正義執行!

担当成瀬丈二
出発2020/04/15
種類ショート 冒険(他)
結果成功
MVPリザ・アレクサンデル(da0911)
準MVPエア・カイザー(da1849)
アステ・カイザー(da0211)

オープニング

◆四月の昼下がり
 ローレックの街、そこに隣接するノエルの森の近く。
 そこで金羊騎士団長の、パイロ・シルヴァンは、五歳になる娘のアリシアと一緒に休日を過ごしていた。
 風が凪いだ日である。それにも関わらず、唐突な風がアリシアのスカートをまくり上げる。
「きゃっ!」
 かわいい悲鳴を上げて、白いワンピースを押さえるアリシア。

登場キャラ

リプレイ

◆スカートを穿こうぜ!
「んー、男の子は犯人じゃないのかな?」
 とは、エア・カイザーの弁であった。
 彼女は続けて──。
「んー、とりあえず件の男の子は恥ずかしそうな顔をしていたというから‥‥とりあえず現場百回と云うし、ゴッドウィンドフェノメノンが起きる現場をうろついて、同じ現象が起きるか確認してみようかな。僕はあんまりスカートを穿かないから、従妹のアステちゃんにも協力して貰ったんだ」
「はーい、頼まれたアステです、さっき借りたので、もう穿いてるよ。私も囮になって、男の子の捕獲を試みますね」
 そう、アステ・カイザーは宣言する。
「普段はスカートを穿かないからなぁ‥‥。で、下着代わりに水着を着てきたけど‥‥犯人は風のルミナを使うパドマかなぁ? 男の子がグルの場合、傍を走って被害者の注意を引き、別方向から魔法を使って風を起こし、男の子は森に逃げる事で注目を引き、真犯人は誰にも怪しまれないように通行人に紛れている‥‥」
 アステの仮説に思案投げ首のエア。
「案外と、パイロさんに入れ知恵したお爺さんが犯人だったりして‥‥」
 その案に、パイロ・シルヴァンはガチに返答する。
「いや、目に見えるような、魔法の杖やドラゴングラス、あるいはCROSSや刺青はなかったな──たしかにそれなら辻褄はあうが?」
 それに対し、リザ・アレクサンデルは人差し指を立て──。
「僕はルミナの才能持ちのセンはうすいと思うよ。多分、精霊──具体的には、スカート捲りのシルフィードと短パン小僧のアースソウル! たぶん!」
「成程な、それなら納得が行く」

◆スカート穿けよ!
 そのパイロの言を引き継ぐリザ。
「精霊なら仕方ない気もするけど、迷惑なのも確かだよね。おびき寄せてネットとか、絡め系の武器とかミタマギリでごっつんとかで取り押さえてお説教タイム、が比較的平和そうかな?」
 腕を組んで、ベドウィール・ブランウェンもリザの案に納得する。
「問題はどうやって引っかけるかだよね‥‥ウィール、なに悪そうな顔してるのさ?」
 リザが眉間に軽くシワを寄せる。
 べドウィールは笑顔。
「成程‥‥犯人をおびき寄せるには、アステさんだけでは足りないかもしれませんね? 大丈夫、こんなこともあろうかと、必要なものは用意しておきました」
 言って、そっと女中服を取り出す、ベドウィールだった。
「サイズも合わせてありますよ? リザと‥‥パイロさんもミタマギリ要りますか‥‥おまじない程度に。精霊なら気絶しないと思いますが」
 言われたリザは笑いながら、目を限界まで細める。
「うわっ! 着ないからね僕は! ‥‥他に手段ないの? パイロさんに着て貰うとか?」
「着るのはやぶさかでないが‥‥リザくんに関しては、いい考えがある──多数決だ」
 パイロは言い切った。
「やぶさかじゃないんだ‥‥」
 リザ以下全員が目を点にしてしまう。ダーナとはいったい──?
 こうしてリザの女中服着用に関して、五人はそれぞれに挙手した。
 反対一、賛成二、棄権二である。
 ──そういう事になった。

