オープニング
◆ゲロ以下の匂いが(略)
「夕食は終わったな、後は予定通りに休憩をとれ、不寝番を忘れるな」
七人の騎士団の従者を前に、パイロ・シルヴァンは指示出しを終える。
今回は魔の森の浅い場所での、訓練だ。しかし、木々は茂っていた。
ハウンドギルドからは、あなたたちを含めていく人かの、補助要員を呼んでいる。
一応、マンツーマンで従者たちを『有事』の際には守って欲しいとの事だ。
幸い、魔の森は黄昏時までは厳しい顔を見せていない。
パイロなどは──。
「甘やかせる気はないのだが‥‥」
ということらしいが、ハウンドとしては、無事で帰れるに越したことはない‥‥ハズだ。
しかし、いく人かが鼻をつまんだりし始めた。
「何だ、この肉の腐ったような‥‥」
「気持ち悪い」
ハウンドたちも違和感を感じ始めた。
パイロは声をあげる。
「従者たち、全員焚火の周りに集合せよ。火をつけなくてもいいから、松明を持て!」
光の差すところ、アンデッドの類などは入りづらい──パイロの勘では、ゾンビではないか、ということだ。
「──!」
ハウンドの中には、銀の武器などを準備している者は取り出すものもいる。
「ハウンドの皆さん、俺はいいから八羽のヒヨっ子たちを守ってくれ」
パイロは腰から魔法のものと思しきショートソードを取り出す。
「夜明けまで持ちこたえれば──勝ちだ」
最悪のタイミングで持久戦となる。しかも場所は魔の森。
あるハウンドの勘ではゾンビは十体は軽くいる。場合によっては三十体はいるかもしれない。
長い夜になりそうだった。
ハウンドの夜が──始まる。
選択肢
a.ゾンビ撃破 | b.従者守護 |
c.何かおかしい? | z.その他・未選択 |
マスターより
チェーソーがゾンビ退治には不可欠ですね。後、ショッピングモール。
しかし、オーディアの島にはそんなものは‥‥ないのです。
なお、皆さんが期待されている役割は、従者の八人の少年たちを守り通すことです。
彼らは戦闘訓練は受けていますが、実践は足りず、装備も銀の得物などは準備していません。
もし、参加人数が足りなければ、NPCのモブハウンドが守ることになります。
では、諸君覚悟は良いですか?
ならば、参加をお願いします。
登場キャラ
◆我と彼との戦場
「ソレイユよ、そなたはその時々で状況を判断し、好きに動け」
そう言って、
ノワール・トゥーナインは(彼から見て)親友である、
ソレイユ・フォリーに矛の役目を委ねる。
「近づいてきた奴から、始末するしかないよネ」
「この者達は自分が全力で守ろう。たが、何か気になる事が起こったら知らせてくれ」
「うーん、来るのを待ってタラ、複数相手にしなきゃならなくなるカラ、ある程度近付いてきた奴をコッチから仕掛けて始末しちゃった方が良いよネ。大体の場所と数を把握しなくちゃネ。攻撃は最大の防御っテ言うデショ? 近づく前に始末しちゃえば問題無いよネ?」
「この悪臭の中では嗅覚は当てにならんか、だが気配を隠そうともしないのであれば同じ事であるな。下手に動いてくれるな? 守りきれなくなるでな。いざとなったら自衛に徹してくれ、自分が何とかするのである、敵の数はあくまでも予測。信じすぎるのも危険か」
「状況把握して、好転するマデは、取り敢えずもぐら叩きカナ? こういう時は、あまり戦線を拡げない方が良いのヨ? 守りきれなくなっちゃうしネ」
「そうか、ならば主(ぬし)の判断で行動せよ」
そこに──。
「せいなるひかりでピカッてしてやるわ」
リリィが割って入った。
「あんでっどなんて、リリィのホーリーライトで照らしてあげるわ! ひるませられるハズよね! ちかづかれなければリリィのゆみがうなるわよー! こわくないけど、こわくないけどっ! でも、ちかよってはこないでー!」
「安心するのであるリリィ、シフールは我が守る」
ノワールの言葉にこくこくと頷くリリィ。ソレイユの方に視線をやって。
「ホーリーライトでてらせばじかんはかせげるはずよ! だからはやくなんとかしてー!」
(リリィはりりいのかごとかんかくをしんじるだけよ! ちゃんとまもりきって、ノワールにほめてもらうんだからー! ううー! こわ‥‥くなんてないわよっ!)
