オープニング
◆世界は驚異に満ちていて
その遺跡は両開きの扉より入る。
扉には大きくドクロの印が描かれていた。
ガーベラはこの印を三度か四度見ており、大抵アンデッド系の相手が出てくる記憶がある。
翼持つ守護者、永遠の騎士らしい。写本に注ぐ写本のため、記述は不完全だ。
そもそもここはオーディア開拓のための調査、そこで見つけた遺跡であり、遺跡の調査は火急の要はない。
しかし、ここから出てきた何かに、柔らかいわき腹を突かれることは避けたいのだ。
ということで調査するハウンドを集められた。
それなりの収入プラス出来高払い。
扉は開かれた。長い年月封じられていた腐臭が押し寄せ、嗅覚に徹底的な嫌がらせをする。
「これぞんびちゃうの?」
ハウンドたちは顔の下半分を布でおおうなどして、腐臭をやわらげた。
奥に進んだハウンドは最奥に達する。
百メートル四方の広間だった。
腐臭を漂わせる、死人が十体以上。
奥の祭壇がある、前には王冠を被った骸骨。立派な剣を携えていた。
祭壇の左右には人間と鳥を合成したような奇っ怪な姿をしたブロンズ像があった。
骸骨が剣を振り上げると、死人が一斉に動き出した。
──ハウンドの戦いが始まる。
選択肢
マスターより
成瀬です。大連休ですねェ、自分には特に関係はないですが。
さておき今回の遺跡は頑丈で広いので、それなりに力づくの攻撃魔法でも勝てるかと‥‥多分。
では、皆さんの挑戦をお待ちしています。
登場キャラ
◆嵐の前
「景気づけの駆けつけ一杯と行こうかのう」
魔法の杖を構えた、
エイル・グラシアがゼウスの詠唱に入ろうとすると、
ベドウィール・ブランウェンが、人生の先達にお願いする。
「あの──怪しい像、気になりますね、可能なら巻き込めませんか?」
ベドウィールの知識では、祭壇の脇のふたつの像が、ガーデンガーゴイルではないかという確信があった。
ガーデンガーゴイルは音に反応して、行動を開始するので可能なら、脇をすり抜けたいところ。
しかし、ゾンビの群れと、謎めいたスカルロードが居ては、近づく前に動き出すだろう。
とは言え──。
「ううむむ、間合いがキツいのう」
エイルがそう愚痴る。
ベドウィールの言いたいことは、わかるが、かなり前に出ないとガーデンガーゴイルは巻き込めない。
「という事で、ウィールはガテン系ヴォルセルクとして頑張るんだよね。応援するよ?」
そう言って、
リザ・アレクサンデルはルミナパワーの魔法をベドウィールのハンマーに付与し、突出しても切り抜け易くする。
リザはローレライの魔法と、ルミナパワーの魔法をすでに成就しており、スカルロードが何をするか分からないため、ベドウィールに使ったルミナパワー以上に、魔法を使いたくなかった。
ベドウィールはそれを汲んでか──。
「ご厚情感謝しますよ」
──と、礼を述べる。
「──ゼウス!」
エイルの放った稲妻がゾンビを出来るだけ大く巻き込む軌道で放つ。
「参る。ゾンビでも我が剣の錆になれ、冥府魔道から解き放ってやる‥‥」
言って、
エクス・カイザーは大きく一歩を踏み出す。前へ! 更に前へ!
後方からブレードofローレライでリザは、ゾンビを次々に斬りはらう。
しかし、一撃必殺とはいかない。
「元気‥‥かな?」
そのエクスの後方では、
シェール・エクレールが、ポイントシュートの戦技魔法を自身に付与した。
彼女はは矢の数を確認する。
「ミスリル六本、銀六本か──」
その時、走り突っ込んでくる影があった。
冠をかぶり、剣を携えたスカルロードだ!
◆ハウンドたち走る!
