魔物使いマスター撃破せよ

担当成瀬丈二
出発2020/02/12
種類ショート 冒険(討伐)
結果大成功
MVPエクス・カイザー(da1679)
準MVPマリカ・ピエリーニ(da1228)
エリアル・ウィンフィールド(da1357)

オープニング

◆サンドラの風、熱い風
 ガーベラがエリソンという、魔物使いの上位に位置する男を追ってきたのは、依頼あっての事だった。
 何でも地元のハンターギルドでは、捕まえようにも難しい、さじを投げるような相手らしい(もっとも、サンドラでギルドと一口にいっても、様々なものがある)。
 その力の由縁は、二匹のフィールドドラゴン‥‥らしい、サンドラのギルドの言を信じれば、だが。
 これだけでも相当面倒だ。と、ガーベラは考える。
 加えた要素として、エリソンは現地の山賊を味方にしているのだ。十人弱と微々たる数だが、エリソンを直撃できないのは、正直面倒だ。

登場キャラ

リプレイ

◆1
 疲弊した山賊など、人数で倍はおり、個々の実力で圧倒するハウンドの敵ではなかった。
 まさに鎧袖一触。山賊はあっという間に蹴散らされ、捕縛された。
 無論、ハウンドらの本当の仕事はここから。皆は山のさらなる高みを睨むのだった。
 待っているのは魔物使いマスターと、その配下たるフィールドドラゴンだ。
「運が良かったですね。ちょっと遅かったら、魔法で一掃してましたよ‥‥さて、みなさん」
 オチを自分でつけた、アンカ・ダエジフ
「これから攻撃魔法を撃ちますので、アンカちゃんの前にいない方がいいです」
 彼女がこれから撃つのは、ヴィンドスヴァル。対フィールドドラゴン戦の決戦的な魔法だ。
「場所が入り組んだ岩場なら、逆にドラゴンを狭い所に誘い込めば‥‥?」
 その精神のもとに、エクス・カイザーは魔法の箒で上空から偵察、フィールドドラゴンの位置を把握、誘導して、現在一体を分断した。
 強大な敵、二匹に正面からぶつかることはない。
 とはいえ、最後に勝負を決するのは、知恵と勇気だ。
「任せたぞ、皆!」
「よし、任された──いいな、イカヅチ」
 そう言うハヤト・アステール
 彼は、自分の相棒のフィールドドラゴン──見ようによっては山吹色に見えるかもしれない──の鼻面をなでる。

◆2
「ドラゴン‥‥まさか戦うことになるとはね──しかも、敵味方両方にいる‥‥相当堅いでしょうが、要は倒せるまで攻撃すればよいことよ」
 グリーヴァファングを握りしめる、マリカ・ピエリーニだった。
 倒すまで攻撃する──言葉にすれば簡単だが、相手の攻撃をしのぎ切るだけの守備力が必要だ。
 彼女はすでにルミナパワーとストライクを成就している。攻撃力はあるのだが‥‥。
 ディレクトガガで、エリアル・ウィンフィールドはすでにガーゴイルを具現化している。
 岩塩で出来たような、少女の彫像。その眠りをもたらす拳がどう、戦局を変えるだろうか?
「仕留めても構わんと言うのは、正直助かるが、出来れば殺生は控えたいのである」
 ノワール・トゥーナインは遠くを見る目で呟く。
「しかし、仲間の命を天秤にかけたなら、迷う事なく敵の命を奪おう」
 とはいえ、彼の戦闘脳はためらわず宣言させる。
 同時に全長二メートルを超すグリーヴァオオダチでは、懐に飛び込めば一方的に不利になるとも判断した。
「本気で行く! 後は御主の生命力次第。死んでも恨むでないぞ?」
「竜の鱗は、二回に一回くらい攻撃が弾かれる‥‥ならば、ダブルアタックすれば多分有効!!」
 ダブルアタックの戦技魔法を成就した、エア・カイザーも勇む。
「ダブルアタックの二刀流なら一回は通る筈!!」
 無力化できる道具は備えた。後は幸運のみ!
「急ぎ、ましょう。私は、周りの、警戒を、します。これでも、私、目は、良いん、ですよ? 魔法込み、ですけど」
 ルミナリィの魔法を成就した、ソレイユ・フォリー
 今の彼女に死角はない。
「今回、私は、皆さんの、補助を、行います。殺さない、方が、良いん、ですよね?私が、やると、多分、ヤっちゃうから、ククク‥‥こほん、失礼」
 ノワールは、それを聞いて。
「殺せないのと、殺さないのとでは、まったく意味合いが違うのである」
 ソレイユはシッポから力がなくなる。
「‥‥ウン‥‥じゃあ、殺したり、しない。ゼッタイ、しない。デモ、奇襲するナラ、来ればイイわヨ? アタシがミツケテアゲル♪
 冷ややかにして狂気を感じさせるソレイユの言葉に、降伏した山賊たちは震えあがった。

