【SE03】愛と犬と悪漢貴族

担当成瀬丈二
出発2020/01/30
種類ショート 冒険(捕獲)
結果成功
MVPソーニャ・シュヴァルツ(da0210)
準MVPアザリー・アリアンロッド(da0594)
ベドウィール・ブランウェン(da1124)

オープニング

◆君は愛を感じたことがあるか!?
 もろもろのハウンドギルドが行った調査の結果、ウーディアの某港町を治める貴族が、『愛を感じる果実』カカオらしきものを、ある程度保有していることが判明。
 猟犬は愛の狩人として、ウーディアに旅立った。
 さっそく交渉に向かったハウンド。
 カカオを譲ってもらえないか頼んだところ、こんな条件を出された。
 まあハウンドが毎回へんな条件を出されるのは様式美だ。

登場キャラ

リプレイ

◆村はずれの洞窟にて
 勇者(申請中)の、エクス・カイザー曰く。
「勇者として、囚われた人々と売られた人々は奪還せねばな、無辜の人々を奴隷として売るとは許し難し」
 三人の烏合山賊が見張り番をする洞窟の近くだ。
 顔にはりりしく天狗マスク! WAO! グリーヴァーミステリー!
 それを聞いた、チャウも声をあげる。
「カカオ~!! 助けたらカカオくれるんだよね?」
 チャウとて、胸に燃える(はずの)ハウンド魂が、勇気回路がゼンリョク回転。
 決して、悪い奴をやっつけたらカカオをくれると聞いたんで、悪い奴に捕まった人たちを助けに行きます──ということではない。
 強いて言えば、それは愛のため、だ。
「それもあれも、一挙両得を目指しましょう!」
 と、エア・カイザーが拳を握りしめる。もっとも、その背中にはチャウが張り付いた。
 正義とカカオ、それは矛盾しない。それを彼女の狐面が証明している。

 ローレライの魔法で作り出す、ブレードofローレライを握りしめた、リザ・アレクサンデルは、軽く肩をすくめて、
「なにか、愛の狩人(物理)かぁ‥‥それにしてもあのイヌチャン頼もしすぎる‥‥!」
 あのイヌチャンとは? それは後に譲ろう──今は語る時ではない。
「でもね、愛の為なら何でもオッケーって訳じゃないでしょ──『真実の愛』とかだいたいろくなことにならないからね‥‥まあ、今回は明らかに相手がアレだしセーフ!」
「通りすがりの愛の使者ですとかそういう‥‥?」
 言いながら、ベドウィール・ブランウェンが、リザのブレードofローレライにミタマギリの魔法を付与し終えた。
 先に自身のグリーヴァライモンにも、ミタマギリの魔法は付与済みである。
「なるべく無傷‥‥ふむふむ‥‥かすり傷はいいですよね」
「ええんやないの?」
 小首を傾げる、ガーベラ
 無論、エクスの背中に張り付いている。

「愛の義賊参上! 僕が来たからもう安心ってね☆」
「カカオ~!」
 エアとチャウが腕を組み名乗りをあげる。
 一方で、エクスとガーベラも──!
「キサマらに名乗る名前はない。愛の戦士、狐仮面参上!」
「なのっとるやんけ!」

「それはそれとして‥‥」
 言いながら、死角からべドウィールが気配を消して、烏合山賊のひとりをグリーヴァライモンでひと撫でする。
 魔力を削られた、烏合山賊は声もあげずに、気絶した。
 その横にいた烏合山賊も死角から伸びてきた水のヴェールを尻餅を突きながらかわす。
「あれ? 運が悪いな、次はないよ──」
 リザが非常に残念そうな顔をする。
「ウィールはやっぱり、不意を打つのが得意だよね」
「不意打ち? 軽いスキンシップですよ?」
 リザとべドウィールの軽いやり取り。
「カカオ~!」
 エアの背中に張りついていた、チャウがサンダーマンモスの牙を逆手に突き立てる。
 完全奇襲だ。
「あ~?」
 一瞬、感電しそうになるが、根性で耐える烏合山賊。偶にはそういう日もあるだろう。
 しかし!
「させないって!」
 エアがゲンエイクロスを投げて、けん制する。
 多分仲間を呼びに行こうとした烏合山賊ふたりは反射的に動きを止める。
 その後ろからリザのブレードofローレライが伸び、魔力を削り切って、意識を失わせた。
「何もするな、それだけでいい」
 エクスのその言葉に反抗の意識をなくす烏合山賊。
「お助け──お助け下さい」
 洞窟の中から声がする。
「皆さん、助けに来ました! もう安心ですよ!!」
 エアはお面を外して呼びかけて、洞窟から連れ出そうとする。

