出た! 突然出た!

担当成瀬丈二
出発2020/05/21
種類ショート 冒険(他)
結果成功
MVPイッヌ・アステール(da0440)

オープニング

◆サンドラの村で
 ハウンドギルドは日々、フロンティアを広げている。
 単純に言えば、ムーンポータルの設置場所を順次拡大し続けるのだ!
 そのひとつ、サンドラの開拓地の調査に来たガーベラたち。
 一同は、相変わらずオーディアと違う気候に悩まされつつ、軽く一杯ひかっけてから、旅立とう話になった。
 そんな旅路の中、ローブを着込んだ女性が頼み込んできた。

登場キャラ

リプレイ

◆リア充が来た!
 月の光に導かれ彼氏が出来た、ナイン・ルーラ
「やはり、開拓地だけあって不確定な情報しか手に入らないです‥‥か」
 女神教会の神職として、人々からそれなりに好感を得られる。
 とはいうものの、これから赴く地に関しては、確実な情報はやはり現地にならないと、手に入らないようだ。
 村の暮らしぶりに関して言えば、良かれ悪しかれ『明日がある』という空気だ。
 成功しても『明日がある』である。
 逆に、失敗しても『明日がある』という事だ。
「もう少し計画性があってもいい気がしますが‥‥まあ、明日の事を思い煩うなかれというのも、どこかで教えとして聞いた事があります」
 後はウワサとして聞いたのは、森に魔物、多分、女が住むという事だ。
 サンドラのこのあたりでは、魔女という概念が薄いが、時折狩った獲物を生活必需品と交換する程度の付き合いであり、奇妙な隣人程度の認識しかない。
「ふうむ、魔物使いとかそういった者ですか? 多分」
 ナインはゆるむ頬を押さえつつ、奇妙な話だと、胸に収めるのだった。
「人を害するような話はないみたいです。多分、大丈夫でしょう」
 ナインの知識ではその魔物は『ムーンドラゴン』と思われる。
 一緒にいる女はモンスタートレーナーのなかでも、かなり腕利きと思われる。
 逆に言うとそれくらいでなければ、まともにドラゴンとは付き合えないのだ。

◆月は出ているぞ!
「どの属性のドラゴンさんなのです?」
 屈託なく、イッヌ・アステールが、モンスタートレーナーのサイラに問う。
 彼女の相棒、ゼナは銀の鱗を持つ、痩身で非常に美しいドラゴン、ムーンドラゴンだ。
 魔物使いマスターはギルドでの分類であり、モンスタートレーナーは砕けた言い方らしい。
「月属性だ──美しいだろう‥‥もっとも美しいドラゴンはコイツだ!」
 サイラはかなりの親バカらしい。
「必要ならわたくしもキュアティブを‥‥」
 フレイルを手にした、ラライヤ・ナンシーに、ゼナ──ムーンドラゴンの名だ──は不安そうな視線を向ける。
「念のためについてきたけど‥‥これまたすごいことになったわね」
 ゼナが時折、視線を向けるのは、マリカ・ピエリーニの方にもだ、グリーヴァファングが気になるらしい。
「ゼナ、沈まれ。大丈夫だ」
 サイラはハウンドたちに武器を隠せ、や仕舞ってくれとは言わない。
 この辺境の地で安全が保障できないのだ。護身の道具を無責任に手放せとは言わない──否! 言えないのだ。
「でも、おいらのキュアティブは瀕死は治せないのです。ゼナが不安そうなので、サイラどうです? これを使えば‥‥」
 イッヌは言うと銀を要所に使ったメイスを、サイラに手渡す。
「魔法が使えなくても、これで小突けば傷はある程度塞がります」
「まるで魔法だな‥‥」
 サイラは恐る恐るメイスを受け取る。
「特殊な能力です」
「ゼナ、怯えるなよ」
 サイラが言って何かに貫かれたような、ゼナの腹部、その傷跡を軽く小突く。
 傷はある程度塞がった。痛みが引いたのか、ゼナの不安も少々収まったようである。
「んんん‥‥治療はがんばってみるのです‥‥きゅあてぃぶ‥‥」
 CROSSを手に持ち念じるイッヌ。
 しかし‥‥。
「あれ?」
 傷は塞がった様子はない。
「んー? 間違ったですか」
 キュアティブは確かに成就した。
 しかし、魔法の対象となった(妙な表現ではあるが)手ごたえもない。

