
 ナディアに言われて、ラファロはニッコリとする。
「あたし、お花のかざり手ばなせませんわ!」
「そっか。あ、そうだ、これ良かったら‥‥」
 ナディアは、脇に置いた籠から売れ残った花を取ると、ラファロの花飾りの横に添えた。
「すごく可愛い!」
 周りの子達に言われて、ラファロは嬉しそうに声を出す。
「ありがとうございますわ!」

「ね、シフールさんは、ハープが得意なの?」
 レネットに話しかけてきたのは、背の小さな女の子。
「楽器に興味がありますのねっ? では弾きますの、せーの」
 ポロンッ。レネットは店の雰囲気に合わせ、賑やかで明るい音楽を奏ではじめる。
 合わせて歌も。
「可愛い声。しかもすごく上手!」
 背の小さな女の子に手拍子をされ、レネットはその女の子の頭の上を、右に左に揺れながら歌う。

 音楽が鳴り出すと、ラファロ達の会話にも花が咲きはじめた。
「あなたのお気に入りもおききしたいですわ!」
「そうですね、この籠。すごく気に入ってるんです。私の祖母が時間をかけて編んでくれたの」
「へぇ! 素敵ね! ‥‥触ってみていいかしら?」
「もちろんです。どうぞっ」
 ナディアから籠を渡され。
 ラファロはそれをひっくり返したり、中をのぞき込んだり。
 その様子をニコニコしながら、見ているナディア。

 音楽に手拍子をしていた女の子が、そんなラファロ達にチラリと目を走らせた。
 気が付いたレネットが歌を止め、女の子に話しかける。ハープはそのまま弾き続けている。
「ラファロさんが気になりますのねっ? 良かったらお話してみませんですの?」
「‥‥怖くない?」
「もちろんですのっ、あんなに可愛い色のキティドラゴンさんですのよっ」
「うん、あたしの好きな花と同じ色なんだ」
 頬を赤らめ、ニコリとした女の子。
 レネットはそれに笑みを返すと、女の子を促して、ラファロのそばへ。
 しばらくすると、ラファロと女の子はおしゃべりに夢中になり、楽しそうな笑い声をあげるのだった。

◆市場の女主人ネバ
 酒場のキッチンでは、テルとグラートが包丁を握っている。
 テルは、調理を始める前に、チーズやハム、ドライフルーツなどを、ネバ達のところへ運んでおり。
「先に酒の肴を持ってくるとは、気が利く子だねぇ」
 ネバ達に大好評であった。

 そんなテルにグラートが。
「オレ、生の魚かメロンが好きだが、それで喜んでくれるかな?」
「魚もよいでござるが、なんといってもにくでござるよ!」
「了解だぞ!」
「グラートちゃんも、テルちゃんも、お疲れ様! 調理は進んでるかしら?」
 二人のところにやってきたのはドールで、その手には蜂蜜の入った器が。
「私は料理はあまり得意ではないけれど、ほら‥‥蜂蜜を分けて貰ったの。パンやチーズにたっぷり添えれば、きっと喜んでもらえるわよね」
「それは助かるでござるよ!」
 テルが蜂蜜を受け取るのを見た、キッチンの料理人達は。
「ソースにも隠し味で使ってみてはどうだ? ‥‥うまそうな蜂蜜だな」
 蜂蜜をひと掬いしてペロリ。
「うん、うまい」

「グラートちゃんたちもどうぞ。元気よくしっかり頑張りましょうね」
「おぉ、いいのか? ‥‥うまっ。メロンよりも甘いな」
「どれ、我が輩も一口‥‥うん、良い味でござるな。元気がでそうでござるよ!」
 小さなキティドラゴン達が、わいのわいのと蜂蜜の味見をしているのを見て、料理人達がほんわかとしているのなんて、彼らは気が付きもしてないが。

「港にやってきた時は、何者かと思っていたが、結構いいやつらそうだな、‥‥ていうか、可愛いな‥‥」
 ドールは、他の料理人達がヒソヒソと話しているのを耳にし、ふふふと微笑むのだった。

 そして、しばし調理。
「出来たでござる!」
 頬にソースをつけたテルが、ガッツポーズ。
 料理人が寄ってきた。
「どれ、客に出せる代物か、俺が味見してやろう。‥‥うん、旨い! 合格!」
「やったでござるよ!」
「うんうん。頑張ったものね。じゃ、さっそく器に盛り付けて、持っていきましょう? あ、そうだ」
 ドールは、残った蜂蜜を手に取った。
「あんまりお酒が進んでキティドラゴンのこと忘れちゃったら困るでしょ? 若い子たちもいるしワインはお水で薄めて蜂蜜で甘くしちゃいましょう」
 ドールがニコリとしながら言ったので、グラートとテルは、なるほどと手を打ったのであった。

「ネバ殿、お待たせでござる!」
 テルと一緒に料理を運ぶグラート。
「ネバさん、さっきは‥‥その‥‥男の人と間違って悪かったな」
 ボソボソと言うグラートに、ネバは、料理をひとつまみしてパクリ。
「うん! 旨いね! こんなうまいつまみを食べれるなら、いつだって間違ってもらって大歓迎さ!」

 そうして、料理があっと言う間に、たいらげられていく。
「肉が多いのはいいねぇ。あたしら、体力勝負なところがあるからね!」
「ネバ殿らの食べっぷりには惚れ惚れするでござる! にくが多めなのは我が輩の趣味にて!」
「肉が好きなのかい? こりゃ趣味があいそうだよ、ほら、そっちの子も食いな。かわいい子には元気な笑顔が一番似合うさ!」
 市場の女主人は、グラートとテルの肩をバンバンと叩きながら、ご機嫌な声を出して笑った。