◆3
「──ヴィンドスヴァル」
 アンカの魔法の杖の先端から吹雪が迸る。
 冷気の中、咆哮をあげるフィールドドラゴン。まさに畏怖すべき存在!
 お互いの先手は、魂まで凍りつくようだ。
「コレガ、恐怖?」
「勇者は屈せぬ」
「──!」
 ソレイユとエクス、それにアンカが咆哮により、動きから生彩を欠いてしまう。
 しかし、その大きすぎる代償と引き換えに、フィールドドラゴンはヴィンドスヴァルを弾けなかった。
 とはいえ、フィールドドラゴンは凍てついていない。
「一撃、二撃、双撃必殺!」
 エアがカゲヌイブレードを左右から変幻自在な動きで繰り出す。
 初撃をかわすドラゴン。
 そして、次手はウロコではじく。
「破ッ!」
 ルミナパワーの魔法を付与した、グリーヴァオオダチでノワールは斬りかかる。
 動きに無駄なく追従し、鱗を破りさる。
 赤い血が流れた。
 次の瞬間、ドラゴンは倒れた。
 エリアルが使役するガーゴイルのソルティドールが乱撃のスキを抜いて攻撃をしかけたのだ。その触れたものは眠りの園へと引きずり込まれる。
 体力が落ちれば、気力も萎える、その理論によりフィールドドラゴンは抵抗力を落としたのだ。

◆4
「後ろから、来るヨ!」
 ソレイユのルミナリィによる視界は、岩場を迂回してきた魔物使いマスターと彼がまたがる、もう一匹のフィールドドラゴンの姿を捕える。
 空中から向かうエクス、マリカ。そして、ドラゴンの上空を飛びながら、前進するハヤト。
「以外だったな、後ろから回り込むとは──」
 ハヤトがサンダーマンモスの牙と、竜の牙から削りだされた、ドラゴンアローを構える。
 ダブルアタックとオフシフトは付与済みだ。
「‥‥」
 無言で魔物使いマスターは鞭を振り回す。
「ヴィンドスヴァル──ハイハイ、アンカちゃんの出番です」
 アンカも遠距離から支援。
 フィールドドラゴンは鱗ではじき無傷。とはいえ、魔物使いマスターは直撃。逆に背中にはしがみついた。
「悪を止めるまで、殴るのを止めません!」
 マリカがグリーヴァファングで、フィールドドラゴンを殴りつける。
「グオオー!」
 フィールドドラゴンの無粋な苦悶が聞こえる!
「生死、問わず、だから」
 魔物使いマスターに下から、真銀製のスピアを突き上げるソレイユ。
 男の悲鳴が聞こえた。そのまま、転がり落ちていく。
「喰らうか! 赤い稲妻を!」
 ハヤトの戦場仕込みの一撃を受ける、フィールドドラゴン。
 両方ともに、鱗の防御を突き破る。
 それでも、ドラゴンは必死の反撃を繰り出す。
 しかし、それを受け止めるハヤトのイカヅチ。
 超重量戦。ドラゴン同士の肉弾戦だ。竜の鱗で互いの攻撃を弾き合う中、割って入った強者もいる。
 マリカとエクスだ。
 ふたりともに火のヴォルセルク。
 切り札は肉弾戦からのエクスプロージョン。
 鱗の防御力の前にどこまで食い下がれるか、まさに大バクチだ。
 エクスは箒から飛び降り、フィールドドラゴンの首もとに降り立つ。
「当たれ!」
 勢いよく突き出された拳。
 鱗の前に阻まれるルミナパワーを以てしても阻まれる。
──!
 次の瞬間、ドラゴンが苦悶の悲鳴をあげた。
 エクスプロージョンを流し込んだ。
 首元とは言わないが、肩口が弾けていく。
「行ける!」
 返り血を浴びたエクスが勝利を確信する。突っ込むマリカ──ドラゴン同士の戦いという均衡を崩したのだ。
 ならば徹底的に打つべし! 