スカルロードは剣を構え、一気に間合いを詰めてくる。
今まで戦っていたゾンビとは違い、剣術を学んでいた存在らしい。
「ウワサに聞いたのと違うよ!」
ともあれ、リザは魔法で作ったブレードofローレライに、ルミナパワーの魔法を付与して、ゾンビたちと互角以上に戦っていた。
「ウワサはウワサですし、闇の住人に先入観を持ったのが──やつらの手のひらの上で踊ったかもしれません」
ベドウィールは一種超然とした言葉を口にしてしまう。
彼のハンマーは、ガーデンガーゴイルに幾度も打撃を与えている。
「と、言いますか相手の手の内は分からないのですよ?」
「しかし、それを理由に引くわけにはいかないだろう」
タイマソードを構えた、エクスがゾンビたちを斬り伏せ、さらに進もうとする。
とはいえ、装備していたメタルボーンレスの盾を外すエクス。
自身にエクスプロージョンを付与する妨げとなるからだ。
その間も、放たれるゼウスの魔法。すでに魔力が底をつきかけている。
エイルとしては、使いどころを考えなければならない。
「ううむ、魔力が足りぬのう、少し威力も欠けておる──一撃で吹き飛ばすには、少々、力不足じゃ‥‥口惜しいがのう」
逆手に持った魔法の杖を、悔しげに見つめたエイルは、反対の手に持ったレーヴァティンに己の命運を賭ける。
「パドマは魔力が尽きたらただのヒト、とはいかぬのじゃ──フォローはさせてもらうぞ‥‥」
レーヴァティンの形態を剣から戦鎖に切り替え、頭上で勢いよくふりまわすエイル。
名のある武具だが、シェールのオデュッセウスボウも負けてはいない。
シェールはその弓でミスリルの矢、銀の矢をそれぞれゾンビに射こんだが、まあ──一撃必殺とはいかないのだ。
しかし、前に出たスカルロードを狙うシェール。狙うは何かの力の源(それは発揮されていない)と思しき冠だった。
シェールは弓に一発必中を託し、自らに付与したポイントシュートを信じる。
番えしものはミスリル製の矢じりを持つ一矢。
「これが最後の一本です。当たらなければ──ごめんなさいです」
「あたらんかー!」
叫び、勢いよく、
ガーベラが拳をふりあげる。
シェールは静かに、ノルンに祈りをささげ、吐息とともに矢を放つ。
乾いた音がした。
◆砕けた冠とプライド
「──!」
スカルロードの頭上の冠は転がる。
シェールは冠を射貫いたのだ。
「やったのじゃ!」
エイルは喝采をあげた。
「とはいえ──」
冷静なべドウィールは首をひねってしまう。
何も変わったことはない。スカルロード、ゾンビとガーデンガーゴイル。敵の動きで変わった所はなさそうだ。
「ごめんなさいです」
オデュッセウスボウを床に置き、ノルンズダガーを引き抜くシェール。
「うん、知ってた」
「ドンマイだ」
リザがゾンビを薙ぎ払い、エクスも前に出る。
「さあ、一騎打ちといくか」
エクスがタイマソードを握りしめる手に力を籠めた。
エクスプロージョンを付与できるための魔力は温存している。
しかし、実際にこうしてスカルロードの前に立つと、魔法を成就するための時間が取れるだろうか?
敵の剣の腕はかなりのものと見受けた。
「いや、勇者とは勇気ある者──自分の都合で出したり引っ込めたりする者は、勇者ではないのだ!」
エクスは自分にそう言い聞かせる。
「行くのじゃベドウィール、ガーゴイルは我にまかせるのじゃ」
一方後ろでは、エイルが一体のガーゴイルをレーヴァティンでがんじがらめにしていた。
「ゾンビは引き受けるから──リザさんも前に」
シェールはそう言いながらもCROSSに手をやる。
◆死人の宴、人形の宴
シェールは自分を信じて、ゾンビと向き合う。
相手の攻撃対象となるが、自分から手を出さなければ向こうは聖なる力で戦えない。
「頑張るのじゃオトコノコ!」
エイルが器用にウインクした。
「うん、エイル‥‥トシは考えよう?」
リザが言ってスカルロードにブレードofローレライを向ける。
水が奔る!
「さあ、遊ぼうよ──冠なしのオウサマ!」
リザが繰り出す変幻自在の水を確実にいなすスカルロード。
(一呼吸あれば!)
