オープニング
◆南へ進め
オーディア島からはるか南のサンドラの地、そこで見事に依頼を解決したハウンドたちは事件に遭っていた。
なんでも、街道を通るはずだが、一週間たっても来ない商人がいるという。
そこで、ハウンドのひとり、シフールのガーベラが宣言した!
「なら、うちらがかいけつしたるで、とらぶる・いず・まい・びじねすや!」
聞き込みを進めると、直立した牙を生やしたブタのような邪鬼(エルヴィン)の存在が判明した。
行方不明の商人はリガーリといい、糸杉のようなひょろひょろノッポである。
──ブタは討て、商人は守れ、そういうことになった。
◆哀砂漠
そして、出入りが制限された街道で、最近と思われる轍(わだち)を辿っていく。
横倒しになった馬車があり、周囲には争ったと思しき、足跡がある。
そして──いた。
まるで全身にクッションをまとったような老商人である。
「なんだね、君たちは? いや──助けてくれないか、礼はたんまりする」
それと馬車をはさんで反対側には‥‥。
「お願いします、出来ることなら予算の範疇でいくらでもしますから」
脂肪の塊から削りだしたような少女がいる──非常にふくよかだ。
ふたりとも仕立てのいい服をまとい、年齢が極端なことをのぞけば、リガリーだといっても、通るだろう。
ただし、脂肪をのぞく。
「そこの少女はニセモノだ、私がリガリーだ」
「いいえ、そこの老人はニセモノです、私がリガリーの娘のガーリリーです」
収拾がつかなくなってきた。
そして、あなたは──道を選んだ。
──ハウンドの決断が始まる。
選択肢
a.老人怪しい | b.娘が怪しい |
c.どちらも怪しい | z.その他・未選択 |
マスターより
成瀬です。今回はサンドラです、まあ時間が経てば、老人も少女も、そして皆さんも疲弊するでしょう。
速やかに解決し、即座に対処することが成功の秘訣です‥‥多分。
ただ、老人もガーリリーも互いに見覚えがないようですね。
ともあれ、オーディアに帰るため、世のため、人のために是非とも皆さんの決断を待っています。
では、ご決断どうぞ!
登場キャラ
◆前哨戦
(僕たちが探していた商人は‥‥良くわからない彼らはダークサイドの可能性がある。そもそも、僕らが探している商人の名前は『リガーリ』だから、自称『リガリー』の老人も、リガリーの娘を称する『ガーリリー』も偽物だ。豚面じゃないのが気になるが──ダークサイドなら、変身能力くらいあっても不思議じゃない。で、偽物と分かって、解呪もできれば、後は退治するのが良いな)
全体を見渡す、
リコ・ポートマン。必殺解呪人の名が燃えるというものだ。
(両方とも反応はクロ──)
こっそりと、
コニー・バインはエネミーグラスを成就。老人と少女の双方が、敵意を抱いているのを確認できた。
(しかけよう)
とコニーが思ったところで──。
「はっはっはっ♪ 女の子が悪いことするはずないだろ♪」
一方、歯を光らせた、
ライオット・シンは、ふくよかな少女、ガーリリーの肩に手を置くと、馬車の反対側にいた老人リガリーを指さす。「あんたが犯人‥‥いや、オークだな!!」
「な、何をおっしゃいます?」
「なんでって? はっはっはっ♪女の子が悪いことするはずないだろ! とにかくガーリリーちゃんをオークから守ろうぜ!」
言ってライオットはガーリリーを引き寄せようとする‥‥が、重すぎて逆に引きずられるのだ。多分、フル装備のライオットより重いだろう。
「ああ?」
赤面するガーリリー。
◆愛情のかたち、信頼のかたち
「ば、バカな! オレが女の子に恥をかかせるなんて! オレの‥‥オレのアホーー!!」
そういうとライオットは、地面に何度も頭突きをかまし、額から大流血!
「キミはオレたちが守るから安心してくれ!」
『オレ』ではなく『オレたち』なのがライオットらしいというかなんというか‥‥。
「え? まだ疑ってんの? こんな魅力的な女の子を?」
頬を赤らめるガーリリー。
(可憐な)
(少しカマをかけてみるか)
そう考えながら、
ノワール・トゥーナインは一歩踏み出す
「皆に確認である、商人殿の名はリガーリで間違いは無かったな? そう皆の言う通り、リガーリだ。我らが聞いた確か商人の名前はリガーリではなかったか? 本人だけならまだしも、娘まで父の名をいい間違えるなと、あり得るのか?」
「ありうる──そんな何日もこんな誰も来ないところにいれば、不安定になってもおかしくない!」
ライオットの反論に納得できないハウンドたち。ただし、
ガーベラをのぞく。
「‥‥いや、それは苦しいのである、すまぬが、商人殿、そなたの名はリガリーで間違いはないか? 間違いない。そして、そなたはリガリー殿の娘御で間違いは無いか?」
その耳元に背伸びして口を寄せる、
ベドウィール・ブランウェン。
「腹芸ということが出来ないのですか、怪しんでいる相手の前で怪しいというなんて」
べドウィールが見た周辺の図。
争ったような足跡。
小奇麗で紳士的な、商人の体型とはかけ離れた生存者。
襲ってきた者は? 護衛は? 積み荷は? 何故彼らだけがここに?