◆痛みと生と‥‥
「??? ラライヤ、試しにかけてみてもらえませんか?」
 イッヌはゼナが、何かの理由で魔法が抵抗でもしたのだろうかと考える。
 例えば、ゼナは普段女性と一緒だから、女性しか受け入れないという事もあるかもしれない。
「分かりましたわ。イッヌ様、不肖ラライヤ、この身を代えましても、癒して見せます」
 ラライヤにとっても、ドラゴンに触るのはまれな体験だ。
「全身全霊を以て癒して見せますわ‥‥女神よ我が身を癒しの力の器としたまえ」
 キュアティブ発動!
 結果も再現された。
「魔法効かないとかは? 確か、メタルボーンレスの盾とかで、そういう力なかったかなと思うのよ」
 マリカが言ってみる。
「なるほど! さすがマリカ様ですわ」
 ラライヤも納得する。
 あくまで案であるが、そういう特殊能力もあるかもしれない。
 スモールと言えど、ドラゴンは未知の塊のような存在なのだ。
「よーし、うちもやってみるか! きゅあてぃぶ‥‥」
 言いながら、ガーベラはたすき掛けにしたバッグから、回復薬を取り出す。
 なお、ゼナが傷を負ったのは昨日の晩だそうだ。
 ウサギを狩るべく急降下したら、目測を誤って、木の上に急降下したという。
「ふ、うちがでるまでもなかったちゅうことやな」
 イッヌも回復薬を準備していたが、残念なことに時間の関係で手遅れらしい。
(もっとも、回復要員と、ケガした次の日に出会えるなど、ゼナも途方もない幸運というものだ)
「とりあえず、悪い風が入らないように、キズの周りはキレイにするのです」
 ゼナは警戒しているようだが、サイラのフォローがあり、暴れなかった。
 それにより痛む部分以外は、かなりきれいになる。

◆茜色の空、真っ赤に燃えて!
「頼む、その魔法のメイス売ってはもらえないか?」
 サイラが頼み込む。癒しの力など一般人には手の届かないものだ。
「ごめんなさい、これも生命線なので売る訳にはいかないです。たとえが悪かったら謝罪しますが、ゼナを売れって言われたら」
 イッヌの申し訳なさそうな言葉。
「確かに仲間を売れないですか‥‥埒もない事を言いました」
 納得してなお、サイラは恐縮する。
「でも、一日二日なら‥‥滞在してもいいです──いいですか皆さん」
 ハウンドたちはイッヌの提案を肯定した。
「ゼナ様とひとつ屋根に居られるなんて目が回りそうです」
 ラライヤがそう言う。もっとも屋根の下にゼナはいない。
「キング君、呼んで大丈夫かしら?」
 言ってマリカは森の外に目を向ける。
「サイラ、私の相棒キング君を見てくださいね。ゼナほどじゃないけど自信ありますわ」
 ヘラ鹿のキング君。滅多な相手には背を許さず、様々な恩恵を与える。
 そうそうハウンドギルドでもいるものではない、マリカ自慢の相棒だ。
「話は聞かせてもらいました」
 ナインが足跡をたどりやってくる。
 一同は細かい状況を説明する。
「神職にあるものとして、傷を受けたものは癒せればいい、とは思いましたが、そうもいかないよう」
 しかし──とナインは言葉を切る。
「私に力が無くても、皆さまの力があれば大丈夫です」
 言い切るナイン。
 ところで、皆さん何をしにここまで? とサイラは問うた。
 開拓の調査だと聞いたサイラは、ゼナの背から見た、おおざっぱな地形を提供してくれた。
「ド、ドラゴンライダー?」
 イッヌが驚く。
「うわー! 伝説の中に出てくるみたいです!!」
 イッヌの目は──少年の瞳は無邪気に輝いた。
 伝説、いや今の時代は、伝説じゃない神話になれる時代だ。現に勇者は四人いるではないか?
 ハウンド、それは勇者だ。
 少なくともギルドでは、それが求められている。

 そして三日目に、勇者たちは新たなフロンティアへとハウンドは旅立つのだった。
 ──だから、ハウンドの冒険はつづく。
 ‥‥CAUSE WE ARE PARTNERS!



 8

参加者

a.んんん…治療はがんばってみるのです…きゅあてぃぶ…
イッヌ・アステール(da0440)
♂ 23歳 カーシー(小型) カムイ 陽
b.イッヌ様をお守りします。…メイドのたしなみですので!(フレイルを手に)
ラライヤ・ナンシー(da1003)
♀ 22歳 人間 カムイ 風
b.念のためについてきたけど…これまたすごいことになったわね。
マリカ・ピエリーニ(da1228)
♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 火
c.神職として、情報収集はしておきますか
ナイン・ルーラ(da1856)
♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 水
 でか! でも、きれーやな‥‥。
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


謎の美女、サイラ曰く

相棒が傷を受けた。癒やしてくれ。