エクスはリザのフォローに感謝する。向こうに注意が向いている間に魔法を成就できるのだ。
スカルロードの背後から、べドウィールがハンマーを振り下ろす。
誰もが勇者のように戦うわけではない。
鍛錬を積めば、アンブッシュも十分にアート足り得る。
「──!」
べドウィールは思ったより強固な何かにより、自らのハンマーが十全な威力を発揮できないことを感じ取る。
守りの魔法とか、そういった不可視の力だ。
その瞬間に、スカルロードの一撃がべドウィールに突き立てられた。
彼は相応のアイテムで守りを固めていたが、それでも痛烈な一撃である。
盾でも捌ききれず、苦痛が奔る。
次の瞬間!
「エクス=エクスプロージョン!」
エクスが技名を叫んだのは戦士としての本能か、勇者としての本能か!
タイマソードの斬撃をスカルロードに浴びせる。
エクスの斬撃を受け止めたスカルロードだったが、エクスは拳に付与したエクスプロージョンを叩き込む。
スカルロードはよろめいた。
「あ、美味しいな! でも、子供っぽいなぁ。ウィールも何かしてよ」
リザがブレードofローレライで確実にスカルロードを少しづつ手傷を追わせていく。ルミナパワーも加算した威力では、リザの攻撃はベドウィールの一撃を上回っているのだ。
「リザ真空投げという技なら、できますよ」
ベドウィールは一歩下がって呼吸を整えていた、その上で軽口をたたく余裕がある。
わき腹に手をやると、温みと湿り気がある。
(マルチパリーを使っても受けきれないとは‥‥すさまじい相手ですね)
その想いはエクスも同じ。
(しとめきれない、とは‥‥手傷を負ってなお、戦えるとは──いや、アンデッドだとすれば闘志のようなものはないのか)
ガーベラが乱戦の中、シェールの放った矢を拾ってきた。
「まかせたわ」
オデュッセウスボウを拾い上げながら、シェールは笑みを浮かべた。
◆勝負の始末
「勝利の女神とまではは行きませんけど、天下を取りたければ羽根妖精と笑えと、どこかで聞いた気がしますよ」
そのまま、シェールは矢をつがえる。
「今から撃ちます。前には立たないくださいね」
「我も最後の魔力を使うのじゃ」
シェールとエイル‥‥女傑ふたりが最後のバクチに──出る!
「女神よ、精霊よ──導いてください!」
「──ゼウス」
銀の流れ星が駆けた。雷が迸った。
スカルロードは爆発四散した──サヨナラ!
ということで、遺跡の守護者は最後に残ったガーデンガーゴイル一体となった。
べドウィールに無理をさせるわけにいかず、リザがハンマーを手に討伐に出る。
「はいはい分かったよウィール。うん、けが人は下がっててね」
リザが軽く頬を膨らませると、べドウィールはエイルの手当てを受けるのだった。
この後でシェールのキュアティブを受けることになるのだが、そこはそれ──時間はあるのだから。
「うむ、見事な剣士ぶりだった。もし、闇の住人に堕ちるような相手で無ければ、師事したいくらだ」
こうして遺跡は踏破され、全ての障害は破砕された。
だから──ハウンドの戦いは‥‥つづく。
7
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参加者
| | a.僕は骸骨>ガーゴイル>ゾンビって優先順になるかな?
| | リザ・アレクサンデル(da0911) ♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水 | | |
| | a.回避重視で引き付けつつ…というところでしょうか。
| | ベドウィール・ブランウェン(da1124) ♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | a.先にゾンビを始末しよう。それまで骸骨とゴーレムの相手は頼む。
| | エクス・カイザー(da1679) ♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火 | | |
| | b.ならば我も先にゾンビを相手じゃ。複数体をゼウスで巻き込むようにしよう。
| | エイル・グラシア(da1892) ♀ 34歳 人間 パドマ 風 | | |
| | b.後衛からの射撃を行います。
| | シェール・エクレール(da1900) ♀ 19歳 人間 カムイ 風 | | |
遺跡突破せよ!
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オーディア調査中に遺跡が発見された。腐臭ただよう此処を突破せよ!
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