(成程、
リザは『ダークオークが化けて成りすましているかも』と疑ったのですね、気絶したら解けませんかね‥‥)
それは──やり合ってみなければ分からない。
(ふむ、妙だな。商人の容姿が人々の話と違うのだよ。しかも、名前はリガーリでありリガリーでは無いのだ──可能性は娘御であるが、彼女は言ったな? リガリーと。父の名を違える等あり得るのか? すると、同じ間違いをしたふたりはもしや‥‥)
しかし、ノワールとべドウィールの会話は十分に、気をひいた。
後ろで、
サレナ・フランセットはそのスキに──。
(こそこそ、ですー──フライ)
彼女は、フライを唱え終えてから、魔法の杖の特殊能力を発動し、透明化する。
(ふふー、わかってますよーノワールさん。さーて、ノワールさんにあそこまで言われてーどんな反応しますかねー?)
ソレイユ・フォリー曰く。
「んー、取り敢えず、連れて、帰って、みるのは、どうでしょう?」
見事な折衷案だ。
「本物であればそれで良し、偽者ならば、情容赦なく、首をはねれば、いいです。わたし、嘘を、つかれるの、嫌いですし。考えて、みて下さい。連れて、帰って、正しければ、それで良し。違ったら、処断する、ほら、何も、難しく、ありません」
さらりと物騒なことを言ってのける。
「うむ、それがいい」
と肥満老人。
「そうしましょう」
ガーリリーも同意する。
◆甘い本当、都合のいい真実 愛おしすぎて
「だから言ったろ! ガーリリーちゃんを怖がらせやがって!」
リザも内心、怯えながら──。
(えぇ‥‥いくら何でも体型違い過ぎない? それに2人とも商人さんの名前間違えてるよね? オークじゃないけどダークオークだったら‥‥?)
「大丈夫、怖くないよ」
リザの笑顔はクリティカルな一打を、ライオットのハートに与える。
(いかん、揺れるな俺のココロ。リザちゃんごめんな、俺は二股を出来るほど器用にできちゃいないんだ)
「どしたの?」
問うリザ。ライオットは笑みを浮かべて吹っ切る。
「いや、何でも。さて、ガーリリーちゃん、行こうか?」
ライオットはスキンシップ(意味深)の意を込めて肩に手を回そう──と、出来なかった。
どうやっても、まるで見えない巨人の肩に手を回しているかのような、ぶよぶよとした感触。
「──!」
ガーリリーの魔物法が解除され、身長二メートル、体重百数十キロの巨体が姿を現した。
豚面に、下あごから伸びた牙が、非常にチャーミングだ。
つまり、ダークオークだ。
その腕が振るう巨大な戦鎚!
生への執着心、あるい精霊たちの加護がライオットを救った! あと数センチずれていれば、煩悩器官はおなくなりになったところだ。
「ドちくしょう! オレの、オレの純情を返せーー!!」
転がりながら銀のショートソードを抜く。
そこに上空から稲妻がとどろく、サレナが上空に位置し、ダークオークにゼウスを放ったのだ。
透明化はゼウスを放った時点で解除される。
「あなたたちのー姿はー空から見えてますよー。もう逃げられませんよー諦めてくださーい」
稲妻を喰らってもなお、ダークオークは悲鳴をあげない、巨体に応じたタフさというヤツか?
真銀のスピアを突き上げて、内臓をこねくり回そうとするソレイユ。
「ひと槍食らいなさい、なのです」
しかし、ダークオークの動きは非常に俊敏。
魔法でブーストされたスピードで、ソレイユの槍をかわし、続けて切りかかったノワールのオオタチを見切る。
「では、これで──」
グリーヴァライモンが死角から突き下ろされる。べドウィールの攻撃だ。
「さすがウィール姑息だね!」
リザがレイピアで突き上げ追い打ちをかける。
「ローレライしないんですか?」
べドウィールの問いに、抜いて突いた方が早そうだった、とリザ。
多分ノワールがしなければ、リザに魔法をこっそり付与する時間もあっただろう。
「はいチェックメイド」
サレナのゼウスがダークオークを沈黙させる。
◆見つかったマヌケ
一方、老人の方にも注目が向けられる。
コニーは一歩進み出て、パイプをくゆらせる。立ち上がる紫煙。
「これはグリーヴァの逸品でして、人に悪意を持つ邪鬼がこの煙を嗅ぐと‥‥豚鼻になるそうですよ」
オークじゃないけどダークオークだったら‥‥?