◆ファイト! ノエルの森
 昼下がりのノエルの森そば。
 ここには、パイロの事件の後、チャンスを求めた出歯亀たちが一瞬のチャンスをもとめて集まっていた。
 必然的に女性の絶対数は少ない。
 そこに足を踏み入れるリザとアステ。
 なお、アステは露骨な武装はどうだろうか、ということもあり徒手空拳である。
「犯人の目星当てはエアさん達に任せて、私は男の子の捕獲を優先しようかな」
 アステがそう言うと、リザは軽く伸びをして。
「ボーイハント? 精霊狩りっていうと、何かお話のタイトルっぽいよね」
 と、呑気なことを言う。
 その数秒後、イタズラなツムジ風‥‥いやシルフィードがふたりの間を駆け抜けていく。
 アステの腰を覆う白い布。それは錬金布であった。シンプルなビキニの水着の下である。
 一方、リザのそれは、半ズボンである。
 普通なら女子力マイナス扱いされるが‥‥男なら、それがいい、という向きもいるかもしれない。
「あ、森に!」
 十歳くらいに見える、半ズボンの少年がいた。地の精霊アースソウルである。
 恥ずかしそうな表情を浮かべ、森の奥へ駆け出す。
「はいチェックメイト‥‥」
 ばさりとベドウィールとエアが上からネットをかぶせた。
 一方、つむじ風はひとりの少女の形を取って、がくりと片膝をついていた。
「‥‥オトコ、オトコ」
 ローレライを成就しようとしたリザだったが、途中でやめる。
「話を聞かせてもらおう精霊たち」
 森の中から、ドヤ顔でパイロが進み出た。

◆こんなのってないよね?
「つまり、アースソウルさんは、シルフィードさんの犯行を止めたかった。しかし、後手後手に遅れてしまい、大抵スカートをめくった後に駆けつけてしまい、人がいて怖いのと、『自分が』恥ずかしくなって森の中に逃げ出した──という線なんだ」
 リザは簡単にまとめた。
「人と話をするのがいやなら、テレパシーでも使えばいいのにな」
 パイロがそう言う。
 しかし、アースソウルは小首を傾げる。良くわからない、というかそういう発想が無い『個体』らしい。
「で、シルフィードさんは、スカートをめくりたくてたまらないから、めくった。うん、さすが精霊ですか」
 エアにしてみれば、人知を超越していると思える発言である。
「他の方に目撃されるような場所では控えてあげて下さいね‥‥まあ、それが分からないのでしょうが──めくれた中身を見られるのは辛いでしょうし‥‥といいますか、辛いのですよ? プロ、といいますか精霊ならギリギリ見えないラインを極めるのは如何でしょう?」
 べドウィールの発言に対し、リザが思ったのは『よく変質者心理を分かっているよね?』であった。
 それをアステはそのまま口に出してしまう。
「さすがスカートに関しては一家言あるんだ!」
「ヘンタイみたいに言わないでください‥‥落ち込みます」
 べドウィールは顔を手でおおった。

◆そして誰もしなくなった
「まあ、犯人はいない。いたのは精霊だったからヒトではない。自然の営みにコブシを向けても仕方ない」
 パイロは腕を組んで深々とうなずく。
 シルフィードの頭をコブシで殴っても、事態は解決しない。
 災難だったのはアースソウルの方らしい。大きなヒトに囲まれたのだ。解放されると、霞になってノエルの森の奥に帰っていった。
 シルフィードは保証の限りではない。
 しかし、彼らが一事を起こせばきっと、短パン女中服が現れるに違いないだろう。

 とはいえ、事件を解決したからには報酬が得られる。それがコモンの世の営みというものだ。
「さてと、KillerQueenにでも行きますか?」
「春のメニューをコンプリートしたい‥‥」
 エアとアステは食事に消えていく。

「さてと、リザ少々手伝ってもらいますよ」
「面倒なことはいやだなぁ」
 べドウィールの言葉にリザは少し投げ槍に応える。
「いえ、パイロさんの女中服に関してです。あの体格ではイチから仕立てる必要がありますが、当人はやぶさかではない、と言ったのです。その機会が来た時に、慌てないために‥‥どうです?」
「ふう、やっぱり女中服の専門家は違うよね」
 ‥‥だから、ハウンドの戦いは──つづく。



 7

参加者

a.私も囮になって、男の子の捕獲を試みますね
アステ・カイザー(da0211)
♀ 27歳 人間 カムイ 水
b.シルフィードとアースソウルかな?シーリーなら仕方ない気もするけど…
リザ・アレクサンデル(da0911)
♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水
c.成程…囮が必要ですよね、リザ?(女中服をそっと出し)
ベドウィール・ブランウェン(da1124)
♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月
a.んー、男の子は犯人じゃないのかな?
エア・カイザー(da1849)
♀ 27歳 人間 ヴォルセルク 風
 怒ってなんていないがね、うん‥‥怒ってないよ?
パイロ・シルヴァン(dz0039)
♂ 39歳 人間 無


オー!? モーレツ!

ノエルの森の近くで頻発するスカートめくり。その犯人へお仕置きすようにハウンドギルドに依頼が‥‥。なお、依頼人は金羊騎士団団長のパイロさんとのこと。