「リリィ震えてるのか?」
ノワールの声に、リリィは顔を見せず。
「むしゃぶるいよっ!」
「健気な‥‥」
そう言うと、ノワールはルミナパワーの魔法を付与したグリーヴァオオダチを構える。
次の瞬間、ルミナリィを成就したソレイユが条件の絶対的な変更点を見出すのだった。
(屍臭が服に付いてしまうわね‥‥)
利き手で銀のモーニングスターを振り回し、逆手でマジカルトーチを構えるのは、
アザリー・アリアンロッドだ。
自分から仕掛けなければ、マジカルトーチの光の中にゾンビは入ってこない、しかし、自分からゾンビの間合いに踏み込んでいけば、ゾンビは襲い掛かってくる。
「酷い臭いね。浅い場所だと思っていたけど‥‥夜の森の臓腑の中にまで、踏み入ってしまっていたのかしら。一日の訓練の締めくくりがコレなんて、浮かばれないわね‥‥」
しかし、モーニングスターは破壊力があっても取り回しの良い武器ではない。
「当たらなければどうということはないわ」
言って下がる、アザリーの背中に、義姉である、
アルマリア・アリアンロッドの声が響く。
「ファイアボム──蹴散らしてアゲルわ」
夜の魔の森に爆風が駆け抜ける。
アルマリア、彼女の強みは言うまでもなくファイアボムによる大火力範囲攻撃、敵の総数さえ不明の中で限りのあるこの切り札をどれだけ適切なタイミングで切れるかが焦点となった。
まずは初手、数を減らして圧を弱める──そこからは敵の数が再び増えてきて、味方の対応が難しくなりそうなタイミングで放つのだ。
しかし、確実に効果を上げているのだが、ゾンビたちは一撃で吹き飛ぶような、やわさではない。
剣を構えたゾンビウォリアーとゾンビリーダーがアザリーの間合いを侵食する。
「あら、変わったお客様ね。来い闇の住人──戦ってあげますわ」
アザリーの宣言。
「アリアンロッド姉妹の力、魅せてアゲル──‥‥あれは、ソレイユかしらね?」
敵陣に斬りこむソレイユ、それに追従するのは──。
◆七人の従者
「大変、従者のひとり、向こうにいる、多分、CROSSで守られている」
ソレイユがルミナリィの魔法で透かし見た視界の中に、いたのは祠(ほこら)? の前にうずくまる従者のひとり。
ゾンビ相手に合戦をしている、
パイロ・シルヴァンは、自身のカウントミスに気づく。
そう、最後に点呼しようとしたところで、彼の前にいたのは『七人』だ。連れてきたのは『八人』だった。
「やれやれ、給料の支払いを良くしてもらわないと」
ルミナパワーを付与した、ティラノギアを構えた、
レナ・ゴールドマンがソレイユの意図を察し、彼女にゾンビたちの圧力が集中しないように、戦線を適度に分散する。
「う、それにしても、鼻が‥‥全力で倒して安全を確保しないとだね。さて、ようやく私達の仕事の時間だね──徹夜は得意だよ‥‥朝までだって付き合ってあげるよ」
「いやぁ、そこまで維持できないよねぇ──前みたいにゾンビだけなら楽でいいんだけどね」。
少し疲れたような、
ヴェスパー・ベントの声。
マジカルトーチ、リリィのホーリーライトの魔法、いずれにしても、一晩もつとは思えない。焚火は一晩もつだろうが、動かせないのがデメリットだ。そこでカギとなるのが魔法のランタンだ。
(多分、リリィの魔力が持たなくなったら、CROSSの力でどうにかするしかないよねぇ──その前に矢が切れそうだけど)
銀の矢、48本。しかし、一発一発が必殺という訳ではなく、使いどころを考える必要がある。
ヴェスパーは今までのところ、アルマリアのファイアボムを受けたゾンビやゾンビリーダーを戦闘不能にするという形で、消費する矢の数を最小限にしていた。
一方、
リコ・マウリオラは従者のひとりに銀の剣を手渡す。
「守られてばっかりじゃ、ダメダメですよぉ? ゾンビさんってぇ、銀の武器が効くって聞きましたぁ♪ リコが手伝うのでぇ、いっしょに倒しちゃいましょお☆」
「え?」
とまどう従者。多分、自身もハウンドと肩を並べて戦いたいのだろう。
「やめてくれ。リコさん」