とコニーは、はったり勝負。
多分、オーディア島のように、グリーヴァの品がハウンドギルドで見受けられるなら、意味はあるだろう。
しかし、異国のこの地では。
「はあ『ぐりーばあ?』何ですそれ」
と返された。
「だが、まぬけはみつかったようやな」
言ってガーベラが磨いた銅貨(まるで鏡のように!)をコニーの眼前につるす。
「しぶいねー全く」
自分の顔にツッコミを入れるコニーだった。
「疲れたようですから、この魔法で落ち着いてください──」
リコがあくまで落ち着いた様子で、ダークオークが化けていた老人にかけようとした所で戦鎚が振るわれる。
まともに受けて肋骨が何本か居れてしまうリコ。
そこに迫るブレードofローレライ・プラス・ミタマギリの合わせ技!
リザがローレライで作った水剣に、べドウィールがミタマギリの魔法を付与したのだ。
「何かこれやると落ち着くね」
「様式美といいましょうか‥‥」
ダークオークからの失恋から立ち直ろうとした、ライオットだったが、愛しのリザちゃんのハートは、べドウィールのものという光景を見てしまう。
決してライオット・シンはクールに去るぜという心境になれない。
今の彼の心境は‥‥イケメンには逆立ちしても勝てんとゆ~んか! だった。
荒野に獣慟哭す──。
「でも、とどめを刺す前にリムーブカース。魂だけでも救うよ」
サレナも魔力が尽きて、空中からの攻撃を断念した。
魔法が切れたらしく、一分ほどでダークオークから神がかった体裁きは失われる。
次の魔法を集中している間。
「おわり・だよ」
スピアが背中を貫いた。
「では、リムーブカース」
リコが息も絶え絶えに魔法を使った。
それから自分の傷を銀の頭のメイスの特殊能力で癒したうえでキュアティヴを発動。
「さっきの少女の方に──」
休む間もなく、とどめを刺される手前のダークオークを解呪する。
◆あなたの魂にやすらぎあれ‥‥
「──かくあれかし」
リコが仮埋葬の碑に祈りを唱え終わった。
リガーリ氏と、従者たちがそこには眠っている。
「‥‥」
神妙な顔で、目を伏せるノワール。
表情だけは神妙なソレイユ。
「今はお眠りください」
サレナは短くつぶやいた。
「あーめん」
ガーベラもどこかで聞いたようなフレーズを囁く。
「仇は討ちました、安らかに」
そう言ってべドウィールは合掌する。
「すぐ、本当の寝所に行けるといいね」
リザは乾いた荒野に残ったわずかな水を滴らせる。
「悪いな‥‥男のために祈る言葉はあんまりないんだよ」
リガーリの墓に背を向けるライオット。
コニーはその背中に向かって。
「だが、マヌケは見つかったようで──」
「うるせえ」
こうして、街道の危機は一応回避され、ハウンドたちは帰郷の道を歩む。
彼らはオーディア島に帰り、次なる冒険譚を繰り広げるのだろう。
だから──ハウンドの戦いは‥‥つづく!
7
|
|
参加者
| | c.エネミーグラスとパイプの煙でのハッタリ(ジョジョネタ)を仕掛けますw
| | コニー・バイン(da0737) ♂ 23歳 人間 マイスター 月 | | |
| | c.えぇ…(困惑)
| | リザ・アレクサンデル(da0911) ♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水 | | |
| | c.さて、どうやって確かめましょうかね…?
| | ベドウィール・ブランウェン(da1124) ♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | c.僕達が探していた商人は……
| | リコ・ポートマン(da1336) ♀ 23歳 カーシー(中型) カムイ 月 | | |
| | a.はっはっはっ♪女の子が悪いことするはずないだろ♪(口説きにかかる)
| | ライオット・シン(da1728) ♂ 21歳 人間 ヴォルセルク 風 | | |
| | c.少しカマをかけてみるか
| | ノワール・トゥーナイン(da1749) ♂ 29歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 風 | | |
| | c.こそこそ、ですー(透明)
| | サレナ・フランセット(da1754) ♀ 21歳 ライトエルフ パドマ 風 | | |
| | c.さて、どうしましょうか?
| | ソレイユ・フォリー(da1795) ♀ 22歳 カーシー(小型) ヴォルセルク 陽 | | |
老人と娘
| |
りがりーのむすめ、がりりーとろうじん、どっちもほんものなんか? うちにはよーわからんで、なぐってしまいにしたろか?
|