敵の総数百匹以上

担当成瀬丈二
出発2020/04/12
種類ショート 冒険(討伐)
結果普通
MVPアンカ・ダエジフ(da1743)

オープニング

◆ビッグな男だぜ
 ──拝啓、ハウンドのみなさま。開拓すべくオーディア島の新天地に来たのですが、デカいアリが沢山います。
 依頼します。アリを排除してください。早急に対処をお願いします、アリを根絶できれば、方法は問いません。
 追伸:アリは少なく見積もっても百匹はいます。

 ということで、オーディア島で新たな開拓地に、依頼で来たハウンドたちは、平原でキャンプを張っていた依頼主ビッグと出会う。

登場キャラ

リプレイ

◆第一章:キラーアントの巣穴
「光源を女性陣に持ってもらえるのはありがたいな──マッピングに専念できる」
 ──闇を切り裂くパドマの光、未来を照らすルミナ力。
 とは、昔の言葉らしいが、今のハウンドの現状には相応しいともいえる。
 特に、ディオン・ガヴラスにとってはありがたい言葉だった。
 彼は羊皮紙を広げ、キラーアントの巣穴を仔細に地図に起こしていく。
 まさに立体迷宮ともいえる、この巣穴の秘密のベールを、一枚一枚剥がしていく。
 キラーアントとの散発的な戦闘はいったん終わった。
「うむ。魔力が切れるのも早いのじゃ‥‥年は取りたくないのう」
「気絶自体は簡単に出来るけど──魔法が続かないわね。この大きなアリたち‥‥何を食べればここまで大きくなるのかしら?」
 それに伴い、先頭に立っていた、エイル・グラシアが、キラーアントに対し、ゼウスの魔法を撃ちこむことで魔力を使い切ったのだ。
 ミタマギリの魔法を併用して、魔力に乏しいキラーアントを、アザリー・アリアンロッドは気絶させていった。
 しかし、ミタマギリの持続時間はキラーアントを撫で斬りにしていくには短すぎ、結果として魔力が尽きることになる。
「任せるのです」
「まあ、代わってやるよ」
 前衛を、アンカ・ダエジフと、セイ・ローガンに譲る。
 アンカはライトの魔法を併用する以上、そうそう攻撃一辺倒にはならないだろう。
 しかし、殺傷力は、このハウンドたちの中では、アンカの一撃にかなう者はいない。
「出来ればダンジョンでもないあなに潜りたくは無いのですが、相棒のセイさんに引っ張り込まれたのですよ」
 とはアンカの弁。
「ドワーフは地下で暮らしてるなんて偏見を持たれるけど、さすがにアリの巣穴に入るのは初めてさね。ま、身長的に、あなぐらの中は動き易そうだけどね」
「まあ、闇の覇者たるダークエルフの力が必要なら仕方が無いですが、そしてその下僕にも」
「言ってろ」
 とは、相棒同士の軽口である。
「ともあれ、アリは殻が固そうなので要注意ですね。本当にアリがとうございます」
 セイは無言でボディブローをかます。
「ほんま、なかええな──」
 とは、シフールのガーベラの弁である。
 地道なヴォルセルクと違い、魔法ひと薙ぎ敵は吹き飛ぶというあたり、成長したパドマはパーティーのかなめ足り得るのだ。
「えーとこれで、ひゃくよんじゅうななひきやな?」
 ガーベラがキラーアントの死体の数をカウントしていた。
「さすがにこれくらい倒せば、終わりなのです」
 とのアンカの弁に、セイはヒゲを軽く撫でつつ意見を述べる。
「終わりであってほしいのう」
 ──と。
「それはさておき、巣穴も一か所をのぞき踏破している」
 ディオンが述べた。そのためのマッピングだ。キラーアントのいる可能性を減らし、効率よく動く。
 いかにパドマが強くでも魔力は無尽蔵ではないのだ。
「奇遇ね、ミタマギリ一発残していたの」
 アザリーは花が綻ぶような笑みを浮かべる。まさに妖花とは彼女のことだろう。
 そして中枢部へ──依頼人のビッグ氏の推測通りなら、ここにキラーアントマザーがいるはずだ。