パイロが厳しい声を発した。
「んっとぉ? パイロさんは自信もプライドもあって、守られたくないんですよねぇ? でもぉ、従者のみなさんには、守ってもらえですかぁ? 守られるのが騎士のお仕事じゃないでしょお?」
「彼らは人を守る騎士ではない──まだ守られるべき従者だ、受勲を受けるまでは騎士ではない。では、百歩譲って武器を渡したとして、リコさんは彼らが死んだ際に責任取れるのか? 悲報を携え、親の前に行って、あなたのお子さんは自分の采配ミスで戦死したと、頭を下げる覚悟があるのか? 私はその責任をとれる。そして、その為に備えをした、君たちハウンドへの依頼だ。本末転倒な事をしないでもらいたい」
銀の武器をリコに返す従者。
「俺にこの武器は重すぎます」
無論、物理的な重さではなく、精神的な重さだろう。
なお、パイロはリコを少女だと思っている。髭がないので、ドワーフとは思っていないのだ。
一方、ソレイユはゾンビたちを刺激しないように大回りして、従者のひとりがいる祠に近づく。
「ゾンビ、刺激しないで、ゆっくりこっち、来て」
従者は過不足なくそれを実行した。
「怖かった‥‥祠のトビラ開いたら‥‥ゾンビが──」
「出来るだけ、静かに、戻りましょう」
十数分後、八人の従者、八人のハウンド、ひとりの騎士がそろった。
レナとヴェスパーの持ち込んだ魔法のランタンで円陣を敷き。焚火を従者を守るように位置取りをする。
幸か不幸か、それ以上の猛攻はない。
なお、ルミナリィを成就時のソレイユ曰く、最盛時は相手は四十匹はいた。朝とともにゾンビは祠から地下へと潜っていったようだ。
「本当にアテにならないのであるな」
とはノワールの弁だった。
ともあれ、朝は来た。明けない夜はなく、始まらない朝もない。
だから、ハウンドの戦いは──つづく。
7
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参加者
| | a.死臭が服に付いてしまうわね…。
| | アザリー・アリアンロッド(da0594) ♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | a.蹴散らしてアゲルわ
| | アルマリア・アリアンロッド(da0672) ♀ 35歳 人間 パドマ 火 | | |
| | a.鼻が……全力で倒して安全を確保しないとだね
| | レナ・ゴールドマン(da1337) ♀ 23歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 陽 | | |
| | b.前みたいにゾンビだけなら楽でいいんだけどねぇ。
| | ヴェスパー・ベント(da1605) ♂ 36歳 カーシー(小型) カムイ 風 | | |
| | b.守りに全力を尽くそうぞ!
| | ノワール・トゥーナイン(da1749) ♂ 29歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 風 | | |
| | a.近づいてきた奴から、始末するしかないよネ
| | ソレイユ・フォリー(da1795) ♀ 22歳 カーシー(小型) ヴォルセルク 陽 | | |
| | z.守られてばっかりじゃ、ダメダメですよぉ?(銀の剣を手渡し)
| | リコ・マウリオラ(da1831) ♀ 19歳 ドワーフ ヴォルセルク 火 | | |
| 俺は魔法は使えないが、自信はある。守らないでくれ、ん、何かおかしい? | | |
魔の森にて
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金羊騎士団の従者たちが魔の森で一泊する訓練があるそうです。騎士団長からその従者の少年たち八人がトラブルを起こさないように、見てくれと依頼が来ています。
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