◆女神それを欲し給う
 カルヴァン家の家長、犬嫌いのバーバリーを目の前にした、アザリー・アリアンロッド曰く。
「絵に描いたような悪者ね‥‥教会を訪れたのだから、懺悔すべき罪があるでしょ? じっくり思い出して──思い出せないの? 悪い子ね」
 十人のならず者──烏合山賊を目の前にして臆する態度は見せない。
 だが、それを感じるほど、烏合山賊は繊細ではなく、じりじりと前進してくる。
 そこに響き渡る声。
「──ファイアボム」
 魔法を成就させた、アルマリア・アリアンロッドが放ったファイアボムは空中で炸裂。その破壊力は十人近い烏合山賊を精神的に無力化するのに十分だった。
「さて、誰からレアにしようかしら‥‥きっと、苦しいわよ」
 その言葉に動きが止まった瞬間。
 無言で、ソーニャ・シュヴァルツが斬りこむ。
 両手に持つは、グリーヴァナガマキ。脇には大柄なイヌ、ホワイトカムイを引き連れている。
「ぐわー、イヌだ! イヌは殺せ!」
 バーバリーがわめきたて、注意がそちらに逸れたすきに、アザリーが斬りこむ、いや──殴りこむ。
「はあッ!」
 ミタマギリの魔法を付与された拳で、目の前の烏合山賊を殴り倒す。
「ぐわーっ!」
 正確には、魔力を削り切ることで気絶させたのだ。
 崩れた一角をソーニャは見逃さない!
「よーしよし、ちょっと全力で遊んで来い」
 ホワイトカムイを戦列の崩れから突入させる。
 対象はバーバリーだ。
 白い巨躯を止める余裕はなく、バーバリーは圧し掛かった巨犬に失神寸前だ。プレッシャーに耐えきれない。
「やめろ──やめてくれ‥‥金なら出す──頼む、た」
 顔をぺろりと舐めるホワイトカムイ。
「なら誓え。隣の領地への手出しは今後一切するな」
 ソーニャが冷たい目で見降ろす。
「あれ、一匹だけじゃ不満?」
 アザリーが秋田犬を後ろからけしかける。
 彼女への手出しは、アルマリアがけん制していた。
「分かった。それで十分だ。必要があれば、また犬と一緒にやってくる」
 ソーニャはバーバーリーが諸々の約定を結ぶ書状に(羊皮紙は教会から提供してもらった)署名したのを見極めると、ようやくホワイトカムイを下げる。
(バーバリーは犠牲になったのだ、カカオの為の犠牲にな‥‥)
 バーバリーは教会に飛び込む。
 アザリーはアルマリアに問う。
「なんなのかしら、あの男。イヌたちはこんなにかわいいのに‥‥それにしても『愛を感じる果実』‥‥どんな味がするのかしら。一緒に確かめてみたいわね、ねえ義姉様?」
「多分初恋の味じゃないと思うわよ」

◆愛! 増えまくる愛!
 こうして、ハウンドたちは一定の成果を上げて、カルヴァン家からの干渉を防いだ。そこで得られたものは、人間ひとり分くらいはありそうな、カカオだった。
「これがかかおやな、あいのあじがするんやろ?」
 ガーベラが見る。
「カカオ! カカオ!」
 チャウもエキサイトしているようだ。
「ふう‥‥苦労した甲斐があったね、ウィール」
 両腕を組むリザ。
 彼に対し、べドウィールは。
「まあ、山賊と言っても可笑しくない輩でしたらね、朝飯前でしょう」
「愛の果実、か。このエクスのトモダチは愛と勇気だけ‥‥と、いうことはトモダチか」
 エクスが感慨深げにカカオを見る。
「ところでこれをどうするのかしら。愛を感じる‥‥だけだと」
 エアの言葉に一同は頭をひねるのだった。
 それはともあれ、オーディア島に帰り、戦利品を献上することで話はまとまった。
 これがあるからといって、急激にカカオの開発が進むわけではない。しかし、確かな一歩を踏み出そう。
 なぜなら、そこに『愛』があるがゆえ。
 しかし、愛戦士たちの戦いは──つづく!



 7

参加者

a.よーしよし、ちょっと全力で遊んで来い。
ソーニャ・シュヴァルツ(da0210)
♀ 24歳 カーシー(中型) ヴォルセルク 火
a.こんなにかわいいのに…。
アザリー・アリアンロッド(da0594)
♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 月
z.よろしくお願いします。
アルマリア・アリアンロッド(da0672)
♀ 35歳 人間 パドマ 火
c.愛の狩人(物理)かぁ…それにしてもそのイヌチャン頼もしすぎる…!
リザ・アレクサンデル(da0911)
♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水
c.ふむふむ…ではひとまずこちらへ。
ベドウィール・ブランウェン(da1124)
♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月
b.勇者として、囚われた人々と売られた人々は奪還せねばな
エクス・カイザー(da1679)
♂ 30歳 人間 ヴォルセルク 火
b.カカオ~!!
チャウ(da1836)
♀ ?歳 シフール カムイ 月
b.愛の義賊参上! 僕が来たからもう安心ってね☆
エア・カイザー(da1849)
♀ 27歳 人間 ヴォルセルク 風
 これがちからや、これがいぬや!
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


犬には弱いんだ弱いんだ

愛の果実カカオ入手。難易度最低、必要なもの嗜虐心と自制心。集合場所、ウーディア。特記:イヌ類を連れてこられたし。現地調達もOK