 そこにドールが、パンの入った器を運んできた。パンには蜂蜜が、たっぷり添えられている。
「盛り上がってるわね、ここらへんで一つゲームでもどうかしら?」
「ゲームかい? いいねぇ‥‥」
 ネバは、ドールが持ってきていたダーツを見つけて。
「じゃ、あんたが持ってるそのダーツで『的当て』なんてどうだい?」
「いいわね! じゃ、的を用意するわね」
 と、ドールは適当な板を見つけてきて、その真ん中に、持っていた口紅で印をつけた。
「さっ、まずはネバさんからね、次はテルちゃんよ」
「わっ我が輩でござるか? よし、頑張るでござる!」
 隣で見ていた花売り娘達も。
「おもしろそうですね」
 と集まり。
「じゃ、テルちゃんの次は、ナディアさんね、その次はレネットさん、で次はラファロちゃんかしらね」
「がんばりますわっ!」
「あたしもまけませんわ」
 レネットと、ラファロの瞳に負けん気の炎が燃え上がった‥‥ような気がした。
 そしてレネットは、試しに。とダーツを三本まとめて両手で抱える。‥‥ふよふよ。
 その可愛さを見て皆は、楽しそうに笑うのだった。

◆娼婦アデルミラ
 ドミニクはハープを手に、色香漂う娼婦達のテーブルのそばへ。
 そして、ワインを飲むアデルミラの横へ立ち、ニコリと微笑む。
「やぁ、良かったらキミたちの為に一曲弾かせてくれないか?」
「へぇ、ハープかい? いいねぇ」
 アデルミラが隣に座っている娼婦に顎で合図すると、その娼婦は立ち上がり、近くの空いている木の椅子を持ってこようと歩き出す。
「あぁ、キミは座っていていいよ、綺麗な指が木のささくれにでも襲われたら大変だからね」
 言って、ドミニクはその娼婦の肩に手を乗せ、椅子に座らせると、自分で木の椅子を運び、アデルミラの後ろにカタンと置いた。
「美しいひとの側なら、詩もすぐに浮かぶからね、いくらでも歌えそうだ」
「言うねぇ」
 アデルミラが言って、ドミニクを振り返る。
 ドミニクは、アデルミラと目があったと同時に、スッと息を吸ってから、弦をはじきだした。
 周りに喧騒があろうとも、ドミニクのハープの音はアデルミラ達のテーブルを包み込むかのように響く。
 ドミニクの淡い金色の髪がフードの隙間からハラリと落ちると、幾人かの娼婦がうっとりしながら、ため息をついた。

 遠くで見ていたレティス少年が、音につられるようにやってきた。
「なかなかの腕じゃないか」
「あぁ、心に響くね」
 アデルミラが呟く。
 そこに、ネバのところからグラートも音につられてフラリ。
 アデルミラが、『ん?』と、グラートに視線を移した。気が付いたドミニクが、ハープを止めて。
「キティドラゴンたちと知り合ったのは最近だけどさ、少なくともハウンドになったのはいい子ばっかり。それが怖がられてるのは寂しいんだよね」
「あぁ、そうだねぇ、わたしたちの客の中でも『あいつらは危険だ』とか、知りもしないのにぬかすヤツがいるねぇ」
「まぁでも、実際に目にしてみればカワイイものだろ?」
「‥‥そうだねぇ、まぁ、この子達が良い子で可愛いのは理解したけど‥‥」
 アデルミラは人差し指を伸ばして、グラートの頭にクルクルと丸を描くと、次にドミニクに手を伸ばし、その顎に指をかけた。
「ふーん‥‥あんたも、色々あるのかねぇ」
 意味深な感じで口走る。
 察したドミニクがニコリと微笑む。
「キミたちへの言葉に偽りはないよ。美しいものへの賛美を躊躇っていては、吟遊詩人失格だからね」
 グラートがキョトンとしているのを見たアデルミラとドミニクは、二人で目を合わせて意味ありげにほほ笑んだのであった。

「で‥‥まぁ、上手くいったんじゃないかい?」
 この宴を終えて、レティスはそう言った。
 これでウラートでは、キティドラゴンは『キチンとした、可愛いハウンド』として、受け入れられていくことだろう。



 9

参加者

a.お歌や踊りで雰囲気をなごませて可愛いアピールですわっ!
レネット(da0035)
♀ ?歳 シフール パドマ 陽
z.みんな可愛いから、きっとうまくいくわよね。
ドール・ジョーカー(da1041)
♀ 25歳 人間 パドマ 陽
c.料理に酒とくれば次は音楽だろう? まずはそれで美女たちの心を掴もうか。
ドミニク・レノー(da1716)
♀ 25歳 ライトエルフ パドマ 水
a.つまり、みなさまとなかよしになればいいのですわね! たのしそうですわ!
ラファロ(da1940)
♀ ?歳 キティドラゴン ヴォルセルク 火
b.グラートどのー!我が輩も手伝うでござるよー!デキる男アピールでござる!
テル(da1965)
♂ ?歳 キティドラゴン パドマ 陽


ウラート女子達をおもてなし!

ウラートで、良くない噂の対象になってしまいそうなキティドラゴン。そんなキティドラゴン達を、ウラート女子達に可愛いと言って貰うため、酒場でおもてなししよう!