◆5
「失礼して!」
 グリーヴァファングを突き立てる。こちらの攻撃は弾かれない。幸運の女神は微笑んでいる。
 しかし、突き立ったのはシッポの付け根だ。
 だが、魔力を叩き込んだ。
 同じくエクスプロージョン。
 結界越しであろうと、痛打を与えうる攻撃だ。
 アンカが何か言っている。鱗を取って欲しいようだ。
 ダークエルフであるアンカはジュソと呼ばれる魔法を使える、傷だけでなく、魔法的にも攻撃し、抵抗力を弱めるのだ。
「ほほほ、期待には応えねば」
 エリアルが意図を察する。
 彼女のソルティドールは、攻撃した相手を眠りの園に送り込む。
それでも、必ず効力があるとは限らない。抵抗を打ち破る確率を高めるのだ。
 乱戦の中、マリカが鱗を拾い、アンカに届ける。
 その鱗がジュソの媒体だ。
「──ジュソ」
 フィールドドラゴンは動きが鈍る。それに乗じて、イカヅチが攻め立てた。
「これできまりどす」
 返り血を浴びながら、エリアルのソルティドールが勝負を決した。
「お眠どすえ、とっとと縛っておくれやす」
 エリアルはロープも準備。予定していたカーゴは、馬車に対し大きすぎたため牽引を諦め、ここにはない。しかし、馬車があるだけでも大きな力となる。
 荷台にドラゴンの首を載せれば、あとは、多数の人力で運べなくもない。
 ドラゴンを戒めるのは、団結‥‥そう、美しい言葉だ。
「イカヅチ良くやったな」
 血まみれのイカヅチの鼻面を撫でるハヤトだった。

◆6
 フィールドドラゴンは大人しく、分けられて、連れられて行く。
 両者ともジュソにより、行動を縛られ抵抗が十全の力でできない。
 生け捕りにしてほしいと言い出した、とうの領主が、このフィールドドラゴンたちと、瀕死の魔物使いマスター・エリソンをどう扱うかは分からない。
「へんなことにつかわんとええな」
 ガーベラは怪訝な顔をする。
「エリソンはドラゴンを従える。領主は、エリソンを従える‥‥力を正しく使う器である、と信じるしかありまへんな」
 エリアルはそう言う。近場に相棒がいるハヤトとしては、イカヅチのように幸せになって欲しいと祈るのみ。
「まあ、なるようになる──か?」
 その一方──。
「本当に二匹捕まえた──」
 マリカはその光景を背後から見送る。
「捕まえたのですよ、我々が」
 エアもその実感を改めて感じる。
「不必要な殺傷はしない。これは勇者としては大事な考えか」
 そういうエクス。自分たちが強いから殺さずに済んだ。
「精力善用ですかね。いやぁ、間違っていませんね」
 アンカは腕を組んで、幾度もうなずく。
「ソレイユも助かったのである。これからも相棒でいてくれ」
 最高の『戦友』ソレイユに笑みを向けるノワール。
「‥‥ノワールの、背中は、いつだって、守るよ」
「うむ」
 この後、ハウンドたちはオーディア島に帰還する。
 いつもの様に、さりげない勇者たち。
 だから‥‥ハウンドの戦いは──つづく!



 8

参加者

a.フィールドドラゴンは回避が高い上に竜鱗持ちだから厄介だぜ!
ハヤト・アステール(da0375)
♂ 23歳 カーシー(中型) ヴォルセルク 風
a.ドラゴンね。…相手に不足はないわ!
マリカ・ピエリーニ(da1228)
♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 火
a.よろしくお願いします。
エリアル・ウィンフィールド(da1357)
♀ 49歳 ダークエルフ マイスター 水
c.場所が入り組んだ岩場なら、逆にドラゴンを狭所に誘い込めば…?
エクス・カイザー(da1679)
♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火
b.初手でヴィンドスヴァルを放ちますので、前衛の方は注意してください
アンカ・ダエジフ(da1743)
♀ 26歳 ダークエルフ パドマ 水
a.本気で行く、死んでも恨むなよ?
ノワール・トゥーナイン(da1749)
♂ 29歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 風
c.奇襲は、見逃し、ません
ソレイユ・フォリー(da1795)
♀ 22歳 カーシー(小型) ヴォルセルク 陽
a.半分の確率で無力化されるなら、ダブルアタックなら多分有効!!
エア・カイザー(da1849)
♀ 28歳 人間 ヴォルセルク 風
 ずっとうちらのたーんや!
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


頭がみっつ、尻尾二本

え? 「ひ」とかはかないんか? かいしょうがないどらごんやなぁ(ハウンドギルドG嬢談)