◆第二章:導かれしものたち
 キラーアントの巣穴でひときわ大きい部屋。
 そこにいたのはキチン質の甲殻に身を包んだ、ひときわ大きいキラーアントマザー。
 彼女は三匹のキラーアントを従えており、前衛として前に出している。
「あらあら、おぞましい女王サマね」
 アザリーはカスミブレードにミタマギリの魔法を付与する。
「──‥‥」
 魔法の準備を始めるアンカ。使う魔法はヴィンドスヴァル。
「当たれ」
 真っ先にクロスボウを撃ち放つのはディオンだ。
 傷を少しでも負わせれば、ほぼすべての行動には掣肘がかかる。
「やれやれ、お宝がないとはね、拍子抜けだ」
 セイも言いながら、ルミナショットを放つべく、気合をためるのだった。
 ディオンの射たクォレルが、手近なキラーアントに突き刺さり、同時にセイのルミナショットも甲殻を砕く。
 次の瞬間、アンカの魔法が成就する。
「──ヴィンドスヴァル‥‥ちょちょいのパッパで、あらキレイ、なのです」
 解き放たれた氷雪が部屋の中を染め上げる。
 集中攻撃を受けた一体が瀕死になり、残り二体とキラーアントマザーもただでは済まないようだ。
「イキなさい──天国に連れていってあげるわ」
 アザリーがカスミブレードを片手に、動きの鈍そうな方のキラーアントに躍りかかる。
 凍気で動きが鈍っていれば、行動の精度も落ちるというもの。
 キラーアントを彼女がカスミブレードでかすめ斬ると、ケイレンして動きを止めた。
 ──残るはキラーアントとキラーアントマザー一体ずつだ!
「面倒だから、落ちてしまえ!」
 セイがバトルハンマーを振り回しながら、残り一体となった通常のキラーアントに殴りかかる。
 ザコとはいえ──いや、だからこそ茶々を入れさせないためにだ。
 ともあれ、傷で動きが鈍り、回避しきれずに頭部を粉砕される。
「みんな~ふぁいとやで」
 ガーベラはその戦いを見守る。
「これでも喰らうのじゃ!」
 エイルがレーヴァティンを戦鎖に切り替えて、キラーアントマザーを絡めとらんとする。
 とはいうものの、キラーアントマザーも動きが幾重にも鈍くなっているにも関わらず、まるで神がかったような、動きでかわされてしまう。
「最後のヴィンドスヴァルいくのです、退いてください」
 アンカが最後に警告を出す。
 残り三秒!
 下がるエイル。バックステップするアザリーとセイ。
 アンカの意味不明な詠唱が魔力を紡ぎあげる。
「──ヴィンドスヴァル!」
 解き放たれた魔力のゆくえは!?

◆第三章:そして現実へ──
「と、まあそうなるんやったな──」
 ガーベラは自分が入れるかどうか怪しい『キラーアント』の巣穴を空中から見下ろす。
「そうね、そうだったら‥‥ステキね」
 疲れたような表情のアザリーが遠い目をしながら、ガーベラに同意するのだった。
「まあ、地道な清掃しかなさそうです、ハイ」
 アンカは魔法の杖を力無げに指先で弄ぶ、キラーアントを確実につぶす自信はある。問題は届くところまで出てくるかどうか、だ。
 もう少し知性のある相手なら、いくらでも引っかけることができるだろうが‥‥。
「あたしだって入れないよ、あの穴には全くもって、困ったもんだ」
 こめかみを抑えるセイ。ドワーフすなわち暗い穴が好きとは限らない。まあ、ハウンドとしての依頼だ。入らざるを得ないだろう。
 しかし、巣穴の拡張と補強の工事をしながらでは、いつになれば奥底まで行けるのかは──とうてい分かったものではない。
 彼女の案である、殺虫剤攻めにしても、準備だけでどれくらいかかるか、それは分かったものではない。
 似たような案のアザリーも同じ。煙攻めをするにも準備が足りないのだ。
「で、巣穴のつながりは分からない‥‥参ったな。さすがにどうか、考えてしまう」
 ディオンも彼自身が、マッピングしながら進むつもりだった。とはいうものの、穴の大きさは根本的に見落としていた要素だった。
「まあ、已むをえぬのじゃ。退いて準備をする。依頼人には年長者として頭を下げるのじゃ」
 とはいうものの、彼女自身は『年長者』に到底見えない、エイルだった。

 これらの報告を聞いたミスター・ビッグはビッグな溜息をついた。
「やむを得ない、か」
 今のハウンドたちでは残念なことに彼の期待に応えられない。その現実を噛みしめるのだった。
 ──それでも、ハウンドの戦いは‥‥つづく!



 6

参加者

a.近接戦闘を仕掛けるわ。どうすればここまで大きくなれるのかしら…。
アザリー・アリアンロッド(da0594)
♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 月
b.一応巣穴の中を記録しながら進もう。戦闘では後方から狙撃する。
ディオン・ガヴラス(da0724)
♂ 25歳 ダークエルフ マイスター 風
a.アリは甲殻が固そうなので要注意ですね。本当にアリがとうございます
アンカ・ダエジフ(da1743)
♀ 26歳 ダークエルフ パドマ 水
a.あたしゃドワーフだけど、アリの巣の探索は初めてさね
セイ・ローガン(da1834)
♀ 41歳 ドワーフ ヴォルセルク 火
b.うーむ、この多さはアリえんのう。アリだけに……そんな顔で我を見るでない
エイル・グラシア(da1892)
♀ 34歳 人間 パドマ 風
 でけーありやと! わーすげーわ
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


開拓予定地に敵影アリ

開拓者のビッグさんは大量のアリを倒すのにハウンドを雇いました。請け負ったからには仕事をして下さい。なお、方法は選ぶ必要はないそうです。指示はただひとつ。見蟻必殺。